データサイエンティストとして働くためにはどんなスキルを持っていればよいのでしょうか。

必須のスキルはありますが、求められるスキルや知識は応用分野ごとに異なるため一概には言えません。

今回はデータサイエンティストとして働くために「共通して」必要になるスキルと知識、そしてそれらの身につけ方を紹介します。

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データサイエンティストとは?

データサイエンティストとは、統計学や情報工学などの手法を組み合わせて、大規模なデータセットからビジネスの課題解決に必要な知見を引き出す職務です。

データサイエンティストが活躍する領域はマーケティングに限らず、製造や物流、医療、教育、エンターテインメントなど多岐にわたっています。

大規模なデータ収集が容易になった現代では、多くの企業が経営戦略やサービス改善のためのデータ分析を行うようになりました。

データサイエンティストは企業の競争力を左右する重要な役割を担っており、その需要はますます高まっています。

データサイエンティストと近い職業にデータアナリストがありますが、データアナリストがデータの集計・分析による現状理解を中心とするのに対し、データサイエンティストは課題解決を前提に、ビジネス施策を提案する部分までを担当します。

データサイエンティストに求められるスキル

データサイエンスは多くの研究分野の集合体で、幅広いスキルと知識が求められます。

その根幹を担うのは、大きく分けて「統計学」「情報工学」「ビジネス」の3つのスキルといえるでしょう。

このうち、統計学と情報工学は特に進歩が著しい分野で、最新の技術のキャッチアップを常に求められるのが特徴です。

統計学

データに対する正しい考察を得るには、統計処理手法の知識が重要になります。

また、統計学の根幹を担う数学は、データ分析を行う上で欠かすことができません。

なかでも確率・統計、微分積分、行列などの分野はデータ分析における必須知識と言えるでしょう。

データ分析についての書籍もある程度の数学知識を前提として書かれていることが多いです。

適した分析手法を選択する上でも、データを正しく理解する上でも統計学についてのスキルが求められます。

情報工学

データサイエンスで膨大なデータを取り扱うには、プログラミングによる高速な処理や、データの加工・解析に必要なアルゴリズムの知識が必要です。

また、膨大なデータを格納するためのデータベースについての理解なども求められるため、幅広いIT知識を身につける必要があります。

ビジネス

データサイエンティストはデータ活用による事業への貢献が重要な職務です。

ビジネス上の問題を解決し改善するためには、対象となるビジネスについて深く理解している必要があります。

また、データサイエンティストの仕事は最終的にレポートやプレゼンの形でまとめられます。

そのため、データを正しく・わかりやすい形でまとめるデータビジュアライゼーションのスキルや、文書作成、プレゼンテーションなどのスキルも重要になります。

データサイエンティストに求められる知識

データサイエンティストに求められる知識については、「統計学」「情報工学」「ビジネス」の領域でそれぞれ以下のようになります。

統計学 数学
データ分析手法
情報工学 プログラミング言語
データベース
ビッグデータ処理
ビジネス データビジュアライゼーション
関連分野への理解

数学

数学はデータ分析の根幹とも言える知識です。

確率・統計、微分積分、行列の分野については初心者向けの書籍にも必ずと言っていいほど登場するため、高校卒業 (数ⅢC)程度の数学は身につけておく必要があります。

また、解析モデルやアルゴリズムについて深く理解するためには、大学初級程度の解析学、線形代数学も習得していることが望ましいです。

これらの内容は統計2級程度で問われる数学知識と同等のものです。

データ分析手法

データを分析する上では、統計処理や数理モデルの作成が必要になります。

そのために必要になる統計処理手法について、どのような場合にどのような手法を用いるのが適切であるかを理解しておく必要があります。

例えば、重回帰分析や決定木、クラスタリング分析などの手法の中から、自らが必要とする結論を出すために適切なものを選択できる必要があります。

プログラミング言語

データ収集や成形、分析処理、BIツールへのデータ挿入など、データサイエンスではプログラムを書く機会が頻繁にあります。

データサイエンスに使用されるプログラミング言語はR言語やPythonが一般的です。

R言語は統計解析に特化したプログラミング言語で、グラフの書き出しなどのデータビジュアライゼーションに優れています。

Pythonはいわゆる汎用言語で、近年機械学習・AIの分野で人気が非常に高まっています。

データ分析以外にも幅広く活用できるうえ、日本語の情報もR言語より多いため、初学者はまずこちらの習得がおすすめです。

Pythonはデータサイエンスに活用できるライブラリも充実しています。

よく使うライブラリとしては以下のようなものがあります。

  • NumPy(数値計算)
  • Pandas(データ解析)
  • Scikit-learn(機械学習)
  • NLTK(自然言語処理)

これらのライブラリの活用法も押さえておきましょう。

データベース

データ分析の環境を構築する際、およびデータを活用する際にはデータベースについての知識が必要になります。

データ分析に用いられる大規模データは基本的にデータベースに格納されるため、基本的な要素技術を理解し、データベースの構築を行う必要があります。

その上で、セキュリティ要件やスケーラビリティ、パフォーマンスを考慮し、適切なデータベースを選択することが求められます。

データベースのような分析基盤環境は社内で共有化されている場合が多く、一人が実行した非効率な処理が原因で、社内で実行されているすべてのデータ分析が影響を受ける可能性もあるためです。

ビッグデータ処理

データサイエンスでは、容量の非常に大きいデータを扱うことも多々あります。

このようなビッグデータの収集・蓄積や取り扱いには専門の知識が必要になります。

大容量のデータに応じた高度な管理体制の構築はもちろん、分析に必要なデータ選定や前処理の負荷も大きくなるため、データの並列処理や列指向データベースの活用による処理の高速化が重要になります。

ビッグデータ処理技術は現在も加速度的に発展している領域ですので、動向を常にチェックしておくことも大事です。

データビジュアライゼーション

解析したデータを図表・グラフなどの形で可視化する能力は非常に重要です。

データサイエンティストの最終的なアウトプットは資料の形に纏められることがほとんどなので、わかりやすいビジュアルを整えることは相手の理解と納得を引き出す上で大きな力になります。

優れたデータや高い統計技術による考察であっても、見た目がわかりにくかったり、適切な図業の形式を選択できていなければ、どんな発見や提案も無意味になってしまいます。

関連するビジネス分野への理解

データ分析によって有用な情報を得るためには、解析を始める前の仮説設定が必須です。

すなわち、分析する対象(ビジネス課題など)についての周辺知識も求められます。

よく理解していない分野では、前提となる仮説設定を間違えてしまい、的外れな提案になってしまうことも少なくありません。

データサイエンティストになるには?

ここからは、データサイエンティストになるために、何をどの順番で身につけていけばよいか段階ごとに紹介していきます。

第一段階:基礎知識の習得

まずは、実際にデータ分析を実行する前に必要な基礎知識を身につけます。

プログラミング言語(Python)の基礎を学ぶ

基本的な文法と、わからない部分を自分で調べられる程度の知識を身に付けます。

データ分析に使用するライブラリをインポートし、基礎的なデータ処理が実行できるようになりましょう。

統計的な知識を学ぶ

分析手法の違いやアルゴリズムを理解するための統計知識を習得します。

仕事でデータ分析に活かすためには統計2級程度以上の知識が望ましいです。

統計学や数学については、独学が難しい場合はスクールや教材を活用すると良いでしょう。

情報工学の基礎知識

機械学習の概要や、データベースとは何か、SQLとは何か、といったIT関連の知識を学びます。

早い段階で情報工学についての理解を深めておくことで、のちの基盤構築やアルゴリズムの選択などに活きてきます。

第二段階:データセットを用いて分析経験を積む

基礎的な知識が身に付いたら、すでに収集済みの公開データセットを用いて実際に手を動かしてみましょう。

データは各種スクールの教材や、Kaggkeのコンペティションなどで公開されているものを使用します。

Pythonで実際の処理に慣れる

必要なライブラリのインポートや、実際のデータ処理を行い経験を詰みます。

課題やデータの形式によって必要なライブラリは変わってくるため、適切なものを選択できるスキルを身につけましょう。

機械学習/統計モデルの学習

データ解析に用いられる手法には機械学習モデルと統計モデルの2つがあり、どちらも一長一短の特徴を持っています。それぞれの手法で用いられるモデルについて理解するとともに、実際のデータ分析を通じ、場合によってどちらの手法を用いるのが適切なのかと言った感覚を身につけます。

データをハンドリングする

大規模データ処理の基礎スキルを習得します。

データベースの基本的な役割と構造を理解し、SQL言語の基本構文を用いてデータ抽出やデータ加工ができるようになりましょう。

第三段階:分析実務に必要な技術習得

収集・公開済みのデータセットで分析処理が一通りできるようになったら、いよいよ実務に近いスキルの習得を行いましょう。

分析基盤構築についての学習

収集したデータを蓄積するための環境を構築し、運用できる知識を身につけます。

データベースの構築や拡張、運用・保守・セキュリティ、パフォーマンスを考慮したフレームワークなどの要素技術を理解しておきましょう。

データ収集

実際のデータ分析ではデータの収集から自分で行う場面が多くなります。

そのためには業務システムやWEB上などから元になるデータを収集する環境を構築・運用する必要があります。

よく使用されるデータ収集手法にはWebスクレイピングなどがあります。

その他、Webログや位置データの収集、機械操作ログなど、状況に応じて複数のデータ収集技術を扱えるとよいでしょう。

データビジュアライゼーション技術

R言語やPython、ビジュアライゼーションソフトなどを使った作図ができるようになりましょう。

ビジネスの構造や社会の変動要因が理解できていることが前提で、意味のあるビジュアライゼーションができることが重要です。

ビジネスの構造を知る

実務でデータ分析を行う場合は、分析の対象となる業界の基礎知識を理解し、主な課題や各社の取り組み状況などを把握しておく必要があります。

的外れな仮説設定をしてしまってはせっかくのデータも活かすことができません。

そうならないためにも、周辺知識の理解は仕事でデータを扱う上で非常に重要です。

関連記事:データサイエンティストを目指す方におすすめの8資格

スキル・知識を使いこなす2つのポイント

これらのスキル・知識を使いこなせるようになるには、やはり実践を積むのが一番です。

ここでいう「実践」にはふたつの意味があります。

ひとつめが、手を動かしてデータを分析すること。

解決したい課題やデータの構造によって必要な処理や適切な分析モデルは異なってきます。

さまざまなデータ分析を通じ、適切な処理方法についての理解を深めるとともに、新しい技術をキャッチアップしてデータサイエンティストとしてのスキルを自分のものにしましょう。

もうひとつが、実際のビジネスの視点に立つことです。

業務としてのデータ分析の現場は常に複雑で、完璧な情報が揃っている分析対象はありません。

どうしても自身の知識・推測によって課題の仮説を立てる必要があります。

分析結果からどのような提案をするのが最適かは結果をみないとわからないことも多く、何度も失敗を繰り返しながら、答え合わせをして精度をあげていく経験が必要になります。

データサイエンスは求められるスキルセットも多く、難易度が高く感じられるかもしれません。

ですが、「データを用いて課題解決のための知見を見出す」という目的に沿って学習と実践を積み重ねることで、着実にスキルは身についていくでしょう。

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この記事の監修者 アオミ ソウ

アオミ ソウ

薬学系大学院の修士課程を主席卒業後、大手製薬企業で有機合成・データサイエンス関連業務に従事(専門は生物有機化学)。

現在は研究の傍ら、ライターとして記事の執筆・イラストの制作を行っている。

主な執筆分野はサイエンス(医療、生化学、情報科学)をはじめ、ガジェット、資格など。

保有資格
2018年 危険物取扱者甲種
2021年 データサイエンス数学ストラテジスト(上級)
2021年 応用情報技術者

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