アクチュアリー試験は、平均合格率が15〜20%の超難関資格。

100年以上の歴史を持つアクチュアリー試験ですが、知名度はまだまだ低く情報も少ないのが現状です。

「試験ではどんな内容が問われるのか」「どんな対策を行えば合格できるのか」を自分で判断するのは難しいかもしれません。

今回は、アクチュアリー試験1次・2次試験それぞれの合格率を解説します。合格率を知ることで、今後の試験対策に役立つのではないでしょうか。

アクチュアリー試験とは?

アクチュアリー試験は、数理業務の専門職である「アクチュアリー」になるための資格試験です。試験は、公益社団法人日本アクチュアリー会が毎年実施しています

資格取得者はアクチュアリーと呼ばれ、主な活躍の場は金融機関やコンサルティング会社など。命保険や損害保険といった金融分野で数理業務を行います。

試験ではどんな知識が問われる?

アクチュアリー試験では、金融分野で最大限に活用するために必要な数学分野に関する知識が問われます。

1次試験で出題されるのは、確率や統計を利用した計算問題。2次試験は記述式で、業務関連法規や実務関連の知識を問われる問題が出題されます。

1次・2次試験ともに、全科目の合格基準点は60点です。

資格取得までの流れ

アクチュアリーになるためには、まず1次試験と2次試験の両方に合格しなければなりません。

1次試験は「数学」「生保数理」「損保数理」「年金数理」「会計・経済・投資理論」の5科目です。5科目全てに合格すると、アクチュアリー会準会員となり2次試験に進むことができます。

2次試験では、「生保」「損保」「年金」3つのコースから1つを選択。それぞれのコースについて専門科目2科目(生保コースであれば生保1・生保2)に合格したら、プロフェッショナリズム研修を受講します。

ちなみに、試験合格後は「プロフェッショナリズム研修」の受講が必須です。研修を修了すれば、資格取得者として認定され「アクチュアリー」と名乗れるようになります。

【プロフェッショナリズム研修とは】

資格試験すべてに合格し正会員になろうとしている会員を対象とした講座。平成17年度以降、プロフェッショナリズム研修の受講が正会員資格取得の要件となっています。

研修内容は、IAA教育シラバスや行動規範、生保・損保・年金のプロフェッショナリズムなどを1日かけて学びます。

アクチュアリー試験の合格率は?

直近5年間における、アクチュアリー試験1次試験の合格率を見てみましょう。

年度2023年2022年2021年2020年2019年平均合格率
数学20.1%14.1%12.4%13.0%23.9%16.7%
生保数理35.6%19.7%28.5%36.3%32.0%30.4%
損保数理44.5%21.5%31.8%13.3%16.2%25.4%
年金数理15.3%33.3%47.7%13.1%17.0%25.2%
会計経済投資24.5%32.8%17.7%33.3%22.1%26.0%
参照:試験結果

1次試験の平均合格率は10~35%です。

試験の実施年度と科目によってバラつきがあり、なかでも「数学」「損保数理」「年金数理」の3科目は合格率が低い年度が多いです。

得意不得意もあると思いますが、先ほど挙げた3科目は重点的に勉強した方が良いかもしれません。

2次試験の合格率は10~20%

過去5年間における合格率は、下記の通りです。

年度2023年2022年2021年2020年2019平均合格率
生保118.5%14.1%17.6%17.4%13.5%16.2%
生保213.3%15.8%15.5%19.8%18.1%16.5%
損保110.4%15.3%16.4%15.0%12.3%13.8%
損保222.4%10.5%24.3%18.5%16.8%18.5%
年金120.6%6.9%10.0%14.3%15.9%13.5%
年金223.1%17.4%20.0%17.6%13.5%18.3%
参照:試験結果

2次試験の合格率は、1次試験と比べてばらつきが少なく、全体的に合格率が低い傾向です。

アクチュアリー試験を受けるのであれば、「数学」「生保数理」から挑戦しましょう。

「数学」は確率・統計、「生保数理」では保険数理という具合にアクチュアリーを目指すための基本的な事項が多く含まれています。

アクチュアリー試験の難易度が高い理由

数学的素養が求められる

アクチュアリー試験では、高校理系~大学初等レベルの数学が求められます。人によって、得意不得意が大きく分かれるのが特徴です。

実際、アクチュアリー試験受験者の多くが理系学部出身者です。

実務経験も試験に影響

アクチュアリー試験に合格できるかどうかは、実務経験の有無が大きく影響しています。

というのも、2次試験では専門性を問う問題も多く出題されるためです。実務経験がないと解けない問題もあるため、社会人になってからも継続して学習しましょう。

アクチュアリー試験は仕事をしながら取得する資格

アクチュアリー試験の受験資格は、大学3年生以上であることが条件となっています。

つまり、受験生は十分な学習時間を確保するのが難しい社会人であるということです。

アクチュアリー試験は平均合格率が50%に満たない難関資格であり、仕事と勉強を両立することは並大抵のことではありません。

アクチュアリー試験の受験資格

  • 大学3年生以上の者(4年制大学において、休学期間を除き2年以上在学し、かつ62単位以上の単位を修得した者)
  • 高等専門学校卒業者
  • 学士資格を有しない大学院生
  • 外国の大学を卒業した者、または、外国において上記①~③に相当する学校教育における課程を修了した者
  • 生保数理、損保数理、年金数理等の日本アクチュアリー会資格試験の受験科目に関連する知識を必要とする、保険・年金などの業務に3年以上携わった者

まとめ

アクチュアリー試験は、合格するまでに8〜10年近くかかるといわれています。

アクチュアリーになるには、根気強く勉強し続ける忍耐力と諦めない気持ちが大切です。

そのためには、オンライン講座を受講して効率よく試験対策を行いましょう。わからないことがあったらいつでも気軽に質問できる講師の存在は、大きな心の支えになります。