アクチュアリー試験に対して、漠然と「難しい試験」というイメージを持っていませんか?

アクチュアリー試験はマイナーな資格なため、そもそも情報が少なく勉強に苦労する方も多いです。

本コラムでは、アクチュアリー試験一次試験で出題される「数学」の難易度について解説します。

合格率から見るアクチュアリー試験数学科目の難易度

合格率から見るアクチュアリー試験数学科目の難易度

直近5年間における、1次試験5科目の合格率は以下の通りとなっています。

年度2024年2023年2022年2021年2020年平均合格率
数学29.7%20.1%14.1%12.4%13.0%17.9%
生保数理46.2%35.6%19.7%28.5%36.3%33.3%
損保数理17.3%44.5%21.5%31.8%13.3%25.7%
年金数理67.1%15.3%33.3%47.7%13.1%35.3%
会計経済投資18.9%24.5%32.8%17.7%33.3%25.4%
参考:日本アクチュアリー会

アクチュアリー試験1次試験、5科目の平均合格率は20%前後。

特に「数学」は平均合格率が20.0%を切っており、5科目のなかでも難易度が高い傾向です。

アクチュアリー試験は、1年で全て合格する必要はありません。日本アクチュアリー会によれば、全科目を取得するまで8〜10年近くかかるようです。

ちなみに、下記は1次試験5科目の受験者数です。

年度2024年2023年2022年2021年2020年
数学915人827人767人928人1,044名
生保数理533人536人482人568人633
損保数理415人494人512人658人682
年金数理416人359人369人577人487
会計経済投資562人494人574人634人745
参考:日本アクチュアリー会

数学の受験者数が多いことが一目瞭然で、はじめて受験する人の大半が選択しています。

「数学」の出題範囲

数学科目は、大きく分けて「確率」「統計」「モデリング」の3分野から出題されます。

出題範囲は広範囲に及びますが、メジャーな分野なため演習問題も探せば勉強しやすい科目です。

指定のテキストもありますが、自分に合ったテキストを見つけた方が効率よく学習できるでしょう。

1次試験の内容と求められる数学レベル

アクチュアリー試験1次試験の科目は、「数学」「生保数理」「損保数理」「年金数理」「会計・経済・投資理論」の5科目。試験時間は合計3時間でコンピューターを利用したCBTで行われます。

アクチュアリー試験1次試験に合格するためには、60点以上が必要です。

求められる数学知識は、高校理系~大学レベル。例えば、三角関数や指数・対数関数の微分積分に対応できるかは、ひとつの目安となるでしょう。

アクチュアリー試験受験者の多くは自然と理系学部出身者がほとんどですが、必ずしも数学科出身である必要はありません。なかには、文系学部出身者の受験者も見受けられます。

実際、文系学部出身で活躍している人も多くいるのが現状です。

数学を楽しく学ぶコツは、”試験のために勉強しないこと”

アクチュアリー試験「数学」に合格するコツは、試験のための勉強にしないことです。

公式を当てはめながらひたすら過去問を解く、という勉強方法で合格する人もなかにはいます。しかし、このやり方では途中で挫折してしまう人も少なくありません。

「数学」の出題範囲である確率・統計・モデリングは、近年注目されている機械学習に通ずる分野。試験勉強で終わらせず、活きる知識を得る機会として勉強時間をとらえましょう。

まとめ

アクチュアリー試験の「数学」は、確率・統計・モデリングといった広範囲から出題される登竜門的な科目となっています。

今後のキャリアを考えるのであれば、知識をきちんと理解したうえで試験を受けることをおすすめします。自身に合うやり方を見つけて、継続して勉強してみてください。