測量士試験の勉強方法を考えるにあたって、考慮する必要がある測量士試験の特徴が2つあります。

1つは、①実務に則した問題が出題されること。
もう1つが、②過去問が繰り返し出題されること、です。

このコラムでは、これらの特徴を考慮していくことで、最適な測量士試験の勉強方法を示していきます。

これから測量士試験の学習をはじめる方は、是非、この勉強方法を実践していただきたいですし、現在学習中の方も、参考にしていただき、ご自身の勉強方法を見直してみてください。

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測量士試験の基本の勉強方法

測量士試験の特徴①は、「実務に則した問題が出題されること」です。

特に、午後の試験では、記述式で回答する必要があるため、「選択肢からそれらしいものを選択する」だけではなく、「自分で実務に沿って答えを考える必要がある」ことになります。

ご自身が測量の実務に精通していれば答えられる問題もありますが、測量の実務が未経験であったり、経験していてもご自身が普段携わる業務でない測量については、答えるのが難しい問題も出題されます。

ただし、測量士試験の特徴②が、「過去問が繰り返し出題されること」であることも忘れてはなりません。

つまり、測量士試験の出題というのは、「確かに実務に精通していないと答えられない問題が出題されることがあるが、それでも過去問の枠から大きくそれるような問題は出題されない」ことになります。

また、もちろん、「実務に精通していなくても過去問をマスターすることで答えられる問題がほとんど」であることも重要です。

よって、まずは過去問を繰り返し学習すること。

そして、過去問をただ単に学習するのではなく、実務に沿って学習していくことが大きなポイントになります。

それでは、午前試験と午後試験、それぞれについて具体的な勉強方法について示していきます。

午前試験(択一式)の勉強法

午前試験は、択一式の問題が28問出題されます。

28問の中には、文章問題だけでなく、計算問題も出題されます。

学習初期では、分けて考えた方がよいです。

文章問題について

文章問題については、前述したように、ただ単に単発知識として肢ごとに押さえていくのではなく、実務に沿って学習するよう心掛けます。

具体的には、それぞれの測量でしたら、作業工程に沿って、今学習しているものが、計画から成果納品までのフローの中の「どこ」にあたるのかを常に意識します。

その作業が他の作業に及ぼす影響を考えることも、フローの中の位置を意識するやり方の1つです。

これを意識することで、正誤判断の理由付けもできるようになりますので、非常に効率的に学習を進めることができます。

計算問題について

一方、計算問題については、文章問題と比較すると過去問の繰り返しが多いため、実務とは距離を置き、パターン化して学習するのが効率的です。

過去問を学習していき、同じ問題が出題されたら、スタックしていき、パターンに落とし込みます。

ちなみに、アガルートアカデミーの測量士講座では、合格総合講義の中で計算問題もパターン化してテキストに落とし込んでいます。

そこでは(午後試験のものも含みますが)約40数パターン掲載しています。

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最初は基本書で全体を学習する

午前試験は、午後試験と異なり、苦手な分野であっても回答する必要があります。

ですので、まずは過去問に入る前に、基本書を使って(特に作業フローを強く意識して)全体を学習します。

その後、基本書の中の位置を意識しながら、過去問を解いていきます。

どうしても立ち位置を意識するのが難しかったり、実務に精通していないと解けない問題に当たったときは、単発の知識として学習する必要がある肢ということになりますので、十分な復習と反復が必要です。

学習中期以降はとにかく反復

午前試験には基準点がありますが、過去問で出題された問題がすべて解ければ、確実に基準点(そして午後試験と合わせた合格点)に届く点数が取れます。

学習初期で、文章問題はフローを意識し、計算問題はパターン化して、学習することができれば、その後の学習中期から直前期までは、とにかく反復をしていきます。

反復の方法としてお勧めなのは、「年度ごとに解く」です。

例えば、毎日1年度ごと午前試験を解いていくと、28問の中で全分野を網羅して毎日過去問を解くことができます。

また、毎年繰り返し出題されるような頻出論点は、毎日同じ論点に触れることになります。

逆に、出題される可能性が低い問題は、相対的に触れる日数が空くことになりますので、意識しなくても学習に良いムラが発生し、効率よく反復学習することができます。

午後試験(記述式)の勉強法

午後試験は、必須問題の他に、①測地測量、②測図測量、③地図編集、④応用測量、の中から2題を選択し、解答することになります。

午前試験と比較すると、より実務に精通している必要がある問題が出題される特徴があります。

つまり、より専門的な出題になります。

さらに、記述式のため、選択肢から選ぶのではなく、自分で解答を考えて書かなければなりません。

学習初期は、まずは全分野をやってみる

学習初期では、午前試験と同様に、文章問題ならフローを意識し、計算問題ならパターン化して学習すると良いです。

ただし、選択問題についても、学習初期は、「すべての分野を解く」必要があります。

というのも、過去に午後試験で出題された内容が、次の午前試験に出題されることがあるからです。

午後試験は選択式ですが、午前試験はすべて解かなくてはいけないため、過去に出題された問題については、選択問題とはいえ、一度は解いて解けることを確認しておきたいところです。

また、当初はご自身の得意とする科目があったとしても、すべての分野を学習初期で解くことで(あるいは、午前試験の学習を進めることによって)、選択する問題が変わることもあるでしょう。

最初から選り好みせずに、まずは全分野をやってみて、本試験で選択すべき問題を決めていくと良いです。

学習中期からは選択した問題を集中し、分野ごとに解く

逆に、本試験で実際に問題を読んでから、解く問題を決める。という手もあります。

ただし、悪く言えば行き当たりばったりになり、どうしても最初から選択問題を選んでいるより学習効率は落ちますので、あまりお勧めはしません。

学習初期ですべての分野を解いておき、学習中期からは、選択した問題を集中して解くほうが良いでしょう。

ということで、学習中期から直前期までは、こちらも午前試験同様に反復をしていきますが、午後試験の反復の方法としてお勧めなのは、「分野ごとに解く」です。

年度ごとに解くよりも、分野ごとに解いていた方が、網羅した反復性は下がりますが、より単発の分野論点に注力して問題を解くことができます。

過去問を解く段階で計算し、電卓操作に慣れておく

また、本試験では解答を記述式でするため、過去問を解く段階でも実際に計算して実際に書いてみることが大事です。

計算も、本試験と同じ電卓(カシオ SL-300Aまたはカシオ SL-910GT-N )を購入し、打鍵になれておきます。

例えば、「A-(B×C)」を計算する場合、B×C--Aと打つことで、B×Cの解をAから引くことができます。

他にも、M+とM-にストアした値がMRで合計できる、A××と打つと二乗ができる、などなど、電卓を使いやすくする計算方法がありますので、日頃からこうした計算に慣れておきます。

文字も実際に書いてみると、知識の整理になりますし、書けない漢字が見つかるかもしれません。

効率性を重視する午前試験の学習よりも、しっかりと実践して復習することを心掛けます。

なお、カシオ「SL-910GT」は生産終了しており、カシオ「SL-300A」とは表面パーツの素材のみが異なります。
測量士試験では、貸与される電卓がSL-910GTからSL-300Aに順次変更になる予定です。

解答例の他の解答を考えたり、確認することが解答力に直結する

特に、午後試験は、実務に則した問題が出題されやすいため、解答例として挙げられた解答の他の解答を考えたり、確認することが重要となります。

冒頭で示した通り、「確かに実務に精通していないと答えられない問題が出題されることがあるが、それでも過去問の枠から大きくそれるような問題は出題されない」ことから、こうした他の解答を考えることが、解答力に直結してきます。

測量士試験の勉強法のまとめ

まとめると、まずは基本書で全体を学習し、過去問に取り掛かります。

学習初期で知識を確認した後は、午前は年度ごと、午後は分野ごとに、反復していきます。

過去問が解けるようになるのはもちろん、お示ししたような学習方法を実践することで、本試験で解答できるような学習を心がけます。

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この記事の著者 中山 祐介 講師

中山 祐介 講師 (講師紹介はこちら

2008年 法政大学 文学部地理学科 卒業
2010年 東京都立大学 大学院 都市環境科学研究科 修了
2012年 土地家屋調査士試験を全国1位で合格(択一1位・書式2位)
2013年 測量士 登録
2014年 行政書士試験 合格
2015年 特定行政書士考査 合格

独学で土地家屋調査士試験全国総合1位合格の同試験を知り尽くした講師。

「すべての受験生は独学である」の考えのもと、講義外での学習の効率を上げ、サポートするための指導をモットーに、高度な知識だけでなく、自身の代名詞でもある複素数による測量計算([中山式]複素数計算)など、最新テクニックもカバーする講義が特徴。日々、学問と指導の研鑽を積む。

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