令和3年度(2021年度)の賃貸不動産経営管理士試験の合格率は31.5%でした。
結論から言うと、他の不動産関連資格と比べると賃貸不動産経営管理士試験の難易度はそこまで高いものではありません。
ただし、平成30年度(2018年度)まで50%ほどであった合格率が約30%になっており、国家資格化に伴って合格率および難易度は上がってきているのが現状です。今後はさらに試験が難しくなることが予想されます。
今回のコラムでは、他資格と比較しながら賃貸不動産経営管理士資格の難易度をランキング形式でご紹介します。
目次
賃貸不動産経営管理士試験の合格率の推移
令和3年度の賃貸不動産経営管理士試験は、2021年11月21日(日)に実施されました。
受験者数32,459名に対して、合格者は10,240名となり、合格率は31.5%という結果になっています。
改めて、令和3年度までの賃貸不動産経営管理士試験の合格率推移を確認してみましょう。
年度 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
平成25年 | 4,106名 | 3,946名 | 3,386名 | 85.80% |
平成26年 | 4,367名 | 4,188名 | 3,219名 | 76.86% |
平成27年 | 5,118名 | 4,908名 | 2,679名 | 54.58% |
平成28年 | 13,862名 | 13,149名 | 7,350名 | 55.89% |
平成29年 | 17,532名 | 16,624名 | 8,033名 | 48.32% |
平成30年 | 19,654名 | 18,488名 | 9,379名 | 50.73% |
令和元年 | 25,032名 | 23,605名 | 8,698名 | 36.8% |
令和2年※ | 29,591名 | 27,338名 | 8146名 | 29.5% |
令和3年 | 35,553名 | 32,459名 | 10,240名 | 31.5% |
※令和2年度より、問題数が全40問から全50問となりました。
前述の通り、賃貸不動産経営管理士試験の合格率は、平成30年までは50〜60%で推移していました。
しかし、令和元年度(2019年度)の試験結果を見てみると、合格率が36.8%と減少しています。さらに令和2年度(2020年度)からは30%程度となっています。
令和元年度に合格率が下がったのは、賃貸不動産管理業務が登録制になるのに伴い、申込者数が上昇したことが主な要因であると考えられます(申込者数が約6,000名ほど増えているにも関わらず、合格者数が前年度に比べ700名程度しか変化していません)。
申込者数が増加した要因は、賃貸不動産経営管理士の国家資格化に向けて試験制度の変更等が令和2年度(2020年度)から行われることに伴う、いわゆる“駆け込み受験”です。
合格率は下がっていますが、試験問題そのものにはそれほど大きな変更は見られず、他の国家試験と比べると、まだ高い合格率を維持しています。合格率を比べてみましょう。
合格率で見る賃貸不動産経営管理士試験 難易度ランキング
不動産に関連する資格と賃貸不動産経営管理士の合格率を比べ、難易度をランキング化すると、下記のようになります。
順位 | 資格名 | 合格率 | 受験資格 |
1 | 不動産鑑定士 | 5%前後 | なし |
2 | マンション管理士 | 8~9% | なし |
3 | 一級建築士 | 8~12% | あり |
4 | 土地家屋調査士 | 8~10% | なし |
5 | 宅建 | 15~17% | なし |
6 | 管理業務主任者 | 20~23% | なし |
7 | 賃貸不動産経営管理士 | 30%前後 | なし |
これら不動産系の資格試験と比べてみても、賃貸不動産経営管理士試験はまだまだ合格しやすい資格といえます。
もちろん、試験に向けてしっかりとした準備をしていく必要があるのは間違いありません。
ちなみに、一級建築士は合格率が二桁となっていますが、大学・短期大学・高等専門学校・専修学校等において指定科目を修めて卒業した者、または二級建築士といった厳しい受験資格があります。
他資格と比べ、受験段階ですでにある程度の実力・知識が必要なことから、合格率以上に合格難易度は高いといえるでしょう。
勉強時間で見る賃貸不動産経営管理士の難易度ランキング
続いて、合格に必要とされる勉強時間をもとに賃貸不動産経営管理士の難易度を見ていきましょう。
順位 | 資格名 | 勉強時間(約) |
1 | 不動産鑑定士 | 3,000時間 |
2 | 一級建築士 | 1,000~1500時間 |
3 | 土地家屋調査士 | 1,000時間 |
4 | マンション管理士 | 500時間 |
5 | 宅建 | 300時間 |
6 | 管理業務主任者 | 300時間 |
7 | 賃貸不動産経営管理士 | 100時間 |
はじめて資格取得に挑戦する方が賃貸不動産経営管理士試験に合格するには、最低約100時間の勉強が必要だといわれています。
関連コラム:賃貸不動産経営管理士の勉強時間は?独学&経験者の目安と具体的な学習スケジュール
このことからも賃貸不動産経営管理士は、不動産関連の資格のなかでは挑戦しやすい資格といえるでしょう。
賃貸不動産経営管理士の難易度がそこまで高くない理由
賃貸不動産経営管理士試験には、筆記の解答が求められる問題(記述式)は出題されず、マークシート形式による解答が求められる問題(択一式)のみ出題されます。
試験の形式を見る限り、比較的取り組みやすい試験ですよね。
また試験問題の内容も、公式テキストが発売されることからも明らかなように、出題範囲もはっきりとしています。
試験で問われることも、賃貸不動産管理業務を行うにあたって知っておくべき基本的な事項が中心です。
もっとも、基本的な事項と言っても専門知識であることは間違いありませんから、ちょっと勉強したくらいですぐに自分のものになるほど易しくはありません。
それに、合否判定基準も試験全体の約70%強とされているため、ケアレスミス等の取りこぼしが許されません(令和3年度は80%でした)。
以上から、問題自体はそれほど難しくはないものの、基本的な事項の取りこぼしは許されない試験であるというのが、賃貸不動産経営管理士試験の特徴と言えるでしょう。
油断大敵、合格に向けてしっかりと準備を進めていきましょう。
合格するために抑えておきたいポイント
賃貸不動産経営管理士試験に合格するために、これから受験される皆さんに知っておいていただきたいポイントを簡単にご紹介しておきたいと思います。
- テキストに出てくる様々な専門用語の意味を理解しながら記憶していくようにしましょう。
- 過去の試験問題(過去問)を用いて、問題を解く機会(問題演習)を積極的に設けましょう。
- 最初からすぐにできるようにはなりません。粘り強く1つ1つの事柄を、じっくりしっかりと学んでいきましょう。
また、勉強時間を把握し計画的に学習をすすめていくことも重要です。
国家資格化し、今後はさらに難易度が上がる可能性が高い
賃貸不動産経営管理士は令和3年(2021年)4月、国土交通省令にて国家資格となりました。
「賃貸不動産経営管理士」という資格を有している=国により能力が保証された専門家ということですから、試験に求められる役割はより一層高まります。
ご紹介した通り令和元年度から試験の合格率は下がっていますが、国家資格となったことなどを考慮すると、賃貸不動産経営管理士試験は、今後難易度が上昇してくる可能性が高いでしょう。
難易度が上昇することによって、以下のようなことが起きる可能性があります。
- 個数問題(各選択肢すべての正誤を判断しないと正解にたどり着けない問題のこと)が出題され、全体的に正解しづらくなる
- これまでの試験では問われてこなかったような内容が問われるようになり、より一層公式テキストの内容を熟知しておく必要がある(ちなみに、公式テキストは約1,000ページあります。専門知識の解説書が1,000ページあるということです。)
難易度が上昇するのに伴い、合格のための準備もまた難しくなっていく可能性が高いです。
比較的取り組みやすい段階で、しっかりとした準備を行ったうえで、早々に合格しておきたいですね。
賃貸不動産経営管理士試験合格を目指すならオンライン講座がおすすめ
働きながら賃貸不動産経営管理士試験の合格を目指すなら、オンライン講座がおすすめです。
令和3年度賃貸不動産経営管理士試験合格者の平均年齢は、42歳でした。
賃貸不動産経営管理士試験を受験する大半が、日中は働きながら資格を取得しているということです。
とはいえ、仕事と勉強の両立はなかなか難しいもの。
仕事から疲れて帰ってきた後は、勉強する気が起きず思い通りに勉強を進められないことも少なくありません。
賃貸不動産経営管理士試験は難易度が低めですが、無理なく継続的に勉強を進められるスケジュール管理も大切です。
特に資格取得がはじめての場合、「どうやって勉強すれば良いのかわからない」「正しく成果に向かっているのだろか」など不安になることもあるでしょう。
オンライン講座なら、受講中にわからないことがあれば講師に質問できるため理解を深めながらの勉強が可能です。
インプットとアウトプットがスムーズになれば、学習効率もアップします。
まとめ
賃貸不動産経営管理士試験は、他資格と比較すると合格のハードルはそこまで高くないといえます。
しかし、働きながらの受験であることを考えると、決して簡単な試験とはいえません。継続的かつ効率的な学習が必要不可欠です。
独学での合格も不可能ではありませんが、効率よく短期で合格を目指すためにも、ぜひオンライン講座の受講を検討してみてください。