無線従事者になるために必要な資格である、無線資格の「陸上特殊無線技士」ですが、どんなところで働けるのか、収入などの待遇面を知ってから資格取得を志そうと思っている方も多いのではないでしょうか?

今回は陸上特殊無線技士の就業先や給料、年収をご紹介しますので、資格を取得するか否かの判断材料になれば幸いです。

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陸上特殊無線技士の平均的な給料・年収は?

陸上特殊無線技士は第1〜第3級に分かれており、扱う電波の種類などによって区分されています。

従って、従事できる仕事内容などにも違いが出てくるため、取得した等級によって就業先や年収・給料が異なります。

第1級陸上特殊無線技士(1陸特)の平均給料・年収

第1級陸上特殊無線技士(1陸特)の資格を活かせる仕事としては携帯会社や警備会社、基地局のメンテナンス会社、移動体通信エンジニア等があります。

平均給料は約22万円〜32万円となっており、残業代や住宅手当、交通費などが会社によって別途支給されます。

平均年収は300〜600万円(参照:求人ボックス)と幅が広いのが特徴です。

これは就業する会社によって、そもそも給料が異なるということや実務経験が考慮されること、一部の会社では資格を取得している人に資格手当を支給している等、従事する会社の規定によって異なるからです。

第2級陸上特殊無線技士(2陸特)の平均給料・年収

第2級陸上特殊無線技士(2陸特)の平均給料は19万円〜30万円となっており、平均年収は300万〜480万円となっています。

2陸特を取得して仕事に従事している方の多くは衛生通信を取り扱う会社やコミュニティFM局(ラジオ局)、高速道路の監視室、警察官などが該当します。

しかし、そもそも求人に出ているものの多くは1陸特以上の無線資格を条件にしていることが多いです。

なぜなら、2陸特は通信設備の操作はできても1陸特のように無線設備の保守や点検を行う登録点検事業者の点検員として従事することができないからです。

また、前述したコミュニティFM局などの一部地域を放送区域とするラジオ局などの技術部などで働こうとしても滅多に社員の募集はないという現状を踏まえると、2陸特を取得していたとしても仕事は相当限られてくるのが実情です。

このように、2陸特として仕事に従事することはあまり現実的ではありません。

ちなみに、2陸特有資格者を一括りに平均年収を算出しようとすると、警察官の平均年収によって引き上げられてしまう可能性があります。

なぜなら、例年各地方の警察学校では2陸特の取得が業務上必要になる資格であることから資格取得が奨励されており、毎年、数万人規模で2陸特を取得しているからです。

従って、警察官も考慮した、2陸特有資格者の平均年収は民間企業で無線従事者として働いている方々の平均給与、平均年収を引き上げてしまうのです。参考程度ではありますが、警察官の平均年収は約600万円〜700万円(令和5年地方公務員給与実態調査)です。

第3級陸上特殊無線技士(3陸特)の平均給料・年収

3第3級陸上特殊無線技士(3陸特)を活かして仕事に従事できる職業はタクシー業者や消防士が主たるものですが、無線基地局を設置しているタクシー会社では免許保有者が主人無線従事者になり、その監督の下であれば無資格者でも無線設備の操作を行うことができます。

先ほど、2陸特の資格を有していても無線従事者として就業することが厳しいという旨をお伝えしましたが、3陸特ともなると、より一層、無線従事者として働くことの現実味は希薄になってきます。

そもそも、3陸特の資格者を採用募集の必須項目に掲げている会社もほぼ無く、上述したような業務上無線を使用する事業所(タクシー会社や警備会社)では入社後に3陸特を取得するための受講費用を負担することや取得時の奨励金というよう「資格手当」になっています。

余談ですが、消防士は消防学校における初任基礎教育課程の中で3陸特の取得が義務付けられています。

2陸特と同様の考え方をすると3陸特取得者の平均年収は、すなわち消防士の平均年収ということになり、約635万円令和3年地方公務員給与実態調査)ということになります。

地域による収入の違いや手当

前述したように3つの等級に区分される「陸上特殊無線技士」ですが、同一等級の資格を取得していたとしても就業先によって収入が異なります。

地域手当

東京圏とその他の地域では平均して4万〜6万円の地域手当の差があります。

また、通信インフラ関係の会社の中には、都心部とそれ以外の地域の就業先で収入差を設けている会社もあり、地方よりも都心部や主要都市で給料は高い傾向にあります。

作業手当(高所作業時等)

職務内容によって高所での作業をすることになり、ある会社の例では1回の作業で400円のように規定されているものもあります。

収入を増やすためには?

これまでご説明してきたように、現状では2陸特や3陸特の資格を持っていたとしても点検業務ができるか否かによって、そもそも仕事がないということや仕事内容が限定されてしまいます。

また、1陸特を取得していて、これから収入を増やしたいと考えたときにできることはなんなのか、陸上特殊無線技士の資格を活かし、収入を上げるためにはどうすれば良いのかご説明します。

2陸特・3陸特有資格者は1陸特の資格を取る

上述してきたように、2陸特・3陸特の資格を持って民間企業に勤めようと思っても、現状では1陸特以上の無線資格を必須資格としている企業が多いことから、そもそも応募すること自体ができないため、1陸特の取得を強く推奨します。

1陸特取得後実務経験を積み主任無線従事者になる

1陸特を取得して3ヶ月実務経験を積めば、主任無線従事者の研修受講資格を得ることができます。

主任無線従事者の資格を得られれば、監督者になることができ昇進の機会を得ることで収入が上がるほか、会社によっては手当が支給されます。

電験3種、(1級・2級電気工事施工管理技士など)を取得する

無線設備の取り扱い、保守・点検業務を主とする1陸特ですが、取り扱う無線設備の多くは事業用電気工作物も設置しています。

そのため、それらの設備の保守、点検、施工管理を行うことができることで無線設備と両方の業務が行えるため、仕事の幅が広がるだけでなく資格手当や作業手当など給料面でも優遇されるでしょう。

実際の給料面では平均年収が500〜900万円(採用情報サイトからの一例)と大幅な収入の増加につながります。

また、無線通信と電気関係の技術者は民間だけでなく、地方自治体でも貴重な人材です。

そのため、自治体によっては「技術職」という枠で30歳以降も転職できる可能性があり、両方の資格を取得したけれども、待遇の良い環境で働きたいという方は公務員として働くという選択肢も増えます。

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この記事の監修者  橋爪 兼続 講師

橋爪 兼続 講師 講師紹介はこちら

【保有資格】
・第一級陸上無線技術士
・第一級海上無線通信士
・航空無線通信士
・第二級アマチュア無線技士

海上保安大学校卒業後、大型巡視船の主任通信士として通信業務に携わりました。
退職後、地場鉄道会社の子会社において、鉄道関連の無線設備の保守等に従事し、社内向けに第一級陸上特殊無線技士の取得講座を行っています。

その一方で、他社からの依頼により、第二級及び第三級陸上特殊無線技士並びに第三級及び第四級アマチュア無線技士の養成課程講師としても活動しています。

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