第一級陸上特殊無線技士(一陸特)は、今後需要の増大が見込まれる資格です。

合格率が30%と比較的低く、社命で受ける以外はなかなか手を出し難い資格となっています。

このコラムでは、独学での合格を目指せるか否かを解説していきます。

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第一級陸上特殊無線技士試験に独学で合格するのは難しい

一陸特を無線工学または電気・通信の知識がない人が独学で合格することは非常に難しいです。

理由としては以下のものがあげられます。

理由1 専門用語が多い

無線の世界は専門用語が非常に多く出てきます。

どの資格試験でも出てきますが、多くの場合は、「定義などを見ればなんとなく理解できる」か「例を見ればなんとなく理解できる」というのが多いと思います。

しかし、無線の世界では、目に見えるものを扱っていないため、抽象的なものとなります。

そのため、専門用語を独学で理解しようとすることは難解と言えます。

理由2 計算問題がある

一陸特では指数関数や対数関数の計算が必須となります。

計算のレベルとしては高校で習うレベルではありますが、そもそも高校で勉強していなかったり、社会人となって記憶から消えてしまっている人も多いと思います。

そのため、もう一度勉強するのを苦痛に感じる人は多いです。

理由3 問題文が長く、要点が解り難い

一陸特の法規は問題文や選択肢が非常に長文となっています。

その中で僅かな誤りを発見する必要があったり、正解を見つけなければなりません。

そのため、文章を早く正確に読むという技術が必要となります。

参考としてですが、一陸特の試験範囲は次の通りとなっています。

科目 範囲
無線工学 1.多重無線設備(空中線系を除く。)の理論、構造及び機能の概要
2.空中線系等の理論、構造及び機能の概要
3.多重無線設備及び空中線系等のための測定機器の理論、構造及び機能の概要
4.多重無線設備及び空中線系並びに多重無線設備及び空中線系等のための測定機器の保守及び運用の概要
法規 電波法及びこれに基づく命令の概要

この通り、無線工学は多重無線設備に係るものが非常に多く、この設備を普段目にすることは殆ど無いので、見て解るというのはなかなか難しいものとなります。

また、設備を普段扱っている者であっても、中身を見ることは少ないため、以外と業務経験者でも理解できないところが多くあります。

数学が苦手であれば勉強時間は150時間確保する

一陸特を合格するためには、120時間程度は見ておいた方がいいと思います。

ただし、数学が苦手であれば、更に時間がかかり、150時間程度を見ておいた方が確実です。

社会人では、なかなか時間を取ることが難しいですが、通勤時間と起床後就寝前の時間を使えば1日2時間程度は確保できるとおもいます。

これから2~3ヶ月見ておけば大丈夫です。

第一級陸上特殊無線技士試験の独学勉強法

1 わからないところを読み飛ばしながら基本知識を身につけていく

まずは、基本的知識を勉強する必要があります。

そのためには、市販の参考書を利用して全体的な知識を身につけてください。

1回目は、解らないところはそのまま読み飛ばしてください。

重要なのは、全体像を頭の中に入れることです。

2回目は、解らないところをしっかり調べながら読んでください。

無線は専門用語も多く、法規も無線工学もお互いに知識が絡み合っているため、1回目で調べると全く先に進まなくなります。

そのため、一通り把握した上で細かく調べると非常に効率が良くなります。

これは、他資格でも共通していると事です。

2 過去問を解き「何故その答えになるのか」わかるレベルまで理解力を高める

その後、過去問を解いていき、間違ったところ不安なところを調べながら復習してください。

2年分程度の過去問を何周も解いて満点取れるようになれば問題ありません。

ここで重要なのは、答えが解ることではなく、何故その答えになるのか理解することです。

理解していないと、少し問題が変化すると解けなくなります。

一陸特は講座を受講するほうが効率的

一陸特を独学で勉強することは不可能ではありませんが、おすすめはしません。

解らないところを質問したくても、確実に合っている解説をしてくれる人が身近にいないからです。

確かに最近はインターネットで多数の情報が出てきますが、難しかったり簡単すぎたり丁度良い解説がありません。

養成課程も受講要件が厳しい上、平日の2週間程度必要となります。

おすすめする方法としては、eラーニングや通信教育で勉強することです。

注意点としては、その講座の質問への対応と講師です。

講座によっては無料で質問できる回数が少なかったり、回答に時間がかかったりすることがあります。

また、講師も一陸特を有している者なのか、それとも無線で一番難易度の高い第一級陸上無線技術士(一陸技)を有している者なのかというのが重要です。

eラーニングや通信教育を選ぶ際は、質問への対応や講師を検討して受講することをおすすめいたします。


最後に、一陸特は無線従事者としての仕事より登録点検事業者としての仕事が数多くあります。

そのため、試験に合格することより理論をどの程度理解しているかが重要となります。

ですので、合格しても使えない一陸特でなく、合格後に仕事ができる一陸特になれるようにしっかり理論を理解するようにしてください。

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この記事の著者  橋爪 兼続 講師

橋爪 兼続 講師 講師紹介はこちら


【保有資格】
・第一級陸上無線技術士
・第一級海上無線通信士
・航空無線通信士
・第二級アマチュア無線技士

海上保安大学校卒業後、大型巡視船の主任通信士として通信業務に携わりました。
退職後、地場鉄道会社の子会社において、鉄道関連の無線設備の保守等に従事し、社内向けに第一級陸上特殊無線技士の取得講座を行っています。

その一方で、他社からの依頼により、第二級及び第三級陸上特殊無線技士並びに第三級及び第四級アマチュア無線技士の養成課程講師としても活動しています。

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