技術士第一次試験は、技術士になるための最初の試験です。
合格を目指すには、どのように試験勉強を進めるのがよいのでしょうか。

このコラムでは、第一次試験に合格するための勉強方法を詳しく紹介します。

令和4年度受講生の合格率
一次試験60.00%(全国平均の1.42倍)、二次試験77.78%(全国平均の6.65倍)!

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技術士第一次試験の内容

まず、第一次試験の概要を確認しておきましょう。

  • 試験の形式は、すべて5肢択一のマークシート方式
  • 試験科目は、基礎科目、適性科目、専門科目の3科目
  • 基礎科目と適性科目は、全技術部門で問題が共通
  • 専門科目は、受験申込時に選択した技術部門ごとに問題が出題される
  • 試験時間は、基礎科目と適性科目は1時間、専門科目は2時間間
  • 基礎科目と専門科目は、出題された問題の中から指定された問題数を選択して解答
  • すべての科目で満点の50%以上を得点すると合格
試験科目試験時間問題数配点合格基準
基礎科目1時間15問(30問から15問を選択)15点満点(1問1点)50%以上の得点
適性科目1時間15問15点満点(1問1点)50%以上の得点
専門科目2時間25問(35問から25問を選択)50点満点(1問2点)50%以上の得点

参照:第一次試験|公益社団法人 日本技術士会

3科目のすべてについて、満点の50%以上を得点することが合格の条件です。

具体的には、基礎科目と適性科目は15問中8問以上を正解し、専門科目は25問中13問以上を正解すれば合格です。
得点が50%に満たない科目が1つでもあれば、3科目を総合した得点が50%以上であったとしても、不合格になります。

技術士第一次試験の難易度・勉強時間は?

技術士第一次試験の難易度・合格率を確認

次に、第一次試験の難易度を確認しておきましょう。

過去5年間の20部門全体での合格率は、30%台前半〜40%台後半の間で推移しています。

年度合格率(%)
令和5年度(2023年度)39.7%
令和4年度(2022年度)42.2%
令和3年度(2021年度)31.3%
令和2年度(2020年度)43.7%
令和元年度(2019年度)48.6%

出典:技術士第一次試験 統計情報|公益社団法人 日本技術士会

なお、令和4年度のアガルートの技術士試験講座の受講生の一次試験の合格率は60%で、全国平均の1.43倍となっています。

技術士第二次試験の合格率は10%台です。それと比べると、第一次試験の難易度は高くないと言えます。

しかし、年度によって合格率にばらつきがあることから、試験勉強を気軽に考えすぎると合格できない可能性も十分に考えらえます。

一次試験合格に必要な勉強時間の目安

合格するために必要な勉強時間は、これまでの技術的な知識の蓄積などで変わるため一概には言えませんが、ここでは、次のような条件で勉強時間を見積もります。

  • 第一次試験の過去問題の理解を中心に勉強する
  • 過去問題1問の内容の理解に必要な時間を1時間とする
  • 1日の勉強時間を、平均して2時間とする

1年分の過去問題の問題数は、基礎科目30問、適正科目15問、専門科目35問です。
よって、1問の理解に1時間かかるとすると、1年分の 過去問題の勉強には、30 + 15 + 35 = 80時間が必要です。

合格するためには、少なくとも直近5年程度の過去問題の理解が必要とすると、400時間の勉強が必要と見積もれます。

400時間は、1日に確保できる時間を2時間とすると、400時間/2時間 = 200日(約6ヶ月半)の日数が勉強期間の目安になります。

一次試験の勉強方法1. 勉強を始める前準備

それでは、具体的な勉強方法を解説します。

技術部門と専門科目の対応を参考に、受験する技術部門を決めます

通常、学校や職場で最も接する機会が多い技術に関連する技術部門を選ぶことになるでしょう。

受験する技術部門を決める時には、第一次試験の免除規程を合わせて確認しておきましょう。一部の技術部門は、他の国家資格に合格していると専門科目の受験が免除されます。

用意する資料

第一次試験の勉強で用意するものは、過去問題と過去問題の解説テキストです。
それぞれについて以下に解説します。

過去問題

第一次試験の過去問題と正答は、技術士試験を実施している日本技術士会のホームページから無償でダウンロードできます。

ホームページには、現時点で直近の令和4年度から平成23年度までの過去問題が掲載されています。
平成25年より前の過去問題は、試験方法の改正で基礎科目の出題分野に若干の違いがあるので注意が必要です。

過去問題の解説テキスト

日本技術士会のホームページからダウンロードできる過去問題の正答は、マークシートの番号が記載されているだけで、問題の解説は一切ありません

このため、過去問題がその答えになる理由については、インターネットの検索や市販の過去問題の解説テキスト等で調べる必要があります。

解説テキストを選ぶときには、過去問題を解いてインターネットで検索しても理解が難しい問題をピックアップしてから、その問題を詳しく解説しているものを選ぶという方法をおすすめします。

関連コラム:技術士一次試験におすすめの過去問はどれ?選び方も解説

一次試験の勉強方法2. 科目ごとの勉強方法・ポイント

科目ごとの勉強のポイントについて解説します。

基礎科目

基礎科目は、科学技術全般にわたる基礎知識を確認することを目的として、次の5つの技術分野から出題されます。

  1. 設計・計画に関するもの(設計理論、システム設計、品質管理等)
  2. 情報・論理に関するもの(アルゴリズム、情報ネットワーク等)
  3. 解析に関するもの(力学、電磁気学等)
  4. 材料・化学・バイオに関するもの(材料特性、バイオテクノロジー等)
  5. 環境・エネルギー・技術に関するもの(環境、エネルギー、技術史等)

基礎科目は、出題範囲が広いことから、専門科目よりも対策が難しい科目とも言えますが、過去問題の類似問題も多く出題されます。

基礎科目の勉強は、まずは過去問題を解き、得意な技術分野と不得意な技術分野を把握する所から始めましょう。

基礎科目は5つの技術分野から出題されますが、合格することだけを考えた場合、5つのうちの3つの技術分野で8問を正解すれば合格です。

このため、自分が得意な3つの技術分野を優先的に勉強し、残りの2つの技術分野は勉強の優先度を下げるというのも一つの考え方です。

適性科目

「技術士法第四章(技術士等の義務) の規定の遵守に関する適性」を確認することが試験の目的ですが、実際には技術士法に限定されない広い範囲から出題されます。

特に、持続可能な開発目標(SDGs)、製造物責任法(PL法)、知的財産権、個人情報保護法、利益相反、内部告発といった内容については、法律や倫理観に関する問題が毎年のように出題されています。

適性科目で合格基準に達するには、過去問題の勉強を中心に、技術者倫理についての考え方を整理しておく必要があります。
適性科目には、常識的に考えて正しい答えがわかる問題もありますが、あまり勉強しなくても大丈夫だろうと考えていると合格基準に達しない結果になることも十分にあり得ます。

勉強時間に余裕があれば、理工学系の学会や協会が公開している倫理規定を確認したり、技術者倫理に関する書籍で基本的な考え方を理解しておくと過去問題の理解が深まるでしょう。

専門科目

専門科目は、受験申込時に選択した技術部門について、基礎知識と専門知識があるかどうかを問う問題が出題されます。

基礎科目や適性科目に比べてとりかかりやすく、理解が進みやすい科目と言えるかもしれません。

専門科目も過去問題の理解を中心に対策を行うことになりますが、解説テキストの入手性は技術部門でまちまちです。

受験者が多い建設部門などは、技術部門専用の解説テキストが販売されていますが、受験者が少ない技術部門は、専門科目の解説テキストが入手できない場合があります。

専門科目の解説テキストが入手できない技術部門では、他の民間資格や国家資格の過去問題の解説テキストを参考に勉強を進めるといった工夫が必要になります。

一次試験の勉強方法3. 勉強の進め方スケジュール

ここでは、例年10月中旬に実施される第一次試験の本番に向けて、約6ヶ月前から勉強を進める具体例を紹介します。

関連コラム:技術士試験日&申し込み方法完全ガイド!第一次・第二次試験日程は?

次のような進め方、スケジュールで勉強していくイメージです。

  1. 準備期間:1~2年分の過去問を解き、得意/不得意を把握する
  2. 各科目の勉強期間:各科目の勉強をする
  3. 仕上げの期間:復習中心に仕上げる

1.準備期間(5月)

まずは1〜2年分の過去問題を解き、自分の得意科目と不得意科目を把握します。

2.各科目の勉強期間(6月〜9月)

勉強する科目の計画を立て、過去問題の理解を中心に勉強を進めます。
1ヶ月といった長い単位で特定の科目を重点的に勉強するよりも、週単位で勉強する科目を変えたり、曜日で勉強する科目を変えたりする方が記憶の定着がよいでしょう。

勉強がある程度進んだ段階で、各科目で50%以上の得点を取ることができそうかを定期的に自己採点し、苦手な科目の過去問に取り組む時間を増やしたり、理解が進んだ科目の優先度を下げたりといった科目に割り当てる勉強時間の調整を行いましょう。

3.仕上げの期間(10月〜試験本番)

実際の試験時間内で、各科目の指定問題数を解くことができるかどうかを意識して過去問題を復習します。体調管理も大切です。
本番で最高のパフォーマンスが発揮できるように睡眠や食事などに気を付けましょう。

一次試験の勉強方法4. 合格するためのポイント

最後に、合格するためのポイントをいくつか紹介します。

勉強の基本は過去問題の理解

第一次試験の勉強は、過去問題を解いて内容を理解することが基本です。

過去問題の内容と使用されているキーワードを整理し、出題頻度の高い問題やその類似問題から重点的に勉強するのがおすすめです。

過去問題は、時代の流れに合わせて毎年少しずつ変わっていくため、最新のものから順にとりかかるようにしましょう。

50%以上の合格できることを念頭に置く

限られた時間の中で特定の科目だけに集中して勉強していると、気がついた時には試験本番の直前で他の科目の理解がほとんど進んでいないといった事態になりかねません。
すべての科目で50%以上を得点することを常に意識しながら、各科目の勉強を進めましょう。

ただし、最初から50%以上の得点ぎりぎりのラインを目標にすると、本番で50%に届かない可能性が高くなるので注意が必要です。
どの科目も、少なくとも5年分程度の過去問題とその類似問題をほぼ解けるように勉強しましょう。

本番の試験時間を意識した時間配分

勉強を始めて日が浅い時期から意識する必要はありませんが、ある程度勉強が進んだ時期からは本番の試験時間を意識して過去問題を解くようにしましょう。

基礎科目と適性科目の場合、1時間で15問を解答することになるので、1問あたり4分しか考える時間がありません。
専門科目の場合、25問を2時間で解答するので、1問あたり4.8分です。
実際の試験では、マークシートの記入を見直しするための時間なども必要になるので、1問の解答に確保できる時間はさらに短くなります。

本番での流れを考えた勉強

試験本番では、試験問題を問題番号の順で解答する必要はありません。

全体を眺めてから、知っていれば解ける知識問題をまず解答し、時間がかかりそうな計算問題は後回しにするといった流れを考えながら勉強を進めるようにしましょう。

なお、一次試験で不合格になる受験者の多くは、適正科目で失点することが多いです。次に基礎科目を構成する1.2.3.で得点できない方も多いです。これも覚えておくとよいでしょう。

まとめ

第一次試験は、すべての科目で50%以上を得点することを念頭におきながら、各科目の過去問題をバランスよく勉強すれば合格できる試験です。

第一次試験は技術士になるための通過点に過ぎません。一度の受験で合格して、第二次試験の準備に進みましょう。

令和4年度受講生の合格率
一次試験60.00%(全国平均の1.42倍)、二次試験77.78%(全国平均の6.65倍)!

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この記事の監修者

日比 幸人 講師

北海道大学卒業後,工業用界面活性剤と食品油脂を製造する会社のプラントマネジャーを経て,大手製薬会社系列食品会社で食品素材の研究・開発ならびにテクニカルサービス業務を経験。


1994年に独立し,技術コンサルタント会社を創業,現在に至る。


平成28年,技術士(経営工学部門と総合技術監理部門を併願)試験を受験し,合格。

平成29年3月2部門同時登録。同年から技術士試験受験指導にも携わり,先達の導きもあり,4年間で数十名の受験生を支援する。

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