「アクチュアリー試験はとにかく過去問が大事」と聞いたことはありませんか?

その一方で実は、「過去問をいきなり解いてみたら挫折した」や「いまいち過去問の活用法が分からない」といった声も多いです。

そこで、このコラムではアクチュアリー試験(第1次試験)の過去問の重要性や使い方について解説します。

アクチュアリー試験の対策に過去問が必要な理由

アクチュアリー試験の第1次試験は、数理系の科目で構成されています。

ここでは過去問を通じてどのようなことが得られるのか、なぜ過去問を解く必要があるのかを解説していきます。

なお、アクチュアリー試験の過去問は日本アクチュアリー会のHPで無料で入手できますので必ずチェックしましょう。

参考:日本アクチュアリー会

出題傾向の把握

第1次試験では、過去問と似たような問題が一定の割合で出題されます。中には過去10年の中で3回以上出題される「定番問題」も存在します。

過去問を解くことで自然と頻出問題を多く解くことになるため、出題傾向を把握しつつ効率よく合格に近づくことができます

最も良質な問題集として

アクチュアリー試験に限った話ではありませんが、過去問は「合格するにはどのような問題が解けるようになればよいか」という点が明確に示されている唯一の学習教材です。

そのため「過去問を何度も解く」という勉強法がシンプルにして最も合格に近づく勉強法となるでしょう。

本番を想定したシミュレーション

アクチュアリー試験は模試もほとんど行われていないため、本番の感覚を掴むのも自主学習の中で養う必要があります

時間を測りながら過去問を解くことで「自分が何点くらい取れそうか」や「どういった時間配分で臨むか」などをシミュレーションすることができます。

直近の年度の過去問はあえていくつか解かずにとっておいて、試験直前期に初見でやってみるというのもおすすめです。

過去問での勉強の仕方

それでは実際に過去問を使って勉強する方法について解説していきます。

科目の特性によって最適な方法は異なりますので、下記の勉強方法も参考にしつつ、ぜひ自分なりの勉強法を確立してみてください。

①過去問を解き始める前に・・・

「過去問が重要」ということを意識するあまり、初学者がいきなり過去問から始めてしまうと何も理解することができず挫折してしまうと思います。

従って、過去問に取り組む前に全体像の把握と基本事項の習得はしておくのが得策です。

具体的には「アクチュアリー試験合格へのストラテジー(東京図書)」シリーズのような試験範囲を網羅している教材を3周程度してから過去問に取り組みましょう。

②まずは10年分を目安にじっくり1周

1周目は特に時間がかかると思いますが、理解に妥協することなく腰を据えて1周しましょう

参考までに具体的な取り組み方の一例を紹介します。

まず過去問をひとつ選んで、3時間測って取り組んでみましょう。

取り組み終えたら、解説はすぐに読まずに正誤判定と得点だけ算出してみます。

おそらく30~40点くらいしか取れないはずですが、ここでは「自分の実力を知ること」が目的であるためショックを受ける必要はありません。

次に時間無制限として、もう少し考えれば解けそうだった問題にじっくり時間を使って取り組みます。

苦戦した経験があればあるほど記憶に残りやすくなるため「できない」と思った問題でも最低5分は使って考えてみましょう。

数学系の科目では「思考力」も大事ですが、それ以上に「試行力」が大切です。あれこれと式を変形しているうち解法が見えてくることがよくあります。

一通り納得がいくまで取り組み終えたら、ここでようやく解答・解説を見ます。

解けなかった問題は式展開を単に理解するだけではなく、「どういった思考があればこの解法を思いつけたか?」を考えることが重要です。

最後に間違えた問題には忘れずに印をつけておきましょう

③間違えた問題を繰り返し、解けるように

印のついている問題のみを2周、3周し全問解けるようになるまで繰り返します

中には「5回目でやっと解けるようになった」というような苦労する問題もあるでしょう。

しかし、それは他の受験生も同じ経験をしているため、悲観せずに根気強く繰り返してください。

このステップは人によっては一番辛く感じると思いますが、ここでのやり込みが後で大きな差を生みます。

よくある質問

ここではアクチュアリー試験の第1次試験について、よくある質問を紹介します。

過去問は何周すればよい?

①~③の工程を2~3セット繰り返し、定着させるのが目安

回数にとらわれ過ぎず、できない問題を着実にできるようにしていくことが重要です。

答えを暗記してしまった

何度も繰り返している証拠だと思います。

正答の数値を覚えていたとしても「解答までのプロセスが正しく再現できるか」を意識して問題に取り組みましょう。

過去問は最終的に何割解ければよい?

過去問は一部の「捨て問」を除いて全て解けるようにすべきです。

最終的な目標としては、過去問は2時間(本番の試験時間は3時間)で90%程度は取れるようにしておきましょう。

それでも本番では初見問題が数多く出題されるため、この完成度でも合格の確証はない点に注意しましょう

過去問の解き方のポイント

ここでは過去問を実際に解いていく際に意識すべきポイントについて解説します。

ここで解説するポイントを意識して取り組むことで過去問の吸収率が変わってきます。

ぜひ参考にしてみてください。

間違えた問題の原因分析・徹底反復

前章までに述べてきた内容と一部重複しますが、間違えた問題は「どこで間違えたか」「なぜ解法が浮かばなかったのか」など原因をきちんと把握しましょう

これを行うことで、初見の問題への対応力もつきます。そのうえで、何度も繰り返し定着をはかりましょう。

簡単に解答・解説を見ない

第1次試験は数理系の試験であるため「試行力」が重要です。この力は本番において初見の問題を解く際に必須の力と言えるでしょう。

普段の勉強の中で鍛えるには、分からない問題に対して粘り強く考える習慣に必要になります。

とはいえ1問に対して1時間、2時間と考えていても時間が勿体ないため、「分からない」と思った問題も5分~10分を目安に式変形をしながらもがいてみましょう。

間隔を空けて解きなおす

時間と記憶している割合の関係を示すエビングハウスの忘却曲線は有名ですが、これは数学の問題においてもある程度あてはまります。

ある問題をきちんと理解し、自力で解けるようになっても1か月後に同じ問題を解いてみたら出来なかったということはよくあることです。

何度か間違えた問題は特にこの傾向に当てはまりやすいので、一度解けても油断せず時間を空けて復習するようにしましょう。

過去問を解き切ってしまったら…

ここからは、過去問を解き切ってしまった人向けの勉強法に関して解説します。

簡単な解き方を考えてみる

過去問の中で示されている解答が必ずしも最短の解き方とは限りません

SNSを活用して他の受験生の解き方を参考にしてみたり、自身で「簡単に解く方法はないか」を考えながら、より効率的な解法を身に着けていきましょう

特に生保数理や年金数理で頻出の平均年齢や脱退時平均年齢を求める問題は、大抵の場合積分せずとも計算できますので解くスピードにかなり差が出ます。

指定教科書の問題を解いてみる

過去問は重要ですが、初見の問題は指定教科書から出題されるケースが多いため、指定教科書の勉強も合格には欠かせません。

過去問をひととおり取り組んでから指定教科書を改めて読み直してみると、非常に要点がうまくまとまっていることが分かると思います。

ぜひ総復習として活用するとともに、章末の練習問題にもトライしてみてください

古い年度の過去問や年金数理人会の過去問を解いてみる

アクチュアリー会のHPではなんと昭和37年度の過去問から60年分が掲載されています(2022年8月執筆時)。

そこまで遡る必要はありませんが、20年前や30年前の過去問は意外と直近の過去問の類題になっていることがよくあるため、予め見ておくと類題が出題されたときに焦らず対応できるでしょう。

また、年金数理人試験は現在(2022年8月執筆時)では、年金数理と年金法令・制度運営の2科目しか実施されていませんが、過去に基礎数理という科目名でアクチュアリーの数学・生保数理・損保数理と同じ出題範囲で試験が実施されていました(会計・経済・投資理論はそのままでアクチュアリーの会計・経済・投資理論と対応)。

難易度もそれなりに高いため、初見の問題を解いてみたいという人は年金数理人試験の問題を解いてみるのもおすすめです。

まとめ

アクチュアリー試験(第1次試験)における過去問の活用方法についてイメージがつきましたでしょうか?

あくまで本コラムの内容は筆者の体験談をベースにしておりますので、本コラムを参考にしつつ自分流のやり方を見つけてみてください

この記事の執筆者 sat

理学部物理学科を卒業後アクチュアリー候補生として保険会社に就職。

仕事の傍らアクチュアリー試験の勉強に励み、自身が苦しんだ経験をもとに社内のアクチュアリー候補生に対して勉強法を伝えてきた。

※執筆時点では数学、生保数理、年金数理において科目合格済み

その後、専門職としてキャリアの幅を広げるべく、大手金融機関にデータサイエンティストとして転職。

アクチュアリー試験で培った数学的基礎力を活かし業務を行っている。

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