試験において出題される問題には、様々な形式(出題形式)が存在します。

マークシート式のものもあれば、解答を実際に受験生に書かせるものもあります。

出題形式が異なると、実は受験勉強のやり方も変わってきます。

例えば、マークシート式のものの場合、選択肢を見たときに正誤が判断できれば十分だということになるので、それを前提に勉強を進めていくことになります。

これに対して、解答を実際に受験生に書かせるものの場合、問題文を見て自力で解答にたどり着けなければなりませんから、そういったことができるようになるまでトレーニングを積んでいく必要があります。

では、宅建試験では、どのような出題形式で問われるのでしょうか。

この話題は、これから勉強を開始する私たちにとって重要なものとなります。

以下のコラムをご参照の上、宅建試験の勉強計画を立てていきましょう!

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宅建試験問題の出題形式は択一式のみ

まず初めに、宅建試験全体に関する箇所から確認していきましょう。

宅建試験の問題は、出題科目・分野を問わず、すべて「4肢択一式」問題が出題されます。

「4肢択一式」とは、4つの選択肢の中から、各問題において指定された条件に合致するものを探し出す出題形式のことです。

いわゆる“4択”問題で、全科目の合計出題数は50問です。

また解答用紙は、マークシートを用います。

4つの選択肢の中から条件に合致するものを見つけ出した後は、その選択肢の番号をマークシートで塗りつぶすことになります(そのため、「マークシートの番号をマークする」時間も考慮する必要があります)。

次に、宅建試験の試験時間も併せて確認しておきましょう。

宅建試験の試験時間は、例年「13時から15時までの2時間」で実施されます。

なお、いわゆる「5問免除者」の方に関しては、試験時間は1時間50分(13時10分から15時まで)と10分短縮されて試験が実施されます。

以上をまとめますと、宅建試験は「50問の試験問題を、2時間の試験時間で、合格点になるまで正解する」という試験ということになります。

次は、宅建試験の特異な点をご紹介しておきましょう。

ご存じない方もいらっしゃるかもしれません、実は、各科目の出題数はバラバラです。

科目ごとの問題数が異なっているわけです(例えば、「各科目10問ずつ出題され、合計50問」というわけではない)。

各科目の具体的な出題数は、次のとおりです。

この情報についても、今のうちに知っておきましょう。

科目出題数問題番号
権利関係14問問1から問14まで
法令上の制限8問問15から問22まで
税その他3問問23から問25まで
宅建業法20問問26から問45まで
免除科目5問問46から問50まで

例年「権利関係」「宅建業法」という2科目の出題数が多いです。

そのため、一見すると、「『権利関係』と『宅建業法』が何とかなれば」と思ってしまうのですが、実はそう話が単純でないのが宅建試験の対策が難しい理由です。

※関連コラム:宅建士試験の過去問一覧!過去問だけで受かるのかを解説

択一式の問題でよく出る3タイプの出題形式

宅建試験では「4肢択一式」(以下、単に「択一式」とします)のみが出題され、「解答を実際に受験生に書かせる」形式のものは出題されません。

ただし、この「択一式」は、さらに全部で3つのタイプに分類されます。

次は、この3つのタイプについて解説していきましょう。

①単純正誤問題

①単純正誤問題〇〇に関する次の記述のうち、……正しいものはどれか。
1〇〇 2〇〇 3〇〇 4〇〇

「単純正誤問題」は、4つの選択肢の中から「正しいもの」や「誤っているもの」等問題文で指定された条件に合致する選択肢を選び出すタイプの出題形式です。

このタイプの場合、選択肢1から選択肢4までの各選択肢をそれぞれ検討していき、条件に合致するものを探していくというのが、最もポピュラーな解き方と言えるでしょう。

②組合せ問題

②組合せ問題〇〇に関する次の記述のうち、……正しいものの組合せはどれか。
ア〇〇 イ〇〇 ウ〇〇 エ〇〇
1 ア、イ2 イ、ウ3 イ、エ4 ウ、エ

「組合せ問題」は、問題文で指定された条件に合致する選択肢を選び出すという点は「単純正誤問題」と共通しているのですが、その際の条件というのが「正しいものの組合せ」や「誤っているものの組合せ」のように、複数の選択肢の組合せを見つけ出す必要がある点が異なります。

例えば、上記の例題の場合、「正しいものの組合せ」を選び出せとありますから、選択肢イと選択肢ウが正しいものだとなれば、正解はイとウを組み合わせている選択肢2だということになります。

③個数問題

③個数問題〇〇に関する次の記述のうち、……正しいものはいくつあるか。
ア 〇〇イ 〇〇ウ 〇〇エ 〇〇
1 一つ2 二つ3 三つ4 なし

「個数問題」は、問題文で指定された条件に合致する選択肢がいくつあるかを数えさせる問題です。数を数えさせる問題なので「個数問題」と一般的に呼ばれています。

例えば、上記の例題の場合、「正しいものはいくつあるか」とありますから、選択肢アと選択肢ウ、選択肢エが正しいものだとなれば、正解はア・ウ・エの三つで選択肢3だということになります。

以上が、択一式の3つのタイプでした。

3つのタイプのうち、難易度が最も高いのは、もちろん「個数問題」です。

なにせ「個数問題」は、示された選択肢のすべてにつき正誤を正確に判断しなければならず、1つでも判断を間違えると解答にたどり着けません。

とてもシビアな出題形式なんです。

しかも、これは勉強を始める前にぜひ知っておいていただきたいのですが、「個数問題」の場合、「条件間違え」で問題を間違えるというミスがよく起こります。

上記の例題で言えば、「正しいものはいくつあるか」が指定された条件なのに、それをなぜか「誤っているものはいくつあるか」と誤読してしまい、「選択肢イだけが誤っているから、正解は選択肢1だ」となってしまうというわけです。

この手のミスは、実は毎年度必ずと言ってよいほど聞くミスでして、これから勉強を始める皆さんにはぜひご注意いただきたい類のミスと言えるでしょう。

年度ごとの出題形式の分布

「個数問題は苦手」と思いましたよね。

そこで、上記3タイプの出題形式はどれくらい出題されているのか。

次はこの点について確認しておきましょう。

単純正誤組合せ個数合格点
令和元年度44問0問6問35問正解
平成30年度46問1問3問37問正解
平成29年度43問1問6問35問正解
平成28年度42問2問6問35問正解
平成27年度40問1問9問31問正解

まず特徴的なのは、出題形式のほとんど(40問以上)は、「単純正誤問題」であるという点です。

なので、まずは「単純正誤問題」を解けるように練習しましょう。

次に特徴的なのは、「個数問題」は6問くらい例年出題されているという点です。

これとセットで知っておきたいのが、「個数問題が多くなればなるほど、合格点が下がる」という傾向です(平成27年度の試験結果が顕著ですね)。

先ほど「個数問題は難易度が高い」という話をしましたが、それはこの傾向からもうかがえるというわけです。

最後に「組合せ問題」は、出題されても1問か2問くらいだという点です。

そのため、私たちが勉強するにあたって意識しなければならないのは、「単純正誤問題」と「個数問題」だということになります。

科目ごとの出題形式の分布

さらに進んで、科目ごとの出題形式の分布を見ていきましょう。

①権利関係(直近5年分)

単純正誤組合せ個数
令和元年度14問0問0問
平成30年度14問0問0問
平成29年度14問0問0問
平成28年度13問0問1問
平成27年度13問0問1問

「権利関係」に関しては、ほとんど「単純正誤問題」による出題です。

なので、ひとまず「単純正誤問題」が解けるように勉強を進めていくこととしましょう。

②法令上の制限(直近5年分)

単純正誤組合せ個数
令和元年度8問0問0問
平成30年度8問0問0問
平成29年度7問1問0問
平成28年度8問0問0問
平成27年度8問0問0問

「法令上の制限」に関しては、直近5年間では「個数問題」が出題されていません。

「単純正誤問題」が出題されるという心構えでよいでしょう。

③税その他(直近5年分)

単純正誤組合せ個数
令和元年度3問0問0問
平成30年度3問0問0問
平成29年度3問0問0問
平成28年度3問0問0問
平成27年度3問0問0問

「税その他」は、直近5年間では「単純正誤問題」での出題のみとなっています。

「個数問題」や「組合せ問題」は想定する必要はないでしょう。

④宅建業法(直近5年分)

単純正誤組合せ個数
令和元年度14問0問6問
平成30年度16問1問3問
平成29年度14問0問6問
平成28年度13問2問5問
平成27年度11問1問8問

「宅建業法」では、「個数問題」が毎年度必ず出題されています。

そして「個数問題」の数が合格点の上下を決しますから、「宅建業法」での出題の動向が試験全体に大きな影響を与えていることが分かります。

確かに「個数問題」自体は難易度が高いため避けたいところなのですが……出題されている科目が「宅建業法」のため、そうも言ってられません。

「宅建業法」で点数を稼がないことには、宅建試験の合格はあり得ないからです。

(この話に関する詳しい解説は、別記事に委ねたいと思います。)←科目ごとの学習戦略・勉強法を解説した記事に誘導してあげてください。

「宅建業法」では、「個数問題」も逃げずに正解を勝ち取っていきましょう!

⑤免除科目(直近5年分)

単純正誤組合せ個数
令和元年度5問0問0問
平成30年度5問0問0問
平成29年度5問0問0問
平成28年度5問0問0問
平成27年度5問0問0問

「免除科目」についても、「税その他」と同様、直近5年間では「単純正誤問題」での出題のみとなっています。

「免除科目」も「個数問題」や「組合せ問題」は想定する必要はないでしょう。

以上が、科目ごとの出題形式の分布でした。

「個数問題」は、ひとまず「宅建業法」での出題がほとんどであるという点を知っておきましょう。

宅建試験の合否は、この「宅建業法」で出題される「個数問題」を、どれだけ正解することができるかが大きなカギを握っています。

難易度が高い出題形式のため、解けるようになるまでどうしても時間がかかります。

ただ合否のカギを握っていることを分かったうえで、諦めず積極的にトライしていきましょう!

出題形式ごとの正答率を高めるポイント

最後に、宅建試験の出題形式ごとに問題の正答率を上げるためのコツをお話しておきます。

①個数問題……ケアレスミスの防止を徹底的に行うこと

先ほどお伝えした通り、「個数問題」はとにかくケアレスミスを誘発しやすい出題形式です。

そのため、「個数問題」の正答率を上げるためのコツは、何よりケアレスミスが発生しない仕組みを確立する点にあります。

例えば、「正しいものはいくつあるか」という場合、正しいものの数を数える必要がありますから、大きな〇(マル)印を書いておいて、各選択肢にも正誤に合わせて〇印や×(バツ)印を書いておきます。

そして、最後に数を数えるときには、今回は「〇印の数を数えるのだ」ということで、〇印だけを数え、選択肢1から4までの中からその数に対応したものを選び出します。

こうやって、「何の数を数えなければならないのか」を視覚的にも分かるようにはっきりとさせるわけです。

また「数を数えるタイミング」は、各選択肢の正誤の判断をしている時ではなく、すべての選択肢の正誤の判断が完了した後“最後の仕上げ”として行ないます。

人は、行なう作業の内容を単純化すればするほどミスが少なくなりますので、「各選択肢の正誤の判断をするタイミング」と「個数を数えるタイミング」を分けるのです。

こうやって、日々の勉強をする際は、ケアレスミスを軽視することなく、少しでも発生するのを防止するための策を講じることとしましょう。

②組合せ問題……選択肢の“組合せ”を活かすやり方を意識すること

「組合せ問題」の面白いところは、すべての選択肢の正誤を判断せずとも正答が出てしまう点にあります。

例えば、選択肢エが誤っていると分かった時点で、正答は選択肢1か選択肢2のどちらかしかない……あ、選択肢イは1にも2にもあるから、これは正誤を判断しなくていい、という具合にです。

このような出題形式を活かした解き方は、大いに参考にしていただきたいです。

正答率が上がるのもそうですが、それ以上に、検討する選択肢の数が減るので試験時間の節約にもつながります。

試験時間が節約できると、余った時間をその分他の問題に回すことができ、その問題の検討時間を増やすことができます。

「落ち着いて解けば正答できる」ような問題を正答できるようになりますから、試験全体の正答率が上がるというわけです。

③単純正誤問題……分からなければ次!……の姿勢が大事です

「単純正誤問題」は、特徴がないようで、実は大きな特徴があります。

それは、「3つの選択肢が判断できなくても、正答の選択肢1つの正誤が判断できれば正答できてしまう」ということです。

「選択肢1、2、4は何のことだか分からないけど……選択肢3がどう考えても正しいから、正答は3だ」みたいな解き方が出来てしまうというわけです。

「単純正誤問題」の場合、「個数問題」じゃありませんから、すべての選択肢の正誤が判断できる必要はありません。

正答にたどり着ければそれでよいのです。

ですから、分からない選択肢が仮にあったとしても、「次で分かればいいや」くらいの気持ちでドンドン先に進みましょう。

そうやって、判断できる選択肢で“勝負する”精神が重要です。

まとめ

以上、宅建試験の問題の出題形式についてでした。

このコラムをまとめると、

・宅建は四肢択一のマークシート式で記述や論述はない

・出題形式は正誤問題、組み合わせ問題、個数問題があり、個数問題は難易度が最も高い

・出題形式ごとの特徴や解き方を味方にすれば、正答率を上げることも可能である

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関連コラム:宅建試験の試験内容や各科目の配点は?問題構成・勉強の順番も解説

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この記事の著者 林 裕太講師

2007年に行政書士試験に合格し、大手資格予備校で長年行政書士試験の受験指導を行う。

初学者向けの入門講座から、受験経験者を対象とした上級講座まで幅広く講座を担当。

本試験の出題傾向を緻密に分析した上で、初学者・受験経験者問わず、少しでもわかりやすく、点をとりやすくなるような講義とテキスト作りに心血を注ぐ。

また、様々な資格試験に精通する「資格マニア」でもある。

アガルートアカデミーでは、行政書士試験だけでなく、公務員試験(法律系科目,社会科学等)、

宅地建物取引士試験、司法試験(一般教養科目対策)、ビジネス実務法務検定®試験の指導も行う。

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