皆さんは、データサイエンス数学ストラテジスト(MDS-S)という資格をご存じでしょうか。

日本数学検定協会が昨年新しくスタートさせた資格試験で、今後ビジネスパーソンに必要とされる、機械学習やデータサイエンスの知識を習得できる資格試験となっています。

名前に”数学”と入っているので、数学が苦手な方やしばらく数学に触れていない方は敬遠してしまいそうなこの資格ですが、実は、数学が苦手な方や久しぶりに数学を勉強する方でも、しっかりと対策をすれば無理なく合格が狙える資格試験です。

今回は、数学が苦手な方・数学を久しぶりに勉強する方に向けて、データサイエンス数学ストラテジストがどのような資格試験か、資格を取得することでどのようなメリットがあるのかについて、ご紹介してきます。

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データサイエンス数学ストラテジストとは?

データサイエンス数学ストラテジスト(MDS-S)は、日本数学検定協会が2021年9月より実施を開始した、新しい資格試験です。

公式HPでは「データサイエンス数学ストラテジストは、データサイエンスの基盤となる数学スキル、リテラシーを学び、その理解度・習熟度を測定することで、データサイエンスにおける数学を扱う技能を認定する資格です。」とあります。

では、具体的にはどのような能力が問われる試験なのか、詳しく解説していきます。

「データサイエンス」と聞くと、数学のスペシャリストだけが扱う難しいもので、普通の人には縁がないという印象を持つかもしれません。

もちろん、データサイエンティストになるための高度な数学は、限られた人たちが極めるものです。

しかし近年、企業ではデータ分析に基づく戦略や施策を立てることがより重要視されており、企業もデータサイエンスや機械学習に理解のある人材を求めるようなってきています。

さらに、AIやIoTなどの技術が次々に職場に流入し、どのような業種・職種の人でも一定の数学知識が必要な時代になりつつあります。

データサイエンス数学ストラテジストは、今後すべてのビジネスパーソンに必要なデータサイエンスや機械学習などの知識と、その基礎となる数学知識を身に着けることができる資格試験です。

データサイエンス数学ストラテジストで問われる4技能

データサイエンス数学ストラテジストで問われる技能は、4技能あります。

  1. AI・データサイエンスを支える計算能力と数的理論の理解
  2. 機械学習・深層学習の数学的論理の理解
  3. アルゴリズム・プログラミングに必要な数学リテラシー
  4. ビジネスにおいて数学技能を活用する能力

ポイントは、単純な数学力だけを問われるのではなく、数学の知識や技術をビジネスにどう活用するかまで問われるという点です。

データサイエンス数学ストラテジスト資格試験に求められる数学レベル、難易度

データサイエンス数学ストラテジストの内容は、すべてのビジネスパーソンが身に着けるべき基礎スキルと位置付けられているので、決して高度な数学的知識が必要になるわけではありません。

中級は小学校~高校1年生の数学知識だけで受験可能

データサイエンス数学ストラテジストには中級・上級2つのレベルが用意されており、特に中級は小学校~高校1年生の数学知識だけで受験可能です。

数学が苦手な方や数学を久しぶりに勉強する方でも、少し勉強するだけで合格を狙うことができます。

上級は高校~大学1年生レベルの数学知識が必要

上級は高校~大学1年生レベルの数学知識が必要です。

ある程度数学知識があるが、それをどう活用すればいいかわからない方、数学が社会でどのように活用されているかを学びたい方におススメです。

【関連コラム】
【講師が解説!】データサイエンス数学ストラテジスト中級・上級の勉強法

データサイエンス数学ストラテジスト資格のメリット

では、データサイエンス数学ストラテジスト資格はどう役に立つのでしょうか。

1 データサイエンスやAIの知識をビジネスに活用できる人材であることをアピールできる

内閣府の「AI戦略2021」では、データサイエンス・AIを理解し、各分野で応用できる人材を年間25万人育成することが目標とされており、企業もそういった人材を求める傾向が強まっています。

データサイエンス数学ストラテジストに合格するとオープンバッジが発行され、自分がデータサイエンス・AIを理解し活用できる人材であることを対外的に証明することができ、就職・転職に有利になります。

2 データ活用により、今までにない視点を手に入れたり、ビジネスにおける課題に役立てられる

データサイエンス数学ストラテジストで問われる4技能を取得すれば、決算報告書や統計データを見る際に、「データサイエンス」の視点からデータを分析できるようになります。

そのため、ビジネスにおいてより合理的な判断ができるようになります。

データを活用してビジネスの課題解決に新たな視点を取り入れたい方におススメです。

3 プログラミングなどのスキルを身に着けるための基盤を獲得できる

最近では、未経験からSEを目指す方なども増えています。

しかし、数学的思考力が身についていないと、習得するのに時間がかかってしまったり、即戦力になるのが難しかったりします。

根幹にある数学的思考力を身に着けることにより、プログラミングなどのスキル習得が格段に早くなり、さらにビジネスにも活用できるようになります。

4 数学が社会でどのように活用されているかを知ることができる

理系出身だけどIT系の知識はあまりないという方は、数学が社会でどのように活用されているかを知ることで、自分の知識をビジネスに活用することができるはずです。

数学知識をすべて復習するのはとても大変ですが、データサイエンス数学ストラテジストなら、主要な内容をピックアップして勉強できます。

また、これから大学で数学を勉強しようという皆さんは、自分が学ぶものがどう活用されているかを知ることで勉強のモチベーションアップにつながり、さらにオープンバッジで自分が即戦力になれる証明ができるので、就職にも有利になります。

データサイエンス数学ストラテジストになるには?

データサイエンス数学ストラテジストになるには、数検協会が実施するデータサイエンス数学ストラテジスト資格試験を受験し、合格基準以上の点数をとることが必要です。

中級・上級どちらも資格試験はありません。

オンライン受験で、スマホやタブレットからでも受験可能なので、24時間365日好きな時に受験することができます。

個人の場合、「アガルートアカデミー」または「CBT-Solution」から申し込み・受験をすることができます(受験料はどちらも同じです)。

試験内容・合格基準

  中級 上級
出題形式 IBT(Internet Based Testing)形式
五肢択一
問題数 30問 40問
試験時間 90分 120分
合格基準 60%(18問)以上 70%(28問)以上
受験料 7,000円 9,000円
数学のレベル(レベル) 小学校~高校1年
(数検準2級程度)
数学が苦手な方や、久しぶりに数学を勉強する方におススメ
高校~大学1年
高校3年生までの数学知識がある程度身についている方におススメ

合格基準を超えた場合、「データサイエンス(DS)数学基礎力」と「データサイエンス(DS)数学コンサルティング力」のバランスに応じて、

中級・上級それぞれで、

  • 「☆☆☆(トリプルスター認定)」
  • 「☆☆(ダブルスター認定)」
  • 「☆(シングルスター認定)」

いずれかのオープンバッジが発行されます。

中級上級
トリプルスターDS数学基礎力12点以上かつ
DS数学コンサルティング力12点以上
DS数学基礎力17点以上かつ
DS数学コンサルティング力17点以上
ダブルスターDS数学基礎力9点以上かつ
DS数学コンサルティング力9点以上
DS数学基礎力14点以上かつ
DS数学コンサルティング力14点以上
シングルスター総合得点18点以上総合得点28点以上

出題内容

学習分野 出題内容 中級 上級
AI・データサイエンスを支える計算能力と数学的理論の理解 確率統計系分野(統計・確率・場合の数など)
線形代数系分野(行列・ベクトルなど)
微分積分系分野(微積分・関数・写像など)
50% 50%
機械学習・深層学習の数学的理論の理解 基礎理論(活性化関数・類似度・最小二乗法)
機械学習(回帰・分類・クラスタリングなど)
深層学習(ニューラルネットワークなど)
16.7% 25%
アルゴリズム・プログラミングに必要な数学リテラシー アルゴリズム(探索・ソート・暗号、計算量)
プログラミング言語に依存しない手続き型思
考数学的課題解決(論理的思考+数学的発想)
16.7% 12.5%
ビジネスにおいて数学技能を活用する能力 把握力(データ・グラフの特徴の把握など)
分析力(売上・損益等財務的な分析など)
予測力(データに基づいた業績予測など)
16.7% 12.5%

用意するもの

  • PC、タブレットまたはスマートフォン
  • インターネット環境
  • 筆記用具(任意)
  • 計算用紙(任意)
  • 電卓または関数電卓(任意)
  • 表計算ソフト(任意)

用意必須ではなく「用意しておくとよい」というものが多いです。

しかし、データサイエンス数学ストラテジストの試験は問題数に対して試験時間が短いため、すべて用意して試験に臨むことをお勧めします(特に上級では、関数電卓を用意しましょう)。

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この記事の著者 中村 大地 講師

中村 大地 講師 (講師紹介はこちら

千葉大学理学部数学・情報数理学科卒業。中学校教諭一種免許状(数学)取得、高等学校教諭一種免許状(数学)取得。大学時代は「解析学」を専攻。

大学在学中から学習指導塾において、小学1年生~高校3年生までの理数系科目全般の指導を担当。

卒業後は大学受験をメインとし、早稲田大学や慶応大学などの難関私立受験コースの責任者を務める。

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