社会福祉士が独立開業・フリーランスとして働くことができるのか、興味がある方も多いのではないでしょうか。

フリーランスは、終身雇用の時代が終わりつつある昨今、新しい福祉の働き方として注目されつつあります。

本記事では、社会福祉士がフリーランスで働くことは可能なのか、気になる年収やメリット・デメリットまで紹介します。

社会福祉士がフリーランスで働くことは可能?

社会福祉士がフリーランスとして働くことは可能です。

どこかの法人に所属するのではなく、独立に必要な所定の手続きすることでフリーランスとして働くことができます。

注意したいのが、上記に加え社会福祉士は「ぱあとなあ」への名簿登録が実質的に必要になります。

関連コラム:社会福祉士とは?仕事内容や相談業務の流れや将来性についても解説

成年後見人名簿への登録が実質的に必要

社会福祉士の資格を活かし独立する場合、成年後見人の受託が主な収入源になります。

成年後見人とは、知的障害・精神障害・認知症などひとりで決めることに不安や心配のある人がさまざまな契約や手続きをする際にお手伝いする制度のことです。

この成年後見人を受託するには、社会福祉士会の権利擁護センター「ぱあとなあ」の成年後見人名簿に登録することが求められます。

登録するための要件は、社会福祉士会の基礎研修を受講し、そのうえで成年後見の研修を受講する必要があります。

名簿に登録することで「ぱあとなあ」から成年後見の仕事を受託することが可能になります。

ぱあとなあについてはこちらをご覧ください。

権利擁護センター 「ぱあとなあ」

必要に応じて独立型社会福祉士名簿への登録も

こちらも必須ではないものの、独立型社会福祉士名簿という仕組みがあります。

社会的信用の確保や社会的認知の拡大などフリーランスになるにあたりさまざまなメリットがあるので、興味のある方は検討してみるとよいかもしれません。

独立型社会福祉士名簿についてはこちらをご覧ください。

公益社団法人日本社会福祉士会 独立型社会福祉士名簿

社会福祉士のフリーランスでの働き方

では、具体的に社会福祉士がフリーランスとして働き方はどのようなものがあるでしょうか。

働き方は資格やスキルによってさまざま

主な仕事内容は以下のとおりです。

  • 福祉の相談業務
  • 成年後見人
  • 講師活動
  • ライター業
  • 他の資格を活かした業務

など、多岐にわたる働き方があり、自ら社会福祉士事務所を立ち上げて経営していくことになります。

一般的な業務は、福祉に関わる相談や、先述した成年後見人の受託し報酬を得る方法です。

他にも、資格を活かした養成講座の講師の依頼を受け報酬を得ている方もいます。

また、社会福祉士の資格だけではなく、何らかのダブルライセンスを取得して仕事の幅を増やしていくといった働き方もあります。

例えばケアマネジャーの資格をもっていればケアプランを作成することで報酬を得ることも可能になります。

近年ではクラウドワークス・ランサーといったクラウドソーシング(仕事請負)を通し資格や経験を活かしたライター業を請け負っている人もいるようです。

このようにフリーランスの働き方はさまざまです。

自分の長所を活かしながら収入につなげることができます。

請負型という働き方も

ここまでは個人事業主としての働き方を紹介してきましたが、請負型という働き方でフリーランスになっている方もいます。

請負型とは、施設や役所から社会福祉士がおこなうべき業務を請け負う形態で、以前勤務していた施設から仕事を受けるケースです。

請負型からフリーランスを始め、少しずつ準備を進めて個人事業主に移行していく方もいるので、請負型を足がかりにフリーランスを初めて見るのもよいかもしれません。

社会福祉士が独立開業するには?

社会福祉士が独立開業する場合、フリーランスとして活動する際と同様に、資格や登録が必要です。独立開業にあたって、以下の準備をしっかり整えることが重要です。

1. 必要な資格と登録

  • 成年後見人名簿への登録
    「ぱあとなあ」への登録が必須です。成年後見業務を行うためには、この名簿に登録する必要があります。
  • 独立型社会福祉士名簿への登録
    必須ではありませんが、登録することで社会的信用が得られ、仕事を受注しやすくなります。

2. 事務所の確保と保険加入

  • 事務所の確保
    自宅兼事務所でも可能ですが、相談業務やセミナーを行う場合、専用の相談室や会議室が必要になることがあります。
  • 保険加入
    業務中のトラブルや契約上の問題に備えて、損害賠償保険や事業総合保険に加入することをおすすめします。

3. 開業形態の選定

  • 個人事業主
    開業届を税務署に提出することで、比較的簡単に開業できます。
  • 法人化
    合同会社や株式会社などの法人を設立することで、社会的信用が高まり、事業の拡大や融資の受けやすさが向上します。ただし、設立費用や会計管理が必要です。

4. 事業計画の作成

  • ターゲットの決定
    提供するサービスのターゲット(高齢者、障害者、地域住民など)を定めます。
  • サービス内容の明確化
    相談業務、講師活動、セミナー開催など、どのようなサービスを提供するかを計画します。
  • 収益予測
    初期費用や運営コスト、収益の予測を立てることが重要です。

5. 集客と営業

開業してもすぐに仕事が入るわけではありません。地域の福祉団体、病院、自治体とのネットワークを作ることが成功のカギです。また、WebサイトやSNSを活用して、自己PRやサービスの周知を行いましょう。

独立開業した社会福祉士の働き方

社会福祉士が独立開業する際、働き方にはいくつかの選択肢があります。フリーランスとしての働き方を土台にしつつ、独立後は事業運営に関するスキルや戦略を追加で求められます。ここでは、独立開業後の働き方のポイントをいくつか紹介します。

1. 相談業務を中心に活動する

独立開業後、もっとも一般的な働き方の一つが、福祉に関する相談業務です。地域の福祉施設や高齢者、障害者、その他福祉に関わる個人と直接やり取りを行い、悩みや問題を解決に導く仕事です。主な内容としては、以下のようなものがあります:

  • 生活相談
  • 法律や福祉制度に関するアドバイス
  • 精神的なサポート
    これらの相談業務は、地域密着型であるため、信頼関係を築くことが非常に重要です。

2. 成年後見業務を行う

社会福祉士の資格を活かして、成年後見人として活動することも可能です。成年後見人名簿に登録後、認知症や障害を持つ方の法律的・財務的なサポートを行います。成年後見業務は、法律や福祉制度の知識を必要とし、精神的・社会的に非常に意義のある業務です。また、成年後見人としての業務は安定した収入源にもなり得ます。

3. 講師や研修講師として働く

社会福祉士としての知識を活かし、福祉関連の講師や研修講師として活動する方法もあります。福祉の資格を取得したい人向けの養成講座を開催したり、企業や地域団体の職員向けに福祉や介護に関する研修を行ったりすることができます。この働き方は、知識や経験を共有できる点が魅力で、講師としての評価が高まることで安定した収入を得ることが可能です。

4. ライター業や執筆活動

社会福祉に関する執筆業も、独立開業後の選択肢として有望です。福祉に関連する書籍や専門記事、ブログなどの執筆を行うことで、収入源を増やすことができます。特に、自分の専門知識を活かしたコラムや記事は、他の専門家にとっても価値があり、依頼が来ることもあります。

5. 他の資格との組み合わせ

社会福祉士だけではなく、ケアマネジャー(介護支援専門員)や行政書士、ファイナンシャルプランナーなど、他の資格を活かした業務を展開することも可能です。例えば、ケアプラン作成業務や、福祉に関連した法律相談業務、資産運用に関する相談などです。複数の資格を持つことで、より広範囲なニーズに対応でき、収入の安定性や事業の幅を広げることができます。

6. 請負型の業務

もう一つの働き方は、施設や自治体からの請負業務です。これは、フリーランスとして個別契約を結び、社会福祉士としての専門業務を施設や団体から請け負う形態です。契約が安定している場合、フリーランスとして仕事が続けやすい一方で、独立開業して事務所を開設したり、他の業務にシフトする柔軟性には欠けることもあります。

独立開業後の働き方は、社会福祉士のスキルや経験をどう活かすかにより多様化します。どの働き方を選ぶにしても、重要なのは「自分の強みを活かすこと」と「地域や顧客のニーズに対応すること」です。自分に合った方法で、長期的な信頼と安定を築くことが、成功へのカギとなります。

社会福祉士の独立後の年収はどれくらい?

フリーランスになるにあたり、もっとも気になるのは年収ではないでしょうか。

結論からいうと年収はその人の能力やスキル、人脈などに大きく関係するため正確なデータは分かっていません。

おおむね年収400万円前後

独立したから大きく収入が伸びるということは少なく、基本的には社会福祉士の平均年収である400万円程度とあまり変わらないようです。

とはいえ、介護事業を並行して運営したり、講演会や研修など人気があり需要の高い場合は年収1,000万円に近い報酬を得ている方もいるようです。

経験やスキル、運営の方法次第で需要を高めることができ、収入を増やせる伸ばすことができます。

社会福祉士がフリーランスになる上で持っておくとよい資格

社会福祉士のフリーランスを目指す場合、さらに別の資格をあると収入の安定化など、さらに盤石な経営につながります。

そこで、社会福祉士がフリーランスになるにあたり取得していると有利な資格をいくつか紹介します。

ケアマネジャー(介護支援専門員)

ケアマネジャーとは、介護保険サービス事業者と連絡調整をおこない、高齢者の要介護者のケアプランを作成できる資格です。

ケアプランを作成するのは医者や弁護士と同じような業務独占に分類される資格です。

高齢化が進む日本において、これからも需要が伸びていくことが予想できます。

資格要件に『国家資格(社会福祉士など※)に基づく業務に5年かつ900日以上従事』があり、社会福祉士の資格を活かし5年かつ900日以上働くことで受験資格を手に入れることができます。

都道府県別で実施されている試験に合格することで、社会福祉士に関わる業務だけでなく高齢者福祉のプロとしてより専門性が高まります。

ケアプランが作成できるようになりフリーランスとしての安定感も高まります。

行政書士

行政書士は国家資格であり、行政に関わる申請業務に携わる資格です。

他の資格で独占されていない業務もあり、法律に関する高度な知識が求められますが幅広い範囲での活躍が期待できます。

主な仕事内容は

  • 行政書類の作成
  • 許認可申請の代理
  • 相談業務

の3つで、社会福祉士と同様生活の問題解決に直結している部分も多い資格です。

合格率は約10%と低いものの、受験資格はなく気軽に受験することもおすすめできる点の1つです。

FP(ファイナンシャルプランナー)

ファイナンシャルプランナーは、節約から税金、投資、住宅ローン、不動産、教育、老後、相続まで、ありとあらゆるお金のエキスパートといえる資格です。

社会福祉士の福祉とFPのお金の両方の視点から依頼者に有効なアドバイスができ、よりきめ細やかなサポートができるようになります。

ハンディキャップを持つ人のお手伝いをするための発想もよりニーズの合う解決方法を導き出せるようになり、同業者と差別化できるようになります。

試験面においても、試験では社会福祉士試験で問われる内容も一部含まれています。

また、難関資格である先ほどの行政書士と比べてFP2級であれば難易度は低く、挑戦しやすいというメリットもあります。

※FPには1級〜3級などいくつかの種類があります。

社会福祉士がフリーランスになる・独立開業のメリット・デメリット

つづいて、フリーランスになった際のメリット・デメリットについてみていきましょう。

メリット1 自分のペースで仕事ができる

フリーランスの1番の魅力は、自分の考え方やペースで依頼者(利用者)と向き合いながら仕事ができる点です。

どこかに雇用され組織に所属していると、どうしても支援対象はある程度限定されてしまい、支援方針についても上司や責任者の意向に従わなければなりません。

自分の考えに合わない業務をしなければならず日々ストレスが蓄積され続けてしまう、と苦しんでいる方も多いのではないでしょうか。

その点、フリーランスはどこかに所属するわけではないので、上記のような悩みはなくなり、自身の信念のもと仕事をすることができるようになります。

また、職場の人間関係からも開放されるので、誰に気兼ねすることもなく自分のやりたい方法で支援に向き合うことができます。

自分の信念で福祉に携わりたい、職場の人間関係に悩んで、大切なことは自分自身で決めたいという方はフリーランスに向いているかもしれません。

メリット2 資格を活かして働ける

フリーランスは、ほかの資格と組み合わせるなどして仕事の幅を拡げていくことも可能です。

上記でも紹介したように、社会福祉士以外の資格を手に入れることでより多くのニーズに応えられるようになり、より安定した経営につながります。

現在、複数の資格をお持ちの方はもちろん、将来資格を取得する予定の方で資格を十分に活かしたい方はおすすめといえます。

メリット3 働き次第で収入が増える

収入に伸びしろがある点もフリーランスの魅力の1つです。

法人に所属していると収入面は安定するものの、一気に増えるといったことはほとんどありません。

一方、フリーランスとして資格や経験を上手に活用することができればその分収入につながりやりがいを生むことができます。

やった分だけ報酬も欲しい、伸びしろがある働き方がしたいという方は向いているかもしれません。

デメリット1 経済的な保証がなくなる

では、社会福祉士がフリーランスになる場合のデメリットも見ていきましょう。

フリーランスになった場合、収入はすべて自分で稼がなければならず、常に自己責任が伴います。

法人などに所属している場合は所属先から毎月給料をもらいながら働けますが、フリーランスは違います。

安定した収入がなければフリーランスを継続することは難しく、どれだけの報酬が入ってくるかは本人次第になります。

経済的な保証がなくなるので、フリーランスになる際は、綿密な計画が必要です。

デメリット2 社会福祉士のみだと経営が厳しい場合も

社会福祉士の資格だけでは収入が心もとない場合が多く、経営が難しい場合があります。

フリーランスとして独立する場合は、先ほど紹介した独立に活かせる資格を取得し、自分に付加価値を加えながら活動している方が多くいるのが実情のようです。

すでに社会福祉士以外でフリーランスに活かせる資格をお持ちの方であれば、積極的に活用する方法を考えてみましょう。

反対に、まだ資格を社会福祉士しか取得していない場合は他の資格を手に入れるか、社会福祉士資格のみでフリーランスとして安定して働くことができるのか検討してみましょう。