税理士は国家資格であり、安定して稼げるイメージをもっている方も多いでしょう。

税理士は一生ものの資格ではありますが、実際に働いてみると「想像以上にきつい」「割に合わない」と感じる人も少なくありません。

本コラムでは、税理士の仕事が「きつい」「割に合わない」といわれる主な理由を解説します。

さらに、きつい状況への対処法まで紹介するため、税理士になるか迷っている方はぜひ参考にしてください。

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税理士の仕事内容とは

税理士は、税の専門家として納税者の適正な納税をサポートする職業です。

税理士の主な業務には、税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つがあり、これらは税理士だけに認められた独占業務です。

具体的には、個人事業主や法人の確定申告の代行、相続税や法人税の申告書作成に加え、税務調査への立ち会いや対応、不服申立てなど、税に関する手続きを行います。

独占業務以外では、記帳代行・会計業務・経営アドバイス・税務訴訟における補佐人なども担当し、税理士の活躍の場は拡大中です。

特に税に関する専門部署をもたない中小企業は、税理士のサポートを必要としており、節税対策・資金繰り・事業承継などの幅広い相談も税理士に依頼します。

つまり、税理士は単に計算や申告を代行する業務だけでなく、納税者に寄り添って、社会の公平な課税制度を支える役割を担っている職業だといえるでしょう。

さらに詳しい税理士の業務内容について知りたい方は、ぜひ関連コラムもチェックしてみてください。

関連コラム:税理士とは?どんな仕事内容?業務の流れや資格取得についてわかりやすく解説!

税理士の仕事はなぜ「きつい」といわれるのか

税理士の仕事が「きつい」といわれる要因として、以下の4つの理由が考えられます。

  • 繁忙期の長時間労働
  • 常に法改正を学ぶ必要がある
  • 顧客対応の多様性と難しさ
  • 納期厳守のプレッシャー

繁忙期の長時間労働

税理士特有の繁忙期には長時間労働になり、きつさを感じやすいでしょう。

税理士の業務量は時期によって大きく偏りがあり、特に確定申告がある2〜3月と法人決算期が多い3月と12月は、残業や休日出勤などがあたり前になってしまいます。

業務量の急増により睡眠時間が削られることもあり、心身ともに大きな負担を感じる税理士もいるでしょう。

常に法改正を学ぶ必要がある

税法は毎年のように見直されるため、税理士は業務と並行して改正内容を勉強しなければなりません。

改正されるたび膨大な最新情報をキャッチアップしなければならず、業務の合間や休日にも自己研鑽が求められます。

仕事とプライベートをきっちりわけたい方にとっては、「きつい」と感じやすい環境です。

顧客対応の多様性と難しさ

税理士は経営者・個人事業主・相続人など、多様なクライアントへの高い対応力が求められる職業です。

それぞれの事情に合わせた最適な判断や提案が必要であり、税務知識だけでなく、ヒアリング力・説明力・柔軟性なども求められます。

クライアントへの精神的な気配りを常に行うため、ストレスが大きいと感じる方も多いでしょう。

納期厳守のプレッシャー

税理士が担当する税務申告や納税手続きには厳格な期限があり、いかなる事情があっても延長できないケースがほとんどです。

そのため、突発的なトラブルやミスがあっても納期を死守する必要があり、プレッシャーが大きいでしょう。

常に、業務のスケジュール管理と精神的な緊張感が欠かせません。

税理士が割に合わないといわれる3つの理由

税理士の仕事が割に合わないといわれる理由として、主に以下の3つが挙げられます。

  1. 試験の難易度・業務内容と年収のギャップ
  2. 長時間の残業やブラック企業の存在
  3. AIによる仕事の代替リスク

試験の難易度・業務内容と年収のギャップ

税理士は、試験合格までに何年もかかる人がいるほど難易度が高い資格であるにもかかわらず、平均収入が低いといったギャップがあります。

勤務税理士の場合、平均年収が500万円台〜の方も多く、長年の努力と投資に年収が見合わないと感じる人が少なくありません。

また税理士業界では、税理士本人のみならず、補助スタッフや会計事務職員の給与も全体的に高いとはいえない傾向があります。

高負荷な業務に見合った報酬が得られにくい構造が残っており、「頑張っても報われない」と感じる人も少なくありません。

ほかの士業や専門職と比較しても収入面とのギャップが目立っており、業界全体として、待遇改善が課題となっています。

関連コラム:税理士の平均年収は?現実の給料は低い?女性の年収や初任給についても解説!

長時間の残業やブラック企業の存在

割に合わないといわれる要因のひとつが、長時間労働の常態化です。

税理士法人や会計事務所の中には、繁忙期になると終電帰りや休日出勤があたり前になっている職場が存在します。

特に小規模な事務所では人手不足から過度な業務量を抱え、サービス残業が横行しているケースもあるでしょう。

働き方改革の波が届きにくい業界ともいわれ、長時間労働に悩む人が多い傾向があります。

AIによる仕事の代替リスク

会計ソフトやAIの発達により、記帳や申告書作成などのルーティン業務はすでに自動化が進んでおり、税理士への需要は減っていくと懸念されています。

そのため、税理士は「サービスを安価に提供する」か「AIでは対応できない高度な税務サービスを提供する」かの二極化を迫られる可能性が高いです。

今後は、単純作業に頼る税理士の需要はなくなり、AIでは対応できない高度な専門性と人間的対応力を備えた税理士だけが生き残れる状況になると予想できるでしょう。

AIによる状況の変化は、税理士を目指している人の減少にもつながっています。

きつい・割に合わない時の対処法

税理士の仕事が、きつい・割に合わないと感じた際には、次のような対処法も検討してみましょう。

  • 職場選びを慎重に行う
  • スキルアップと専門性を確立する
  • 独立開業を視野に入れる

職場選びを慎重に行う

働き方に不満を感じやすい税理士業界では、職場選びが重要です。

残業時間・給与体系・福利厚生の内容を事前に確認し、ワーク・ライフバランスを重視している事務所を選びましょう。

スキルアップと専門性を確立する

AIに代替されにくい分野へスキルを広げることも対処法のひとつです。

例えば、コンサルティング業務・M&A・国際税務などの領域は高い専門性が求められ、AIには対応できない付加価値の高いサービスが提供できます。

専門スキルを磨き、自身の市場価値を高めれば、必要とされる人材として収入アップも期待できます。

独立開業を視野に入れる

今の働き方が割に合わないと感じた場合は、独立開業も視野に入れて行動しましょう。

独立するためには、勤務税理士として経験を積みながら、クライアントとの信頼関係構築スキルや営業スキルを磨くことが重要です。

準備を重ねたあとに独立開業すれば、収入と勤務時間の自由度があがり、柔軟な働き方が実現できます。

それでも目指す人が多い税理士の魅力とは

きつい・割に合わない仕事といわれていても、税理士は目指す人が多い魅力的な職業です。

次に、税理士という職業が多くの人に選ばれる理由を、4つの観点から紹介します。

  • 専門性と社会貢献度の高さ
  • 安定したニーズと独立のしやすさ
  • 幅広い業界で働ける多様なキャリアパス
  • 年齢に関係なく長く活躍できる

専門性と社会貢献度の高さ

税理士は税のプロフェッショナルとして、専門性の高い業務で多くの企業や個人を支える仕事です。

複雑な税制度を理解し的確なアドバイスを行うことで、クライアントから感謝される機会も多く、大きなやりがいを感じられます。

安定したニーズと独立のしやすさ

税に関する業務は、企業活動や個人の生活がある限り必ず発生し、景気に左右されません。

常に安定したニーズがあるうえ、独立開業がしやすい資格でもあり、自分のペースで安定的に働きたい方に最適です。

経験と実力があれば、クライアントを自ら獲得し、自由な働き方を実現することも可能です。

幅広い業界で働ける多様なキャリアパス

税理士資格があれば、税理士事務所の勤務だけでなく、一般企業の経理・財務部門、コンサルティングファームなど、幅広い分野で活躍する可能性が広がります。

さらに、特定の専門分野を突き詰めれば、高収入かつ専門性の高いキャリアを築くことも可能です。

年齢に関係なく長く活躍できる

税理士の仕事はデスクワークが中心であり、年齢に関係なく働き続けられる点が特徴です。

経験を積めば積むほど知識も深まり、対人力もアップするため、年齢を重ねていくことでクライアントからの信頼度も向上するでしょう。

定年に縛られず、生涯現役で専門家として社会に貢献し続けたい人に最適な職業といえます。

まとめ

本コラムでは、税理士の仕事がきつい・割に合わないといわれる理由を解説しました。

コラムの要点は、以下のとおりです。

  • 税理士は税務の専門家として独占業務をもつ国家資格
  • きついといわれる要因は、繁忙期の長時間労働・高い責任・顧客対応の難しさなどがあげられる
  • 試験の難易度や業務内容に対して、年収が低く感じられることも多い
  • AIに業務が代替されるリスクもあるが、スキル次第で活躍の場は広がる
  • 対処法は、職場選び・スキルアップ・独立開業への準備がポイント
  • 税理士の大きな魅力は、社会貢献性・安定性・多様なキャリアパス・生涯現役が可能

税理士の仕事は大変な面もありますが、それ以上にやりがいと社会的価値のある仕事です。

専門知識を活かして人の役に立ちたい人にとって、理想的な職業といえるでしょう。

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