宅建と行政書士の仕事の違いは何でしょうか?

また、試験の難易度はどちらの方が難しいといえるでしょうか?

このコラムではそんな疑問に答えるため、宅建と行政書士の仕事や難易度の違いに触れたうえで、ダブルライセンスのメリット、ダブルライセンスを取る際におすすめの順番を解説します。

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宅建と行政書士の違い

まずは宅建とはなにか、行政書士とはなにかについての説明です。

宅建とは

宅建の正式名称は「宅地建物取引士」といいます。

不動産契約にあたって、重要な説明や契約締結などを進めていく仕事となります。

不動産に関わる重要事項などの説明は宅建士だけに許された独占業務となり、不動産売買や仲介などの不動産取引を行う場合は、従業員5人につき1人以上の宅建士が必要となるため、需要が高い資格とされています。

関連記事:宅建とは?宅建士の仕事内容や独占業務・求められる能力について紹介

行政書士とは

行政書士とは、行政書士法により誕生した国家資格

法律に関する業務を行い、他の人や会社の代わりに書類の作成・申請や役所に提出する仕事となります。

また、弁護士や弁理士、司法書士など「士」が着く資格がありますが、これらのなかでも特に権限を持つ資格を八士業と言い、行政書士もその八士業のひとつとなります。

  宅建士 行政書士
どんな専門家 不動産取引のエキスパート まちの法律家
主な仕事内容 ・重要事項の説明
・契約書等への記名押印
・行政機関に提出する許認可等の書類の作成
・権利義務又は事実証明に関する書類の作成
・書類の作成に関する相談
独占業務 あり あり

宅建と行政書士の違いから解説します。

仕事内容の違い

宅建士の主な仕事は、

  • 不動産の売買や仲介などの取引を行う際の重要事項の説明及び
  • 契約書等への記名押印

を行います。

不動産取引は様々な人がすることができ、法律に詳しくない人も取引をすることがあります。

契約の時に、宅建士が重要事項を説明することで、契約当事者が意図していない不利益を回避することができます。

例えば、不動産を改築しようと思って購入したのに、法律により改築できない場合があります。

このような場合には、後に売主と紛争が生じてしまうこともあります。

宅建士は事前に説明を行うことで、このような不利益や紛争を未然に防止する役割を果たしています。

宅建士のこれらの仕事は独占業務であり、宅建士でなければできません。

また、法律により不動産会社の5人に1人以上が宅建士でなければなりません。

宅建士の需要は高く、かつ社会に無くてはならない資格といえるでしょう。

行政書士の主な仕事は、

  • 行政機関に提出する許認可等の書類の作成
  • 権利義務又は事実証明に関する書類の作成
  • 書類の作成に関する相談

となっています。

行政書士が行政機関に提出する書類を作成することで、事務の効率化を進めることになります。

例えば飲食店を始める場合、保健所への許可(飲食店営業許可)や消防署への届出(防火対象物使用開始届)をはじめ、様々な申請や届出を行う必要があります。

このような書類を代わりに作成し、提出することで、その飲食店は書類の作成の手間を省略できスムーズに開店することができます。

また、契約書の作成や遺言書に関するアドバイスなど、幅広い法律に関する書類の作成やアドバイスを行うことで、トラブルを未然に防止するという役割も期待されています。

行政書士の①②の仕事も独占業務です。

今後もまちの法律家として多くの人を助けることになるでしょう。

難易度を比較

結論から言うと、宅建よりも行政書士の方が難しいといえるでしょう。

宅建と行政書士の試験の難易度について、受験資格、試験内容、合格率、勉強時間を比較していきましょう。

関連コラム:宅建の難易度や合格率、偏差値や合格するとすごいのか?など

受験資格

宅建も行政書士も、どちらの試験にも受験資格に制限はなく、年齢、性別、学歴などに関係なく誰でも受験することができます。

公務員試験や社労士試験のように制限がないので、年齢が高いことや学歴を理由に受験を諦めることはありません。

試験内容

宅建士試験は50問の四肢択一となっています。

試験で出題されるのは、民法や借地借家法などの権利関係、宅建業法、都市計画法や建築基準法などの法令上の制限、不動産取得税などの税及び法改正などのその他となっています。

不動産取引に関連する法令からの出題となっていることが分かります。

試験は相対評価となっており、毎年35問前後が合格点となっています。

行政書士試験は合計60問で、五肢択一式、多肢選択式、記述式となっています。

試験で出題されるのは、民法や行政法など行政書士の業務に関し必要な法令等、政治経済社会や文書理解といった行政書士の業務に関連する一般知識です。

宅建と異なり一般知識も要求され、幅広い知識が必要になっていることが分かります。

試験は絶対評価となっており、300点満点中180点以上が合格点です。

また、科目ごとに基準点が設定されています。ある科目で基準点未満となってしまった場合には、全体で180点を上回っていても不合格となってしまいます。

苦手科目を作らないようにしたいですね。

合格率

宅建と行政書士試験の過去の合格率は以下のようになっています。

年度 行政書士の合格率 宅建の合格率
2023年 13.98% 17.2%
2022年 12.13% 17.0%
2021年 11.2% 17.9% 15.6%
(12月実施)
2020年 10.7% 17.6% 13.1%
(12月実施)
2019年 11.5% 17.0%
2018年 12.7% 15.6%

これを見ると、宅建の合格率はおおむね15~17%行政書士の合格率は9~15%で推移していることが分かります。

行政書士試験の方が合格率の幅が大きいのは、絶対評価のため試験の難易度に左右されることが推測されます。

両方とも合格率は高くないですが、特に行政書士では10%を下回る年度もあり、宅建より合格率が低いといえるでしょう。

合格率からみる難易度は、行政書士よりも宅建の方が少し高いことから、宅建の方が難易度は低いといえるでしょう。

勉強時間

宅建と行政書士の合格に必要な勉強時間を見ていきましょう。

宅建は、合格するまでに必要な勉強時間は200~300時間といわれています。

毎年20万人が受験し、3万人程しか合格しないので毎日しっかり勉強する必要があります。

行政書士は、合格するまでに必要な勉強時間は500~800時間といわれています。

およそ10人に1人しか合格できない狭き門といえるでしょう。

以上の点を踏まえると、

  • 行政書士の方が試験で幅広い知識が要求され、しかも記述式など深い理解も試される。
  • 行政書士のほうが合格率が低く、合格までの勉強時間が長い

といえます。

よって、行政書士の方が難しいといえるでしょう。

関連コラム:宅建の難易度や合格率は?偏差値で例えると?ランキング形式で紹介

【目的別】どちらの資格を取得したらいいのか?

一般的には、宅建士試験を受験後に行政書士を受験する流れとなります。

理由としては、難易度で比較すると宅建士の方が少し低いのと、宅建士で勉強する民法に関しての知識は行政書士にも活かすことができるためです。

ここまで2つの資格を見てきましたが、これだけでは自分がどちらに向いているのか分からない人もいますよね。

そこで、将来像や性格から、向いてる資格を示します。

宅建の取得はこんな人におすすめ

宅建の取得は以下の人におすすめです。

  • 不動産業界で働きたい人
  • 会社勤めを目指す人
  • 正確な仕事をする人

一つずつ解説していきます。

・不動産業界で働きたい人

宅建は不動産取引で活躍する仕事です。

そのため不動産業界で働く人が取るべき資格といえます。

また、宅建は履歴書にも記載することができ、不動産業界への就職や転職に有利になります。

・会社勤めを目指す人

不動産会社の5人に1人が宅建を所持していなければならず、会社での需要が高いことから不動産会社で勤務することが多いです。

不動産会社では宅建所持者に月1~3万円ほどの資格手当を設けられることもあります。

・正確な仕事をする人

重要事項の説明や契約書等への記名押印は契約を結ぶ最終段階で行われ、宅建は責任あるポジションにいます。

もし法令による制限を見逃して説明をしなかった場合には、会社や契約の相手方に大きな不利益が生じかねません。

そのため、何を重要事項として説明するか正確に判断する必要があります。

正確な仕事をする人は宅建士に向いています。

行政書士の取得はこんな人におすすめ

宅建の取得は以下の人におすすめです。

  • 不動産業に限らず、法律知識を駆使して様々な問題に対処したい人
  • 独立開業を目指す人
  • 好奇心の強い人

一つずつ解説していきます。

・不動産業に限らず、法律知識を駆使して様々な問題に対処したい人

行政書士は行政文書のほか、契約書の作成や遺言状などの文書作成に関するアドバイスを行います。

様々な問題に対処して自分の知識を活用できます。

・独立開業を目指す人

行政書士は行政書士法人といった事務所で勤務するより、独立開業することが多い資格です。

行政書士となれば様々な書類を扱うことができるので、営業努力次第ではすぐに独立開業することも夢ではありません。

・好奇心の強い人

行政書士は行政文書の作成を行いますが、そのために取り扱う書類は1万種類を超えます。

依頼人の求めに応じ、これまでに取り扱ったことのない書類を作成することも沢山あります。

未知の書類の作成などを行うには、法律の仕組みや概念を知る必要があり、調べることが重要になります。

好奇心の強い人はこのような作業を楽しく行うことができるので、行政書士に向いています。

宅建と行政書士のダブルライセンスを目指すメリット

これまでは宅建と行政書士のそれぞれを見てきましたが、両方の資格を習得するダブルライセンスはどうでしょうか?ダブルライセンスによるメリットは以下の通りです。

試験範囲に重複があり、勉強量の圧縮をすることができる

宅建も行政書士も、主な試験範囲として民法があります。

先にどちらかの試験で民法を勉強しておけば、次の試験での勉強範囲を大幅に削減できます。

このため、試験範囲が重複しない試験を勉強するより勉強量が圧縮でき、勉強時間を短縮することにつながります。

働き方の選択肢が広がる

宅建は取得後に会社で勤務することが多い資格であるのに対し、行政書士は独立開業につなげる方も多い資格です。

そのため、自分のライフスタイルにあわせて、働き方の幅が広がります

また、リスクヘッジの側面からもメリットがあるでしょう。

ダブルライセンスを目指す場合の理想スケジュール

もしダブルライセンスを狙う場合、宅建から先に勉強するケースが多いです。

まず、行政書士より宅建の方が試験の難易度が低めなので、宅建合格で自信をつけてから行政書士を目指すことができます。

また、行政書士では記述式の出題もされるので、宅建より民法の深い勉強が必要となります。

そのため、宅建で民法の概要を押さえ、行政書士で民法の発展的な部分を学習することになり、効率的な学習をすることができます。

なお、宅建の試験日は10月中旬、行政書士の試験日は11月上旬から中旬となっており、試験日が非常に近いです。

そのため、同じ年に両方の資格取得を目指すのではなく、まず一年は宅建の取得に集中し、宅建合格の翌年以降の合格を目指して行政書士の勉強に向かうのが良いでしょう。

まとめ

以上、宅建と行政書士の違いなど様々なことを見てきました。

ここまでの内容をまとめると、

  • 宅建士は不動産取引のエキスパートで重要事項の説明や契約書等への記名押印を行う。
  • 行政書士は街の法律家で許認可等の書類の作成、契約書等の作成、相談を行う。
  • 試験の難易度は行政書士の方が難しい
  • 勉強量の圧縮や働き方の選択が広がるといったダブルライセンスのメリットがある

ということになります。

ぜひ、宅建、行政書士を目指してみてはいかがでしょう。

関連コラム:宅建とのダブルライセンスにおすすめの10資格を紹介

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