通関士試験の品目分類は、第1類から第97類までを丸暗記しないと合格できないのか気になる方も多いでしょう。

結論として、品目分類の丸暗記は合格の必須条件ではありません。

通関実務の申告書問題では、輸出統計品目表や実行関税率表の抜粋が別冊として配られます。

そのため、覚える対象を通則と部注・類注に絞れば、限られた学習時間でも得点を伸ばせます。

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【結論】通関士試験の品目分類・貨物分類・HSコードの覚え方において丸暗記が不要な理由3つ

通関士試験の品目分類で丸暗記が不要な理由は、次の3つです。

  • 試験では関税率表の抜粋が配布される
  • 優先して覚えるのは通則と部注・類注
  • HSコード(項・号)は見当をつける粒度で足りる

貨物分類とHSコードは、税関が定める品目分類(部・類・項・号)と同じ枠組みを指す呼び方です。

番号のうち6桁までがHS品目表に基づくHSコードで、下3桁は日本独自の統計細分にあたります。

特に、抜粋の配布と通則の優先度は学習計画に直結するため、順番に詳しく解説します。

試験では関税率表の抜粋が配布される

通関士試験の通関実務では、品目分類に使う資料が別冊として配られます。

第59回通関士試験(令和7年10月5日実施)の通関実務の注意事項には、次の記載があります。

「第1問の輸出統計品目表(抜粋)及び関税率表解説(抜粋)、第2問の実行関税率表(抜粋)及び関税率表解説(抜粋)は別冊に掲載されております。」

※引用:「第59回通関士試験の試験問題(通関書類の作成要領その他通関手続の実務)」税関

第1問の輸出申告では、統計品目番号を輸出統計品目表の解釈に関する通則に従って選びます。

解答は別冊の抜粋を参照したうえで、示された選択肢から選ぶ形式です。

また、第2問の輸入申告でも同じように実行関税率表の抜粋を参照して番号を確定させます。

問われるのは表から正しく引き当てる速さで、番号の記憶ではありません。

品目分類の知識をゼロにしてよいわけではありませんが、丸暗記の必要はありません。

特に、試験時間が1時間40分の通関実務では、表を引く速さが得点差となります。

優先して覚えるのは通則と部注・類注

通関士試験の品目分類で最初に覚える対象は、通則と部注・類注です。

税関の説明では、物品の所属は項の規定と関係する部又は類の注の規定に従って決まります。

通則1は冒頭で次のように定めています。

「部、類及び節の表題は、単に参照上の便宜のために設けたものである。」

※引用:「関税率表の解釈に関する通則」税関

表題は所属を決める場面で法的な性格を持たないため、表題の記憶だけでは番号を確定できません。

あわせて、注は項や号の範囲と優先順位を明らかにするもので、各部と各類の表の前に置かれています。

暗記の主戦場は類の品名リストではなく、通則と注の運用です。

特に、注を読み飛ばすと、項の文言だけでは正しい所属を導けません。

一方、類の名称を丸ごと覚えても、注を確認しなければ所属を誤ります。

通則2から6までの中身は、覚え方の章でひとつずつ整理します。

HSコード(項・号)は見当をつける粒度で足りる

品目分類のHSコードは、別冊を開く前に大まかな見当がつく程度で足ります。

税関の資料によると、部の数は21で、類の数は96です。

税関のQ&Aでは21部97類と示され、実際に使われている類は96類。

項は4桁、号は6桁で、6桁までがHS品目表に基づく番号です。

下3桁は統計品目表で定める日本独自の番号で、号の6桁と合わせて9桁の統計番号となります。

そのため、類の名称をすべて暗記する必要はありません。

別冊を開く前に、どの部とどの類の付近を探すのか見当がつけば十分です。

下3桁を覚えるかどうかは、よくある質問で改めて整理します。

特に、部と類のおおまかな並びを押さえておくと、別冊を引く時間を短縮できます。

通関士試験の品目分類が覚えられない原因3つ

通関士試験の品目分類が覚えられない原因は、次の3つに整理できます。

  • 97類を最初から全部覚えようとする
  • 通則より品名リストを先に暗記する
  • 申告書問題と切り離して覚える

いずれも学習の順番にかかわる問題で、教材の量や記憶力の差ではありません。

一方、原因がわかれば手当ての方法もはっきりします。

原因ごとに、つまずきの中身と立て直し方を解説します。

97類を最初から全部覚えようとする

通関士試験の品目分類が覚えられない原因のひとつは、類の名称を最初から全部そろえようとする学習です。

ひとつの類にも項が並び、号まで下りないと番号は確定しません。

税関の資料では、項の数は1,227で、号の数は5,611です。

そのため、類の名称だけを完成させても、番号をひとつに絞る作業には届きません。

暗記の完成を先に置くと、通則と注を使って別冊を読む練習の時間が残りません。

特に、通関実務は試験時間が1時間40分で、資料を引く速さがそのまま得点に響きます。

類の暗記は、通則の練習と並行して少しずつ広げる形で足ります。

※出典:「品目分類とHS」税関

※出典:「第59回通関士試験の試験問題(通関書類の作成要領その他通関手続の実務)」税関

通則より品名リストを先に暗記する

テキスト巻末の類のリストから品目分類の学習に入る順番も、つまずきの原因となります。

品名のリストを先に覚えると、通則1から6までと部注・類注の学習が後回しとなります。

別冊が配られても、どの規定から読み始めるのか決まりません。

税関の説明では、最初に物品と合致する品名(項の規定)があるかを確認します。

あわせて、関係する部又は類の注の規定があるかどうかも確認します。

品名のリストから先に覚える順番では、番号の候補を絞る手がかりを自分で捨てる形となります。

品名から入る学習は、覚えた量が増えても判断の順番が見えないままです。

ただし、品名のリストが不要になるわけではありません。

通則の中身は覚え方の章で扱うため、学習の順番だけを押さえておきましょう。

※出典:「税率決定までの流れ」税関

申告書問題と切り離して覚える

類の暗記と申告書問題の練習を別々に進める形も、品目分類が定着しない原因となります。

第59回通関士試験の第1問では、飲料の輸出申告で統計品目番号を選ぶ形式が出されました。

仕入書の品目を読み、輸出統計品目表の抜粋から番号を引き当てる流れです。

そのため、暗記した類の名称がどの表のどこへ落ちるのかを、同時に確かめる必要があります。

税関のページには通関実務の問題と別冊が公開されており、練習の材料に使えます。

特に、過去問で扱われた貨物は、類の見当をつける訓練の題材となります。

仕入書を読む段階から別冊を開く手順まで通しで解けば、覚えた知識が得点に変わります。

※参考:「第59回通関士試験の試験問題について」税関

通関士試験の品目分類・貨物分類・HSコードの覚え方5つ

通関士試験の品目分類・貨物分類・HSコードの覚え方は、次の5つです。

  • 通則1〜6の優先順位を先に覚える
  • 部・類の地図を「何がどこ」の粒度で置く
  • 部注・類注の読み方を型にする
  • 過去問の申告書テーマに絞って暗記する
  • 語呂合わせ・イメージは頻出だけに使う

5つはいずれも、別冊を引く速さを上げるための手順です。

また、順番に取り組めば、暗記の負担そのものを小さくできます。

ひとつずつ詳しく解説します。

通則1〜6の優先順位を先に覚える

品目分類は、関税率表の解釈に関する通則の優先順位から押さえると効率よく覚えられます。

通則は1から6までの6つのルールで、適用の順番が決まっています。

  1. 通則1|項の規定と関係する部又は類の注に従って所属を決める(部・類・節の表題は参照上の便宜)
  2. 通則1で所属が決まらない場合に、通則2から5までをこの順で適用する
  3. 通則2|未完成の物品や、他の材料を混合し結合した物品を対象とする
  4. 通則3|最も特殊な限定をした項、重要な特性を与える材料又は構成要素、数字上の配列で最後となる項の順に見る
  5. 通則4|最も類似する物品が属する項に入れる
  6. 通則5|特定の物品用のケースや通常の包装材料は物品に含める
  7. 通則6|号の決定は号の規定と号の注に従い、通則1から5までを準用する

特に、通則3は3つの方法を配列の順に適用するため、順番を入れ替えると答えが変わります。

番号を丸ごと覚えるよりも、通則の順番を体に入れる方が得点に直結します。

条文の全文を暗記する必要はなく、適用の順番と対象を押さえれば十分です。

部・類の地図を「何がどこ」の粒度で置く

品目分類の部と類は、細かい名称ではなく大きな地図として先に置きます。

税関の説明では部がほぼ産業別の区分で、類は素材の加工度や用途などによる区分です。

例えば、生きている馬は第1類の01.01項に所属します。

電動装置を自蔵するかみそりとバリカンの所属は、第85類の85.10項。

学習では、実行関税率表や輸出統計品目表の目次で部と類の見当をつけます。

そのうえで該当しそうな項を開き、注の規定を確認する順に進みます。

あわせて目次を引く回数を重ねると、部と類の地図が自然に頭に残ります。

類の名称を一覧で暗記する作業は、後回しでかまいません。

部注・類注の読み方を型にする

品目分類の注の読み方は、毎回同じ手順に固定しておくと迷いません。

候補の項を絞る前に、関係する部注と類注で除外と包含を確認します。

注には、項に含める物品の範囲を限定する定めが置かれる場合があります。

そのため、注の定めを飛ばすと項の文言だけで判断する形になり、所属を誤りかねません。

通則1が定めるとおり、項の規定と注の規定は同時に確認する対象です。

特に、除外の注を見落とすと、似た品名の項へ引き寄せられます。

個別の貨物の結論は、税関の品目分類事例や事前教示回答で確かめましょう。

注の確認を手順に組み込めば、似た品名の項との取り違えを減らせます。

過去問の申告書テーマに絞って暗記する

暗記する範囲は、過去問の申告書で実際に扱われた貨物に絞るのが有効です。

第59回通関士試験の通関実務では、第1問が輸出申告で第2問が輸入申告でした。

配点は第1問が5点で、第2問が15点と示されています。

一方、品目分類の知識を正面から問う小問は、選択式の1問として2点でした。

特に、申告書問題の練習を軸に置くほうが、得点は伸びやすくなります。

過去問に出ていない類の名称は、後回しでも間に合います。

出題テーマは記憶で決めず、税関が公開する問題冊子で毎回確かめましょう。

語呂合わせ・イメージは頻出だけに使う

語呂合わせとイメージ連想は、品目分類の通則と注の学習を助ける補助として使います。

手がかりを作る対象は、過去問で繰り返し混同した類だけに絞ります。

第84類の機械類と第85類の電気機器は、境目が問われやすい組み合わせです。

自分の言葉で短い手がかりを付けておけば、別冊を引く前に迷いません。

語呂だけで所属を決めると、注の除外規定を飛ばす形となります。

特に、96ある類のすべてに語呂を作る作業は、通則の練習時間を削ります。

手がかりの数は、混同した箇所の分だけにとどめましょう。

通関士試験の品目分類を覚えるときの注意点3つ

通関士試験の品目分類を覚えるときの注意点は、次の3つです。

  • HSコードの改正や最新の品目表で中身が変わる
  • 暗記教材に時間をかけすぎない
  • 1〜2点のために全類の完成を目指さない

3つはいずれも、覚える範囲と時間の配分にかかわります。

さらに、直前期に何を切るかの判断にもかかわる論点です。

順番に詳しく解説します。

HSコードの改正や最新の品目表で中身が変わる

HS品目表は改正されるため、古い類の一覧や語呂をそのまま使い続けられません。

税関のページでは、HS2007からHS2022までの発効年が版の名称に示されています。

およそ5年ごとに改正が入る流れで、番号の組み替えや新設が生じます。

番号の組み替えは、学習中の教材と最新版の食い違いを生む原因です。

※出典:「輸出統計品目表」税関

あわせて、実行関税率表は年内にも複数の版が公開されます。

2026年は1月1日版から8月8日版までが並んでいます。

手元の教材ではなく、税関が公開する最新版で品目分類の番号を確かめます。

改正年の年表を覚える必要はなく、最新版を開く習慣だけで足ります。

改正への備えは、税関のページを開く習慣そのものです。

暗記教材に時間をかけすぎない

品目分類の統計品目カードと一問一答アプリは、スキマ時間の補助として使います。

移動中に類の見当を確かめる用途なら、短い時間でも効果があります。

スキマ学習に向くのは、短時間で完結する一問一答の形式です。

教材を1周終わらせること自体を目標に置くと、時間配分が保てません。

学習の中心に置く対象は、通則の適用練習と過去問の申告書です。

特に、直前期は申告書1問にかかる時間の短縮が得点に直結します。

暗記教材は、通則の練習を終えた後の隙間に回しましょう。

教材の種類よりも、通則を適用して番号を絞った回数のほうが結果を左右します。

学習記録に通則を適用した問題数を残すと、進み具合が見えます。

1〜2点のために全類の完成を目指さない

すべての類の名称を完成させる作業は、通関士試験の得点効率では後回しで足ります。

品目分類の知識を正面から問う小問は、通関実務で実際に出題されています。

第59回通関士試験の第5問では、関税率表第85類に属する物品を選ぶ形式が出されました。

選択肢には蓄電池から集積回路までの5つの物品が並びました。

配点は選択式の1問として2点で、解答のすべてが正解した場合のみ得点となります。

部分点が入らないため、あいまいな記憶では得点につながりません。

申告書問題の第1問と第2問は、合わせて20点です。

特に、限られた学習時間では、配点の大きい申告書問題から固める順番が効きます。

暗記していないと解きにくい小問がある点は、押さえておきましょう。

優先順位は通則と注、そして申告書問題です。

通関士試験の品目分類・貨物分類・HSコードの覚え方でよくある質問

通関士試験の品目分類の学習で残りやすい疑問を、3つに絞って整理します。

あわせて、答えの根拠は税関の公開資料に置いています。

輸出と輸入で使う品目表は違う?

通関士試験では、輸出と輸入で参照する品目表が異なります。

第59回通関士試験の注意事項では、第1問に輸出統計品目表の抜粋が示されています。

第2問には実行関税率表の抜粋が示され、どちらにも関税率表解説の抜粋が付く形です。

学習中も輸出用と輸入用を分けて開く習慣が要ります。

輸出統計品目表と実行関税率表は、税関のページで別に公開されています。

特に、同じ貨物でも参照する表を間違えると正しい番号になりません。

輸出は統計品目表、輸入は実行関税率表と結びつけて整理します。

統計品目番号の下3桁も覚える必要がある?

統計品目番号の下3桁を暗記する必要はありません。

税関の説明では、6桁までがHS品目表に基づく番号です。

下3桁は統計品目表で定める日本独自の番号で、号の6桁と合わせて9桁となります。

9桁の統計番号は、輸出も輸入も同じ桁の構成です。

通関士試験では別冊の抜粋を見て番号を選ぶため、下3桁の一覧を覚える場面はありません。

表の中で下3桁がどこに並ぶのかは、読み取れるようにしておきましょう。

特に、申告書問題では桁の見落としが失点につながります。

市販の統計品目カードやアプリは使った方がいい?

市販の統計品目カードやアプリは、通関士試験の必須の教材ではありません。

類の見当をつける補助としてなら、移動中の学習に向いています。

通則と部注・類注の練習や過去問の申告書の代わりにはなりません。

教材を選ぶ前に、通則を当てる練習の時間を確保しておきましょう。

特に、直前期は申告書問題の見直しが優先されます。

手元の教材で足りるかどうかは、過去問の正答率で判断できます。

補助教材を足す前に、過去問を1回分解き直す時間を作りましょう。

まとめ

通関士試験の品目分類は、96ある類の名称を丸暗記しなくても対応できます。

通関実務では輸出統計品目表や実行関税率表の抜粋が別冊で配られます。

このように、覚える対象は通則1から6までと部注・類注です。

部と類は大きな地図として押さえ、細かい番号は別冊で引く形が現実的でしょう。

語呂合わせは、過去問で混同した箇所だけに絞って使いましょう。

まずは通則の順番を固め、過去問の申告書で当てる練習を重ねてみてください。

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