陸上特殊無線技士(陸特)の合格に近づくために欠かせないのが過去問演習です。

現在実施されている国家試験は、日本無線協会が当初から実施しているもので30年以上の過去問の蓄積があります。

本コラムでは、陸特試験の受験を考えている、あるいは受験を控えている方々に向けて、過去問演習にとりかかるタイミングや、過去問演習の効果的なやり方などを紹介していきます。

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過去問から出題傾向と自分が理解できていない部分を知る

過去問からわかる情報として一番大きなものとしては、問題の出題傾向となります。

陸上特殊無線技士試験では、過去問の使い回しまたは焼き直しが多く見られます。

過去問を制すれば試験を制すといっても過言ではありません。

また、過去問を解くことにより、問題の傾向がわかると共に、どこの知識が足りないのかが明確になります。

過去問を有効利用して効率的に勉強していきましょう。

過去問を用いた効率的な勉強法

法規の過去問活用法

法規には大きく分けて2種類の問題が存在します。

1 「何をしなければならないか」を答えさせる又は条文の穴埋めの問題

これらの問題の場合は、「何をしなければならないか」「条文」を覚えてください。

例えば以下のような問題が該当します。

<令和3年10月 三陸特 問2>

無線局の免許人があらかじめ総務大臣の許可を受けなければならないのはどの場合か。次のうちから選べ。

1 無線局の運用を開始しようとするとき。
2 無線設備の設置場所を変更しようとするとき。
3 無線局の運用を休止しようとするとき。
4 無線局を廃止しようとするとき。

<令和3年10月 三陸特 問4>

次の記述は、無線従事者の免許証について述べたものである。電波法施行規則の規定に照らし、(  )内に入れるべき字句を下の番号から選べ。

無線従事者は、その業務に従事しているときは、免許証を(  )しなければならない。

1 通信室に掲示
2 無線局に保管
3 免許人に預託
4 携帯

2 正誤問題

これらは、それぞれどれが、どのように誤っているのかがわかるようになってください。

例えば以下のような問題が該当します。

<令和3年10月 三陸特 問7>

一般通信方法における無線通信の原則として無線局運用規則に定める事項に該当するものはどれか。次のうちから選べ。

1 無線通信を行う場合においては、略語を使用してはならない。
2 無線通信は、長時間継続して行ってはならない。
3 無線通信に使用する用語は、できる限り簡潔でなければならない。
4 無線通信は、正確に行うものとし、通信上の誤りを知ったときは、通報の送信終了後一括して訂正しなければならない。

工学(無線工学)の過去問活用法

工学(無線工学)には、次の2種類の問題が存在します。

1 知識を問う問題

知識を問う問題では、その現象やその用語について覚えてください。

例えば次のような問題が該当します。

<令和3年10月 三陸特 問題16>

超短波(VHF)帯では、一般にアンテナの高さを高くした方が電波の到達距離が伸びるのはなぜか。

1 見通し距離が延びるから。
2 地表波の減衰が少なくなるから。
3 対流圏産卵波が伝わりやすくなるから。
4 スポラジックE層(Es層)の反射によって伝わりやすくなるから。

2 計算問題

計算問題では、公式や計算手法について覚えてください。

例えば次のような問題が該当します。

<令和3年10月 三陸特 問題21>

次の記述は、デジタル変調について述べたものである。(  )内に入れるべき字句は次のうちどれか。

FSKは、ベースバンド信号に応じて搬送波の周波数を切り替える方式である。4値FSKは、1回の変調(シンボル)で(  )ビットの情報を伝送できる。

1 2
2 3
3 4
4 5

過去問は2週間前から、2年分こなす

過去問については、1日の勉強量にもよりますが、一陸特は2週間前、二陸特/三陸特は1週間前から学習すれば問題ありません。

一般的には参考書などで勉強を行うと思いますが、参考書を一通り読み終えたら早い時期であっても過去問に取り掛かることをお勧めします。

過去問は2年分(一陸特は12回分、二陸特/三陸特は6回分)行えば合格点は確実に取れます。

【過去問一覧】陸上特殊無線技士1級

年度・回目基礎工学A工学B法規基礎
解答
工学A
解答
工学B
解答
法規
解答
令和5年1月期-1回目
令和5年1月期-2回目
令和4年7月期-1回目
令和4年7月期-2回目

【過去問一覧】陸上特殊無線技士2級

年度・回目 基礎 工学A 工学B 法規 基礎
解答
工学A
解答
工学B
解答
法規
解答
令和5年1月期
令和4年7月期

過去問の取り組み方

過去問の取り組み方としては、次の通りです。

1 時間無制限で解く

この時に勘で答えるのはNGです。わからないところは、飛ばして問題ありません。

2 答え合わせを行い、見直しを行う

正解した問題は、自分の考えが本当に正しかったか、参考書を見て確認してください。

間違った問題は、何が正しいのか、どのように解くのかを参考書を見て確認してください。

3 1-2を繰り返し行い、満点がとれるまで行う

時間無制限で過去問を解き、満点が取れるようになりましょう。

4 制限時間内で解けるようになるまで、時間を測定しながら1-2を繰り返す

時間を測定しながら、本番の試験時間内にすべて解けるようになるまで繰り返します。

5 次の過去問に取り掛かる

4ができるようになったら、次の過去問に取り掛かりましょう。

なお、過去問は先の回数のうち、新しい方からでも古い方からでもどちらからでも問題ありません。

また、何周すれば良いかという点ですが、上記の方法であれば1周で大丈夫です。

注意点としては、「〇番が正しい」と覚えるのではなく、正誤問題は何が誤っているのか、それ以外の問題は選択肢がなくても答えれるようにしてください。

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この記事の著者  橋爪 兼続 講師

橋爪 兼続 講師 講師紹介はこちら


【保有資格】
・第一級陸上無線技術士
・第一級海上無線通信士
・航空無線通信士
・第二級アマチュア無線技士

海上保安大学校卒業後、大型巡視船の主任通信士として通信業務に携わりました。
退職後、地場鉄道会社の子会社において、鉄道関連の無線設備の保守等に従事し、社内向けに第一級陸上特殊無線技士の取得講座を行っています。

その一方で、他社からの依頼により、第二級及び第三級陸上特殊無線技士並びに第三級及び第四級アマチュア無線技士の養成課程講師としても活動しています。

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