技術士とは?受験資格・仕事内容・技術士になるまでの流れを解説
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技術士という資格を聞いたことがあるでしょうか?「技術士」という言葉から、何らかの技術に関係する資格のようだということはわかるけれども、はっきりとした資格の内容はよく知らないという方も多いかもしれません。
このコラムでは、技術士の資格と仕事の内容、受験資格や試験内容、技術士になるための方法について紹介します。
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目次
技術士とは
技術士とは、高度な技術的知識と高い技術者倫理を備えていることが国によって認められた技術者です。
技術者としての専門知識だけではなく、「社会のためになることをする」といった技術者倫理を備えていることが技術士の大きな特徴です。
技術士になるには、文部科学省所管の国家試験に合格し、登録する必要があります。
技術士制度は、次の要件を満たす優れた技術者の育成を図るための国による資格認定制度です。
- 科学技術に関する技術的専門知識、高等の専門的応用能力、豊富な実務経験があること
- 公共の安全、環境の保全といった公益を優先する高い技術者倫理を備え、継続的な資質向上に努める責務を有していること
技術士の部門一覧
大学の工学部に機械系学科や電気・電子系学科があるように、技術士資格も専門性に応じて21の技術部門があります。
- 機械部門
- 船舶・海洋部門
- 航空・宇宙部門
- 電気電子部門
- 化学部門
- 繊維部門
- 金属部門
- 資源工学部門
- 建設部門
- 上下水道部門
- 衛生工学部門
- 農業部門
- 森林部門
- 水産部門
- 経営工学部門
- 情報工学部門
- 応用理学部門
- 生物工学部門
- 環境部門
- 原子力・放射線部門
- 総合技術監理部門
技術士という名称だけでは、その技術士がどのような分野の専門家なのかわかりません。
このため、技術士という名称を使用するときには、「技術士 化学部門」、「技術士 経営工学部門」といったように、必ず技術部門を明示することが義務付けられています。
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技術士の主な仕事とは?
技術士の多くは、一般企業や省庁、地方公共団体などに所属して、専門とする技術分野に関する計画、研究、 設計、分析、試験、評価等またはこれらに関する指導の仕事をしています。
技術士事務所を立ち上げて自営を行う技術士は、発展途上国での技術指導、裁判所や損保会社の技術調査、小学校の総合学習の講師や地域防災活動など様々な形で技術に関係する仕事をしています。
どんな人が技術士になるの?
技術部門別の技術士の登録者数を見ると、約45%が建設部門、次いで総合技術監理部門、上下水道部門、 機械部門、電気電子部門となっています。
技術士の勤務先は、約79%が一般企業等(コンサルタント会社を含む)、約12%が官公庁等、約8%が自営の技術士となっています。
技術士の受験資格と技術士になるまでの流れ
技術士になるにあたり年齢、学歴、国籍といった制限は一切ありません。
学生や働きながら技術士を目指す人はもちろん、科学技術に関する自分の知識水準を試したい人など、誰でも受験することができます。
ただし、後述する第二次試験を受験するには、業務経験が必要になります。
技術士になるまでの流れと、必要な業務経験など技術士の受験資格について解説します。
技術士になるまでの流れ
技術士になるための一般的な流れは次のとおりです。
第一次試験に合格(文部科学大臣が指定した教育課程の修了者は免除)→定められた実務経験 → 第二次試験に合格 → 登録 → 技術士
第一次試験に合格、またはJABEEという文部科学大臣指定の教育課程の修了後、定められた実務経験を積んだのちに登録の手続きを行うと技術士になることができます。
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技術士第一次試験の受験資格・試験の内容
第一次試験は、科学技術全般の基礎的な知識と技術士としての適性を判定するための試験です。
第一次試験には受験資格の制限がありません。年齢や実務経験の有無など関係なく、誰でも受験することができます。
試験は1年に1回実施されます。
試験科目は、基礎科目、適性科目、専門科目の3科目です。
試験の方法は、マークシートによる択一方式です。
基礎科目と適性科目は、すべての部門で問題が共通ですが、専門科目については、受験時に選択した技術部門別の問題が出題されます。
なお、大学等で指定された教育課程(JABEE認定コース)を修了している場合は、第一次試験の受験が免除されます。
第一次試験に合格した人、またはJABEEを修了した人は「修習技術者」となります。
また、技術士補登録をして、技術士補と名乗ることもできるようになります。
技術士補について詳しくはこちら▶
第二次試験の受験資格・試験の内容
第二次試験は、技術士として必要な専門的知識や応用能力を判定するための試験です。
技術士となるために必要な専門的学識および高等の専門的応用能力を有するかどうかを判定する試験で、第一次試験よりも難易度は大きく上がります。
第二次試験の受験資格
第一次試験とは異なり、第二次試験には受験するために満たすべき条件があります。
第一次試験に合格するか、指定された教育課程を修了した者は修習技術者となり、一定期間の科学技術に関する実務経験を積むことで、ようやく第二次試験の受験資格が得られれるのです。
必要な実務経験は次表の通りです。
[1] | 技術士補として登録し、指導技術士の下での4年を超える実務経験(総合技術監理部門の場合は7年) |
[2] | 職務上の監督者の下での4年を超える実務経験修習技術者となった後の経験のみ算入できる(総合技術監理部門の場合は7年) |
[3] | 7年を超える実務経験修習技術者となる前の経験も算入できる(総合技術監理部門の場合は10年) |
[1]~[3]のいずれの場合についても、大学院(理系に限る)修士課程に在学していた人などは、2年を限度としてその期間も実務経験の期間に算入することができます。
また、[1]と[2]の実務経験は合算することもできます。
[3]については、修習技術者となる前の経験も算入できます。
つまり、第一次試験合格時に既に7年の実務経験を有している人は、直ちに第二次試験の受験資格を得ることができるのです。
そのため、実際には全体の受験者の内95%もの人が、[3]の7年を超える実務経験をもって第二次試験を受験しているというデータがあります。
特に[1]の、技術士補として登録して、技術士の下で実務経験を積むことで第二次試験を受験する人は1.2%とごくわずかとなっています。
技術士を補佐しつつ技術士になることを目指すという、技術士補の制度上の目的を実現できていないことから、技術士補の制度を廃止することも検討されているようです(第一次試験が廃止されるという意味ではありません)。
第二次試験の内容について
なお、第一次試験と第二次試験は、同じ技術部門で受験する必要はありません。
例えば、第一次試験は情報工学部門で受験して合格し、第二次試験は電気部門で受験するといった組み合わせも可能です。
第二次試験の試験内容は、筆記試験(必須科目と選択科目)と口頭試験です。
総合技術監理部門で受験する場合は、必須科目と選択科目があり、すでに技術士登録をしている受験者は、受験申込時に免除願いをすることで、必須試験のみとなります。
必須試験は、択一式と記述式試験からなります。
総合技術監理部門の選択科目は、登録をしている技術部門とその選択科目になります。
筆記試験では、専門技術に関する出題に対して、600字詰試験用原稿用紙に長文の答案を作成します。
筆記試験に合格すると、口頭試験を受けることができます。
口頭試験は、技術士としての適格性を判定するための試験です。
筆記試験と口頭試験の両方に合格すると、第二次試験合格となります。
なお、筆記試験に合格して口頭試験に不合格となった人が再受験する場合においても、筆記試験は免除されません。再び筆記試験から受験する必要があります。
なお、二次試験の難易度は一次試験より格段に上がります。
一次試験・二次試験、部門別難易度についてはこちら▶
第二次試験に合格したら、登録して技術士に
第二次試験に合格後、登録することで技術士になります。
登録とは、公益社団法人日本技術士会に登録の申請を行い、技術士登録簿に登録されることを意味します。
技術士登録簿に登録されると、技術士という名称を使用することができるようになります。
まとめ
技術士は、国によって認められた技術者の名称です。
高度な専門知識と高い倫理性を備えた技術士は、世界中で進められているSDGs(持続可能な開発目標)でも積極的な取り組みを行っています。
技術士試験の受験には、年齢や国籍などの制限はありません。
技術士に興味がある方は、第一次試験から挑戦してみてはいかがでしょうか?通信講座を利用して効率的に試験対策を行うのもお勧めです。
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この記事の監修者
北海道大学卒業後,工業用界面活性剤と食品油脂を製造する会社のプラントマネジャーを経て,大手製薬会社系列食品会社で食品素材の研究・開発ならびにテクニカルサービス業務を経験。
1994年に独立し,技術コンサルタント会社を創業,現在に至る。
平成28年,技術士(経営工学部門と総合技術監理部門を併願)試験を受験し,合格。
平成29年3月2部門同時登録。同年から技術士試験受験指導にも携わり,先達の導きもあり,4年間で数十名の受験生を支援する。
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