「登録日本語教員試験はいつ実施されるの?」
「登録日本語教員試験の内容はどのようなもの?」

上記のような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。試験の日程や内容に関する情報が不確定な場合、その準備や計画を立てるのは難しいですよね。

登録日本語教員試験(日本語教員試験)は、日本語教育の質を向上させ、より多くの外国人に効果的な日本語教育を提供するために設けられた制度です。

新しい試験制度であるため、具体的な試験の日程や内容についての情報がまとまっていないことも多く、受験を考えている方々にとっては不安の要因となっています。

本記事では、登録日本語教員試験の実施日や試験内容、具体的な問題形式について詳しく解説します。

2024年5月24日に公表された情報に基づいて、日本語教員試験に関する詳細な情報を提供し、それぞれの試験がどのように構成されているのかを明らかにするのでぜひ参考にしてください。

本記事を読むことで、試験の準備に必要な情報を把握し、自信を持って試験に臨むための道筋が見えてくるでしょう。

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第1回 登録日本語教員試験はいつ実施される?

試験日令和6年11月17日(日曜日)
出願期間令和6年8月1日(木)~9月6日(金)
受験料等1.通常
基礎試験及び応用試験 18,900円

2.試験免除を受ける場合
(1)基礎試験免除
免除資格の確認及び応用試験受験料 17,300円

(2)基礎試験及び応用試験の双方の免除
免除資格の確認手数料 5,900円

※1及び2(1)、(2)の費用には合格証書発行を含みます。
試験会場北海道:北海道札幌市
東北:宮城県仙台市
関東:東京都23区内及び神奈川県横浜市
中部:愛知県名古屋市
近畿:大阪府堺市
中四国:広島県広島市
九州:福岡県福岡市
沖縄:沖縄県宜野湾市
結果通知令和6年12月20日(金)予定
出典: 令和6年度日本語教員試験実施要項 p.1

2024(令和6)年の登録日本語教員試験は「2024年11月17日(日)」に実施されます。

登録日本語教員試験は、2024年4月時点において、2024年(令和6年)秋から開始されるとされていましたが、2024年5月24日に公表された「令和6年度日本語教員試験実施要項 」において明らかにされました。

第1回 登録日本語教員試験は、以下の全国8か所で実施される予定です。なお、2023(令和5)年12月10日(日) に前もって実施された「日本語教員試験試行試験 」では、試験会場は全国5か所(仙台・東京・名古屋・大阪・福岡)でした。

エリア会場住所
北海道TKP 札幌カンファレンスセンター北海道札幌市北区7条西2-9
東北TKP ガーデンシティ PREMIUM 仙台西口宮城県仙台市青葉区花京院 1-2-15
関東駒澤大学(駒沢キャンパス)東京都世田谷区駒沢 1-23-1
TOC 五反田東京都品川区西五反田 7-22-17
TKP ガーデンシティ PREMIUM 品川高輪口東京都港区高輪 4-10-18
TKP 新橋カンファレンスセンター東京都千代田区内幸町 1-3-1
中部名城大学(天白キャンパス)愛知県名古屋市天白区塩釜口一丁目 501 番地
近畿大阪公立大学(中百舌鳥キャンパス)大阪府堺市中区学園町 1 番 1 号
中四国TKP ガーデンシティ PREMIUM 広島駅前広島県広島市南区大須賀町 13-9
九州九州大学(伊都キャンパス)福岡県福岡市西区元岡 744
沖縄沖縄コンベンションセンター沖縄県宜野湾市真志喜 4-3-1
※試験会場の地域は出願時に選択できますが、地域内に複数の試験会場がある場合、会場を選択することはできません。なお、上記の試験会場は会場の都合により変更されることがありますので、必ず受験票に記載のある試験会場をご確認ください。

出願期間は、2024年8月1日(木)~9月6日(金)、結果通知は、2024年12月20日(金)(予定)となります。2024年は年に1回のみの実施となる予定です。

日本語教員試験の試験内容

2024年5月24日に「2024(令和6)年第1回日本語教員試験」の「実施要項」が文部科学省から公表されました。

以下では、公表された実施要項に基づいて、「2024(令和6)年第1回日本語教員試験」について詳しく解説していきます。

日本語教員試験の科目・出題内容・出題範囲

日本語教員試験は、養成修了段階で習得しておくべき必要不可欠かつ基礎的な知識及び技能が網羅的に備わっていることを確認・評価するためのものです。

日本語教員試験は、日本語教育を行うために必要な基礎的な知識及び技能について判定する「基礎試験」と、応用に関する知識及び技能について判定する「応用試験」という2つの試験によって構成されています。

全体目標一般目標必須の教育内容基礎試験おおむねの出題割合(※)
1.社会・文化・地域①世界と日本<1>世界と日本の社会と文化約1~2割
②異文化接触<2>日本の在留外国人施策
<3>多文化共生(地域社会における共生)
③日本語教育の歴史と現状<4>日本語教育史
<5>言語政策
<6>日本語の試験
<7>世界と日本の日本語教育事情
2.言語と社会④言語と社会の関係<8>社会言語学
<9>言語政策と「ことば」
約1割
⑤言語使用と社会<10>コミュニケーションストラテジー
<11>待遇・敬意表現
<12>言語・非言語行動
⑥異文化コミュニケーションと社会<13>多文化・多言語主義
3.言語と心理⑦言語理解の過程<14>談話理解
<15>言語学習
約1割
⑧言語習得・発達<16>習得過程(第一言語・第二言語)
<17>学習ストラテジー
⑨異文化理解と心理<18>異文化受容・適応
<19>日本語の学習・教育の情意的側面
4.言語と教育⑩言語教育法・実習<20>日本語教師の資質・能力
<21>日本語教育プログラムの理解と実践
<22>教室・言語環境の設定
<23>コースデザイン
<24>教授法
<25>教材分析・作成・開発
<26>評価法
<27>授業計画
<29>中間言語分析
<30>授業分析・自己点検能力
<31>目的・対象別日本語教育法
約3~4割
⑪異文化間教育とコミ ュニケーション教育<32>異文化間教育
<33>異文化コミュニケーション
<34>コミュニケーション教育
⑫言語教育と情報<35>日本語教育とICT
<36>著作権
5.言語⑬言語の構造一般<37>一般言語学
<38>対照言語学
約3割
⑭日本語の構造<39>日本語教育のための日本語分析
<40>日本語教育のための音韻・音声体系
<41>日本語教育のための文字と表記
<42>日本語教育のための形態・語彙体系
<43>日本語教育のための文法体系
<44>日本語教育のための意味体系
<45>日本語教育のための語用論的規範
⑮コミュニケーション能力<46>受容・理解能力
<47>言語運用能力
<48>社会文化能力
<49>対人関係能力
<50>異文化調整能力

※応用試験は複数の区分にまたがる横断的な設問とされるため出題割合が示されていません。

令和6年度日本語教員試験の出題内容及びサンプル問題より

「基礎試験」と「応用試験」は、日本語教員を育てる教育機関が則るべき「養成課程コアカリキュラム」として公表されているもののなかから出題されます。

「養成課程コアカリキュラム」は、上の表のように、5個の全体目標(上位区分)、15個の一般目標(下位区分)によって構成されており、一般目標を達成するために必須とされる教育内容(出題内容)が具体的に示されています。

基礎試験については、おおよその出題割合が示されていますが、応用試験については、出題割合が決まっているわけではないので注意が必要です。

「基礎試験」では、日本語教育を行うために必要となる基礎的な知識及び技能について下位区分ごとに出題がなされます。

一方、「応用試験」では、基礎的な知識及び技能を活用した問題解決能力を測定するため、必ずしも下位区分ごとの出題になるとは限りません。

あとでサンプル問題でも示すように、知識と教育実践が関連するような出題がなされます。

たとえば、応用試験の一部は聴解問題によって構成され、日本語学習者の発話や教室での教師とのやりとりなどの音声を用いて、より実際の教育実践に即した問題が出題されます。

応用試験では、問題解決能力や現場対応能力等が測定されるので、問題に即した対策が必要となるでしょう。

日本語教員試験の出題数・出題形式・配点・合格基準

試験種類試験時間出題数出題形式配点
基礎試験120分100問選択式1問1点(計100点)
応用試験(聴解)
応用試験(読解)
50分
(休憩)
100分
50問
60問
選択式1問1点(計110点)
出典: 令和6年度日本語教員試験実施要項 p.1

日本語教員試験の問題数、出題形式、配点は上記の表のとおりです。

日本語教員試験の合格基準は、以下のとおり、基礎試験・応用試験に分けて明確に定められています。

  • 基礎試験: 必須の教育内容で定められた5区分において、各区分で6割の得点があり、かつ総合得点で8割の得点があること
  • 応用試験: 総合得点で9割の得点があること 

ただし、基礎試験、応用試験とも、年度ごとの難易差等により合格基準の調整が行われることがあるので注意してください。

日本語教員試験の試験問題

2024年5月24日に実施要項が公表されたのと同じタイミングで、「令和6年度日本語教員試験の出題内容及びサンプル問題」も公表されました。

同資料を確認することで、日本語教員試験の出題内容と実際の問題形式を確認することができます。

以下では、基礎試験・応用試験(聴解)・応用試験(読解)に分けて、サンプル問題を示します。

基礎試験のサンプル問題

問題3  次の(1)~(11)の問いに答えよ。

(3)言語学習において、学習者は学習を促進するための様々なストラテジー(方略)を用いると言われている。このような学習ストラテジーのうち「メタ認知ストラテジー」の例として最も適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。

1 教師に質問し説明を求める。
2 テキストの文脈から意味を推測する。
3 学習計画を立てて、随時進捗を確認する。
4 目的に応じた聞き方や読み方を選択する。

(9)コミュニケーション・ストラテジーの一つであるコード・スイッチングが起こっているとは言えない例を、次の1~4の中から一つ選べ。

1 ダイグロシア社会において、二人の話者がそれぞれ別の言語を話しているが、コミュニケーションが成り立っている。
2 バイリンガル話者の中にモノリンガル話者が一人含まれている会話において、話の途中でバイリンガル話者がモノリンガル話者の理解できない言語で話し始めた。
3 マルチリンガル話者が一つの言語でスピーチをしていたが、民族のアイデンティティを示すために途中で別の言語で話し始めた。
4 友人同士が地域で日常的に使用する方言で話していたとき、一人がもう一人に頼み事をしたが、相手は方言ではなく公的に使われている共通語を使って断った。

上記の2つの問題は、全体目標の⑤言語使用に該当する問題で、一般目標の「社会 <10>コミュニケーションストラテジー」の区分に該当する問題です。

社会生活における言語活動を達成するための言語的な方略(ストラテジー)や会話を成立させるための仕組みについて理解しているかどうかが問われています。 

応用試験1(聴解)のサンプル問題

問題1
これから聞く日本語学習者の日本語には、発音、語彙、文法、談話などのさまざまな誤りが含まれています。それぞれの発話の誤りがどのようになっているか、あるいは、その誤りが何の誤りかについて、最も適当なものを、問題用紙の選択肢A、B、C、Dの中から一つ選んでください。

例A  /オ\カ/センターニシエキ
B /オ\カセンターニ/シエキ
C オ/カ セ ン\ターニ/シエ\キ
D オ/カセンターニシ\エキ

15番
A アスペクトの誤り
B ダイクシスの誤り
C メトニミーの誤り
D コロケーションの誤り

基礎問題は、応用問題とは異なり、必ずしも1つの区分に留まるものではありません。応用試験1(聴解)では、実際に日本語の音声が流れ、それを聞き取って問題に解答します。

応用試験2(読解)のサンプル問題

問題7
大学の交換留学生を対象とした日本語会話クラスで、以下のようなロールプレイを実施した。資料1~3を読み、後の問い(問1~5)に答えよ。

〈資料1〉
クラスの概要と使用したロールカードレベル:中級前半 学習者数:8名
使用したロールカード

【ロールカードA】
あなたは大学の交換留学生です。来週、両親が日本に来るため、授業を休んで空港へ迎えに行きたいと考えています。先生に欠席することを伝えてください。

【ロールカードB】
あなたは大学の先生です。学生から来週の授業を欠席することを報告されます。理由を聞いて、許可してください。

〈資料2〉授業のおおまかな流れ
aウォーミング・アップ ⇒ ロールカードを読む(3分) ⇒ ペアで練習する(5分)⇒ ペアごとに発表し、bクラスで気づいたことをコメントし合う(20分) ⇒ 必要な表現の練習をする(10分) ⇒ もう一度、ペアを変えて発表をする(15分) ⇒ まとめ

〈資料3〉ある学習者ペアの会話の書き起こし
学習者A(学生) : 先生、こんにちは。
学習者B(先生) : こんにちは、Aさん。どうしましたか。
学習者A(学生) :  来週、両親が日本に来るため、授業を休んで空港へ迎えに行きたいです。
学習者B(先生) : そうですか。いいですよ。

問1  この授業のように、文型や表現の導入よりも先にロールプレイを行うタイプのロールプレイ(タスク先行型ロールプレイ)の長所として最も適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。

1 既習項目と未習項目の差が見えやすいので、効率的に学習できる。
2 決まった表現を使わなくてもよいため、文化的なルールの強制を避けることができる。
3 事前に言語項目を練習する必要がないので、学習者の心理的な負担が軽減される。
4 「言いたいけれどうまく言えない」というタスクの過程から、表現についての学習者の気づきが促されやすい。

問2  資料2の下線部a「ウォーミング・アップ」として行うのに最も適切なものを、次の1~4の中から一つ選べ。

1 このロールプレイのモデル会話をまず音声で聞く。
2 許可を得る表現「~てもいいですか」の口慣らしを行う。
3 ロールプレイの内容に影響しないよう、あえて関係のない話をする。
4 授業を休んだ経験やその理由、そのとき先生に事前に話したかなどについて聞く。

問3  この授業で行ったロールプレイの問題点には当たらないものを、次の1~4の中から一つ選べ。

1 学習者Aには身近な状況だが、学習者Bには自分の実際の生活で行う言語行動ではない発話の練習になってしまう。
2 ロールカードAには、状況と話す内容しか書かれておらず、どうなれば会話を終わってよいかがわからない。
3 ロールカードBにはこれから何が起こり、どう回答すべきなのかが書かれてしまっており、会話の展開を考える余地がほとんどない。
4 この状況設定では、「休んでもいいですか」「休ませていただけませんか」「休みたいのですが」など、使用できる表現がいくつか考えられてしまう。

応用試験2(読解)では、実際に日本語教師として働いている場面が想定され、それに合わせて問題に解答することが求められます。

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