土地家屋調査士は非常に専門性が高く、独立開業も目指せる資格です。

しかし、土地家屋調査士について調べる中で、「仕事がない」「オワコン」といった意見を目にする場合があります。

これから資格を取得するなら、将来性について確認しておきたいですよね。

本コラムでは、土地家屋調査士は仕事がないのか、廃業率が高いのかについて解説します。

土地家屋調査士を目指すかどうか迷っている方は、ぜひ参考になさってください。

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土地家屋調査士は仕事がないオワコンって本当?

「土地家屋調査士は仕事がない」「土地家屋調査士はオワコンの職業」なんて声もありますが、実際には安定した需要と将来性が見込まれます。

主な理由は以下の4点です。

  • 独占業務で仕事が無くならない
  • AIでは代替できない専門性
  • 相続関連業務の増加
  • 世代交代によるチャンス

独占業務で仕事が無くならない

土地や建物の「表示に関する登記」は、土地家屋調査士の独占業務です。

不動産の大きさや形状を正確に調査・測量するには高度な技術が必要で、AIでは代替できません。

法的に義務付けられている業務であるため、法律が変わらない限り、仕事がなくなることはありません。

AIでは代替できない専門性

測量にドローンなどの技術が活用されても、最終的な判断や「境界立会い」といった重要な業務は人の介在が不可欠です。

対人での調整や判断が求められるため、AIによる完全な代替は不可能であり、この点でも将来性があります。

相続関連業務の増加

高齢化の進展に伴い、相続をきっかけとした土地の分筆や売却が増加すると予測されています。

これらの手続きには土地家屋調査士が不可欠であり、今後ますます業務が増えることが見込まれます。

世代交代によるチャンス

土地家屋調査士の登録者の約半数が60代以上と高齢化が進んでいます。

独立開業できる士業ですが、体力的な側面もあるため、今後多くのベテラン調査士が引退していくと予想されます。

これにより、新規参入者にとって多くの活躍のチャンスが生まれるでしょう。

土地家屋調査士の廃業率は低く食いっぱぐれない!

結論から述べると、土地家屋調査士の廃業率が高いという事実は確認できませんでした。

土地家屋調査士の廃業率に関する公式なデータは公開されていません。

そこで、本章では、土地家屋調査士の会員数に対する取消者数の割合を簡易的な廃業率とみなし、日本全体の廃業率との比較を行いました。

以下に、平成30年から令和4年までの5年間における土地家屋調査士の取消者割合を記載します。

年度会員数取消者数取消者割合
令和4年15,9295763.61%
令和3年16,1415663.51%
令和2年16,2404622.84%
令和元年16,4715563.38%
平成30年16,6254962.98%

日本土地家屋調査士会連合会が発刊している土地家屋調査士白書2024によると、会員数を分子・取消者数を分母とした取消者割合は約3%で推移しています。

また、中小企業庁の資料によると、2000年以降における日本全体の廃業率は約3〜5%となっています。

これらのデータを比較すれば、土地家屋調査士の廃業率は日本全体の廃業率と同じか、やや低い水準であることが読み取れるでしょう。

土地家屋調査士の廃業率が高い・仕事がないという噂は、すべての土地家屋調査士に当てはまる事実ではないと考えられます。

土地家屋調査士が廃業する理由

土地家屋調査士が廃業に追い込まれる主な理由は、以下4つの点が挙げられます。

  • 高額なランニングコスト
  • 対応エリアの選定ミスと競争激化
  • 人脈・コネクションの不足
  • 経営者の高齢化と後継者問題

事務所運営には、測量機器やCADソフト、人件費など継続的な費用がかかり、十分な収入がなければ経営が困難になります。

また、不動産取引が少ない地域では案件が少なく、逆に取引が活発な地域では大手事務所との仕事の取り合いになり、対応エリアによって新規参入者は安定した顧客を得るのに苦労することもあります。

そのほか、経営者の引退に伴い後継者が見つからず、事務所を閉鎖せざるを得ないケースもあるでしょう。

こうした理由から、廃業率が高い・仕事がないというイメージを持っている方も多いかもしれません。

しかし、土地家屋調査士の仕事はそれでも大きな魅力を持っています。

一度専門性を確立すれば、AIに代替されにくい専門職として安定した需要があります。

また、独立開業すれば自分の裁量で働ける自由があり、努力次第で高収入も目指せます。

人々の財産を守り、社会の基盤を支える土地家屋調査士の仕事には、大きなやりがいと誇りがあるのです。

土地家屋調査士として成功するための5つの秘訣

土地家屋調査士として成功していくためには、以下5つのことが重要です。

  • 積極的に人脈を築く
  • ITツールを最大限に活用する
  • 専門性を磨き、得意分野を作る
  • 顧客との信頼関係を築く
  • 新しい知識を常に学び続ける

積極的に人脈を築く

土地家屋調査士の仕事は、他士業や関係者との連携が不可欠です。

司法書士、弁護士、不動産業者、工務店など、日頃から積極的に交流を深め、信頼関係を築くことが成功への第一歩となります。

他士業や関係者との人脈は、新しい案件の紹介や相談につながるだけでなく、難易度の高い案件を共同で解決するパートナーにもなり得ます。

異業種交流会や地域の勉強会に顔を出す、SNSで情報発信を行うなど、自分から積極的に人とつながる努力をしましょう。

単に名刺交換をするだけでなく、相手の仕事に役立つ情報を提供したり、困っていることがあれば手伝ったりするなど、ギブ&テイクの精神で関係性を深めていくことが重要です。

ITツールを最大限に活用する

ドローンや3Dスキャナー、GNSS測量機といった最新のITツールを積極的に導入することで、測量業務の効率を飛躍的に向上させることができます。

測量にかかる時間を大幅に短縮し、より多くの案件をこなせるようになります。

また、オンラインでの申請システムや顧客管理ソフトを活用することで、事務作業の負担を軽減することも可能です。

こういったツールを使いこなすことは、単に業務効率を上げるだけでなく、顧客に最新の技術を用いた質の高いサービスを提供することにもつながります。

新しい技術への投資を惜しまず、常に最新のツールやソフトウェアを学び続ける姿勢が、競争の激しい業界で生き抜く鍵となります。

専門性を磨き、得意分野を作る

すべての案件に対応しようとするのではなく、特定の分野に特化することで、他の調査士との差別化を図ることができます。

例えば、相続に絡む土地の分筆・合筆登記、境界問題、あるいは建築基準法上の道路調査などが挙げられます。

こうした専門分野を確立することで、「〇〇のことはあの人に頼むのが一番」と顧客や関係者に認識されるようになります。

専門性を高めるためには、関連する法規や判例を深く学び、専門家向けのセミナーや研修会に積極的に参加することが有効です。

また、自身の得意分野に関する情報をブログやSNSで発信することで、潜在顧客からの問い合わせを増やすこともできます。

専門家としての信頼性を高め、自身のブランドを確立することが、安定した案件獲得につながります。

顧客との信頼関係を築く

土地家屋調査士の仕事は、単に測量や登記申請を行うだけでなく、顧客の抱える不動産に関する悩みを解決するコンサルタントとしての役割も担っています。

顧客は専門的な知識がないため、自分の土地や建物がどうなっているのか、手続きにどれくらいの費用や時間がかかるのか、不安に感じています。

このような不安を解消するために、専門用語を避け、分かりやすい言葉で丁寧に説明することが非常に重要です。

進捗状況をこまめに報告し、質問には迅速かつ誠実に答えることで、顧客との間に強い信頼関係を築くことができます。

信頼関係を構築することが、リピーターや口コミでの新規顧客獲得につながる最も強力な武器となります。

新しい知識を常に学び続ける

法律や関連技術は常に進化しています。成功している土地家屋調査士は、資格取得後も学習を怠りません。

最新の法改正や判例はもちろんのこと、前述したITツールの使い方、マーケティング手法、コミュニケーションスキルなど、幅広い知識を学び続ける姿勢が求められます。

特に、登記に関する法律や手続きは頻繁に改正されるため、常に最新情報を把握しておくことが不可欠です。

業界団体が主催する研修会に参加したり、専門誌を購読したりするなど、自己研鑽に時間を投資しましょう。

また、同業者との情報交換も非常に有益です。常に学び、自分自身を更新し続けることで、時代の変化に対応し、長期的に安定したサービスを提供し続けることができます。

土地家屋調査士試験の難易度はどの程度?

土地家屋調査士になるには、土地家屋調査士試験に合格しなければなりません。

しかし、土地家屋調査士試験は、難易度が高い試験です。

土地家屋調査士試験には筆記試験と口述試験が設けられており、土地家屋調査士となる資格を得るためには、両方の試験に合格しなければなりません。

中でも筆記試験の難易度が高いとされており、受験生の多くは先に測量士補試験に合格し、午前の部の免除を受けます。

また、土地家屋調査士試験の合格率は例年約9〜10%・合格に必要な勉強時間は約1,000時間とされています。

月60時間の勉強で1年以上かかると考えれば、難易度の高さが伺えるでしょう。

まとめ

ここまでは、土地家屋調査士の廃業率について解説しました。

以下に、本コラムのまとめを記載します。

  • 最近の土地家屋調査士の廃業率は約3%程度と考えられる
  • 土地家屋調査士の廃業率は日本全体の廃業率と同程度である
  • 土地家屋調査士試験は難易度が高い

資格を取得する目的はさまざまですが、多くの方は自身のキャリアに役立てたいと考えているのではないでしょうか。

資格を選ぶ際は、働きたい業界や希望する職種を定め、目的に合ったものを選ぶことが重要です。

また、資格の勉強に時間をかけすぎてしまうと、資格を活かして活躍できる期間が短くなります。

キャリアの遅れや機会損失などにも繋がりかねないため、できるだけ早期の合格を目指すのがおすすめです。

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