製造業のAI活用は、品質の向上や生産性の改善に直結し、すでに多くの大手メーカーが具体的な成果を上げています。

その一方で、何から始めればよいかわからず、導入に踏み出せない企業も少なくありません。

本記事では、製造業でAIを活用するメリットと国内15社の最新事例を紹介します。

あわせて、導入時の課題と成功へのステップも解説します。

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目次

製造業におけるAI導入・活用の現状とは?

国内製造業におけるAIの活用は、まだ発展途上の段階にあります。

民間の調査では、製造業の生成AI活用率は30%前後にとどまり、半数以上が活用していないと回答しました。

※出典:「業界別・生成AI活用実態調査」アルサーガパートナーズ株式会社

独立行政法人中小企業基盤整備機構の調査でも、AIを全社的または一部の業務に導入している中小企業は20.4%でした。

※出典:「中小企業のAI活用に関する調査」独立行政法人中小企業基盤整備機構

活用が進まない一方で、製造業の現場では深刻な人手不足と熟練技術者の高齢化が進んでいます。

少子高齢化で若手の採用が難しくなるなか、熟練工が退職すれば、長年培われた技術やノウハウが失われかねません。

とくに中小規模の工場ほど、人材の確保に苦労しているのが実情です。

こうした状況を打開する手段として、AIへの期待が年々高まっています。

そのため、限られた人員で品質と生産性を維持するうえで、AIの活用は避けて通れない経営課題となりつつあります。

製造業でAI・生成AIを活用する主なメリット

製造業がAIを活用する主なメリットは、「品質の向上」「ロス削減」「生産性の向上」「技術承継の推進」の大きく4つに分けられます。

それぞれ詳しく解説していきます。

品質の向上

AIの画像認識を活用した外観検査は、製造業の品質を大きく向上させます。

従来の目視検査では、検査員の熟練度や体調によって判定にばらつきが生じ、微細な傷や異物の見落としも避けられませんでした。

一方、大量の良品画像と不良品画像を学習したAIは、人間では識別が難しい欠陥も一定の基準で検出します。

24時間稼働しても精度が落ちないため、検査員による判定のばらつきや見落としも解消。

検査員の確保が難しい現場でも、AIなら安定して検査の品質を保てます。

検査基準をデータとして残せるため、判断のばらつきが起きにくくなる点も大きな利点です。

結果として不良品の市場流出を防ぎ、ブランドの信頼性を守ることにつながります。

ロス削減

AIによる予知保全は、製造業におけるさまざまなロスを削減します。

設備が故障してからの事後対応では、生産ラインが突発的に停止し、大きな損失が発生しかねません。

AIがセンサーデータから故障の予兆を検知する予知保全では、部品の劣化を事前に把握し、計画的な交換が可能になります。

そのため、突発的なライン停止(ダウンタイム)を回避でき、設備の稼働率を高い水準で維持できるでしょう。

突発的な故障は、修理費用だけでなく、納期の遅れによる信用の低下も招きます。

予兆を早期につかめれば、こうした目に見えにくい損失まで抑えられる点が予知保全の強みです。

不良品の発生を抑える歩留まりの改善とあわせて、原材料や電力の無駄なロスも減らせます。

生産性の向上

AIの活用は、製造業の生産性を大きく高めます。

需要予測AIは過去の販売実績と季節変動を分析し、最適な生産量と在庫量を導き出します。

過剰な在庫と欠品を防ぐことで、保管コストの削減と販売機会の確保を両立。

また、生成AIに日報や報告書の作成を任せれば、現場担当者の事務作業の負担が大幅に軽減されます。

AIが定型業務を引き受けることで、人にしかできない判断や改善活動に集中できます。

従業員は、より重要な業務に時間を充てられるようになるでしょう。

技術承継の推進

生成AIやデータ解析は、製造業における技術承継を推進します。

熟練職人の勘とコツといった暗黙知は、マニュアルで伝えることが難しく、技術承継の大きな壁となってきました。

作業データとベテランの判断を解析すれば、属人化していた技術を形式知として蓄積。

さらに生成AIを使えば、若手の作業員が過去の知見を対話形式で引き出すことも可能です。

熟練技術者の大量退職は、製造業全体が直面する大きな経営リスクです。

AIに技術を蓄積しておけば、世代交代の影響を受けにくい生産体制を築けるでしょう。

教育にかかる時間とコストを抑えつつ、技術の標準化を進められるでしょう。

製造業におけるAI・生成AIの企業活用事例15選

製造業におけるAI・生成AIの企業活用事例15選

ここからは、製造業におけるAIと生成AIの具体的な活用事例を15社紹介します。

大手メーカーから身近な企業まで、幅広い業種の取り組みを取り上げています。

品質管理から商品企画まで、活用の領域はじつに多彩です。

AI導入を検討する際の、具体的なイメージづくりに役立ててください。

【オムロン】リアルタイム監視による状態基準保全の実現

オムロン株式会社は、制御機器のリアルタイム監視によって、状態基準保全(CBM)を実現しています。

従来の定期保全では、まだ使える部品も時間で一律に交換し、突発的な故障も完全には防げませんでした。

オムロンのAIコントローラーは、設備の電流や振動などのデータを常時監視し、故障の予兆を現場で捉えます。

さらに異常の兆候を早期に検知することで、設備の状態に応じた最適なタイミングでの保全が可能になりました。

製造現場のダウンタイム削減と、保全コストの最適化を両立する取り組みといえます。

※参考:「予知保全|AIコントローラ」オムロン

【ブリヂストン】タイヤ成型プロセスへのAI制御システム導入

株式会社ブリヂストンは、タイヤ成型プロセスに独自のAI制御システムを導入しています。

「EXAMATION(エクサメーション)」と呼ばれる成型システムは、熟練技能員の技量を学習したAIを搭載しました。

数多くの品質項目をリアルタイムで計測し、AIが最適な条件を判断しながら成型を制御します。

そのため、熟練者の感覚に頼っていた工程を自動化し、品質のばらつきを極限まで抑え込みました。

高い品質を安定して再現する、製造業のAI活用の好例といえます。

※参考:「タイヤ成型システムEXAMATIONの本格稼働」ブリヂストン

【キユーピー】原材料検査のスピードを劇的に引き上げ省人化

キユーピー株式会社は原材料検査にAIを導入し、検査スピードの向上と省人化を実現しました。

ダイスカットポテトなどの原材料は、従来、検査員が目視で不良品を取り除いていました。

AIを用いた検査装置は良品の特徴を学習し、変色や異物を高速で識別します。

さらに、人間の検査員を上回るスピードと見落としの少なさで、食の安全と安心を確かなものにしています。

検査にかかる人手を減らし、従業員をほかの業務へ振り向けられるようになりました。

※参考:「AIを用いた原料検査装置の開発」キユーピー

【旭化成】官能検査のデジタル化で製品の品質評価を均一に

旭化成株式会社は、官能検査のデジタル化によって、製品の品質評価を均一にしています。

見栄えと手触りといった官能検査は、熟練検査員の五感に頼る属人化しやすい工程でした。

旭化成はAIを活用して官能検査の基準を定量化し、誰が検査しても同じ評価を下せる仕組みを構築しました。

そのため属人化が解消され、国内外の各拠点で品質を均一に保てるようになりました。

熟練者の感覚をデータに置き換える、品質管理の面で意義のある取り組みです。

※参考:「旭化成の導入事例」AWS

【パナソニック】工場設備における突発的な故障を予知保全で削減

パナソニック株式会社は、工場設備の突発的な故障を予知保全によって削減しています。

「AI設備診断サービス」は、モーターの電流データを解析し、設備の状態変化を検知します。

さらにAIが正常時のデータと比較し、故障につながる異常の兆候を早期に把握。

突発的な設備停止を未然に防ぎ、計画的なメンテナンスへと切り替えられるようになりました。

設備の安定稼働を支える、製造業向けのAIソリューションといえます。

※参考:「AI設備診断サービス」パナソニック

【スズキ】国内工場へ作業分析AI「Ollo Factory」を導入

スズキ株式会社は、国内工場へ作業分析AI「Ollo Factory(オロファクトリー)」を導入しています。

生産現場の作業をAIがリアルタイムで分析し、手順の抜けや異常な動きを検知します。

さらに作業ミスをその場で抑止し、品質の統一と不良の未然防止を実現。

熟練者の作業を基準として学習させることで、生産技術の継承も同時に進めました。

人手不足のなかでも、現場の品質と生産性を維持する取り組みです。

※参考:「作業分析AI Ollo Factoryの導入」スズキ

【三菱重工業】生成AIアプリ「TOMONI TALK」でスマート保全を展開

三菱重工業株式会社は、生成AIアプリ「TOMONI TALK with ChatGPT」でスマート保全を展開しています。

インフラやプラントの保守現場では、過去の不具合対応の知見をいかに早く引き出すかが課題でした。

TOMONI TALKは、生成AIを活用し、作業員が過去の対応事例を対話形式で即座に検索できる仕組みです。

また、ベテランに確認しなくても必要な情報にたどり着け、保守の効率が大きく高まります。

プラント保守の現場における、生成AI活用の事例といえます。

※参考:「生成AIを活用したスマート保全」三菱重工技報

【キリンビール】AI資材需給管理で年間1400時間の業務を削減

キリンビール株式会社は、AIによる資材需給管理で、年間1,400時間以上の時間創出を見込んでいます。

缶やラベルといったパッケージ資材は種類が多く、需給予測や発注計画に熟練担当者の長い検討時間が必要でした。

AIが需要を予測し発注計画を立案することで、担当者の膨大な検討時間を削減しています。

さらに在庫の過不足も防ぎ、資材管理の精度を高めることに成功しました。

予測AIを業務改善に生かした事例です。

※参考:「AIによる資材需給管理」キリンホールディングス

【サントリー】複数工場を跨ぐ全体最適な生産計画を自動立案

サントリーホールディングス株式会社は、複数の工場をまたぐ全体最適な生産計画を、AIで自動立案しています。

従来は複数の熟練者が、毎週平均で約40時間をかけて生産計画を立案していました。

AIを活用した生産計画立案システムの導入により、作業時間は約1時間へと短縮されました。

また、熟練者の負担を大幅に軽減しつつ、工場全体を見渡した生産計画を実現しています。

属人化していた計画業務を、AIで標準化した事例といえます。

※参考:「生産計画立案システムの導入事例」日立製作所

【ダイキン工業】AI・データ活用による生産・販売・在庫の最適化

ダイキン工業株式会社は、AIとデータの活用によって、生産・販売・在庫の最適化を進めています。

空調機は季節や天候で需要が大きく変動するため、需要予測の精度が経営を左右します。

そのためダイキン工業はAIによる需要予測を導入し、過剰在庫と欠品による機会損失の両方を抑制。

サプライチェーンマネジメント(SCM)を高度化し、需要変動に強い供給体制を築きました。

データにもとづく経営判断を支える、製造業のAI活用事例です。

※参考:「ダイキン工業の需要予測プロジェクト」Ledge.ai

【セブンイレブン】新商品の企画期間を最大10分の1に短縮

株式会社セブン-イレブン・ジャパンは、新商品の企画期間を最大10分の1に短縮しました。

生成AIを活用し、トレンドや顧客データを分析して、商品企画のアイデアを高速に生み出しています。

さらに企画案の壁打ちやパッケージの画像生成にも生成AIを使い、検討のリードタイムを大きく縮めました。

市場の変化に素早く対応した商品開発が可能になっています。

生成AIを商品企画の上流工程に生かした取り組みです。

※参考:「セブンイレブンが生成AIで商品企画」日本経済新聞

【JFEスチール】過去のトラブル対処法を即座に検索

JFEスチール株式会社は、過去のトラブル対処法をAIで即座に検索できる環境を整えています。

製鉄所には作業マニュアルや報告書など、膨大な文書情報が蓄積されてきましたが、AIがそれらの文書を解析し、必要な保守・保全のノウハウを瞬時に引き出せるようにしています。

長年蓄積してきた知見をナレッジとして活用し、トラブル対応の時間を短縮しました。

文書情報の活用による、技術承継と業務効率化の事例といえます。

※参考:「JFEスチールの導入事例」IBM

【リコー】独自AIエージェントで教育や技術継承を効率化

株式会社リコーは独自のAIエージェントを活用し、教育や技術継承を効率化しています。

複数のAIを組み合わせることで、人手不足のなかでも業務の効率化と生産性の向上を実現。

さらにベテランの知見をAIに学習させ、若手社員の教育や技術継承にも活用しています。

※参考:「リコーのAIエージェント活用」BIZ CHANCE EXPO

【ENEOS】プラント運転自動化へのAIモデル適用

ENEOS株式会社は、製油所のプラント運転自動化にAIモデルを適用しています。

24時間稼働を続ける製油所の運転は複雑で、熟練オペレーターの経験に頼る場面が多くありました。

しかし、ENEOSはAIを用いて、複雑なプラント運転の自動制御に取り組んでいます。

そのためオペレーターの負担を軽減でき、高度な省エネと安定操業を両立できるでしょう。

大規模プラントにおける、AI活用の事例です。

※参考:「製油所におけるAI運転自動化」ENEOS

【コマツ】建機稼働データのAI解析による予測保守

株式会社小松製作所(コマツ)は、建機の稼働データを土台に、予測保守へAIを活用しています。

「KOMTRAX(コムトラックス)」は、世界中の建設機械の稼働データを集約・管理する仕組みです。

こうして集約した稼働データを土台に、AIを用いた予兆診断や予測保全が進められています。

そのため建機が止まる前に部品交換などの対応を行い、顧客の現場の手を止めないビジネスモデルを築いてきました。

製品の販売後も価値を提供し続ける、データ活用型の事例といえます。

※参考:「コマツ ニュースルーム」小松製作所

製造業がAI導入する上での課題・デメリット

製造業へのAI導入には「専門人材の不足」「情報漏洩リスク」「データ整備」「初期投資の負担」「安定運用までの時間」など課題やデメリットも存在します。

ただし、それぞれの課題には有効な対策が存在しますので、それぞれ詳しく解説していきます。

AIを扱える専門人材の不足

製造業がAIを導入する際の大きな課題が、AIを扱える専門人材の不足です。

AIモデルの構築やデータ分析には、データサイエンティストのような専門的なスキルが欠かせません。

しかし、こうした人材は採用競争が激しく、社内に確保できない企業も少なくありません。

対策として、まずAI開発を外部ベンダーに委託する方法が挙げられます。

また、プログラミング不要で使えるノーコードAIツールを、現場主導で選定する方法も有効です。

あわせて社内人材のリスキリングを進め、AIを使いこなせる体制を整えることも重要になります。

外部の力と社内育成を組み合わせ、無理のない範囲でAI活用を広げていくとよいでしょう。

独自ノウハウの外部漏洩リスク

独自ノウハウの外部漏洩リスクも、製造業がAIを導入する際に注意すべき課題です。

とくに生成AIの活用では、社外の一般公開モデルに機密データを入力する危険性があります。

入力した情報がAIの学習に使われ、企業の独自ノウハウが外部へ漏れる可能性も否定できません。

製造業にとって、長年培った技術情報は競争力の源泉そのものです。

対策として、外部から隔離されたクローズドな環境を構築する方法があります。

また、何をAIに入力してよいかを定めた社内ガイドラインの策定も欠かせません。

従業員へのセキュリティ教育とあわせて、安全に生成AIを使える土台を整えることが求められます。

データ不足やデータ形式の乱れ

データの不足や形式の乱れも、製造業のAI導入を妨げる課題のひとつです。

工場に紙の日報しかない、センサーデータが標準化されていないといった状況では、AIがうまく学習できません。

AIは大量の良質なデータがあって初めて、高い精度を発揮します。

裏を返せば、データが整っていなければ、どれだけ高性能なAIでも力を発揮できません。

対策として、まずはOCRの導入などで紙の情報をデジタル化することが第一歩になります。

また、データの項目と形式をあらかじめ統一しておくことも欠かせません。

スモールスタートでデータを蓄積し、少しずつAIが学習できる環境を整えていくとよいでしょう。

初期投資がかかる

初期投資の大きさも、製造業がAIを導入するうえでのデメリットです。

高性能なセンサーやサーバーの導入には多額の初期費用がかかります。

外部ベンダーへの開発委託費用も、大きな負担になりがちです。

投資に見合う効果が出るか不安で、導入に踏み切れない企業も多いのではないでしょうか。

対策として、初期費用を抑えられるクラウド型(SaaS)のAIツールを活用する方法があります。

また、国の補助金制度を活用すれば、費用負担を大きく軽減できるでしょう。

こうした制度は年度ごとに公募内容が変わるため、最新情報を確認しておくと安心です。

費用対効果を見極めながら、無理のない範囲でAI導入を進めることが大切です。

安定運用まで時間がかかる

AIは導入してすぐに成果が出るわけではなく、安定運用までに時間がかかる点も課題です。

実証実験(PoC)やモデルのチューニングが必要で、安定稼働までに数ヶ月から1年ほどかかります。

さらに、現場の運用に合わせてAIを再学習させる工程も欠かせません。

短期で成果を求めすぎると、現場が疲弊し、AI活用そのものが頓挫しかねません。

対策として、効果が見込める特定の1工程に絞って導入する方法があります。

小さな成功体験(クイックウィン)を積み重ねる時間軸の設計が、安定運用への近道です。

経営層と現場が成果のタイミングについて認識を合わせておくことも、定着には欠かせません。

製造業のAI導入を成功に導くための5ステップ

製造業のAI導入を成功させるには、課題の抽出から全社展開まで、複数のステップを段階的に踏むことが基本です。

そのため、一つひとつのステップを着実に進めれば、AI導入の失敗リスクを下げられます。

1.課題抽出と導入目的の明確化

製造業のAI導入における第一歩は、課題の抽出と導入目的の明確化です。

AIを使うこと自体が目的になってしまうと、成果につながらない失敗に陥りがちです。

まず、どの工程のどの数値を改善したいのかを具体的に定めることが重要になります。

たとえば「検査工程の不良流出率を半減させる」のように、数値目標まで落とし込むとよいでしょう。

また、目的をはっきりさせるには、現場へのヒアリングが欠かせません。

日々作業する従業員こそが、本当に解決すべき課題を最もよく知っているからです。

目的が明確になれば、必要なAIの種類やデータも自然と見えてきます。

2.必要なデータの収集や整備

次のステップは、AIの学習に必要なデータの収集と整備です。

前のステップで定めた課題に基づき、必要なデータがどこに、どのような形で存在するかを特定します。

画像やログなどのデータはAIが学習できる形式にそろえる必要があります。

さらに欠損値や表記の揺れを取り除くクレンジングも、この段階で実施。

データは量だけでなく、質を高めることがAIの精度を左右します。

紙やエクセルに散在する情報をデジタル化し、一元的に管理できる仕組みを整えるとよいでしょう。

地道な作業ですが、AI導入の土台となる欠かせない工程です。

3.AIベンダーの選定と概念実証(PoC)

3つ目のステップは、AIベンダーの選定と概念実証(PoC)です。

製造業の現場を理解しているベンダーを選べるかどうかが、プロジェクトの成否を大きく左右します。

過去の実績と同業種での導入事例を確認し、複数社を比較して選ぶとよいでしょう。

また、いきなり大規模な投資をするのではなく、小規模な実証実験から始めることが大切です。

PoCでは、本当に必要な精度が出るのか、現場の運用に乗るのかを検証します。

想定した効果が得られない場合は、計画を見直す判断も必要になります。

効果を見極めたうえで、本格的な導入へ進むかどうかを決めましょう。

4.特定ラインへの初期導入

PoCで効果を確認できたら、特定ラインへの初期導入に進みます。

PoCが成功したからといって、一気に全社へ展開するのは避けるべきです。

まずは最も効果が見込める1つのラインに絞って導入するとよいでしょう。

限られた範囲で確実に成果を出し、成功体験(クイックウィン)をつくることが重要です。

目に見える成果は、AI導入に懐疑的だった現場の理解を得る後押しにもなります。

さらに初期導入で得られた知見は、次の展開に向けた貴重なノウハウとなります。

現場にAI活用の手応えが広がれば、その後の展開もスムーズに進むでしょう。

5.全社への本格展開と継続的な改善

最後のステップは、全社への本格展開と継続的な改善です。

初期導入で得た成功事例を、ほかのラインや工場へと横展開していきます。

ただし、AIは一度導入すれば終わりというものではありません。

機械の経年劣化や生産品目の変更など、製造現場の環境は常に変化します。

変化に合わせてAIモデルを再学習・チューニングする、運用保守の視点が欠かせません。

また、現場からのフィードバックを集め、継続的に改善する体制づくりも大切です。

AIを育て続けることで、製造業の競争力を長期的に高められるでしょう。

まとめ

製造業のAI活用は品質向上から技術承継まで、現場の課題解決に大きく貢献します。

オムロンやブリヂストンをはじめ、すでに多くの企業が具体的な成果を上げています。

AIは決して特別な大企業だけのものではありません。

一方で、専門人材の不足や初期投資など、乗り越えるべき課題があるのも事実です。

まずは現場の課題を明確にし、特定の工程からスモールスタートで導入を検討してみてはいかがでしょうか。

AIに関する最新の動向や各社の取り組みについては、公式サイトもあわせてご確認ください。

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