技術士資格について調べていると、技術士補という言葉を目にすることがあると思います。
技術士と名称が似ている技術士補とは一体どのような資格なのでしょうか。

このコラムでは、技術士補について、また技術士と技術士補の関係や技術士補になるための方法を解説します。

令和4年度受講生の合格率
一次試験60.00%(全国平均の1.42倍)、二次試験77.78%(全国平均の6.65倍)!

資料請求で無料プレゼント!
・サンプル(お試し版)テキスト
・技術士試験のすべてがわかるガイドブック
・サンプル講義動画:計 約70分

1分で簡単無料体験(会員登録→お申込み→視聴)!

20日間無料で講義を体験!

技術士補とは?基本のおさらい

技術士補は、技術者のための国家資格の一つです。
「補」という字からわかるように、技術士補は技術士の業務を補助する技術者のための国家資格といえます。

技術士補になるには

技術士第一次試験に合格した方、もしくは技術士法第31条の2第2項の規定により、文部科学大臣が指定した大学その他の教育機関における課程(JABEE認定課程)を修了した方は「修習技術者」となり、所定の手続きをすることで技術士補の資格が付与されます。
所定の手続きとは、公益社団法人日本技術士会に登録の申請をし、技術士補登録簿に必要な事項の登録をすることです。

修習技術者が公益社団法人日本技術士会に技術士補登録の申請を行うと、技術士補になることができます。

Point:修習技術者(第一次試験合格者とJABEE修了者)が技術士補登録することで技術士補となる

「技術士補の勉強時間は?」という疑問をお持ちの方がいらっしゃいますが、「技術士補試験」のようなものはなく、技術士補は上記の流れでなるものです。

技術士補の資格は、その人が技術士になったときに効力を失います。

技術士補になるときには、業務を補助する技術士(指導技術士)の名前も合わせて登録します。

なお、有資格者が、技術士補の登録を受ける前に「技術士補」という名称を使用した場合には、罰則が適用されます。

技術士と技術士補の違い

技術士は、高度な技術と高い技術者倫理を兼ね備えていることを国が認めた技術者です。
技術士は、登録した技術部門について、技術士の名称を用いて業務を行うことができます。

技術士補は、指導技術士の下で業務を補助しながら、技術士になるための実務経験を積んでいる技術者です。

関連コラム:技術士とはどんな資格?受験資格・仕事内容・技術士になるまでの流れを解説

技術士補の試験

技術士補になるための特別な試験はありません。修習技術者になれば、所定の登録を経て、技術士補になることができます(繰り返しとなりますが修習技術者とは、技術士第一次試験に合格するか、認定された教育課程(JABEE認定課程)を修了した人を指します)。

技術士補の必要性

修習技術者が技術士になるには、第二次試験に合格する必要がありますが、第二次試験には受験資格があります。
受験資格として、次の3ついずれかの実務経験が必要になるのです。

技術士第二次試験の受験資格

  1. 技術士補に登録し、指導技術士の下で4年(総合技術監理部門を受験する場合は7年)を超える期間の実務経験を積む
  2. 優れた指導技術者の下で4年(総合技術監理部門を受験する場合は7年)を超える期間の実務経験を積む。指導技術者は一定の要件を満たせば技術士でなくても良い。
  3. 7年を超える期間(総合技術監理部門を受験する場合は10年)の独自の実務経験を積む

このように、技術士補として実務経験を積む1.の方法以外にも、技術士以外の技術者の下で実務経験を積む2.の方法や、独自に実務経験を積む3.の方法があります。

技術士になることを目的とした時に、技術士補になるのは技術士になるためのルートの1つといえるでしょう。

つまり、技術士になるために技術士補になることは、必須ではないのです。

関連コラム:技術士二次試験の概要まとめ!受験資格・科目配点・合格基準までわかりやすく解説

技術士補 制度の目的は?

技術士補の登録が必須でないなら、なぜ技術士補という制度があるのでしょうか。

その理由としては、OJT(On the Job Training)や技術の承継が理由として考えられます。

つまり、技術士になるための実務は、同一部門の技術士の業務を補助することで経験するのが最適という考えです。

同一部門の技術士の業務を補助しながら実務経験を積むことで、技術士第二次試験の筆記試験や口頭試験で必要とされる技術士としての考え方や倫理観が自然と身につくことが期待できます。

また、受ける側からすると、実務経験の期間を4年に短縮できることが技術士補に登録するメリットといえるでしょう。

技術士補登録の手続き方法

技術士補登録をするには、補助しようとする技術士(同一技術部門の技術士に限る)の氏名/事務所の名称・所在地等を明記する必要があります。

そのため、まず業務を補助する同一部門の指導技術士を見つける必要があります。

次に、どのような業務を補助するのかを指導技術士と相談して決めます。

指導技術士と補助する業務が決まれば、次の流れで技術士補の登録の手続きを行います。

1.登録申請書の作成と添付書類等の準備

登録申請書に必要な書類を揃えます。申請書等の様式は、日本技術士会のホームページからダウンロードすることができます。

【手続きに必要な書類】

・技術士補登録申請書
登録申請書は、第一次試験合格者用JABEE認定課程修了者用があります。
該当する方の登録申請書に記入を行い、登録免許税として15,000円の収入印紙を貼り付けます。

・補助しようとする技術士の証明書
指導技術士に、技術士であることの証明書を記入してもらいます。

・登録証発送用宛名ラベル
日本技術士会から技術士補登録証を郵送してもらう時の宛名ラベルを記入します。

次の2点は、該当者のみ用意が必要な書類です。

同意書
技術士補の申請者と指導技術士の勤務先が異なる場合は、技術士補申請者が勤務する会社等の同意書が必要になります。

・指定された教育課程を修了したことを証する書類(JABEE認定課程のみ)
JABEE認定課程修了者は、修了したことを証明する書類(JABEE修了証のコピー等)が必要です。第一次試験合格者の場合は不要です。

2.登録手数料の納付

登録するための手数料6,500円を指定された口座に振り込みます。

振り込みを証明するために、振り込みの明細表等を登録申請書に貼り付けます。

3.申請書類の提出

申請書類を日本技術士会に簡易書留郵便で送付します。

【送付先】
公益社団法人日本技術士会 技術士試験センター 登録係
〒105-0011 東京都港区芝公園3丁目5番8号 機械振興会館4階
出典:技術士補登録の手引き

郵送した申請内容は、日本技術士会で審査が行われた後、技術士補登録簿に登録されます。登録後に技術士補登録証が日本技術士会から郵送されます。

技術士補はなくなる?技術士補の今後Q&A

技術士補について情報収集をしていると、「技術士補はなくなる」という話を耳にすることがあると思います。

そこで今回は、アガルート技術士講座を担当している日比講師に質問してみました。

Q.「技術士補がなくなる」といわれる理由を教えてください。

A.修習技術者(1次試験合格者)と立場が同じだからです

技術士補資格の存在意義が議論されています。
それは技術士補が軽視されたり、意味がないのではなく、修習技術者と同じ立場だからです。
同じ立場とは、第二次試験の受験資格(別に所定の実務経歴が必要です)を技術士補でなくとも、修習技術者で満たすからです。

技術士補ルートで技術士になるのは少数派?

特定技術分野に特化した業務を担う修習技術者や、指導技術士に専門的に指導を願う修習技術者は、技術士補の登録を行うことで実践的な指導を受けながら、専門性を磨き、受験資格を満たすことができます。
企業内修習技術者は、企業内実務経験を経て、受験資格を取得し、第二次試験を受験するルートが多くなっています。
技術士補以外のルートで第二次試験を受験する方が多数ですが、技術士補のルートで受験する方もいらっしゃいます。
また、どの立場で受験しても同じです。 

指導者(指導技術士)は少ない?

技術士補登録のために指導技術士を選ぶことは大変です。
みなさんの身近に指導技術士が見当たらない場合は、公益社団法人日本技術士会へ紹介依頼を問い合わせてください。
居住地や条件に近い技術士を紹介してくれます。

Q.技術士補は今後どうなっていく可能性が高いでしょうか?

A.「二次試験受験資格者」として、統廃合の可能性があります。

先にも述べましたが、第二次試験は、第一次試験の合格(もしくはJABEE修了者)が所定の実務経験を積むことにより受験することができます。必ずしも技術士補に登録する必要はありません
技術士補の登録に関しては、公益社団法人日本技術士会のホームページにも「第二次試験の受験に技術士補の登録は必要ない」ことが記されています。
どのルートでも第二次試験の受験時に必要な実務経験の証明ができればよいわけです。
今後、技術士補の立場は、自分の専門とする技術分野の技術士に指導を受け、時間をかけてじっくり研鑽を積むことの意味合いが強くなるでしょう。 

技術士補の登録期間などの変更はある?

技術士補の立場が変更になる場合は、登録期間の変更もあり得ます。しかし現時点では、立場と役割について、技術士試験制度の在り方の一項目として審議されているようです。

修習技術者の名称が変更される可能性はある?

技術士補の立場が変更になる場合は、修習技術者やJABEE修了者の立場も変更になると考えます。
将来的には、「第二次試験受験資格者」として、修習技術者やJABEE修了者と統合され、別の名称になる可能性があります。
名称の変更などがある場合でも、事前に公益社団法人日本技術士会のホームページで告知後、周知期間を経て変更されます。

指導技術士の見直しの可能性は?

技術士補を指導する技術士の役割から、第一次試験合格者・JABEE修了者(修習技術者)に対する専門科学技術や特定領域の指導をする技術士の役割に変わると考えています。
筆者は、経営工学部門と総合技術監理部門の技術士です。理工系大学で第一次試験の一部科目の授業時間外指導をしています。また初学技術士を含め、修習技術者、JABEE修了者に対しても、専門技術のみでなく、技術者倫理も指導しています。

我々技術士は、技術士補の指導に加え、刻々と変化する世間の要求にこたえるよう変わっていきます。

令和4年度受講生の合格率
一次試験60.00%(全国平均の1.42倍)、二次試験77.78%(全国平均の6.65倍)!

資料請求で無料プレゼント!
・サンプル(お試し版)テキスト
・技術士試験のすべてがわかるガイドブック
・サンプル講義動画:計 約70分

1分で簡単無料体験(会員登録→お申込み→視聴)!

20日間無料で講義を体験!

この記事の監修者

日比 幸人 講師

北海道大学卒業後,工業用界面活性剤と食品油脂を製造する会社のプラントマネジャーを経て,大手製薬会社系列食品会社で食品素材の研究・開発ならびにテクニカルサービス業務を経験。


1994年に独立し,技術コンサルタント会社を創業,現在に至る。


平成28年,技術士(経営工学部門と総合技術監理部門を併願)試験を受験し,合格。

平成29年3月2部門同時登録。同年から技術士試験受験指導にも携わり,先達の導きもあり,4年間で数十名の受験生を支援する。

日比講師の紹介はこちら

技術士試験講座を見る