弁理士の年収はどの位なのでしょうか?弁理士を取得しようと考えている方にとって気になるのではないかと思います。

そこで、弁理士の平均年収や働き方による年収の差異、稼げるための弁理士になるにはといった点について、現役弁理士が解説します!

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弁理士の年収は700~1000万円?雇用形態にもよる


厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、弁理士の平均年収は997万円ほどとなっています。

  • 平均年収:997万円
  • 平均年齢: 49.9歳
  • 勤続年数: 5.3年
  • 労働時間/月:155時間/月
  • 超過労働: 1時間/月
  • 月額給与:684,200円
  • 年間賞与:1,760,300円
  • 平均年収:9,970,700円
出典:厚生労働省「令和5年度賃金構造基本統計調査

また、弁理士の年収の中央値としては、筆者の体感では800万円といったところでしょうか。

なお、参考までにですが特許出願一件あたりの報酬は、特許事務所によって報酬が大きく異なりますが、平均的には70~100万円になるかと思います。

例えば筆者の事務所(弁理士法人セトマキ)では、拒絶理由通知の回数などにもよりますが、70万円前後になるケースが多いです。相場と比べますと、平均的な金額だと思います。

以上、弁理士の平均的な稼ぎなどについて見てきましたが、年収や給料、どれくらい儲かるかは雇用形態によって大きく異なってくるというのが正直なところ。

弁理士は大きく分けて、主に、下記の3つの働き方があります。

(他にも弁理士の働き方はありますが、今回は下記の3つに絞って説明いたします。)

  • 企業内弁理士
  • 特許事務所での勤務弁理士
  • 独立弁理士

結論としては、企業内弁理士は800~1,000万円、特許事務所内の勤務弁理士は600~800万円、独立弁理士は青天井で、1億円超えも、といった形になります。以下で詳しく見ていきます。

① 企業内弁理士:800~1000万円

①の企業内弁理士は、その名の通り、企業に勤務する弁理士のことです。 

特に、企業の知的財産部に所属する弁理士が多いです。

具体名を挙げますと、特に、パナソニックや日立は企業内弁理士が多いことで有名です。

企業内弁理士の年収は、企業規模によって差が生じます。

企業内弁理士の場合は、勤めている企業規模は、大企業の割合が高い*1です。

*1:大企業に企業内弁理士が多い理由は、経営戦略で、知財部を設置している企業が多いため。

すなわち、企業内弁理士の年収は、一般的な大企業勤務のサラリーマンの年収(800万~1000万程度と言われています。)と、ほぼ同等だと言えます。

② 特許事務所での勤務弁理士:600~800万円

次に、②の特許事務所での勤務弁理士についてです。

その名の通り、特許事務所で勤務する弁理士のことであり、弁理士の40%以上を勤務弁理士が占めています。

年収は、実務能力や担当する知財分野に左右されます。

知財分野は、一般的には意匠や商標担当の弁理士よりも、特許担当の弁理士の方が、年収は高い傾向にあります。

理由としては、特許の方が1件あたりの単価が高いことや、意匠や商標よりも専門的な知識が必要とされるためです。

勤務弁理士の年収は、600万円~800万円の弁理士がほとんどですが、中には2000万越えの方もいらっしゃいます。

ちなみに、私は、特許事務所で勤務していた時期もありますが、当時は月給20万円でした(弁理士資格有)。

その特許事務所は、弁理士3~4人くらいで、小規模な事務所でした。

特許事務所での勤務弁理士の年収は、経験年数や実力により上下しますが、平均すると600~800万円ではないかと思います。

③ 独立弁理士:青天井。1億円超えも!

最後に、③の独立弁理士についてです。

弁理士資格を目指している方は、この「独立弁理士」を夢見て、この資格を目指す方が大半ではないでしょうか。

はっきり言って、独立弁理士は青天井ですので、年収1億円越えの弁理士もゴロゴロいます

私の場合は、弁理士として開業して「食えるようになるまで」に、半年ほどかかりました。独立してから半年の間は、赤字の月は、2回ありました。

(余談ですが、私の場合は、独立してから食べていける状態になるまでは、弁理士試験の講師の副業をして食いつなぎました。不安定な時期は、副業として弁理士試験の講師をするのは、お勧めです。)

このように、独立弁理士は普通に資格なしでの起業と変わらないので、独立弁理士で食えない場合があるのも事実です。

勿論、資格がある分、無資格での起業よりは、断然有利になります。

私の知人で、「独立したけど厳しくて、結局、勤務弁理士に戻った」という方も多数います。

独立弁理士の平均年収は、年収の幅が広く平均年収を出すのが難しいところがありますが、体感としては1000~2000万円くらいではないかと思います。

関連コラム:弁理士とはどんな資格?仕事内容や主な業務など徹底解説!

弁理士の年収の現実:どの働き方が一番年収高いの?

結論:独立弁理士の年収が一番高い

どの働き方が一番年収が高いのかについてですが、これは問答無用で「独立弁理士」です。

結論から申し上げますと、企業内弁理士や特許事務所の勤務弁理士は、結局は「雇用されている立場」です。

そのため、年収に「天井」があります。しかし、独立弁理士の場合は、「自営業」であるため、年収は「青天井」です。

独立弁理士の場合は、年収1億円越えの先生もいらっしゃいます。

また、独立した上で失敗した、稼げなかった弁理士の方は、結局他の特許事務所や企業の知財部に再就職する事が多いため、独立弁理士として稼ぎ続ける弁理士は、実務能力よりも経営力が一番大切であるという現実があります。

企業内弁理士:どこの企業かによる

企業内弁理士や特許事務所の勤務弁理士で、年収1億円越えは、99%、無理です。

企業内弁理士の場合は、大企業に勤務している方が圧倒的に多いので、一般的なサラリーマンの中でも、ベースの年収自体が高いと思います。

従って、企業内弁理士の場合は、弁理士資格の有無よりも、どこの企業に勤めているかという属性が年収に依存します。

企業内弁理士の年収は、弁理士資格の有無に関係なく、一般的な大企業勤務のサラリーマンの年収(800万~1000万程度と言われています。)+資格手当(月2~10万)です。

特許事務所の勤務弁理士:担当分野と実務経験

特許事務所の勤務弁理士の年収を左右するポイントは、大きく分けて下記の2点です。

1点目は、担当する知財分野です。

特許部門の弁理士の方が、意匠や商標部門の弁理士よりも、年収が高くなる傾向にあります。

大手の特許事務所であれば、「特許部門」「商標部門」「意匠部門」と、担当する知財分野がはっきり分かれています。

入職時から担当する知財分野が決まっているといっても過言ではありません。

従業員数人程度の小さな特許事務所であれば、特許、意匠、商標全てを任されるケースもあります。

また、理系出身でなくとも、特許部門で活躍することは可能です。

私の知人の文系出身の弁理士で、特許部門で活躍している方もたくさんいます。

特にビジネスモデル特許は、文系出身の方でも、扱いやすい特許業務だと思います。

2点目は、実務能力や経験年数です。

当然、高い役職に就いた方が年収は高くなり、特許事務所内で高い役職に就いた場合は、年収1000万を越えることも可能です。

最後に、勤務弁理士の年収についてです。

私の感覚ですが、意匠商標部門の勤務弁理士であれば平均年収600万円、特許部門の勤務弁理士であれば平均年収800万円というイメージです。

独立弁理士:稼げるが、より稼ぐには人を使う必要も

③最後に独立弁理士についてです。

冒頭で述べた通り、独立弁理士に関しては、年収は、はっきり言って「青天井」です。

頑張れば、年収1億円も可能です。

ただし、「独立弁理士」は、普通に起業することと全く同じといっても過言ではないので、絶対に高収入が得られるという保証はありません。

仕事がなければ、収入は0です。

ただ、私自身、「独立弁理士」ですが、私が企業内弁理士や勤務弁理士であれば、今の収入は無いと思います。

独立弁理士は、それだけの夢と可能性があります。

独立弁理士の場合は、雇用をするか、一人事務所でやっていくか等の個々の経営方針も年収を左右する要素になると思いますが、一人事務所でも、年収2000万くらいまでは普通に稼げます。

しかし自身の経験上、弁理士は労働集約型です。

そのため、年収2000万以上稼ごうと思うと、一人では限界が生じ、雇用する必要性が生じると考えています。

そこで、「上手に他人を使う方法」を身につける必要があると考えています。

以上を踏まえ、主観にはなりますが、「独立弁理士」は年収1000~2000万にはなると思います。

年収2000万以上も可能ですが、その場合は雇用をしなければならないと考えられます。

そのため、年収2000万以上を狙う場合は、上手に他人を使うことが必須条件になります。

関連コラム:企業内弁理士の役割|転職を左右するのは経験とスキル

弁理士が給料・年収をアップするには?

企業内弁理士:まずは弁理士資格の取得を

企業内弁理士の場合は、弁理士資格を持っていると、資格手当で毎月数万円もらえる企業もあります。

弁理士資格を取って資格手当で給料をアップさせる方法があります。

ただし、企業によって、弁理士の登録費用を払ってくれる企業もあれば、払ってくれない企業もあります。

弁理士の資格手当が出る企業もありますが、資格手当が出ない企業もあります。

更に、弁理士会の会費すら払ってくれない企業もあります。

企業内弁理士の私の友人(大手メーカー知財部勤務の企業内弁理士)は、弁理士試験に受かったが、資格手当もなく、登録費用も毎月の会費も自分持ちだと嘆いていました。

そのため、企業内弁理士で給料・年収アップを狙う場合は、弁理士資格を目指す前に、社内の規則がどうなっているのか(資格手当の有無、資格手当がある場合はいくらか、登録費用や会費は会社が負担してくれるのか)、事前調査が必要です。

更に、管理職を狙うという方法があります。

特に知財部勤務の場合は、弁理士資格が昇給に有利に働くケースが多いです。

管理職に昇給できれば確実に年収が上がりますので、管理職への昇給目的で弁理士資格を取ることも、年収アップに有効な方法と言えます。

特許事務所の勤務弁理士:TOEIC850以上取得など

特許事務所の勤務弁理士で、年収アップに有利に働く資格として、「TOEIC」があります。

外内や内外など、弁理士の場合は海外案件が多く、英語が話せるというのは有利です。

特に商標部門の弁理士の場合は、「TOEIC」のスコアが大手特許事務所への就職に有利になるケースが多いです。

年収アップに有利になる「TOEIC」のスコアの目安としては、850~です。

独立弁理士:独立弁理士こそ汎用ビジネススキル!?

独立弁理士の場合、弁理士と最も関連性のある資格は、間違いなく「弁護士」です。

弁理士の場合、侵害の相談がたくさん来ます。

しかし、弁理士は、訴訟の代理は出来ないので、弁護士と共同で仕事をするケースが多々あります。

理想論で言えば、独立弁理士の年収アップに一番有利な資格は「弁護士資格」です。

しかし、現実的には費用対効果は悪いと考えられます。

そのため、年収アップという目的であれば、独立弁理士は新たな資格を取る必要はないと考えます。

弁理士で独立して成功するための鍵は、マーケティングやブランディング、営業能力だと考えています。

年収アップのために新たな資格の勉強をするくらいであれば、その時間をマーケティングやブランディングの研究に費やした方が、よほど効果的です。

私自身、他の資格は何も持っておりませんし、学歴もありません。

しかし、独立してからの4年間、ブランディングとマーケティングを徹底的に研究したことが現在の自身の仕事の取れ高に繋がっていると感じています。

また、単価の高い案件を扱った方が、当然に年収も上がります。

一般的な単価としては、商標<意匠<特許であり、特許が一番高単価です。

更に、国内案件よりも海外案件の方が単価は高くなりますので、独立弁理士の場合は、海外案件を積極的に扱った方が年収アップにつながります。

最後に

私の同期の弁理士試験合格者で、最難関大学出身、大手企業勤務、弁理士資格と別の最難関資格も保有している方がいます。

彼のポテンシャルなら、本来なら、働きながらでも1~2年で弁理士試験に受かっていたと思います。

しかし、彼は会社で中間管理職のため仕事が忙しく、勉強時間が全く取れなかったため、弁理士試験合格までに10年以上かかりました。

私自身、25歳の時に弁理士試験に合格しましたが、当時は子供もいない上に仕事もアルバイトしかしておらず、勉強時間がたくさん取れたので、1年で合格することができました。

私の今のライフサイクルであれば、合格までに最低でも5年はかかっていると思います。

弁理士試験を検討されている方は、時間が取れるうちに勉強を開始して、資格を取ってしまった方が絶対に良いです。

その点、アガルートの弁理士講座はオンライン完結で必要最小限の知識を最短で教えてくれるため、オススメです。

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この記事の執筆者 瀬戸麻希(弁理士)

日本弁理士会所属(登録番号 21647)

セトマキ国際特許商標事務所代表、元弁理士講座予備校講師、弁理士Youtuber、Amazonセラー。

最終学歴は、弁理士では珍しく中卒。
漢字も一文字も書けない状態から弁理士試験の勉強を始め、弁理士試験一発合格。選択科目は満点で合格(情報理論)。

現在は弁理士Youtuberとしても人気を集める。
◆公式サイト:セトマキ国際特許商標事務所
★twitter:@ensemble43530
★Youtube:瀬戸麻希

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