司法書士と土地家屋調査士は、どちらも「不動産登記」を取り扱う職業です。

そう言われると似た仕事だと思いがちですよね。

ただ、実際の仕事内容は、デスクワーク中心の司法書士と現場調査中心の土地家屋調査とでは異なります。

このコラムでは、司法書士と土地家屋調査士の仕事や試験内容の違い、試験の難易度の比較、ダブルライセンスを取るメリットなどについてわかりやすく解説します。司法書士講師と土地家屋調査士講師による解説動画とあわせてご紹介するので、参考にしてみてください。

アガルート受講生の合格率は15.4%で全国平均5.2%の2.96倍

資料請求で無料プレゼント!
・講座パンフレット
・サンプル(お試し版)テキスト
・サンプル講義動画 約13.5時間分

1分で簡単無料体験(会員登録→お申込み→視聴)!

20日間無料で講義を体験!

司法書士とは

司法書士は、不動産や会社の登記を中心とした法律事務を行う国家資格者です。

例えば、家を買った時、その家が自分のものだということを他の人に示すために、「所有権移転登記」の手続きをしたり、会社を作ったときに会社の名前や本店の場所、代表者の名前などを他の人に示すための「会社設立登記」の手続きを司法書士が代理して行います。

登記以外にも、認知症などで意思能力が低下した人の財産を管理する「成年後見人」になったり、自分が亡くなった後の財産の分け方を指定する「遺言書」の作成のサポートをしたり、裁判所に提出する色々な書類を代理で作るのも司法書士の仕事です。

関連コラム:司法書士とは?仕事内容をわかりやすく解説

また、司法書士の中でも認定試験に合格した人は、簡易裁判所で弁護士と同じように代理人になって法廷に立つことができます。

関連コラム:司法書士は認定考査まで受けるべき?必要性や取得の流れを解説

司法書士の仕事は、他の人や会社の財産や権利を守るためのものが多く、高度な知識と高い倫理観が必要です。

そのため、国家資格を取得した人だけに認められているのです。

土地家屋調査士とは

土地家屋調査士は、不動産の表示の登記を中心とした調査、事務を扱う国家資格者です。

「表示の登記」とは、土地や建物の正確な面積や形状、用途などを測ったり調査して、その結果を法務局に届け出ることで、誰もがその土地や建物の正確な情報を知ることができるように登記記録に残すことです。

新しく建物が建ったときだけでなく、例えば建物をリフォームして増築したときには「建物の表示の変更の登記」をしたり、今まで畑だった土地を家の敷地にした場合に「地目の変更」の登記をしたりします。

土地や建物の測量や調査のため、土地家屋調査士は現場に出向くことが多い仕事です。

また、土地の境界がきちんと分からない場合に、土地の所有者同士でもめてしまうことがあり、その争いを解決するための「筆界特定」の手続きを代理するのも土地家屋調査士の仕事です。

土地家屋調査士は、測量や調査のための高い技術力と専門的な知識が求められるプロフェッショナルであり、国家資格を取得した人のみに認められる仕事です。

関連コラム:土地家屋調査士とは?資格の基本情報と仕事内容

司法書士と土地家屋調査士の違い

司法書士と土地家屋調査士の違いをまとめると、下記のようになります。

司法書士土地家屋調査士
どんな仕事?法律関係の書類作成の専門家+成年後見業務や認定司法書士による簡易裁判所での訴訟代理などの業務を行う不動産の表示に関する登記の申請や土地の筆界(境界線)特定の手続きなどの業務を行う
独占業務「権利の登記」「表示の登記」
登記の内容土地や建物の権利関係(誰がどのように不動産を取得したのか、抵当権が付いているのかなど)の情報を正しく登記記録に反映させる手続き土地や建物の物理的な状況(土地の地目や面積など)を測量、調査して登記記録に反映させる手続き
特徴デスクワークや顧客の話を聞くことが多い傾向があり、スーツ姿で仕事をすることが多い現場に出る仕事が多く、作業着を着て仕事をすることが多い

司法書士と土地家屋調査士は、不動産登記を業務としているという共通点があります。

ただし、その不動産登記のうち、司法書士と土地家屋調査士では取り扱う内容が異なります

司法書士が行うのは、「権利の登記」です。

権利の登記とは、その不動産の権利(所有権、抵当権など)を誰が持っているのか、どんな内容の権利なのかといったことを示すものです。

一方、土地家屋調査士が行うのは、「表示の登記」です。

表示の登記は、その不動産の物理的な状況(面積、土地の地目、建物の種類など)を調査、測量して正しく示すものです。

司法書士は権利の登記のために、顧客の不動産売買の場に立ち会ったり、相談に乗るなどすることが多く、スーツ姿のオフィスワークであることが一般的です。

一方、土地家屋調査士は土地建物の調査、測量のために現場に出向くことが多く、作業着姿で働いているのが一般的です。

司法書士の主要な取引先は、銀行などの金融機関や不動産仲介業者などが多くなります。

一方、土地家屋調査士の主要な取引先は、設計事務所や住宅建築会社などが多くなります。

どちらの仕事も、知識や技術だけでなくコミュニケーション能力も必要です。

司法書士と土地家屋調査士 試験内容の違い

司法書士試験と土地家屋調査士試験では、一部の試験科目が重なりますが、同じ科目であっても出題範囲は異なるため、共通するものはそれほど多くありません

司法書士試験

司法書士試験の試験科目は計11科目あり、択一式問題(11科目)、記述式問題(2科目)があります。

試験は、同じ日に午前と午後の試験を受験しなければなりません。

午前の科目は、すべて択一式問題で民法、会社法・商法、憲法、刑法です。

午後の科目は、択一式問題と記述式問題があり、択一式問題7科目(民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、司法書士法、供託法、不動産登記法、商業登記法)で、記述式問題は2科目(不動産登記法、商業登記法)です。

記述式問題では、実際と同じように登記申請書を作成する問題が出されます。

関連コラム:司法書士試験の科目とは?主要・マイナー全11科目と勉強の順番を解説!

土地家屋調査士試験

土地家屋調査士試験も午前と午後の試験が行われます。

ただし、土地家屋調査士試験の午前の試験は測量士補などの資格があれば免除となり、実質的には午後の試験のみを受ける人がほとんどです。

午後の試験科目は、民法(択一式問題)、不動産登記法(択一式問題、記述式問題)、土地家屋調査士法(択一式問題)です。

記述式問題では、土地と建物それぞれから1問が出題されます。

出題範囲は異なる

民法と不動産登記法は司法書士試験と共通しますが、出題される範囲が異なります。

司法書士試験の民法は、総則、物権、債権、親族・相続の全般から計20問出題されますが、土地家屋調査士試験の民法は、総則、物権、相続の分野からしか出題されず、問題数も計3問です。

また、司法書士試験の不動産登記法では「権利の登記」に関わる内容が問われるのに対し、土地家屋調査士試験では「表示に関する登記」に関わる内容が問われるため、科目が同じでも出題内容は異なります

司法書士試験、土地家屋調査士試験のどちらも筆記試験合格者に対して口述試験(面接)がありますが、口述試験については実質ほぼ全員が合格しています。

司法書士と土地家屋調査士 どちらが難しい?

結論からいえば、土地家屋調査士資格の取得より、司法書士資格を取得する方が難しいといえます。

司法書士土地家屋調査士
合格率3~5%8~10%
勉強時間3000時間~1000時間~

試験の合格率を見ても、土地家屋調査士が8~10%程度であるのに対し、司法書士は3~5%程度です。

土地家屋調査士も十分に難関といえますが、司法書士はそれ以上です。

合格に必要とされる目安の勉強時間も、土地家屋調査士は1000時間以上であるのに対し、司法書士は3000時間以上です。

期間として考えると、1日4時間毎日勉強しても、土地家屋調査士で250日(約9ヶ月)、司法書士で750日(約2年)必要ということです。

しかも、どちらの試験も合格率が低いため、実際には目安の学習時間よりも長期間かかる場合が多いです。

司法書士試験は土地家屋調査士試験よりも試験科目が多いため、必然的に勉強時間もより多く必要になります。

暗記しなければいけない知識の量も司法書士試験の方が膨大です。

ただし、人によっては土地家屋調査士試験の方が難しく感じる人もいます

土地家屋調査士試験は関数電卓を使った計算問題や図面作成の問題が出題され、そういった分野に苦手意識が強い人の場合にはより難しく感じるでしょう。

司法書士、土地家屋調査士ともにかなり難関の部類に入る試験で、長期間にわたる勉強をする覚悟が必要で、独学で学習するのは難しいでしょう。

関連コラム:司法書士の難易度とは?合格率・偏差値・試験内容を他資格と比べてわかる司法書士試験の難しさ

通信講座や予備校を利用して効率的に学習し、モチベーションを維持して合格できたという人が大半です。

「いつか合格できればいい」という考えの人以外には、通信講座や予備校の利用をおすすめします。

司法書士と土地家屋調査士はダブルライセンスもおすすめ

士業の中には、ダブルライセンスで複数の分野にわたる仕事をしている人がいます。

ダブルライセンスを持つ場合、資格同士の相性が大切ですが、司法書士と土地家屋調査士はとても相性の良い資格です。

上述したように、司法書士は「権利の登記」、土地家屋調査士は「表示の登記」と、それぞれが不動産登記を取り扱っており、ダブルライセンスの場合には登記をワンストップで全て引き受けることができます

たとえば、家を新築する顧客がいる場合、その家が建つとまず土地家屋調査士が「建物の表示の登記」を行います。その後、司法書士が「権利の登記」として、「建物の所有権保存の登記」や、住宅ローンがあれば「抵当権の設定登記」などを行います。

この一連の登記をすべて自分が引き受けられることで、収益性も上がり、顧客にとっても別々に依頼しないでよいので利便性が高くなります

取り扱うことができる業務範囲が広くなることで、新規の顧客や仕事を得るチャンスも増えるでしょう。

また、ダブルライセンスを持つことで、知識の量自体が多くなり、他の同業者との差別化を図ることができます

ダブルライセンスの注意点&どちらから取得すべき?

ダブルライセンスの注意点としては、どちらの仕事も高い専門性と継続的な知識のアップデートが必要ですが、両方の資格でそれを維持するのは大変で、おろそかになってしまう場合があります。

また、士業は他の士業と連携して仕事を紹介し合うことも多いのですが、ダブルライセンスの場合には、それが難しくなることがあります(例えば、司法書士のみであれば、土地家屋調査士からの紹介を期待することができるが、司法書士・土地家屋調査士の場合、同業となる土地家屋調査士からの紹介は期待できない等)。

ダブルライセンスを目指す場合、どちらを先に選んだ方が受かりやすいということは特にありません。

単純に、まずは自分が興味を持った方の資格からチャレンジしてみるのがよいでしょう

司法書士と土地家屋調査士について講師が解説

アガルートアカデミーの司法書士講師と土地家屋調査士講師がダブルライセンスの魅力についてお話します。ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

このコラムのまとめ

  • 司法書士は、不動産や会社の登記を中心とした法律事務を行う国家資格者
  • 土地家屋調査士は、不動産の表示の登記を中心とした調査、事務を扱う国家資格者
  • 司法書士の独占業務は「権利の登記」、土地家屋調査士の独占業務は「表示の登記」
  • 試験は土地家屋調査士試験よりも司法書士試験の方が難しい
  • 司法書士と土地家屋調査士は相性がいいのでダブルライセンスもおすすめ

司法書士も土地家屋調査士も、独立開業もしやすく魅力の多い資格です。

ぜひ前向きに受験を検討してみませんか。

アガルート受講生の合格率は15.4%で全国平均5.2%の2.96倍

資料請求で無料プレゼント!
・講座パンフレット
・サンプル(お試し版)テキスト
・サンプル講義動画 約13.5時間分

1分で簡単無料体験(会員登録→お申込み→視聴)!

20日間無料で講義を体験!

この記事の監修者 竹田 篤史講師

竹田篤史講師


社会保険労務士事務所、司法書士法人勤務後、大手資格予備校にて受講相談、教材制作、講師を担当。

短期合格のノウハウをより多くの受講生に提供するため、株式会社アガルートへ入社。

これまで、ほぼ独学で行政書士試験、司法書士試験に合格し、社会保険労務士試験には一発で合格。

自らの受験経験で培った短期合格のノウハウを余すところなく提供する。

竹田篤史講師の紹介はこちら

司法書士試験講座を見る