介護福祉士国家試験の総合問題は、出題基準の4領域での知識や技術を横断的かつ総合的に問う科目です。

本記事では総合問題を学習するうえでの勉強方法や学習ポイントを紹介しますので、学習のタイミングが分からない、事例問題が苦手、という方におすすめです。

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「総合問題」科目とは?

総合問題の概要

総合問題は事例問題で構成されており、具体的な事例を通じて各科目の理解度と応用力が問われる内容となっています。

ですから、ある程度基礎知識がついてから問題に取り組まないと、容易には正解に導くことができません。

総合問題の重要度

総合問題は全ての科目が出題範囲となり、さらにその知識を応用する力が求められるため重要度は高い科目といえます。

一つの事例を読み込んで、対象者の疾患にはどのような特徴があり、それによって日常生活でどのようなリスクがあるのかなどを考える力が問われます。

さらにそのリスクを軽減させるためにどのような支援が有効かを見極める力も必要ですので、事例の全体像を把握するためには出題範囲全般にわたる幅広い知識が重要となります。

総合問題の問題数と難易度

総合問題は4つの事例問題で構成されています。

ひとつの事例につき3問が出題されていますので、全部で12問になります。

総合問題は各科目の内容について、暗記だけの知識ではなく、応用し考察する力が必要なので難易度はやや難しい分類となります。

「総合問題」の勉強法

総合問題の学習を初期段階に行うのはおすすめしません。なぜならこの科目は4領域の基礎知識がある程度そろっていないと解けないからです。また事例での出題となりますので、文章を読んで対象者をイメージしながら、生活課題や支援方法を想定するためには、ある程度の問題慣れが必要にもなります。

介護対象者別で知識を整理する

介護サービスは高齢者だけが利用する制度ではありません。対象者や居住形態によって関わる専門職や制度が異なりますので、表をつかって整理しましょう。

  介護保険法 障害者総合支援法
対象者 ・第一号被保険者(65歳以上)
・40歳以上65歳未満の医療保険加入者
・ 18歳以上の障害者
・ 18歳以下の障害児
給付内容 ・ 居宅サービス
・ 施設サービス
・ 地域密着型サービス
・ 居宅介護支援
・ 自立支援給付
・ 地域生活支援事業
必要性の指標 <要介護状態区分>
要支援1・2、要介護1~5
<障害程度区分>
区分1から6
サービス調整する専門職 ケアマネジャー 相談支援専門員

事例問題は振り返りが重要

第33回の総合問題1を例にして事例問題を詳しく見ていきます。

なお、ここではあくまで学習の視点について解説します。

Jさん(83歳、女性)は一人暮らしである。人と付き合うのが苦手で,近所付き合いもあまりなく、一人で静かに生活していた。80歳を過ぎた頃から右膝に痛みが出て、変形性膝関節症と診断されたが、近くのスーパーへの買物や、近所の散歩には出かけていた。1ヵ月ほど前から膝の痛みが悪化し、散歩にも行かなくなった。食事量が減って痩せてきてしまい、一日中、座ってテレビを見て過ごしている。


問題114.

現在のJさんに心配される病態として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 フレイル(frailty)
2 不定愁訴
3 寛解
4 不穏
5 せん妄(delirium)


問題115.

Jさんは、食事量は回復したが,膝に痛みがあり、家の中ではつかまり歩きをしていた。要介護認定を受けたところ要支援2と判定され、家の近くの第一号通所事業(通所型サービス)を利用することになった。

通所初日、車で迎えに行くと、Jさんは「心配だからやっぱり行くのはやめようかしら」と介護福祉職に言い、玄関の前からなかなか動かなかった。

このときの介護福祉職の言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 「急ぎましょう。すぐに車に乗ってください」
2 「心配なようですから、お休みにしましょう」
3 「歩けないようでしたら、車いすを用意しましょうか」
4 「初めてだから心配ですね。私もそばにいるので一緒に行きませんか」
5 「Jさんが行かないと、皆さん困ってしまいますよ」


問題116.

その後、Jさんは少しずつ回復し、膝の痛みもなく、家の中では何もつかまらずに歩くことができている。一人で散歩に出ようという意欲も出てきた。

Jさんは、介護福祉職にもっと安定して歩けるように練習をしていきたいことや、外出するときは膝の負担を減らすために杖を使用したいと思っていることを話した。

Jさんに合った、杖を使った歩き方として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 杖(左手で持つ)を出す→右足を出す→左足を出す
2 杖(右手で持つ)を出す→左足を出す→右足を出す
3 杖(左手で持つ)と右足を出す→左足を出す
4 杖(右手で持つ)と左足を出す→右足を出す
5 杖(左手で持つ)と左足を出す→右足を出す


問題114はこの女性が抱える変形性膝関節症について、今後のリスクを問うていますが、ここで必要になってくるのは「発達と老化の理解」科目の知識です。加齢により衰える身体状況=フレイルを理解していれば解ける問題です。(解答:1)

問題115はサービス利用に対して消極的な対象者に、介護福祉職がどのような声掛けを行うかという内容です。これは、「コミュニケーション技術」科目における利用者の不安に共感した声掛けを理解しておけば解ける問題です。(解答:4)

問題116は杖を使った歩き方に関する知識の問題です。これは「生活支援技術」科目における患側、健側の理解、残存機能に関する知識があれば解ける問題となります。(解答:1)


このように事例問題では疾患や生活課題、介助に関する問題が多角的に出題されます。

答え合わせをして間違えたところは各科目に戻って確認し、正解であっても解説を読んで理解を深めることが大切です。

学習の総仕上げとして総合問題を解く

総合問題は学習の総仕上げとして他の科目をひととおり終えてから取り組みましょう。

学習のポイントは多くの事例問題にチャレンジすることです。

問題数をこなすことで「自分は高齢者の介護サービスは得点できる」とか「事例問題を読むのに時間がかかる」など、学習の習熟度や課題が把握できます。

その結果、試験対策における具体的な方針が定まり、限られた勉強時間を弱点克服などに効率よく使うことができます。

関連コラム:【科目別】介護福祉士国家試験問題の出題傾向と勉強の優先度

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この記事の監修者 遠藤 愛 講師

遠藤 愛 講師

全くの異業種から介護の世界に飛び込み、訪問介護員として介護業界での勤務をスタート。住居環境・経済状況が様々なケースを担当。

現在は、医療ソーシャルワーカーとして、地域の在宅・施設の福祉職と協働しながら、数多くの高齢者・障害者とその家族への退院支援業務にあたる。

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