弁理士試験の短答式試験は、かなり難易度の高い試験です。

特に勉強を始めたばかりの方にとっては、過去問を解くことすら一苦労で、本当に合格できるのだろうかと途方に暮れてしまう方も多いのではないでしょうか。

そこで、このコラムでは弁理士試験の短答式試験を突破するための勉強方法について徹底解説します。

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弁理士試験の短答式試験について

弁理士試験の最初の関門

弁理士試験は、短答式試験、論文式試験、口述試験という3種類の試験からなります。

短答式試験に合格しないと次の論文試験に進むことができません

そのため、短答式試験は弁理士試験の最初の関門とも言えます。

弁理士試験における山場は論文式試験であると思われがちです。

しかし、実は最初の関門である短答式試験の難易度も非常に高いために、しっかりとした対策をする必要があります

短答式試験の概要

短答式試験は、5枝択一のマークシート式の試験です。試験時間は3.5時間で、問題数は60問となっています。

出題範囲及び出題数は以下の通りです。

  • 特許、実用新案に関する法令 20問
  • 意匠に関する法令 10問
  • 商標に関する法令 10問
  • 工業所有権に関する条約 10問
  • 著作権法、不正競争防止法 10問

短答式試験の合格率と合格点・合格基準について

弁理士試験短答式試験の合格率:例年8~20%

令和5年度の弁理士試験短答式試験の合格率は12.4%でした。

短答式試験の合格率の推移を下記の表にまとめています。

年度合格率(合格者数/短答式試験受験者数)
令和5年12.4%
令和4年10.3%
令和3年11.3%
令和2年18.2%
令和元年18.3%
平成30年20.1%
平成29年8.9%
平成28年15.5%

弁理士試験短答式試験の合格点・合格基準

短答式試験の合格基準点は39点となっています。

さらに、科目毎に合格基準点が設けられており、合格基準点を下回る科目が1つもないことが求められます

各科目の合格基準点は以下の通りです。

科目合格基準点
特許、実用新案に関する法令8点
意匠に関する法令4点
商標に関する法令4点
工業所有権に関する条約4点
著作権・不正競争防止法4点
総合得点39点

弁理士試験短答式試験には免除制度がある

短答式試験に一度合格すると、その年の合格発表から2年間は短答式試験の全ての科目について試験が免除されます。

また、工業所有権に関する科目の単位を修得し大学院を修了し、工業所有権審議会の認定を受けた場合には、大学院修了から2年間は著作権法・不正競争防止法以外の科目の試験が免除されます。

特許庁において審判又は審査の事務に5年以上従事した場合には、著作権法・不正競争防止法以外の科目の試験が免除されます。

短答式試験合格者における一部免除者及び工業所有権法免除者の割合を表にまとめてみました。

一般短答一部免除者工業所有権免除者
令和5年96.72.11.2
令和4年94.43.91.8
令和3年95.42.32.3
令和2年95.62.22.2
令和元年96.82.80.4
平成30年94.44.01.6
平成29年94.83.51.7
平成28年97.52.00.5

弁理士試験の短答式の勉強法を現役弁理士が解説

弁理士試験の短答式試験に合格するために大切なことは、とにかく繰り返すことです

以下では、具体的にどのような勉強をどの程度すればよいのかについて説明していきます。

なお、ここで記載している勉強時間は筆者が実際に勉強した時間です。毎日およそ3時間ずつ勉強した場合の勉強時間となっています。

是非参考にしてみて下さい。

基本書や講座を利用した知識のインプット(500時間)

独学で勉強をするか予備校などを利用するかによって勉強方法が異なりますが、いずれの場合にも試験範囲全体を繰り返し何度も勉強することが大切です。

例えば、予備校の通信講座を利用する場合であれば、各科目についての基礎講義を何度も繰り返して視聴しましょう。

単元毎に繰り返すのではなく、必ず一科目単位で繰り返して下さい。

初めのうちは馴染みのない内容ばかりで理解が追いつかないかもしれません。

しかし、とにかく立ち止まらずに全体構造を俯瞰しながら何度も繰り返し勉強しているうちに、自然と理解できるようになる部分も多いはずです。

忍耐力が求められる作業であると思いますが、諦めないで頑張りましょう。

短答式試験の過去問を利用した勉強(500時間)

1.過去問と条文集を使って、問題の内容を理解する

はじめの頃は短答式試験の過去問を解こうと思っても手も足も出ないはずです。

だからといって過去問の勉強を後回しにするのは良くありません。基本書や講座の勉強と並行して過去問に取り組みましょう。

まずは、過去問を解くのではなく、過去問の問題とその問題の解説を読んで、その問題で問われている条文を条文集で調べます。

条文を見つけたら、その条文の内のどの言葉(単語)がその問題で問われているのかを考えましょう。

過去10年分程度の過去問について、できれば数回この作業を繰り返すことで、どの条文が頻出条文なのか分かってきます。

あるいは、各問題で何を問われているのかがだんだん分かるようになります。

2.過去問を解く

過去問についての上記の作業が終わる頃には、基本書や講座の勉強もかなり進んでいることでしょう。

この段階になって初めて解答を見ずに過去問を解くことによって、過去問が全然解けず苦しむことを避けられます。

もしかしたら過去問を解くことが楽くて仕方ないかもしれません。ここまで来れば短答式試験の合格ももう目前です。

過去問がある程度解けるようになると油断してしまいそうになりますが、気を引き締めて時間が許す限り過去問を解く作業を繰り返して知識の確実な定着を図りましょう。

口述試験の過去問で知識を整理(50時間)

口述試験の過去問は非常に素晴らしい教材ですので、勉強の初期から是非とも活用して頂きたいアイテムです。

口述試験は各科目10分という限られた時間内で、試験官の質問に的確に答えることを求められる試験ですので、その模範解答には重要ポイントが非常にコンパクトにまとめられています。

そのため、この口述過去問の問題文と解答を繰り返し読むだけで、重要ポイントについて知識の整理ができるのです。

隙間時間に一日10分でも良いので、継続して繰り返し読んでみて下さい。

【試験日程など】短答式試験が終わったら…

短答式試験の日程は例年5月中旬~下旬となっており、6月の中旬に合格発表がされます。

合格発表は特許庁ホームページで公開され、その後郵送で合否が通知されます。

短答式試験に合格すると論文式試験を受験することができます。

しかし、論文式試験は短答式試験の合格発表後すぐの7月初旬に行なわれますので、短答式試験の合格発表を待って論文式試験の準備をしていてはとても間に合いません。

論文式試験の受験票が短答式試験の受験表と一体になっており、予め全ての受験生に配布されている理由もこのような事情からであると考えられます。

そのため、短答式試験の受験が終わったら、すぐに論文式試験の勉強を始める必要があります

短答式試験の結果が気になるところだと思いますが、合格していることを信じて短答式試験が終わった次の日から早速論文式試験の勉強を進めましょう。

短答式試験が終わってしばらく勉強をお休みしてしまうと、せっかく頑張って身に付けてきた知識がどんどん抜け落ちてしまいます。

勉強をお休みしたくなったら、できるだけお休みする日を少なく抑えるために、例えば、論文試験で使うボールペンや万年筆を探し始めてみるなど、簡単な行動で良いのでとにかく論文式試験に向けてのスタートを切りましょう。

勉強が難しい、なかなか進まないときは

今回は短答式試験の勉強方法について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。

弁理士試験の勉強は、試験範囲も広く、普段あまり触れることのない内容についての勉強であるために、ある程度の理解が進むまでは忍耐が必要な勉強かもしれません。

内容が難しくて面白くない、全然勉強が進まないという場合には、勉強を続けることが苦痛になってしまうこともあるかと思います。

そんな時は、弁理士の先輩のお仕事の話を聞いたり、本やインターネットで弁理士の仕事や特許事務所の様子等を調べたりして、弁理士試験に合格した後の自分の姿を妄想するのも良いです。

あるいは、先輩受験生の体験談等を読んで、みんな同じく悩みながら勉強を続けて合格しているんだということに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

もう一度勉強を頑張ってみよう!という気持ちがきっと湧いてくるはずです。

勉強のモチベーションを高く保つ一番の方法は、できるだけ効率よく勉強を進めて、理解できた!問題が解ける!という段階まで早くたどり着くことです。

アガルートの弁理士講座は、弁理士試験に必要な知識を凝縮した効率的な内容を、いつでもどこでも学べるオンライン通信講座となっております。

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この記事の執筆者

Naoko


京都大学大学院農学研究科修了。


研究者を目指し大学に残ったものの、結婚出産を経てより子育てのしやすい環境を求めて知財業界へ。


特許事務所で特許事務(国内・海外)を3年程経験した後、第3子の出産を機にパラリーガルに転身。弁理士試験に挑戦し、一発合格。


現在、特許事務所で弁理士として活躍。

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