アクチュアリー試験 | これからアクチュアリーを目指す方へ

アクチュアリーとは

アクチュアリーとは,確率・統計などの手法を用いて不確定な事象を扱う数理のプロフェッショナルです。
アクチュアリーの業務は,保険会社,信託銀行,官公庁等などで,保険料の料率決定(保険数理)や,退職金・年金制度の掛金の計算等をする業務(年金数理)がメインですが,近年は,保険や年金に関するコンサルティングを行ったり,監査法人に所属して外部監査に携わるアクチュアリーも増加しています。
生命保険会社及びほとんどの損害保険会社においては,保険数理を専門に扱う保険計理人の選任が法律で義務付けられています。また,厚生年金基金や確定給付企業年金等の年金事業を行う事業主が,国に年金数理に係る書類を提出する場合,事前に年金数理人が確認し,署名押印したものでなければなりません。この保険計理人,年金数理人になるための要件の一つに,公益社団法人日本アクチュアリー会の正会員に登録することが挙げられています(厳密には,年金数理人になるためには,公益社団法人日本アクチュアリー会が実施する試験の全科目に合格すればよく,正会員として登録することまでは不要です)。
そのため,公益社団法人日本アクチュアリー会の正会員になることが,アクチュアリーとして活動するための必須の要件だと言うことができます。

アクチュアリー試験とは

アクチュアリー試験は,毎年1回12月頃に実施されています。
基礎的知識を有するかどうかを判定することを目的とする第1次試験とアクチュアリーとしての実務を行う上で必要な専門的知識および問題解決能力を有するかどうかを判定する第2次試験に分かれています。
第1次試験は,数学,生保数理,損保数理,年金数理,会計・経済・投資理論の5科目に分かれており,その全ての試験で合格し,日本アクチュアリー会の準会員になることにより,翌年の第2次試験を受験することができるようになります。第1次試験では,すべての科目を1度に合格する必要はありません。複数年にわたったとしても,5科目を合格すれば,日本アクチュアリー会の準会員になることができ,第2次試験に進むことができます。そのため,いずれの科目を受験するかも,受験者が自由に選ぶことができます。
第2次試験は,それぞれご自身の専門により,生保コース,損保コース,年金コースのいずれかを選択し,それぞれ第Ⅰ部,第Ⅱ部の試験を受験し,総合点で概ね60%の得点を取ることで,合格することができます。第Ⅰ部,第Ⅱ部ともに基準点(いわゆる足切り点)がありますので,両方とも満遍なく点数を取らなければなりません。
第2次試験に合格した後は,1日の研修(プロフェッショナリズム研修(初期教育))を受講し,日本アクチュアリー会の理事会の承認を受ければ,晴れて日本アクチュアリー会の正会員になることができます。
なお,第1次試験と第2次試験は,同日に実施されますので,同じ年に両方の試験を受けることはできません。そのため,正会員になるには,最短でも2年かかります。

アクチュアリー試験の効率的な学習方法

アクチュアリー試験に合格するためには,基礎的な数学の知識がある方でも,1科目あたり150~200時間程度の学習時間が必要だと言われています。最終合格を果たし,日本アクチュアリー会の正会員になるには,概ね5~8年程度かかると言われています。
そのため,正会員への道は,かなりの長丁場になります。もっとも,アクチュアリー試験では,科目ごとに受験をすることができ,複数年にわたってでも,5科目に合格しさえすれば,1次試験を突破することができます。そのため,特に時間のない社会人の方は,自分の可処分時間と相談しながら,毎年1~3科目を目安に受験するようにするのがお勧めです。
時間のない社会人の方にとっては,少ない科目に集中して学習するのが現実的ですし,1つずつでも着実に合格をしていけば,モチベーションも維持できます。
1次試験の科目でいえば,数学→生保数理→損保数理→年金数理の順番で学習するのが効率的です。会計・経済・投資理論は,これらの科目と独立したものですので,いつ受験してもよいですが,他の科目と異なり,いわゆる暗記科目ですので,暗記に使える時間が取れる時期,計算に行き詰ってきたときなどにとるのがよいでしょう。