通関士試験の法改正対策で、どこまでが今年の範囲か迷う方も多いでしょう。

結論として、第60回通関士試験の出題範囲は2026年7月1日時点で施行されている法令です。

公布済みでも未施行の規定は、今年の正誤判断に入りません。

そのため、改正の名前ではなく施行日で線を引く形が有効です。

本記事では、公式のどこを見れば範囲が確定するかまで示します。

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通関士試験の法改正で覚えておくべき基準

通関士試験の法改正で押さえる基準は、受験する年の7月1日に施行されているかどうかです。

第60回なら2026年7月1日が基準日にあたります。

対象は法律のほか、関係する政令・省令・告示・通達まで含みます。

公布済みでも未施行の規定は、出題範囲に入りません。

特に、基準になるのは改正法の成立日ではなく施行日のほうです。

試験日は2026年10月4日で、基準日から約3か月あとに実施されます。

確認方法は記事の後半で3つに分けて解説します。

法令の基準日は受験する年の7月1日

通関士試験の法令基準日は、受験する年の7月1日に置かれています。

第60回通関士試験の受験案内は、出題範囲を次のように定めています。

「これらの科目の出題範囲は、法律のほか、それぞれの法律に基づく関係政令、省令、告示及び通達とし、令和8年7月1日(水)現在で施行されているものとします。」

※引用:「第60回通関士試験受験案内」財務省

試験実施日は令和8年10月4日(日)です。

基準日の翌日以降に施行された改正は、第60回の対象になりません。

一方、前年の第59回の受験案内を根拠にしないよう注意してください。

案内は回ごとに作られ、基準日も受験する年に合わせて動きます。

学習を始める時点で、税関の第60回のページから最新の案内を開いておきましょう。

※参考:「第60回通関士試験(令和8年)」税関

法律だけでなく政令・省令・告示・通達も範囲

通関士試験の出題範囲は、法律だけにとどまりません。

受験案内は、それぞれの法律に基づく関係政令・省令・告示・通達までを対象に含めています。

条文だけを追っても、通達レベルの取り扱いが問われると答えが出ません。

一方、範囲から外れるものも明示されています。

通関業法と関税法等の科目では、前記の法令・告示・通達以外の条約等は範囲に含みません。

具体的にはTIR条約や経済連携協定などが、除外の対象です。

※出典:「第60回通関士試験受験案内」財務省

そのため、通商のニュースで見た協定の改正を試験範囲へ広げないようにしましょう。

範囲の広さは、法令の種類と条約等の除外の2点で押さえれば足ります。

告示と通達は税関のサイトで公開されており、条文と併せて確認できます。

公布済みでも未施行の規定は出ない

公布済みの改正でも、未施行の規定は通関士試験の範囲に入りません。

成立日と公布日、そして施行日は別のものです。

関税定率法等の一部を改正する法律(令和8年法律第5号)を例に見てみます。

成立日と公布日はいずれも令和8年3月31日で、原則の施行日は令和8年4月1日です。

※出典:「法律等改正(法律)」税関

ただし、同じ改正法の中でも項目ごとに施行日が分かれます。

令和8年7月2日以降に施行される規定は、第60回の正誤判断に混ぜられません。

法律案や審議中の段階にある内容も、受験年度の現行ルールには入りません。

改正の名前で覚えると、範囲の内外を取り違えます。

どの項目がどちらに入るのかは、次の章で施行日ごとに整理します。

通関士試験の法改正で第60回の範囲に入るもの・入らないもの3つ

第60回通関士試験の範囲に入るもの・入らないものは、次の3つに分かれます。

  • 2026年4月施行の改正は範囲内
  • 2026年6月施行の保税関係改正は範囲内
  • 2027年10月・2028年4月施行は範囲外

3つの区別は出題予想ではなく、施行日による範囲の整理です。

今年の受験生が押さえるべきは、2026年7月1日より前に施行されたかどうかです。

同じ改正法の中でも、施行日が違えば扱いが変わります。

番号の並びではなく、日付の前後で判断してください。

あわせて、施行日ごとに順番に解説します。

2026年4月施行の改正は範囲内

2026年4月1日に施行された改正は、第60回通関士試験の範囲内です。

対象は関税定率法等の一部を改正する法律(令和8年法律第5号)です。

税関の資料では、施行日を令和8年4月1日(特段の定めがあるものを除く)としています。

※出典:「法律等改正(法律)」税関

財務省の法律案概要から、範囲内にあたる項目を2つ挙げます。

  • 暫定税率等の適用期限の延長等
  • 不当廉売関税に係る迂回防止制度の創設

暫定税率については、404品目の暫定税率と特別緊急関税制度の適用期限が1年延長されました。

迂回防止制度は、供給国や品目を変えて課税を免れる迂回品を対象にします。

不当廉売関税と同等の割増関税を課せる仕組みが新しく設けられました。

※出典:「関税定率法等の一部を改正する法律案について」財務省

なお、範囲に入ることと出題されることは別の話です。

2026年6月施行の保税関係改正は範囲内

保税関係の改正は2026年6月1日に施行され、第60回通関士試験の範囲内です。

基準日の2026年7月1日より1か月前に施行が済んでいます。

税関が示す主な改正項目は次の4点です。

  1. 保税業者に対する業務改善命令の創設
  2. 保税業者が規則を定めることの法定化
  3. 保税地域から貨物を搬出する際の確認義務の創設
  4. 搬入停止・許可取消処分等に関する規定の改正

※出典:「令和8年度関税改正(保税関係)について」税関

業務改善命令は、税関が保税業者へ業務の改善措置を命じられる制度です。

保税業務規則は、従来の社内管理規定に代えて関税法で義務づけられました。

搬出時の確認義務では、許可・承認・届出の有無を確かめることが求められます。

あわせて、条文番号や経過措置の細部は税関のページで確認しましょう。

2027年10月・2028年4月施行は範囲外

2027年10月と2028年4月に施行される規定は、第60回通関士試験の範囲外です。

財務省の概要は、施行日の例外を注記で示しています。

  • 関税の犯則調査手続のデジタル化:令和9年(2027年)10月1日施行
  • 個人使用貨物に限り課税価格を海外小売価格の6割にする特例の廃止:令和10年(2028年)4月1日施行

※出典:「関税定率法等の一部を改正する法律案について」財務省

どちらも基準日の2026年7月1日より後に施行されます。

施行日が先のものを今から覚えると、現行法の判断がぶれます。

そのため、今年の正誤判断に混ぜないよう区別してください。

翌年度以降の受験や実務では、いずれも必要になる内容です。

今年の範囲外にあたる点だけ押さえておけば足ります。

計算方法や手続の詳細まで踏み込む必要はありません。

通関士試験の法改正情報の確認方法3つ

通関士試験の法改正情報を確認する方法は、次の3つです。

  • 受験案内で基準日と出題範囲を確定する
  • 財務省・税関の改正概要で施行日を分ける
  • 教材の追補・正誤表で差分を絞る

3つは順番に意味があり、上から下へ範囲を絞っていく流れです。

最初に基準日を決め、次に施行日で仕分け、最後に教材の差分を見ます。

逆から入ると、教材の記述だけで基準日を判断してしまいかねません。

特に、基準日を先に固めると後の作業が短くなります。

ひとつずつ手順を解説します。

受験案内で基準日と出題範囲を確定する

通関士試験の法改正対策は、受験案内から始めます。

税関の第60回通関士試験のページを開き、受験案内のPDFを取り出します。

※参考:「第60回通関士試験(令和8年)」税関

確認する項目は3つです。

  • 法令の基準日を確認する
  • 対象となる法令の種類を確認する
  • 範囲から除外される条約等を確認する

特に、自分が受験する回の案内が最優先です。

前年版の案内や教材の説明だけで基準日を決めないでください。

回が変わると基準日も動くため、古い案内は判断材料になりません。

試験日や申込期間の確認は、基準日を押さえてからで足ります。

基準日を1行で確定できれば、あとの作業は差分の確認だけです。

財務省・税関の改正概要で施行日を分ける

通関士試験の改正情報は、財務省と税関の概要で施行日ごとに仕分けます。

税関の法律等改正のページでは、法律名と成立日・公布日・施行日が一覧になっています。

※参考:「法律等改正(法律)」税関

財務省の法律案概要では、改正項目の内容と施行日の例外を確認できます。

財務省の概要はPDFとHTMLの両方で公開されています。

※参考:「関税定率法等の一部を改正する法律案について」財務省

なお、概要は全体像をつかむために読み、施行日は範囲の判定に使います。

例えば、原則の施行日と例外の施行日は概要の末尾に並んで示されています。

例外に挙がった項目だけを抜き出せば、範囲の判定に迷いません。

新旧対照表の全文照合まで進む必要はありません。

先に施行日で仕分けておけば、読む条文の量が減ります。

教材の追補・正誤表で差分を絞る

通関士試験の改正対策では、条文の読み比べより先に手元教材の版を確かめます。

確認するのは教材の版と発行年、そして出版社や講座が出す追補・正誤表との対応です。

別の版に向けた追補を混ぜると、直す必要のない箇所まで書き換えます。

追補は受験年度ごとに作られるため、年度の表示を先に見ておきましょう。

差分の一覧が手に入れば、確認すべき論点はかなり絞られます。

判断に迷う差分だけ、e-Govや税関の通達へ戻る形で足ります。

※参考:「法律等改正(法律)」税関

最初から条文を全部読み直すと、3科目の演習に回す時間が残りません。

教材の追補は、改正のうち試験にかかわる部分だけを抜き出した資料です。

あわせて、追補に載っていない改正が気になった時だけ公式へ戻ります。

通関士試験の法改正対策で注意したいこと3つ

通関士試験の法改正対策で注意したいことは、次の3つです。

  • 改正点は必ず出題されるとは限らない
  • 成立・公布と施行日を混同しない
  • 古い過去問を現行法で採点しない

3つはいずれも、改正情報の扱いを誤ると学習が空回りする論点です。

特に、改正だけを追いかける学習は3科目の基礎を削ります。

対策の重心は、改正の把握ではなく基礎と演習の側に置きましょう。

範囲に入るかどうかと、実際に問われるかどうかは別に考えます。

順番に詳しく解説します。

改正点は必ず出題されるとは限らない

通関士試験の範囲に入ることと、実際に出題されることは別です。

財務省と税関は、法改正に由来する問題数を事前に公表していません。

※参考:「第60回通関士試験受験案内」財務省

受験案内には科目ごとの配点と出題数が載りますが、改正部分の内訳はありません。

案内が示すのは、あくまで出題範囲の線引きです。

そのため、改正項目だけに学習を寄せる形は割に合いません。

3科目の基礎固めと過去問演習を、改正対策と並行して続けてください。

改正の把握は、基礎ができている前提で効いてきます。

何点分出るのか、どこが狙われるのかを予想しても学習は進みません。

公表されていない情報を推測する時間は、演習に回すほうが確実です。

SNSや個人ブログの改正まとめを、第一の根拠にしないでください。

成立・公布と施行日を混同しない

通関士試験の対策では、改正法の成立・公布と施行日を分けて覚えます。

関税定率法等の一部を改正する法律(令和8年法律第5号)は令和8年3月31日に成立・公布されました。

ただし、施行日は項目ごとに分かれます。

改正項目施行日
原則(暫定税率の延長・迂回防止制度の創設など)2026年(令和8年)4月1日
保税関係の改正2026年(令和8年)6月1日
関税の犯則調査手続のデジタル化2027年(令和9年)10月1日
個人使用貨物の課税価格特例の廃止2028年(令和10年)4月1日
※出典:「関税定率法等の一部を改正する法律案について」財務省

法律名だけを見て、全部が第60回の範囲だと判断できません。

同じ法律の中に、範囲内の項目と範囲外の項目が同居しています。

表の施行日を基準日の2026年7月1日と比べれば、範囲の内外がわかります。

範囲を仕分ける鍵は、法律名ではなく施行日のほうです。

テキストの改正まとめを読む時も、施行日の列を先に見ましょう。

古い過去問を現行法で採点しない

古い過去問は、現行法の感覚だけで採点できません。

出題時点の法令で正解が決まっているためです。

通関士試験の過去問を使う時は、次の順で確認します。

  1. 問題の実施年度と、その回の法令基準日を確認する
  2. 当時の公式正答で出題時点の判断を理解する
  3. 受験年度対応の追補で現行との差分を確認する
  4. 余白に「現行では変更」と短く残す

※参考:「通関士試験」税関

税関のページには、直近数回分の試験問題と正答が公開されています。

基準日を確認せずに解くと、正しい選択肢を誤りとして覚えます。

当時は正しかった記述を、現行法の感覚で誤りと判断しないよう注意します。

余白のメモは、次に同じ問題を解く時の目印として働きます。

改正の年表を自分で作る作業までは要りません。

このように、差分がわかれば過去問はそのまま演習に使えます。

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各改正論点には過去に出題実績のある論点を明記した出題予想を付記しているため、優先度をつけた効率的な学習が可能です。

スマートフォンやタブレットでも学習できる設計のため、試験対策と実務知識を同時にアップデートできるでしょう。

まとめ

通関士試験の法改正は、施行日で線を引けば整理できます。

第60回の出題範囲は、2026年7月1日現在で施行されている法令です。

公布済みでも未施行の規定は、今年の正誤判断に入りません。

2026年4月と6月の施行分は範囲内で、2027年10月以降は範囲外です。

確認は受験案内から始め、財務省と税関の概要で施行日を仕分けましょう。

まずは手元の教材の版と、受験年度の追補が合っているか確かめてみてください。

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