難関国家資格のひとつとして知られる、弁理士試験。

これから弁理士試験の勉強を始めようと思っている方にとって、弁理士試験の難易度や合格に必要な勉強時間は把握しておきたいポイントです。

そこで今回は、一発合格した現役弁理士が、弁理士試験の難易度と合格までに必要な勉強時間について詳しく解説します。

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弁理士試験に必要な勉強時間

弁理士試験の合格に必要な勉強時間は、3,000時間だといわれています。

3,000時間というと、1日3時間勉強して1,000日、1日10時間勉強して300日かかる計算となります。

筆者は弁理士試験に一発合格していますが、平日は3~4時間程度、土日は8~10時間ほど、合計1,500~2,000時間で合格できました。

効率の良い勉強法を徹底的に考えぬいた結果、予備校も活用して勉強時間を短縮できたことが大きな要因です。

独学の場合は3,000時間を目安に計画を立てるといいでしょう。

短答式・論文式・口述式別の勉強時間

各試験ごとで、最低限必要な勉強時間の目安は以下の通りです。

  • 短答式:約700時間
  • 論文式:約150時間
  • 口述式:約40時間

短答式は最も合格率が低く、難易度の高い試験のため、1番時間配分を多く取ることをおすすめします。
反対に口述式は、9割以上の方が合格する試験なので、40時間以上を目安に考えておくといいでしょう。

弁理士を本気で目指そうと思った時の学習計画・スケジュール

弁理士試験を受験することにした場合、実際にはどのように学習を進めれば良いのでしょうか。

この章では弁理士試験を受験する際の各時期における取り組み方、および受験までの期間別の学習計画について解説します。

なお、以下では、論文式試験で必須科目のみがある場合を想定しています。

選択科目を受験する場合には、別途選択科目の試験対策をする必要があります。

弁理士の勉強を始める時の取り組み方

まずは独学で勉強をするのか、予備校を利用するのかを決めましょう。

独学で勉強をする場合には、どのように勉強を進めればよいのかについての情報収集を初めにきっちりしておくことが大事です。

 予備校を利用する場合には、講座の内容やスケジュール、費用等について十分な情報収集をして、自分と相性の良い講座を選びましょう。

 また、必要な参考書、過去問集、青本や法文集についても最新のものを準備します。

短答式試験直前期以前(試験3か月前まで)の勉強の取り組み方

弁理士試験の勉強においては、他の資格試験の勉強と同様に知識のインプットとアウトプットの両方の訓練をする必要があります。 

しかしながら、弁理士試験の勉強においては、短答式試験までにどれだけの知識をインプットできるかが合否を分ける鍵になります。

 「アウトプットもしなくては!」と、つい初期から過去問を解いてしまいがちですが、十分な知識が付いていない時期に過去問をやっても、問題が解けずに時間と自信を失うだけです。

 アウトプットは短答式試験の直前期にまとめてすれば間に合いますので、それまではとにかくインプットに時間を割くのがよいと考えます。 

短答式試験直前(試験3ヶ月前から)の勉強の取り組み方

試験直前期には、これまでにインプットした知識を、実際に過去問を解く等してアウトプットし、知識を確実なものとしましょう。

 また、試験直前期には模試や答案練習会などに参加して、問題を解く順番や、ペース配分等についても確認しておきましょう。

 1年合格を目指す場合の学習計画

一年で合格を目指すには、それなりの計画が必要です。

もし前年の春頃から勉強を始める場合であっても、年内は弁理士試験で最も比重が大きい四法(特許法、実用新案法、意匠法、商標法)のインプットをメインに勉強するのがおススメです

短答式試験にのみ出題される不正競争防止法、著作権法、条約については、試験が近づいた年明けに重点的にインプットするのが効果的だからです。

過去問や答案練習会などを利用したアウトプットは、これらが終わった直前期にまとめてするようにしましょう。

短答式試験を突破できるだけの知識を身に付けていれば、論文式試験の勉強は実は短答式試験が終わってから始めても遅くはありません。

ただし、口述試験の勉強は、短答式試験の勉強を始めた時から並行して進めるのがおススメです。

2年合格を目指す場合の学習計画

弁理士試験に合格できるかどうかは、前述した四法についての知識と理解をどれだけ深めることができるかにかかっています。

そのため、2年で合格を目指す場合には、1年目はとにかく四法の趣旨等を理解することを目指すのが良いと考えます。

2年目の春からは、前述した1年合格と同様のスケジュールで進めてもよいですし、受験年のお正月頃から論文試験の準備を並行して少しずつ進めるようにしてもよいと思います。

弁理士に合格した社会人の勉強時間と効率化例

以下では、筆者が実際に合格した時の勉強時間と効率よく勉強するための工夫をご紹介したいと思います。

筆者はワンオペ子育て中で、かつフルタイム勤務だったために、独学での勉強は難しいと考えて、予備校の通信講座を利用して弁理士試験の勉強をしました。

実は筆者が本格的に勉強を始めたのは、弁理士試験を受験する前年の8月半ばでした。

勉強の開始時期が遅すぎるようにも思いますが、翌年の弁理士試験に無事最終合格することができました。

あくまで一例としてですが、これから弁理士試験に挑戦しようとする皆様のために少しでも参考になれば幸いです。

各試験についての勉強の優先順位

筆者の場合には、各試験についての勉強の優先度を以下のように設定していました。

(1位)短答式試験の勉強

弁理士試験の一番の山場は実は論文式試験ではなく、短答式試験であると信じて、とにかく短答式試験合格だけを目指して頑張っていました。

短答式試験が終わるまでは、ほとんどの勉強時間を短答式試験の勉強に費やしました。

※関連コラム:弁理士試験の短答式の勉強法!過去問・問題集の使い方や勉強時間など

(2位)口述式試験の勉強

短答式試験の勉強開始と当時に入手した口述過去問をバイブルのように毎日持ち歩いて、隙間時間をみつけては毎日かならず読んでいました。

(3位)論文式試験の勉強

論文式試験の勉強は短答式試験が終わってからと決めて、短答式試験が終わった次の日から全力で勉強を開始しました。

※関連コラム:弁理士試験の論文式の勉強法!過去問の使い方や書き方、選択科目など

各試験の合格に必要な勉強時間と勉強内容

筆者が勉強を始めてから最終合格までに勉強した総勉強時間は、およそ890時間でした。

筆者は論文式試験が終わるまでは基本的に週20時間以上勉強することを目標に勉強していました。

以下に各試験についての勉強時間や、勉強内容などをまとめました。

(短答式試験) 勉強時間:約700時間

通信講座を利用し、講義を1.5~2倍速で毎日通勤時間(往復2時間)に視聴していました。

受験年の2月までに短答式試験対策の全講義を3回繰り返し視聴するペースでした。

併せて、平日の昼休みと土日の時間が取れる時に短答式過去問の問題文と解答を読んで条文と照らし合わせる作業をひたすら行っていました。

短答式試験直前の3月から、実際に過去問を解く練習を始めました。

「今日はお昼休みに20問やる」等と毎日目標を決めて勉強していました。

四法は過去問を少なくとも3周、その他の法域は少なくとも2周解いて、ほとんどの問題に正解できるまで繰り返しました。

(論文式試験) 勉強時間:約150時間

短答式試験が終わった次の日から過去問を使って毎日勉強をしました。

まずは過去問の模範回答を全文写しとる作業を行い、記載分量についてのイメージをつかみました。

次に、過去問の問題文と模範解答とを照らし合わせて、どのような問題文からどのような回答が導き出されているのかを分析する作業をひたすら繰り返しました。

問題文だけを読んで、解答すべき内容のポイントがすっと出てくるまで、過去問集を繰り返し勉強しました。

(口述試験) 勉強時間:約40時間

勉強開始当初からの勉強ペースをひたすら守り、一日に5分~30分程度の範囲で、過去問集を読む作業を続けました。過去問集を10周余りは勉強したと思います。

どうやって勉強時間を確保していたのか

通勤時間等の移動時間を勉強に充てるだけでかなりの勉強時間が確保できました。

あとは、会社のお昼休みに空いている会議室などで勉強するようにしました。

筆者一番のおススメは、お手洗いに行ったときに口述過去問を一問だけ勉強する方法です。

筆者はこの方法で、毎日勉強を継続することができました。

是非試してみてくださいね。

勉強の効率を最大限にして最短合格する方法

筆者の場合、他の受験生の方に比べて圧倒的に勉強に使える時間が少ない環境でした。

そのため、弁理士試験に合格するには勉強の効率を最大限まで高める必要がありました。

そこで、役に立ったのが予備校の講座でした。

弁理士試験は独学でも合格することができる試験ではあります。

しかし、独学では過去の試験でよく問われていたり、今後の試験で問われそうな内容を分析するのが難しく、あまり試験に出ない範囲まで全力で勉強してしまうことになりかねません。

一方、予備校では講師の先生方が試験の傾向を細かく分析したうえで、合格するために必要だと思われるポイントを抽出し、最も効率よく点数を取れる勉強方法を伝授してくれます。

そのため、勉強時間が限られている私のような社会人受験生にとって、予備校の講座は勉強の効率を高めるための強力なツールになると思います。

予備校の講座には、いろいろなものがあります。

そこで、もし講座の利用を検討する場合には、複数の講座をお試し受講する等して、自分に最も合っていそうな講座を探してみましょう。

他資格と比較した勉強時間と難易度

弁理士試験合格に必要な3,000時間という時間は他の資格と比べてどの程度の勉強量なのでしょうか。

以下は、他資格の合格に必要な勉強時間と合格率です。

資格勉強時間合格率
司法試験(弁護士)6,000時間39.16%
司法書士3,000時間4.12%
税理士2,500時間20.3%
社会保険労務士1,000時間6.4%
土地家屋調査士1,000時間9.68%
行政書士600時間10.7%
海事代理士500時間54.1%

三大国家資格のひとつである司法試験は出題範囲が広く、かつ深い理解が求められるため、弁理士試験の倍以上の勉強時間が必要となります。

一方で、社会保険労務士や行政書士と比較すると弁理士試験は範囲が広く論文式試験があることから3,000勉強の時間が必須です

弁理士試験は、他資格との勉強時間の比較においても難関資格であるといえるでしょう。

弁理士の難易度が高い理由

弁理士試験はなぜ難易度が高いと言われているのでしょうか。

その理由として、試験科目自体の難しさと試験内容の難しさが挙げられます。

1.弁理士試験の試験科目

弁理士試験では、特許法や商標法、著作権法といった知的財産法に関する科目が出題されます。

知的財産法は民法の特別法であり、実体法的規定のほか、複雑な手続法的規定が多く資格試験にはじめて挑戦する方にとってハードルが高いかもしれません。

これが、弁理士試験の難易度を高くしているひとつの要因です。

2.弁理士試験の試験内容

弁理士試験は、「短答式試験」「論文式試験」「口述試験」という異なる形式の3つの試験から構成されています。

短答式試験に合格しなければ論文式試験を受けることはできず、論文式試験に合格しなければ口述試験を受けることはできないということです。

試験出題形式試験内容と合格点
短答式試験マークシート式特許法・実用新案法、意匠法、商標法、条約、著作権法、不正競争防止法の6科目について5肢択一式のマークシートによる形式。
60問中39問以上を正答すること。ただし得点率40%を下回る科目が一つもないこと。
論文式試験論述形式特許法・実用新案法、意匠法、商標法の必須3科目と選択科目について論述による形式。
必須科目については、標準偏差による調整後の各科目の得点の平均が54点以上であること。
ただし47点未満の科目が一つもないこと。選択科目については、素点が60点以上であること。
口述試験面接形式特許法・実用新案法、意匠法、商標法の3科目について面接による形式。
各科目についてA~Cで評価し、C評価が2つ以上ないこと。

短答式試験は、弁理士試験の第一関門で5人に1人しか合格できない試験です。幅広い知識が問われるため、合格するのに時間がかかります。

短答式試験に1~2年で合格できれば、短期合格を目指せるかもしれません。

論文式試験は論述式であり、独学では勉強しづらい試験です。

論述式特有の勉強法が必要で、勉強の方向性を間違えると合格が遠のいてしまう可能性もあります。

そして、最後の口述試験は試験官と面接形式で行われます。合格率は非常に高いため、しっかりと対策を行いましょう。

このように、3つの異なる形式の試験に全て合格しなければならないことも、弁理士試験の難易度が高い理由です。

働きながらでもスキマ時間を活用して弁理士試験に合格しよう

直近の弁理士試験志願者統計によれば、志願者の8割以上が社会人。学生は2.1%、無職は5.9%しかおらず、ほとんどの受験生が働きながら受験しています。

弁理士試験は、同じく難関資格である司法試験や公認会計士試験とは受験者層が大きく異なります。

このように弁理士試験は働きながら受験する人が大半であるため、いかに勉強時間を捻出するかが重要です。

働きながら平日3時間の勉強時間を捻出するのは大変ですが、スキマ時間の活用がひとつのポイントになります。

移動中や休憩時間などを利用して、短答式試験のインプットとアウトプットを行いましょう。

ただし、論文式試験はある程度まとまった時間が必要であるため、土日に集中して勉強した方が良いかもしれません。

また、社会人は突発的な仕事が入ったりプライベートな用事が入ったりと夜に時間が取れないこともしばしば。

朝1時間、夜2時間という具合に勉強時間を作れるかが合格の鍵です。

そして、スキマ時間の学習の助けとなるのが、予備校のオンライン講座です。

通常の予備校ですと教室に行く必要があるという場所の制約と、決まった時間に授業を受ける必要があるという時間の制約があります。

しかし、オンライン予備校ですと、基本的に時間や場所を選ばず、スキマ時間をうまく活用して学習することができます。

中でもアガルートでは、最短合格を目指す最小限に絞ったカリキュラムを提供しています。

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この記事の執筆者

Naoko


京都大学大学院農学研究科修了。


研究者を目指し大学に残ったものの、結婚出産を経てより子育てのしやすい環境を求めて知財業界へ。


特許事務所で特許事務(国内・海外)を3年程経験した後、第3子の出産を機にパラリーガルに転身。弁理士試験に挑戦し、一発合格。


現在、特許事務所で弁理士として活躍。

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