社労士事務所の事務がきつい7つのリアルな理由とブラック・ホワイトの見極め方
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数ある社会保険労務士(社労士)事務所の中にはホワイトな事務所も多くある一方、法律スレスレのブラックな事務所も存在します。
社労士業務自体もかなり人を選ぶ内容のため、「想定よりきつかったらどうしよう」などと不安に思っている方もいるでしょう。
当コラムでは社労士事務所の事務がきついと言われる理由や、ブラック・ホワイト事務所の見極め方などについて詳しく解説します。
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社労士事務所の事務がきつい7つのリアルな理由
社労士事務所の事務が「きつい」とされる理由としては、以下の7つが挙げられます。
- 業務量が多い
- 専門性が高い
- ミスが許されずプレッシャーを感じる
- 顧客対応が難しい
- 仕事が単調で退屈
- 給料が低い
- 人間関係が良くない
業務量が多い
業務量が多いことは、社労士事務所での事務仕事が「きつい」と感じられる理由のひとつです。
社労士事務所には、一般企業の動きに合わせて年に3回の繁忙期が存在します。
- 3〜4月:年度の変わり目に伴う入退社手続き
- 6〜7月:社会保険の算定基礎届け提出・労働保険の年度更新
- 12〜翌1月:年末調整
ただでさえ専門性と難易度の高い社労士業務が、上記の時期には「物量」と「タイトな締切」によってさらに煩雑化。
該当期間は何時間も残業が発生する可能性が高く、不適切な就業環境で仕事をしなくてはならない場合もあるでしょう。
専門性が高い
実際に社労士業務に携わるようになったことで、業務の専門性の高さがネックになることも。
社労士が管轄する労働関連分野には、法改正・制度改正が頻繁に発生します。
資格取得後も常に専門的な勉強を続け、情報を積極的に取りに行く必要があることを負担に感じる人は少なくありません。
最新の法令を把握していなければ、クライアントに適切な手続きを提供できません。
社労士としての信頼性を維持するためにも、多忙な業務の合間を縫って常に最新情報を集めなくてはならない点に大変さがあるといえます。
ミスが許されずプレッシャーを感じる
業務においてミスが許されないことで大きなプレッシャーが生じ、「きつい」と感じる人もいます。
社労士の業務は社会保険や年金など、企業や従業員の契約に直結する非常に重要なものです。
社労士の手続きミスによってクライアントの雇用関係に重大なトラブルが発生する可能性もあるため、常に気を張って慎重に業務を行う必要があるでしょう。
さらに、社労士業務は緻密な給与計算のような「細かい作業」がメインです。
ミスが許されないにもかかわらず気を配らなくてはならない部分が多く、気疲れしてしまう人も少なくありません。
顧客対応が難しい
顧客対応の難しさは、社労士事務所で就業する難しさの一因といえます。
社労士事務所の事務では多くのクライアントと接するため、相手によって対応を変えなければならないことがあります。
時には、相手先で急に雇用契約が発生する・年末調整の締切直前に問い合わせがあるなど、緊急性の高い依頼が突発的に舞い込む可能性も。
労働分野の制度に詳しくない顧客がマイペースに依頼を投げてくるケースも多く、常に丁寧な説明が求められることで「ついていけない」と感じる人も多くいます。
仕事が単調で退屈
社労士事務所の仕事が単調で、退屈に感じることで「きつい」と考える人もいます。
社労士事務所で発生する仕事は重要なものではありますが、作業のバリエーション自体が多いわけではありません。
毎月の給与計算や保険関連の手続きなど一件一件同じ作業を丁寧に繰り返す必要があるため、うんざりしてしまう人もいるでしょう。
特に、ルーティンワークが苦手なタイプの人とは相性が悪いです。
実際に社労士を目指す以前に、毎日代わり映えのしない作業をミスなくさばかなくてはならない仕事であることを覚悟すべきといえるでしょう。
給料が低い
「給料が低い」など待遇面で不満があり、「きつい」と感じるという意見もあります。
社労士に限りませんが、業務量や貢献度と待遇が釣り合わないと感じると不満に繋がりがち。
所属する事務所の方針によっては、期待していたほどの待遇が受けられずにガッカリしてしまう可能性もあります。
社労士の仕事は難易度も専門性も高く、小さなミスが重大なトラブルを誘発しかねないストレスもある仕事です。
業務の難しさに対して給料が見合っていないと感じた場合、不満が出てくる可能性もあるでしょう。
人間関係が良くない
人間関係が良くない場合、「きつい」と感じやすくなります。
同じ職業に就いている人同士でも性格が合わないということは往々にしてあるもの。
職場の人間関係が肌に合わずに苦労するといった体験は社会人共通の悩みでしょう。
特に、少人数で運営している社労士事務所の場合は、職場内に「逃げ場」を作ることができません。
苦手な相手と毎日関わらざるを得ない状況は、より「きつい」と感じられやすいでしょう。
ブラック社労士事務所の特徴とは
ブラック社労士事務所の特徴としては、以下の5点が挙げられます。
- 仕事量が多すぎる
- 教育体制が機能していない
- 上下関係が厳しい
- 労働条件が不透明
- やりがい搾取をする
仕事量が多すぎる
ひとりあたりの業務量が多すぎる場合はブラック社労士事務所の可能性が高いです。
スタッフの人数に対して回ってくる案件数が多すぎるなど業務量の調整が適切に行われていないと、ストレスフルな環境での仕事を強いられるでしょう。
事務所によっては、最初から残業を前提にどんどん案件を受注する上長が運営していることも。
個人の処理能力を超えた業務量の押しつけは心身の不調にもつながるため、無理だと感じたら転職などを検討することも大切です。
教育体制が機能していない
教育体制が機能していない事務所はブラックの可能性が高いです。
「仕事は習うより慣れろ」といった旧態依然の精神論・根性論がまかり通っており、業務の教育や引き継ぎが適切に行われていない場合もあるでしょう。
特に、個人で運営されている社労士事務所は所長社労士の意見が絶対ということも。
きちんと仕事を教えてもらえない一方、ミスは許されないといった状況にもなりかねません。
上下関係が厳しい
上下関係があまりに厳しい場合はブラック事務所といえます。
仕事のクオリティに厳しいだけで適切に指導が行われているのであればよいですが、中にはハラスメント行為が横行している事務所も。
個人事務所の場合は他者から異常が見抜かれにくく、不適切な職場環境のまま運営が続いている場合もあるでしょう。
社労士は数年実務経験を積んで開業する人が多いため、劣悪な職場環境でも「今だけだから」と耐えてしまいがちな点も改善を遠くする一因です。
労働条件が不透明
採用時、提示された労働条件が不透明に思えた場合はブラック事務所の可能性が高いため、要注意です。
法律に詳しい社労士は、法律の抜け穴も把握しています。
残業代が支払われないなど従業員にとって不利な労働条件にもかかわらず、あくまで「合法」としている事務所もあるでしょう。
悪質な事務所になると、労働条件通知書自体が渡されないこともあります。
あとから「聞かれなかったから渡さなかった」などと言い抜けられないよう、最初にしっかりと通知書を受け取ってください。
やりがい搾取をする
ブラック事務所の場合、スタッフの「やりがい」を狙って搾取してくることがあります。
社労士は取得難易度が非常に高い資格です。
頑張って取得した憧れの資格だから転職を無駄にしたくないといった気持ちにつけこみ、無茶ぶりしてくる事務所もあります。
スタッフ側も、「これも勉強だから」と頑張ってしまう人が少なくありません。
多様な環境を体験することは確かに経験値にはなりますが、無理をして心身を壊しては本末転倒です。
今の社労士事務所の仕事内容がきつい感じたらすべきこと
今在籍している社労士事務所の仕事内容がきついと感じたらすべきこととしては、以下の5点です。
- 業務の効率化を図る
- 専門知識を効率的に学ぶ
- コミュニケーションを取る
- ストレスマネジメント
- キャリアプランを考える
業務の効率化を図る
まずは、現在の業務フローが効率化できないかを考えてみましょう。
業務量自体を減らすことが難しくても、効率化することで時間的な余裕を生み出せる可能性があります。
例として、以下のような対策が考えられます。
- ToDoリストを作って毎日のタスクを可視化
- 定型業務をテンプレート化
- ショートカットキー・エクセル関数などを活用
特に、定型業務のテンプレート化とショートカットキーの活用はすぐに効果を実感できる対策です。
都度手入力していた定型文が一瞬で出せる・キーボードで作業が完結できるなど、スモールステップながら利便性は格段に向上するはずです。
専門知識を効率的に学ぶ
専門知識は効率的に学びましょう。
社労士は常に最新知識へのアップデートが求められます。
書籍や関連セミナー、オンライン講座など、自分に合った方法で積極的に学びましょう。
質疑応答の機会がある場合は、事前に疑問点をリストアップして貪欲に質問すればどんどん知識をつけられます。
習得した知識は実務に適用し、実践的に定着させるとよいでしょう。
専門知識を積極的に習得する姿勢は、業務形態を問わず、社労士人生において生涯役立つでしょう。
コミュニケーションを取る
「うまくいかない」と思ったとき、実は周囲とのコミュニケーションが足りていないことに原因がある場合も。
特に、入所したばかりの場合はなかなか周囲に馴染めず、孤独感を感じてしまうこともあるでしょう。
まず、業務上の問題点や進捗状況については確実に「報連相」を行うことが大切です。
ひとりで頑張っても解決するどころか、後から大きなトラブルになる恐れもあります。
部下とやり取りする場合も、相手の立場に立って丁寧に説明や聞き取りを行う姿勢が大切です。
上役として質問しにくい状況・話しにくい態度を取っていないかは常に考慮する必要があるでしょう。
ストレスマネジメント
ストレスマネジメントをはじめとするセルフケアを実施してみてもよいでしょう。
「きつい」と感じている場合、多忙さなどの理由でストレスがかかっている可能性もあります。
忙しい中でも意識的に休憩を取って気分転換を図るといった対策が効果的です。
例えば、休日は趣味や適度な運動を楽しむ時間を取るといったアクションがおすすめ。
仕事中はひとりで業務を抱え込まず、信頼できる相手に積極的に相談する習慣をつけるとよいでしょう。
さらに、完璧主義に陥らないようにメンタル管理を行うことも重要です。
うまくできなくても「100点じゃなくてもいい」と割り切れる人であれば、就業環境を問わず長く活躍できるでしょう。
キャリアプランを考える
現状が大変で「もう辞めたい」などと感じる場合は、今後のキャリアプランについて考えてみるとよいでしょう。
「今後どうなりたいか」を自分自身に対して明確にすることで、現在取るべき行動が見えてきます。
「数年後に独立するため、今の事務所でもう少し頑張る」「社労士として長く働きたいから別の事務所に転職する」など、見出せる答えは十人十色。
場合によっては、「社労士の仕事を辞める」といった決断が出ることもあるでしょう。
世間体や他者の意見ではなく、自分の気持ちに素直になって考えることが大切です。
今の社労士事務所についていけない、辞めたいと思ったら?
今の社労士事務所についていけない、辞めたいと思った場合にすべきこととしては、以下の4点が挙げられます。
- 別の社労士事務所へ転職する
- 一般企業の総務・人事へ転職する
- 独立開業する
- 異業種へのキャリアチェンジ
なお「辞めたい」と思った場合は、職場環境が嫌なのか、社労士の仕事自体が嫌なのかをしっかり見極めましょう。
「何が嫌なのか」によって取るべき対策は変わります。
別の社労士事務所へ転職する
職場環境がよくないだけで社労士の仕事自体は好きという場合は、別の社労士事務所への転職を検討してみてください。
同じ社労士事務所でも、運営者が変われば職場環境も大きく変わります。
個人か法人かによっても違うため、転職活動の段階で好印象の事務所に絞っていくとよいでしょう。
すでに社労士事務所で経験を積んでいるという経歴がある分、転職先では「即戦力」と評価してもらえる可能性もあります。
今の職場が合わないと感じるようであれば、思い切って事務所を移ることは建設的な選択肢といえます。
一般企業の総務・人事へ転職する
社労士は多様な働き方が可能な資格のため、社労士事務所ではなく一般企業の総務や人事へ転職する選択肢もあります。
さまざまなクライアントと関わって経験値を積むことはできなくなりますが、企業内社労士として就業することにはメリットも多いです。
例えば、企業内社労士の担当業務は自社に関連したものに限られるため、事務所で多くの業務に忙殺されていた場合は余裕を感じられるはず。
また、経理などの業務には別の担当がいるため、社労士の仕事に集中することもできるでしょう。
純粋に社労士の仕事をしたい・余裕をもって働きたいといった場合は特におすすめです。
独立開業する
現在の事務所ですでに数年ほど経験を積んでいる場合は、独立開業を検討してもよいでしょう。
自分で事務所をもてば業務量を自分の裁量で増減することも可能になるため、無理なく仕事を回すこともできるようになります。
ただし、開業した事務所を運営していくためには、社労士だけでなく「経営者」としての視点やスキルも必要です。
開業した事務所をどのように維持していくかといったプランや、ゼロから顧客を開拓していく手段などについては事前にしっかりと検討しておく必要があるでしょう。
思うように顧客がつかなかった場合に備えて、独立前にある程度の運転資金も貯めておきたいところです。
異業種へのキャリアチェンジ
社労士の仕事自体が合わないと感じた場合は、異業種へのキャリアチェンジを考えてもよいでしょう。
資格が取れたとしても、実際に仕事をしてみて「思っていたのと違う」と気づくことはあります。
社労士は「強い」資格のため、よほど畑違いの分野でない限りは転職時に評価されやすいというメリットもあるでしょう。
費用や時間に余裕がある場合は、別の資格を取得してみることもおすすめです。
例えば、司法書士や税理士などは社労士の知識と親和性があり、挑戦しやすいでしょう。
デスクワーク一辺倒の状況が辛いようであれば、土地家屋調査士などもおすすめです。
ホワイト社労士事務所に転職する4つのコツ
ホワイト社労士事務所に転職するコツとしては、以下の4点が挙げられます。
- 社労士事務所の評判を調べる
- 公式ホームページを確認する
- 労働環境が整っている事務所を選ぶ
- 転職エージェントを活用する
社労士事務所の評判を調べる
実際にやり取りを始める前に気になる社労士事務所の評判を調べてみましょう。
例えば、口コミサイトなどが有力な情報源となります。
顧客からの評判が悪い事務所であれば要注意です。
「社労士の態度が悪い」「スムーズに手続きが進まない」といった評価が多い場合、所内の業務が円滑に回っていない可能性大。
さばききれないほどの業務を押し付けられている・ストレスの多い職場環境などの理由が考えられるでしょう。
公式ホームページを確認する
気になる事務所が見つかった場合は、最初に公式ホームページを確認してみるとよいでしょう。
サイト自体から貧相な感じがしないか・事務所の外観はどうかといった要素や、所長の経歴、ビジョンやコンセプトなどをチェックしてください。
しっかりと調査したうえで自分の希望とマッチすると感じた事務所に応募するとよいでしょう。
特に、「家族経営」「アットホーム経営」を謳う事務所は要注意です。
家族間の業務方針がスタッフにも適用され、サービス残業やハラスメントなどが「なあなあ」で放置されている可能性が否定できません。
労働環境が整っている事務所を選ぶ
労働環境が整っている事務所を選ぶことは非常に重要です。
転職活動時に、労働環境や待遇について具体的に説明してくれる事務所を選びましょう。
残業時間や年間休日、有給休暇の取得しやすさのほか、新人に対する教育制度の有無などは、面接などの機会に最低限確認しておくとよいでしょう。
こうした質問に対して嫌な顔をする・答え渋るといった態度があれば、思い切って見送った方が賢明といえます。
転職エージェントを活用する
事前に事務所について詳しく知りたい場合は、転職エージェントの活用もおすすめです。
転職エージェントは求人を出している事業所の情報を把握しており、求人票からはわからない社風や雰囲気などを教えてくれることも多いです。
また、非公開求人を紹介してもらえる可能性も。
中には、社労士をはじめとする士業に特化したエージェントもあります。
転職エージェントでは書類の添削や面接対策なども実施しており、初めて転職活動をする人にもおすすめ。
年収の交渉や待遇の確認も依頼できるため、実際に利用するかどうかにかかわらず、とりあえず登録してみてもよいでしょう。
まとめ
当コラムでは、社労士事務所勤務が「きつい」と感じられる理由や対策などについて以下の内容で解説しました。
- 社労士事務所の事務がきついと言われる理由としては、業務量が多い一方で給料が低いといった待遇面のほか、専門性の高さなど業務自体に対して難しさを感じることなどが挙げられる。
- ブラックな社労士事務所の特徴としては、上長が法律に精通しているため「法の抜け穴」をついた不適切な職場環境が横行している点が挙げられる。有資格者に対するやりがい搾取やハラスメントの蔓延、不透明な労働条件など課題は多い。
- 現在の事務所での仕事がきついと感じる場合は、業務の効率化や周囲とのコミュニケーション強化などによってストレスを軽減する工夫を。
- 現在の事務所を辞めたいと思った場合は、転職や独立を目指す方法がある。問題が職場環境なのか社労士業務自体なのかを明確化することが大切。
- ホワイト事務所へ転職するためのコツとしては、評判の調査や待遇の確認、転職エージェントの利用など。
社労士は労働関連の法律を扱う専門職ながら、法律スレスレの「ブラック事務所」も少なくありません。
特に、有資格者の「頑張る気持ち」につけこむやりがい搾取には要注意。
違和感がある場合は限界が来る前に転職や独立を目指すとよいでしょう。
転職の際には、情報が豊富で交渉などを代行してくれる転職エージェントの利用がおすすめです。
士業に特化したエージェントもあるため、とりあえずの登録でもしておいて損はないでしょう。
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