司法書士と行政書士の違いを解説!仕事&試験の難易度・ダブルライセンスのメリットとは
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司法書士と行政書士の違いについて、はっきりと説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか?資格の名前が似ており、法律にかかわる文書を作る国家資格という共通点があるため、比較されることも多いのが司法書士と行政書士です。
どちらを目指すべきか悩む人もいるかもしれません。
このコラムでは、司法書士と行政書士の違いやダブルライセンスのメリット、難易度の比較、それぞれどんな人に向いているのかなどについて、講師による解説動画とあわせて紹介します。
※司法書士と行政書士の違いから解説します。
ダブルライセンスのメリットはこちら▶
試験内容と難易度の違いについてはこちら▶
どちらから受けるべきかについてはこちら▶
司法書士・行政書士・ダブルライセンス…どれを選ぶべきかはこちら▶
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目次
司法書士と行政書士の違い
司法書士は、登記申請を中心とした法律事務をする専門家である一方、行政書士は許認可申請を中心とした行政手続き代行などをする専門家です。
両者の仕事の共通点は、本人に代わって法律に関わる文書などを作成したり、公的機関に提出したりすることです。
ですが、作る書類の種類や提出先は異なり、仕事内容にも違いがあります。
司法書士の仕事とは
司法書士の仕事は、国民の権利や財産を守る役割があります。主に法務局や裁判所に提出する書類を作ります。
従来からのメイン業務としては、不動産や会社の登記申請があります。
「登記」は、不動産を誰がいつどのように取得したかや、会社の名前や代表者、資本金などを公に記録することで、誰もが内容を確認でき、安全な取引等ができるようにすることです。
ただ、近年では司法書士の業務の範囲は拡大しています。
たとえば、判断能力の衰えた高齢者などの財産や権利を守るための「成年後見人」「保佐人」などになることがあります。また、認定を受けた司法書士は、弁護士と同じように簡易裁判所で「訴訟代理人」になり、裁判をすることができます。
関連コラム:司法書士は認定考査まで受けるべき?必要性や取得の流れを解説
他にも、相続関係業務も広がっており、相続対策として遺言書や民事信託契約を作成したり、遺産承継手続きや相続放棄の手続きを代行したりしています。
関連コラム:司法書士とは?仕事内容をわかりやすく解説
行政書士の仕事とは
行政書士の仕事は、本人の代わりに行政機関などに提出する書類作成をしたり、契約書などの私的な文書を作成したりすることです。
日本では、都道府県などの「許可」や「認可」がなければできない仕事が多く存在し、その許認可申請などのために必要な書類は1万種類近くあるため、作成する書類の種類は多岐にわたります。
知識や経験がなければ許認可の取得に時間や手間がかかってしまうため、行政書士が専門家として代行します。
また、行政書士は私たちの生活上の権利や義務に関わる書類の作成もします。
示談したときの示談書や離婚の際の離婚協議書、遺産分割をしたときの遺産分割協議書など様々な種類の書類を作ったり、その相談に乗ったりします。
他にも、企業の顧客に対して、様々なサポートを行います。
契約書類や社内規定を作ったり、補助金の申請手続き、公的融資の申し込みのサポートなど、様々な形で中小企業の経営にかかわる業務を行います。
行政書士の扱うことのできる書類の種類は9000種類を超えると言われており、その幅の広さがひとつの特徴だといえます。
関連コラム:行政書士とは?仕事内容・なり方・試験概要までまとめて解説!
【ダブルライセンス】仕事上のメリット
士業の中には、複数の資格を持つダブルライセンスで仕事をしている人も多くいます。ダブルライセンスで仕事をする場合、資格同士の相性が良いものを選ぶことが大切です。
司法書士と行政書士は、業務の関連性が高く、とても相性の良い資格だといえるでしょう。
- 司法書士にしかできない独占業務として、登記申請があります。
- 一方、行政書士にしかできない独占業務には、許認可申請があります。
- 司法書士、行政書士のどちらにもできる仕事として、遺産分割協議書などの私文書を作成することがあります。
これらの独占業務の関係から、司法書士と行政書士の資格が両方あると、ワンストップサービスを提供することができるメリットがあります。具体的な3つの事例を紹介します。
事例1.会社設立
たとえば、飲食店を経営し、会社設立をする場合があります。
その場合、まずは飲食店を経営するための「飲食店営業許可」を取る必要があり、その申請手続きを行うのは「行政書士」です。
そして、その後会社を設立する際、「会社設立登記」が必要で、その申請手続きを行うのは「司法書士」です。
事例2.相続手続き
ある人が亡くなり、相続が発生した場合、相続人同士で遺産をどのように分けるかを話し合い、その結果について「遺産分割協議書」を作成します。
この遺産分割協議書を作成するのは、「行政書士または司法書士」です。
そして、遺産分割協議の内容に従って、「相続登記」を申請しますが、この申請をするのは「司法書士」です。
事例3.農地転用と土地売買
農地(田、畑)は自由に売買することができず、売買するためには「農地転用許可」が必要です。
この許可申請をするのは「行政書士」です。
そして、許可が取れて売買が成立し、売主から買主への「所有権移転登記」をしますが、この申請を行うのは「司法書士」です。
上記の事例のように、行政書士と司法書士の仕事は連続して必要となる手続きが多いのが特徴です。
そのため、両方の資格があれば、お客様にワンストップサービスを提供することができ、顧客満足度を上げることにつながります。
そして、一連の仕事を引き受けることができれば、客単価も上がって収入アップも期待できます。
行政書士と司法書士 試験内容と難易度の違い
行政書士試験と司法書士試験を比較した場合、難易度は司法書士試験の方がかなり高いといえます。
実際、7月の司法書士試験の後、数カ月間の学習で11月の行政書士士試験に合格する方が多数いらっしゃいます。
一方、行政書士試験に合格した人が司法書士試験を目指す場合、本格的な勉強が必要です。
試験の難易度の基準となる試験範囲・合格に必要な勉強時間(目安)・試験の合格率を比べると、下記のようになります。
司法書士 | 行政書士 | |
試験範囲 | 11科目 | 5科目 |
勉強時間の目安 | 3000時間~ | 600時間~ |
合格率 | 3~5% | 10~15% |
試験範囲
司法書士の試験科目は11科目(民法、憲法、刑法、商法・会社法、不動産登記法、商業登記法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、供託法、司法書士法)です。
全科目の択一式問題のほか、不動産登記法、商業登記法は実際と同様の登記申請書を作成する記述式問題も出題されます。
司法書士試験は行政書士試験に比べてとても出題範囲が広いのが特徴です。また、不動産登記法、商業登記法、供託法といった一般的になじみがなくイメージのわきにくい科目が出題されます。
関連コラム:司法書士試験の科目とは?主要・マイナー全11科目と勉強の順番を解説!
行政書士の試験科目は大きなくくりで5科目(民法、行政法、憲法・基礎法学、商法・会社法、一般知識)です。
民法、行政法については、択一式問題に加えて、制限文字数内で文章を作成する記述式問題も出題されます。
行政書士試験は、業務にかかわりの深い行政法の出題が多いのが特徴です。
関連コラム:行政書士の試験内容とは?試験科目・出題形式・科目別対策法を徹底解説!
司法書士試験合格者が行政書士試験を受験する場合、行政法と一般知識の勉強をすれば合格できることが多いでしょう。
合格に必要な勉強時間
合格に必要な勉強時間の目安として、行政書士試験は600時間程度~とされますが、司法書士試験は3000時間程度~とされており、5倍くらいの学習時間が必要です。
これは、上述のとおり司法書士試験の方が試験の出題範囲が広く、覚えなければならないことも多いことが理由です。
また、司法書士試験の記述式問題の対策には、ある程度「慣れ」も必要で時間を要することもあります。
そのため、司法書士試験は合格までの期間の目安として2年程度は想定する必要があります。実際には、2年で合格できる人は優秀な部類で、もっと長期間かかる人も多いです。
関連コラム:司法書士試験合格に必要な勉強時間はどれくらい?勉強スケジュールを解説!
行政書士試験の場合は、早ければ半年程度の勉強で合格が可能です。
関連コラム:行政書士は独学でも合格可能!勉強時間&効果的な勉強法とは?
合格率
司法書士試験の合格率は、3~5%程度です。一方、行政書士試験の合格率は、10~15%程度です。
合格率からも、司法書士試験の方が難易度が高いことは明らかです。
司法書士試験の合格率は、数ある国家試験の中でも屈指の低さです。
合格率は少しずつ上昇傾向にありますが、それでも5%程度で、今後も大きく上がる見込みは低いでしょう。
合格点も8割近くなど高くなることが多く、ささいなミスでも不合格になってしまいます。
関連コラム:司法書士の難易度とは?試験が難しい理由・合格するためにすべきことを解説!
行政書士は、合格率が10~15%であり、しかも相対評価ではなく、一定の得点を取れば合格できる「絶対評価」のため、司法書士より対策が立てやすく合格を目指しやすい試験です。
関連コラム:行政書士の難易度とは?合格率・他資格比較・偏差値で例えるとわかる行政書士試験の難しさ
【ダブルライセンス】試験でのメリット
司法書士と行政書士のダブルライセンスを目指す場合、受験においてはメリットがあります。
司法書士試験と行政書士試験では、共通する科目があるため、ゼロから学ぶ受験生に比べてスタートラインの知識量が多いからです。
具体的には、民法、憲法、商法・会社法が共通します。
民法はどちらの試験でも主要科目であり、しかも他の科目の基礎となる科目でもあるため、勉強開始時にすでに知識があることは学習時間の短縮につながります。
ただし、共通の科目であっても、出題される内容や問われ方などは異なるので、勉強しなくてよいということはありません。
司法書士試験と行政書士試験 どちらから受けるべき?
司法書士試験と行政書士試験のどちらを先に受験すべきかは、その人の目指す将来設計により異なります。
例えば、「できるだけ早く試験に受かって実務をしたい」という人であれば、行政書士試験を先に受験するのがおすすめです。
「できるだけ短期間でダブルライセンスを取得したい」という人であれば、司法書士試験を先に受験する方が効率が良いかもしれません。
司法書士から行政書士の場合
司法書士試験は最低2年程度の学習期間を想定するべきなので、ある程度腰を据えて取り組む必要があります。
司法書士試験合格者は、行政法と一般知識を学習すれば多くの人が行政書士試験には合格できます。
そのため、司法書士試験日の7月から行政書士試験の試験日の11月まで4か月程度の学習で、行政書士試験の合格を目指すことは十分可能です。
そうすると、同じ年度に司法書士と行政書士の両方の試験に合格することも現実的なプランです。
関連コラム:行政書士試験日はいつ?日程・申込方法・試験の基本情報を解説!
行政書士から司法書士の場合
一方、行政書士試験を先に受験する場合、11月の試験が終わった後、次の7月までに司法書士試験の受験勉強を済ませて合格を目指すのはとてもハードです。
通常は、もう1年先の7月の受験を目指すことになるでしょう。
そうすると、トータルの期間としては行政書士試験を先に受験する方が長くなるケースもあります。
受験の順序は目指す将来設計で決める
受験する順序は、どちらが有利かを意識しすぎる必要はなく、自分がより目指している資格を先に受験するとよいでしょう。
司法書士と行政書士どちらがおすすめ?
司法書士と行政書士のどちらを目指すかで迷うかもしれません。どちらの資格がどんな人に向いているのかを紹介します。
司法書士がおすすめな人
次に該当する人は、司法書士がおすすめといえます。
- 独立開業したい人
- 几帳面で正確さが求められる作業が好きな人
- 不動産関係に興味がある人
1.独立開業したい人
司法書士資格の魅力は何と言っても独立開業がしやすいことです。
登記業務は司法書士の独占分野であるためです。
実際、独立開業を目指して司法書士資格を志す人は非常に多いです。
司法書士は合格後の研修制度も充実しており、組織として新人をサポートする体制が調っている点も魅力です。
2.几帳面で正確さが求められる作業が好きな人
司法書士が主に扱う不動産に関する権利は、高額の資産価値があります。
そのため、正確さと高い事務処理能力が求められます。
性格的に几帳面で細かい作業を好む人は司法書士向きと言えます。
3.不動産に興味がある人
司法書士の仕事は、不動産登記を中心とした不動産に関連の多い仕事です。
司法書士試験で学習する内容は法律ですが、実務においては、道路や都市計画など、不動産に関連する知識が必要となる場面が多々あります。大多数の司法書士試験合格者は、実務に就いた後、これらをはじめて学ぶことになります。
また、不動産業者や金融機関との取引が多く、不動産に興味がある人にとっては、とても面白みややりがいがあるでしょう。
行政書士がおすすめな人
次に該当する人は、行政書士がおすすめといえます。
- なるべく早く資格を取りたい人
- 幅広い書類作成に興味がある人
- 働きながら受験したい人
1.なるべく早く資格を取りたい人
行政書士試験は難しい試験ですが、早ければ半年程度の勉強で試験に合格することが可能です。
そのため、なるべく早く資格を取りたい、できるだけ早く独立開業したい、と考えている人におすすめです。
司法書士と異なり、独立開業までに必須の研修なども少ないため、資格取得後数か月で独立開業することもできます。
関連コラム:行政書士が独立開業するには?成功するためにやるべきこと4つ
2.幅広い書類作成に興味がある人
行政書士が作成できる書類の種類は多種多様で、9000種類を超えるとされています。
そのため、定型的な書類作成ではなく、様々な書類を作ることに興味がある人におすすめです。
もちろん、そのためには試験合格後も自分で常に新しい知識を身に付ける努力が必要です。
3.働きながら受験したい人
司法書士でも働きながら受験勉強することはできますが、試験範囲が広いので合格までに時間がかかってしまったり、途中で挫折してしまう人が多い傾向があります。
一方、行政書士試験は働きながら、大学に通いながらなどでも十分に合格が目指せます。
仕事や学業が忙しく、そこまで時間が取れないという人は、まずは行政書士試験を目指す方が現実的です。
ダブルライセンスがおすすめな人
次に該当する人は、ダブルライセンスを検討してみてはいかがでしょうか。
- ワンストップサービスを提供したい人
- 幅広い業務を取り扱いたい人
- 時間に余裕がある人
1.ワンストップサービスを提供したい人
独立開業をして、お客さんにワンストップサービスを提供したい、高収入を目指したい、という人にはダブルライセンスがおすすめです。
司法書士と行政書士は相性がよく、相乗効果の高い組み合わせです。
ダブルライセンスにより顧客単価のアップも期待できるため、高収入を得やすくなり、顧客からの信頼度や満足度も上げることができます。
2.幅広い業務を取り扱いたい人
司法書士と行政書士は似て非なる仕事であり、求められる知識も異なります。
どちらの資格も取ることで、知識は大きく広がり、顧客からの相談にも幅広く対応することができます。
多くのお客様は、司法書士の仕事と行政書士の仕事の違いをはっきり認識していません。
そのため、どちらの業務内容か分からずに相談に来る人も多いのですが、ダブルライセンスがあればどちらの業務内容でも対応できます。
3.時間に余裕がある人
受験に専念できる環境の人や、ある程度合格までに時間がかかってもよいという人にはダブルライセンスをおすすめします。
たとえば、仕事が定時で帰れる環境で、すぐに仕事を辞めるつもりはないけれど、いずれ独立開業にも興味がある、という人は、時間をかけて両方の資格取得を目指すのもよいでしょう。
また、それほど学業が忙しくない学部の大学生などは、大学在学中に時間をかけてダブルライセンスを取得し、将来の選択肢を広げるのもよいでしょう。
まとめ
司法書士と行政書士は、似ているところもありますが仕事内容は異なります。
どちらも私たちの権利を守ったり、トラブルを防ぐという重要な役割を担っている資格です。
関連性が強い仕事で相性の良い資格なので、ダブルライセンスを目指すのもおすすめです。
共通科目もあるため、試験対策でもメリットがあります。
まずは、自分にとってより興味がある方の資格を目指してみてはいかがでしょうか。
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この記事の監修者 竹田 篤史講師
竹田篤史講師
社会保険労務士事務所、司法書士法人勤務後、大手資格予備校にて受講相談、教材制作、講師を担当。
短期合格のノウハウをより多くの受講生に提供するため、株式会社アガルートへ入社。
これまで、ほぼ独学で行政書士試験、司法書士試験に合格し、社会保険労務士試験には一発で合格。
自らの受験経験で培った短期合格のノウハウを余すところなく提供する。
竹田篤史講師の紹介はこちら