通関士は国家資格であり、物品の輸出入には欠かせない存在です。

今後も一定の需要が見込まれますが、通関士になるには、どのような試験に合格すべきか、気になる方も多いでしょう。

このコラムでは、通関士試験の内容や試験日、申し込み方法などを解説します。

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通関士試験とは

通関士試験とは、通関士に必要な知識や能力があるかを判断すべく実施される国家試験です。

試験問題は財務大臣が決定し、試験は各税関長により実施されます。

受験資格は特に定められておらず、希望者は誰でも受験可能です。

試験の実施は年に1回のみ。

通関士試験の試験日は、10月の第1または第2日曜日に、税関のある全国13の都道府県で実施されます。

合格率は、おおむね10~15%前後で推移しており、比較的難易度の高い試験だといえるでしょう。

通関士試験の科目は、以下の全3科目。

  1. 通関業法
  2. 関税法等
  3. 通関実務

試験の時間割は以下の通りです。

試験科目時間
通関業法9:30~10:20
関税法等11:00~12:40
通関実務13:50~15:30

このように、通関士試験では主に、通関業務を行うにあたって知っておかなくてはならない法律の内容や、申告書類の作成方法について問われます。

回答はすべてマークシート方式です。(計算問題の解答は、数字を1つずつマークしますので選択問題ではありません。)

計算問題などもあるため、あらゆる問題に対応できる力を付けておくべきでしょう。

通関士試験の概要を表にまとめると、以下の通りとなります。

区分詳細内容
受験資格特になし
(学歴・経歴、年齢、国籍を問わず誰でも受験可能)
申込期間令和5年7月24日(月)~令和5年8月7日(月)
試験形式筆記(マークシート方式)のみ
試験日令和5年10月1日(日)
試験時間6時間(休憩時間1時間を含む)
試験地全国13都道府県
(北海道、新潟県、東京都、宮城県、神奈川県、静岡県、愛知県、
大阪府、兵庫県、広島県、福岡県、熊本県、沖縄県)
合格発表令和5年11月7日(火)
受験手数料3,000円(オンライン申し込みの場合は2,900円)

試験日・申し込み方法

ここからは、通関士試験について、さらに詳しく解説します。

通関士試験の試験日

2023年(令和5年)の通関士試験の試験日は、10月1日(日)です。

通3士試験の試験日は、例年、10月の第1または第2日曜日となっています。

また、通関士試験は年に1回のみの開催です。

合格発表は11月7日(火)です。

合格発表の公開予定時間は8時30分で、合格者の情報は税関ホームページに掲載されます。

※合格発表の公開予定時間は前後する可能性があります

申し込み方法・申し込み期間

2023年(令和5年)の申し込み期間は、令和5年7月24日(月)~8月7日(月)です。

通関士試験の申し込み方法は、書面またはオンラインのいずれかです。

どちらの方法で申し込むかにより、手順と受験料が異なります。

書面で申し込む場合

書面で通関士試験に申し込む場合は、以下の手順で準備が必要です。

  1. 自身の受験地を決める
  2. 出願書類を、希望の受験地を管轄する税関に請求する
  3. 書類に必要事項を記載し、写真と、3,000円分の収入印紙を貼る
  4. 郵送または持参などで希望の受験地を管轄する税関に提出する

書面で通関士試験に申し込む場合は、受験地を管轄する税関に、出願書類を請求しなくてはなりません。

そのため、まずはどの会場で受験するかを決めましょう。

受験地が決まったら、その都道府県を管轄する税関に、出願書類を請求します。

請求は、管轄する税関への郵送または窓口での依頼が可能です。

ただし、郵送で請求する場合は、返信用封筒切手も同封するようにします。

出願書類が入手できたら、提出の準備に移りましょう。

出願書類には、受験願書と受験票があります。それぞれ必要事項を記入し、受験願書には受験料として3,000円分の収入印紙を貼り付けます。

また、受験票には、自身の写真を貼り付けるのも忘れずに。

さらに、受験票を郵送で提出する場合は、受験票の裏面に切手の貼り付けも必要です。

オンラインで申し込む場合

通関士試験は、「NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)」というシステムを使用したオンライン申し込みも可能です。

その場合の手順は、下記のとおりとなります。

  1. 自身の受験地を決める
  2. NACCSの利用申し込み手続きをする
  3. NACCSで受験願書を提出する
  4. NACCSから配信される納付情報に従い、受験料2900円を電子納付する
  5. 受験票を、郵送または持参などで希望の受験地を管轄する税関に提出する

このように、NACCSを使う場合は、まず事前に利用申し込みをしなくてはなりません。

また、事前申し込みをしてから利用可能になるまで、ある程度日数がかかることもあります。

なるべく、余裕をもって申し込みましょう。

また、NACCSを使う場合は、受験願書と受験票の提出をそれぞれ別個で行う必要があります。

受験願書はオンラインで提出できますが、受験票は書面による申し込みの場合と同じように、写真の貼り付けや郵送などでの提出をしなければなりません。

※出典:第56回通関士試験受験案内

試験内容

続いて、通関士試験の内容について解説します。

まず、通関士試験の問題の概要をまとめると、以下のとおりとなります。

区分出題形式
(択一式、選択式など)
出題数配点合格基準
通関業法語群選択式・選択式・択一式全20問
語群選択式5問(25点)
選択式5問(10点)
択一式10問(10点)
45点27点以上
関税法等語群選択式・選択式・択一式全30問
語群選択式5問(25点)
選択式10問(20点)
択一式15問(15点)
60点36点以上
通関実務選択式・択一式・計算式・申告書作成全17問
選択式5問(10点)
択一式5問(5点)
計算式5問(10点)
申告書作成2問(20点)
45点27点以上

このように、通関士試験では3科目が出題され、それぞれで多くの問題が出題されます。

また、計算問題や、複数の選択肢を回答する問題もあります。

ここからは、通関士試験の出題形式・科目や合格基準について説明します。

出題形式

語群選択式

1問につき、5つの語句を選択する形式です。

選択式

与えられた選択肢の中から、正しいものまたは誤っているものを複数個選択する形式です。

選んだ選択肢が全て正解していないと得点になりません。

そのため、比較的得点が難しい出題形式だといえます。

五肢択一式(択一式)

5つの選択肢の中から、正しいものまたは誤っているものを1つだけ選択し、マークする形式です。

ただし、通関士試験では、選択肢の中に選ぶべきものがない問題も出題されます。その場合は、「0」をマークしなくてはなりません。

また、よく似た出題形式に、後述の「選択式」がありますが、こちらは正しい選択肢をすべて選択するものです。択一式の場合は、1つだけマークします。

計算式

関税額や貨物の価格、課税価格等を計算し、正しい金額をマークする形式です。

他の形式とは異なり、選択肢から選ぶのではなく、算出した数字をそのままマークするようになっています。

そのため、計算結果の転記ミスにも注意が必要です。

まずは、問題集を繰り返し解くなどして、問題のパターンをつかんでおくとよいでしょう。

そして本番では落ち着いて計算し、確実に数字をマークできるようにしましょう。

なお、通関士試験においては、電卓の使用が認められています。

申告書作成

提示される資料を参考に、輸出申告書・輸入申告書を作成する形式です。

輸入申告書の作成では、出題された貨物の種類を正しく分類し、それにふさわしい品目を選択肢の中から選びます。

また、輸出申告書の作成では、輸入申告書の内容に加えて貨物の価格も計算し、マークします。

申告書作成は、実務経験のない受験生にとっては特にハードルの高い科目です。

繰り返し問題を解き、書類の見方をしっかりと身に付けるところから始めるとよいでしょう。

出題される科目

通関業法

通関業法の科目では、通関業務に関する法律である、通関業法の内容が出題されます。

選択式・択一式の形式で出題され、条文中の空欄に合う語句を選ぶ問題や、通関業務などについての説明で正しいものまたは誤っているものを選択する問題などがあります。

通関業法の問題では、実際の条文の内容がそのまま出題されることが多いのが特徴です。

通関業法は条文がそれほど多くないため、条文の内容については暗記してしまうとよいでしょう。

関税法等

関税法等の科目では、同じく通関業務に関する法律である、関税法やその関連法規についての問題が出題されます。

出題形式は通関業法の問題と同じく、選択式・択一式です。

ただし、条文がそのまま出題される問題はほとんどありません。

条文の内容をもとに正誤を問う問題が中心で、通則の内容に触れるものが出されることもあります。

出題範囲も非常に広く、問題数も多め。通関士試験の科目の中でも、入念な対策が必要になる科目です。

通関実務

通関実務は、通関業務に関する内容が全般的に出題されます。

選択式・択一式の問題に加えて、計算式・申告書作成の問題も出題される、総合問題のような科目です。

まず、輸入申告書・輸出申告書の作成問題が、各1問出題されます。

出題された貨物の分類や、貨物の価格の計算等を行い、ふさわしい内容を選択するものです。

また、課税価格や関税額など税金の計算問題、特定の税率の適用に関する選択式・択一式の問題なども出題されます。

合格基準

通関士試験の合格基準は、例年、全科目での得点率60%以上です。

そのため「苦手な科目がある分、得意な科目で高得点を稼ぐ」といった手法は通用しないのです。

ただし、合格基準は事前に公表されておらず、合格発表とともに公表される形となっています。

ここ数年は全科目60%以上の得点率が合格基準とされていますが、過去には通関実務のみ得点率50%以上で合格とされていたこともあります。

このように、合格基準は年によって変動する可能性もあるのです。

ただし、合格基準の変動は、あまり期待するべきではありません。

通関士試験は絶対評価が採用されています。科目・分野を問わず確実に高得点が取れるよう、対策しておくとよいでしょう。

なお、通関士試験の合格率は、例年10~15%前後となっています。

関連コラム:通関士試験の難易度ランキング!他資格と合格率や勉強時間を比較

免除制度について

通関士試験には、免除制度があります。

免除の対象となるのは、通関業者や、官庁で、通関に関する業務に従事していた方です。

免除制度の対象者と免除される科目は下記のとおりです。

対象者※従事していた期間免除される試験科目
通関業者の通関業務又は官庁における関税その他通関に関する事務(税関の事務及びその監督に係る事務)に従事していた方15年以上関税法等、通関実務
通関業者の通関業務又は官庁における通関事務(税関における貨物の通関事務(その監督に係る事務を含む)に従事していた方5年以上通関実務

※ただし、各業務においては、パソコン等へのデータ入力、貨物の内容点検など、機械的な事務は含まない

通関士試験で免除制度を利用する場合は、出願書類の提出時に、「通関士試験科目の一部免除申請書」と「証明書」も合わせて提出しなくてはなりません。

「通関士試験科目の一部免除申請書」には、自身が所属していた通関業者または官庁と、従事していた期間を記載します。

「証明書」には、上記の内容に加え、通関士に付与される「従業者証票番号」を記載します。

また、その内容に誤りがないことの証明として、在籍した通関業者または官庁などの署名も必要です。

これらの書類の提出後に審査が行われ、そこで免除が認められた場合のみ、試験科目の免除が受けられます。

免除の決定の審査には一定の日数がかかるため、もし利用したい場合はなるべく早めに書類を提出しましょう。

まとめ

通関士試験は、誰でも受験できます。

しかし、問題の内容は法律や実務に関する問題が中心。全科目で合格基準に達しなければ合格できません。

そのため、確実に得点できるよう、念入りな対策が必要です。

また、試験は年に1回しか実施されません。

早めに学習計画を立て、対策を進めていきましょう。

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