データ分析の業務を進めるのにあたって、依頼側が達成したい目的・目標を意識すべきです。そうすると、目標達成のために、分析に使うべきデータやアプローチが明確になります。

この記事では、ビジネス上の目的・目標を定義するのに使われる指標を紹介します。主に次の2つの指標を解説します。

  • KPI(Key Performance Indicator: 重要業績評価指標)
  • KGI(Key Goal Indicator; 重要目標指標)

これらの他に「収益方程式」も意識します。収益方程式の一例は

 売上 = 平均客単価 x 客数

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KPIとは

KPIとは、ビジネスの目標の達成度を測定し監視するための数値指標のことです。ゴールの達成度を数値で具体的かつ定量的に測定することで、「現時点は目標に対してどのくらい進捗があるか」を知ることができます。現在の業務をそのままの状態で継続すべきか、見直すべきかを判断することができます。

最終目標がKGI(重要目標達成指標)であるのに対して、KPIは中間指標としての存在です。

ちなみに、KPIに似ている単語に、KSF(Key Success Factor; 重要成功要因)があります。これは定性的な指標であり、KFSを数値で指標化したものがKPIに当たると考えてよいです。

KPIの具体例

(例1)企業の中で、数値目標をよく意識するのは営業部門です。営業担当者にとって、目標は「売上金額」や「売上件数」であることが多いです。この目標を達成するための中間目標のKPIとして、「訪問件数」、「商談件数」、「受注件数」などが挙げられます。

(例2)在庫を最適化することで廃棄量、つまり損失を減らしたいとします。最終目標が「廃棄を20%減らしたい」と仮定し、この目標を達成するための方針として、「需要と在庫の状況を機械学習アルゴリズムで予測することで各店舗への入荷量を最適化する」と仮定します。そうすると、最終目標に対する中間目標のKPIとしては、「需要予測の精度を90%以上で実現する」や「在庫状況の予測を95%以上で実現する」などが考えられます。

(例3)あるデリバリ会社は「注文を受けてから30分以内に商品をお客さんに届けたい」という目標を掲げているとします。「迅速性」や「正確さ」に着目すると、「遅刻5分未満」というKPIを設定することができそうです。

KGIとは

KGIとは、最終目標を数値で指標化したものです。特定の期間において、「何を」「どれくらい」達成するのかを具体的に宣言する必要があります。

「業界でNo.1の企業になる」という目標の設定は漠然としすぎています。

◎「今年度の売上(=何を)を、1兆円(=どれくらい)まで引き上げる」といった具体的な指標を設定すると、目標を達成するための手段を具体的に考案できるようになります

ということで、KGIはKPIと互いに影響を与え合っています。

KPIツリー

上記からわかるように、中間目標を立てることによって、やるべきことが明確になります。KPIツリーは、KPIを設定するためのロジックをツリー構造で表現したものです。

図1にKPIツリーの一例が表示されています。これは営業部門の例です。

ツリーの頂点に最終的な目標であるKGIが位置します。 ここではKGIが「売上金額」にしていおり、これを達成のためには、収益方程式により「案件獲得数」や「受注単価」を上げる必要があります。 次にこれらに貢献する行動を考えますが、「商談数」「トライアル申込数」などがKPIの軸として当てはまりそうです。さらにこれらのKPIに繋がる行動は「訪問数」「2回以降の訪問率」、「決裁者とのアポ率」などが考えられます。

図1:営業部門の場合のKPIツリーの例


まとめ

KGIに対し、KPIをきちんと設定した上で業務を進めることで、アプローチや必要な条件がはっきりと見えて仕事しやすいです。また、ゴールを達成できなかったときの原因の深堀を分析、考察もしやくなります。

プロジェクトのあらゆる段階で、常に、「このやり方では目的を本当にゴール達成できそうなのか」をKPIと照らし合わせながら意識すべきです。

データサイエンティストとしては、とりあえず、受領したデータを片っ端から集計すること、急いでなんらかの数値を叩き出して自己満足に終わること、これらの行動パターンはビジネスの成果を出すのには適さしているとは言えません。

また、依頼する側としては、「自社にデータが溜まっているので、いろいろな分析をして何が見えるかを教えて欲しい」のように、明確な目的・ゴールを持たないまま、「相手にとりあえず分析してもらおう」こと自体を目標にしていけません。

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この記事の著者 ヤン ジャクリン

ヤン ジャクリン (講師紹介はこちら

2015年 東京大学大学院 理学系研究科物理学専攻 修了(理学博士)
2015年 高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所(博士研究員)
2017年 株式会社GRI(現職) 講師 兼 分析官
2019年 Tableau Desktop Certified Associate 資格取得

・英検1級
・TOEFL IBT試験満点

北京生まれ、米国東海岸出身(米国籍)、小学高学年より茨城県育ち。

万物の質量の源となるヒッグス粒子の性質を解明し、加速器実験による新粒子発見に関する研究を行い、国際・国内学会発表20件以上、査読論文5件以上。
10年以上に渡り、幅広い年齢層の学習指導を学習塾や大学などで実施(5科目、英会話、受験指導、素粒子物理など)。
現在は、株式会社GRIにて、データ分析官(データ前処理、可視化分析、マーケティング施策の分析 他)
公開講座および法人研修を多数開設。

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