賃貸不動産経営管理士は、マンション・アパートといった賃貸住宅管理に関する幅広い知識を持つ国家資格です。管理業法の施行規則の公布をもって国家資格となりました。

不動産関連の資格のなかでも注目を浴びていますが、将来性や需要はあるのか？という不安を持つ人もいます。

今回のコラムでは、賃貸不動産経営管理士の仕事内容を踏まえながら将来性について見ていきましょう。

賃貸不動産経営管理士とは

賃貸不動産経営管理士とは、貸主側の不動産経営に関するアドバイスを行う国家資格です。合格率は、平成30年までは50％前後で推移していましたが現在は30％前後です。

しかし、翌年以降は国家資格になる前に資格を取得を考える受験者が増えています。受験者数は右肩上がりに増えており、ニーズが高いことがわかります。

賃貸不動産経営管理士の難易度・合格率について詳細は、下記の記事でチェックしてみてください。

関連コラム：賃貸不動産経営管理士の難易度はどれくらい？合格点・合格率を確認

賃貸不動産経営管理士の将来性と需要があるといえる理由３つ

賃貸不動産経営管理士は需要があり、将来性もある資格だといえるでしょう。その理由は、主に下記3つです。

1. 国家資格化によるニーズの増大
2. 大規模事業所における設置義務要件の存在
3. 不動産投資にも役立つこと

1.国家資格化によるニーズの増大

賃貸不動産経営管理士は、2021年4月に国家資格化されたことにより、社会的な信頼性と重要性が飛躍的に高まりました。

国家資格化以前は、主に賃貸管理業務に関する知識を持つ民間資格として認知されていましたが、法律に基づく資格となったことで、不動産管理業務における専門家としての地位が確立されました。

これにより、賃貸住宅のオーナーや不動産管理会社の間で、適切な知識と技能を持った専門家を求めるニーズが以前にも増して高まっています。

特に、賃貸管理業法（賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律）の施行に伴い、管理業務の適正化が強く求められる中で、賃貸不動産経営管理士の資格は、法令遵守と高品質なサービス提供を証明する重要な要素となっています。

この国家資格化の動きは、単に資格の格上げにとどまらず、賃貸管理市場全体の質の向上に直結し、結果として管理士の需要拡大を強力に後押ししています。

2.大規模事業所における設置義務要件の存在

賃貸不動産経営管理士の需要が高まる2つ目の大きな理由は、賃貸住宅管理業法に基づく「業務管理者」の設置義務です。

賃貸住宅管理業を営む事業者のうち、管理戸数が200戸以上の大規模な事業所は、国土交通大臣への登録が義務付けられています。

さらに、その登録要件の一つとして、事業所ごとに「業務管理者」を置くことが規定されています。この「業務管理者」となる資格要件の一つが、賃貸不動産経営管理士の資格です。

つまり、大規模な賃貸管理を行う事業者は、事業の継続と法令遵守のために、必ず賃貸不動産経営管理士を確保しなければなりません。

管理戸数が200戸を超える事業者が増え続ける現状において、この設置義務要件は、管理士の資格保有者に対する安定した、かつ具体的な雇用需要を生み出す決定的な要因となっています。

賃貸不動産経営管理士の資格は、大規模事業所における必須の人材要件として機能していると言えます。

3.不動産投資にも役立つこと

賃貸不動産経営管理士の知識は、賃貸管理業界でのキャリアアップだけでなく、個人の不動産投資においても非常に強力な武器となります。

賃貸不動産経営管理士は、建物の維持管理、入居者の募集や選定、賃貸借契約、原状回復の知識、さらには空室対策や広告戦略に至るまで、賃貸不動産経営全般にわたる専門的な知識を習得しています。

この知識は、自身が不動産オーナーとして物件を所有・経営する際に、資産価値を最大化し、安定した収益を確保するために不可欠です。

例えば、適切な修繕計画の立案や、マーケットを正確に把握した上での家賃設定、トラブル発生時の迅速かつ適切な対応など、すべてが収益性に直結します。

資格を持つことで、管理会社任せにせず、自らの判断で適切な経営戦略を立てることが可能になります。

不動産投資への関心が高まる現代において、この専門知識は、資産形成や資産運用を成功させるための重要なスキルセットとして、業界外の個人投資家からも高い評価と需要を集めています。

求められる賃貸不動産経営管理士であるために

賃貸不動産経営管理士として活躍するためには、コミュニケーションスキルが必須です。

ここでいうコミュニケーションスキルとは、空気を読んで場を盛り上げることではありません。

顧客へのヒアリング、現在抱えている課題の把握、交渉などを含めた問題解決へ導くためのスキルのことです。そのためには、相手が何を求めているのかを考えることが重要となります。

また、ダブルライセンスを取得することで市場価値はさらに高まるのではないでしょうか。宅建士の資格も持っていれば、貸主及び借主の両者に不動産のアドバイスができるようになります。

まとめ

賃貸不動産経営管理士は国家資格になったことで、今後さらに人気が高まります。それに伴い資格取得の難易度が上がるかもしれません。

しかし、賃貸不動産経営管理士の資格は不動産投資にも役立ちます。不動産業界以外で働いている方も、資格取得にチャレンジしてみてはどうでしょうか。