弁理士試験合格を目指そうと決めたら、次はどうやって勉強するかを検討する必要があります。

弁理士試験の合格率は例年6~10%程度です。こうした難関の試験ですから、勉強法を誤ると長期間の受験勉強を強いられることにもなりかねません。

弁理士試験において正しい勉強法に沿って勉強することは合格への重要な要素です。

弁理士試験の勉強法には大きく分けて2つの方法があります。一つは、市販の参考書などを使って自分で勉強する独学と呼ばれる方法です。

もう一つは、資格試験予備校に通って勉強する方法です。勉強を始めようと思った場合に多くの方がどちらの方法で勉強しようか悩むと思います。

今回は、弁理士試験合格に独学は無理なのかについて、弁理士がわかりやすく回答いたします。

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独学で弁理士試験合格は無理と言われる4つの理由

結論から申し上げますと、弁理士試験に独学で合格するのは無理とは言いませんが、非常に難しいと考えた方が良いでしょう。

その理由としては、以下のように大きく分けて4つの理由が挙げられます。

①法律用語が難しい

弁理士試験の試験科目は特許法や商標法などの法律科目であり、法律用語を理解する必要があります。

これまで全く法律を学んだことのない人にとって法律用語は難解であり、理解するのに非常に時間がかかります。

また、独学の場合間違いを正してくれる第三者がいないため法律用語の意味を誤って理解してしまう場合もあります。

②参考書が少ない

弁理士試験は市販の受験参考書や問題集が他の資格試験と比べて少ないです。

よって独学では試験合格に必要な情報を網羅できない可能性があり、さらに本に載っていることが試験合格に必要な情報かどうかも自分で判断しながら勉強しなければなりません。

※関連コラム:弁理士試験対策に役立つおすすめ参考書

③自分の論文答案が合格答案か判断できない

弁理士試験にはマークシート形式の短答式試験と論述形式の論文式試験がありますが、論文式試験はマークシートの答えのように、絶対的な答えというものは存在しません。

一定の解答筋はあるものの、文章の表現の仕方や問いに対する考察の深さ等により点数が異なってきます。

自分が書いた論文について自分で客観的に合格答案かどうかを判断することは非常に難しく、独学での勉強を難しくしている大きな要因の一つです。

④独学で合格するのに2年以上必要

弁理士試験の難易度は非常に高いこと、さらに試験は年に1度しか実施されないため、通信講座や予備校に通って勉強した場合でも1年で合格できる人は限られています。

それを踏まえて、弁理士試験に独学で合格するとなると、少なくとも2年は必要と考えましょう。

中には独学で3~5年かけて弁理士試験に合格する人もいるようです。

合格に数年かかってしまうと、モチベーションんも落ちてきてしまうので、通信講座などで効率よく最短合格を目指すのがおすすめです。

独学で弁理士試験合格するための勉強法

弁理士試験の独学合格は、不可能ではありません。しかし、予備校を利用する受験生に比べ、「情報」「時間管理」「客観的評価」の面で圧倒的に不利な戦いを強いられることは、まず覚悟しなければなりません。

独学を選ぶということは、試験合格に必要なリソースをすべて自分で調達・管理する「個人事業主」になるようなものです。

ここでは、その厳しい道を乗り越え、独学で合格を勝ち取るために必須となる具体的な勉強法と戦略について解説します。

教材選定:「何をしないか」を決める勇気

独学者が最初に陥るワナは「教材の買いすぎ」です。不安から、評判の良い基本書、参考書、問題集を何冊も買い込んでしまい、どれも中途半端になるケースが後を絶ちません。

独学合格の鉄則は「教材の絞り込み」です。

  • 基本書(テキスト): 2~3冊評判の良いもの(通称「青本(工業所有権法逐条解説)」「コンメンタール」など本格的なものと、受験生向けの噛み砕いたテキスト)を比較検討し、「これ」と決めたら、最低でも5周は読み込む覚悟で浮気しないこと。
  • 法文集: 必須アイテムです。常に参照し、過去問で問われた条文をマーキングして自分だけの最強の法文集に育て上げます。
  • 過去問題集: 短答・論文ともに必須です。最低10年分は用意し、テキストと同様に「完璧に理解できるまで」繰り返します。

あれもこれもと手を広げるのではなく、「決めた教材を完璧に仕上げる」という覚悟が、独学者には何よりも求められます。

スケジュール管理:「完璧な計画」より「修正できる計画」を

予備校には「講義日程」という強制的なペースメーカーがありますが、独学者にはそれがありません。すべてが自己管理下に置かれます。

  • 長期計画(年単位): まず、合格する目標年度を決めます。そこから逆算し、「短答試験までに何を」「論文試験までに何を」という大枠のマイルストーンを設定します。
  • 中期計画(月単位): 「今月は特許法の短答過去問を一周する」「今月は論文の『型』を習得する」など、月単位の目標を具体化します。
  • 短期計画(週・日単位): 中期目標を達成するために、「今日やるべきこと」にまで落とし込みます。

重要なのは、計画は必ず遅れるという前提に立つことです。完璧な計画を立てるより、週の終わりや月の終わりに進捗を確認し、柔軟に計画を「修正」していく実行力が試されます。学習管理アプリやスプレッドシートで進捗を「見える化」するのも非常に有効です。

独学最大の壁:論文添削と口述対策をどう確保するか

独学における最大の難関が「論文式試験」「口述式試験」です。これらは、知識があるだけでは合格できず、「アウトプット(記述・応答)」の客観的な評価(=添削・模擬面接)が不可欠だからです。

  • 論文添削の確保
    • 最善策: 予備校の「論文添削コース」や「論文答練」だけを単科で受講することを強く推奨します。費用はかかりますが、合格者による客観的なフィードバックは、独学のデメリットを補って余りある価値があります。
    • 次善策: 合格者の知人・先輩に頭を下げてお願いする。または、X(旧Twitter)などで受験生仲間を見つけ、自主ゼミで互いの答案を読み合う(ただし、お互いが初学者の場合、的確な評価が難しいリスクはあります)。
  • 口述対策の確保
    • 論文合格後、多くの予備校が「口述模試」を安価または無料で提供することがあります。これらの情報は必ずキャッチアップし、積極的に利用しましょう。
    • 知識のインプットは独学でも可能ですが、「人前で」「緊張状態で」話す訓練だけは、一人では絶対にできません。

情報戦を制する:法改正のキャッチアップ法

予備校生は、最新の法改正や審査基準の変更点、試験の傾向などをまとめたレジュメを自動的に受け取れます。独学者は、この「情報戦」を自力で戦わなければなりません。

  • 特許庁のHP: 最も信頼できる一次情報源です。「法改正のお知らせ」「審査基準の改訂」などは、最低でも月に1回は巡回し、自分の学習内容に反映させる必要があります。
  • 受験生ブログ・SNS: 信頼できる合格者やベテラン受験生のブログ、X(旧Twitter)アカウントをフォローし、情報収集に役立てるのも手です。ただし、情報が玉石混交であるため、必ず一次情報(特許庁HPなど)で裏付けを取るクセをつけましょう。

モチベーション維持:孤独との戦い方

最後に、独学は「孤独との戦い」です。不安になったり、スランプに陥ったりした時、励まし合う仲間が身近にいません。

  • 学習の「見える化」: スケジュール管理とも重複しますが、自分が勉強した時間や、解いた過去問のページ数を記録し、「これだけやった」という事実を可視化することが自信につながります。
  • SNSの活用: 受験生仲間とSNS上で緩く繋がり、励まし合うのも有効です(ただし、他人の進捗を見て焦りすぎないよう注意が必要です)。
  • 予備校の模試の活用: 定期的に予備校の「全国公開模試」を受験しましょう。自分の現在の立ち位置(順位)を客観的に把握することで、モチベーションの起爆剤とすることができます。

独学での合格は、自分を厳しく律し、必要なリソースを貪欲に外部から取り入れる戦略性が鍵となります。覚悟を決めて、この難関に挑んでください。

弁理士試験を独学するのに向いている人

では、独学に向いている人はどのような人でしょうか。上記で説明したとおり弁理士試験に独学で合格することは一般的には非常に難しいですが、独学で勉強し合格するのに向いている人の特徴としては、以下の3つの特徴が挙げられると思います。

①法律をある程度学んだことのある人

法学部出身の方や法務部や知財部で働いている方は法律に関してある程度の素養があると思いますので、市販の参考書を一人で読みこなすことができる方も一定数いらっしゃると思います。

市販の参考書や基本書と呼ばれる学者の先生が書いた法律の教科書を読んでみてある程度理解ができるのであれば、独学は可能であるといえるでしょう。

②わからないことについて自分で調べられる人

弁理士試験の法律科目である特許法や商標法は法律に書かれている言葉の解釈が難しかったり複雑な規定が多く、独学で勉強している場合、自分一人では理解できない場合もあります。

そういった場合にインターネットで検索をしたり参考書の該当箇所を参照するなどして自分が求めている情報に独力でたどり着ける人は独学に向いていると思います。

③自分の文章を客観的に判断できる人

上記で説明したとおり、弁理士試験には論述形式の論文式試験があります。論文式試験対策の問題集は市販されているものもあるため、市販の問題集を使って独学することは一応可能です。

しかし、マークシートの短答式試験と異なり、自分の書いた論文答案が正しいか間違っているかの判断が難しいです。

問題集の解答例と照らし合わせて自分の論文答案の出来を客観的に判断できる人であれば独学は可能であると考えられます。

弁理士試験を独学するのに向かない人

一方で、独学で勉強し合格するのに向いていない人はどのような人でしょうか。

独学に向いていない人の特徴としては、以下の5つの特徴が挙げられると思います。

①法律を全く学んだことがない人

近年の弁理士試験統計によれば、弁理士試験の志願者は7割程度が理工系出身者であり、これまで法律を全く学んだことがない人も多いと思います。

法律を全く学んだことがない人にとって法律の条文や裁判所が出した判決文を一人で読みこなすことはハードルが高く、非常に時間がかかるほか、誤った理解のまま進んでしまうということも考えられます。

よって、法律を全く学んだことがない人は独学に向いていないといえるでしょう。

②わからないことが出てきたときに調べられない人

法律用語などでわからないことが出てきた場合にインターネットで検索をしたり参考書の該当箇所を参照するなどして自分が求めている情報に独力でたどり着けない人は、第三者のサポートが必要ですので、独学に向いていないといえるでしょう。

③モチベーションを保つことができない人

弁理士試験は試験範囲が広く、少なくとも半年から1年の勉強期間が必要となります。

勉強を始めようと思った当初はやる気に満ち溢れているものの、時間が経過するにつれて仕事が忙しくなったり学校の授業が忙しくなったりして試験勉強が思うように進まない時期も出てきます。

独学の場合、周りに受験仲間はいませんし、ペースメーカーとなってくれる講義もありません。

忙しいときでも自らを律してモチベーションを高く保てない人は挫折しやすい傾向にあるため、独学に向いていないといえるでしょう。

④法律の論文を書くことに慣れていない人

論文式試験では法律の論文を書く必要がありますが、法律の論文には一定の書き方があります。

法律論文の書き方がわからない人が我流で論文を書いてもなかなか上達しないため、法律の論文を書くことに慣れていない人は独学に向いていないといえるでしょう。

⑤年齢が30歳以上の人年齢が30歳以上の方は、独学で弁理士試験合格を目指すのはお勧めできません

年齢が30歳以上の方は、独学で弁理士試験合格を目指すのはおすすめできません。

もちろん、弁理士の未経験の転職に年齢制限はありません。

年齢制限は明確にないのですが、弁理士の業務を一人で一人前に行えるようになるまでには、3〜5年程度かかるとされています。

そのため、一般的には実務未経験者の場合、35歳を1つの目安とする特許事務所も多いと言われています。

弁理士試験を独学で合格するのに3~5年かかる可能性を考えると、最低でも30歳から勉強を始めることが推奨されています。

弁理士試験合格に独学では無理だと感じたら

ここまで読んでいただき、弁理士試験合格が独学では無理そうだなと感じた方は、予備校の弁理士試験対策講座を受講されることをおすすめいたします。

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そして、この講座には、工業所有権に関する条約、著作権法、不正競争防止法の内容は、含まれておりません。これらの科目については、「短答知識完成講座」で対策可能です。

短答知識完成講座」は、短答式試験を中心とした総合的な知識の習得が完了した方を対象に弁理士試験短答式試験合格に必要な知識をスピーディーかつ網羅的に解説する講座です。

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まとめ

この記事では、弁理士試験を独学でも合格できるのかについて解説しました。

弁理士試験を独学で合格される方もいますが、すでに法律知識が十分にあるなどの例外を除くと独学で合格するのは無理とは言いませんが、非常に難しいと考えた方が良いです。

また誤った勉強法で時間を無駄にしてしまう可能性もあるため、効率的に学習して合格を勝ち取るためにも、講座受講をすることを検討してください。

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神田 裕也

この記事の監修者 神田裕也

「受験生に伴走し、効率的な合格へと導きます!」
働きながら学び、弁理士試験に合格しました。慶應義塾大学経済学部を卒業後、大手メガバンクなどで、ITシステム企画・データ分析などを担当。法律知識ゼロからスタートした自身の苦労を糧に、「法律に馴染みのない方でも分かりやすい」説明を提供することを信条としています。
前職ではAIを用いたデータ分析で社内表彰を受けるなど、AI活用や効率化を得意としており、限られた時間の中で最大の効果を出すための学習戦略を伝授します。
多数の難関資格(証券アナリスト、ITストラテジスト、システム監査技術者、プロジェクトマネージャー、宅地建物取引主任者など)を取得してきた経験に基づき、受験生が最短ルートで合格するためのポイントとコツを惜しみなく提供します。

【主な経歴・資格】
- 1984年3月:慶應義塾大学 経済学部 卒業
- 大手メガバンクなどに勤務し、ITシステム企画・データ分析などに従事
- 2008年11月:弁理士試験 合格
- 保有資格:弁理士、証券アナリスト、ITストラテジスト、システム監査技術者、プロジェクトマネージャー、ソフトウェア開発技術者、宅地建物取引主任者、TOEIC 865点