税理士は、転職や就職に役立つ人気の国家資格です。

税理士試験は難易度が高いといわれていますが、どれくらい難しいのかイメージしにくいという方も多いのではないでしょうか。

税理士を目指すなら、試験の難易度や、過去の合格率を把握しておきたいですよね。

本コラムでは、税理士試験の合格率や難易度について解説します。

科目別・学歴別・年齢別の合格率や、税理士試験が難しいとされている理由についても触れているため、ぜひ参考になさってください。

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税理士試験の難易度は?

税理士試験は、難易度が高い国家試験です。合格率は、例年20%前後で推移しています。

税理士試験に合格するためには、11科目中5科目の試験に合格しなければなりません。

合格率は科目によって異なりますが、平均合格率が20%に満たない国家試験を5回突破しなければならないと考えれば、税理士試験の難易度の高さが伺えるでしょう。

また、税理士は、取得に時間がかかる資格としても知られています。多くの受験者は1年に1〜3科目を受験し、何年もかけて5科目の合格を目指します。

長期間の努力が求められるという点でも、合格のハードルは高いといえるでしょう。

税理士試験の合格率は?

2025(令和7)年度の税理士試験の合格率は21.6%でした。

受験者数36,320名に対し、合格者数は7,847名となっています。

直近5年間における税理士試験の合格率は、以下の通りです。

なお、合格率は「受験者数/合格者数合計(5科目到達者数+一部科目合格者数)」で算出しています。

年度受験者数(A)合格者数等合格率(B/A)
5科目到達者数一部科目合格者数合格者数合計(B)
2025年36,3205277,3207,84721.6%
2024年34,7575785,1845,76216.6%
2023年32,8936006,5257,12521.7%
2022年28,8536205,0065,62619.5%
2021年27,2995854,5545,13918.8%
引用:税理士試験

直近5年間における税理士試験の合格率は、16.6~21.7%で推移しています。一部科目合格者の人数は実施回によって差がありますが、5科目到達者の人数は例年約550〜650名前後です。

ここからは、2025(令和7)年度税理士試験の合格率を科目別・学歴別・年齢別に紹介します。

2025(令和7)年度 税理士試験 科目別の合格率

2025(令和7)年の税理士試験における科目別の合格率は、以下の通りです。

科目\区分受験者数合格者数合格率(参考)
前年度合格率
簿記論18,4662,05811.117.4
財務諸表論15,6294,98031.98
所得税法1,1201461312.6
法人税法3,60648813.516.4
相続税法2,41333313.818.7
消費税法7,06471210.110.3
酒税法5907212.212.1
国税徴収法1,67123113.813
住民税4397817.818.2
事業税3103812.313.7
固定資産税92814415.518
合計(延人数)52,2369,28017.813.5
引用:令和7年度(第75回)税理士試験結果表

2025(令和7)年度税理士試験において、最も合格率が高かった科目は相続税法、最も合格率が低かった科目は、財務諸表論でした。

科目別の平均合格率13.5%に対し、相続税法の合格率は18.7%、財務諸表論の合格率は8.0%です。

2025(令和7)年度 税理士試験 学歴別の合格率

2025(令和7)年の税理士試験における学歴別の合格率は、以下の通りです。

学歴等区分受験者数(A)合格者数等合格率(B/A)
5科目到達者数一部科目合格者数合格者数合計(B)
大学卒25,8934204,9575,37720.8
大学在学中2,811988789631.9
短大・旧専卒6952818311.9
専門学校卒3,0495339544814.7
高校・旧中卒3,1793275478624.7
その他6931124625737.1
引用:令和7年度(第75回)税理士試験結果表

2025(令和7)年度税理士試験の結果を見ると、大学在学中の受験者の合格率が高い傾向があります。

税理士試験に合格するためにはまとまった勉強時間が必要であるため、社会人より時間を確保しやすい学生が有利であると考えられます。

社会人の受験者については、勉強時間の確保が課題となるでしょう。

2025(令和7)年度 税理士試験 年齢別の合格率

2025(令和7)年の税理士試験における年齢別の合格率は、以下の通りです。

年齢別受験者数(A)合格者数等合格率(B/A)
5科目到達者数一部科目合格者数合格者数合計(B)
41歳以上11,6321801,1591,33911.5
36~40歳4,674969041,00021.4
31~35歳5,100821,1841,26624.8
26~30歳6,4201011,5371,63825.5
21~25歳6,752661,9211,98729.4
20歳以下1,742261561735.4
引用:令和7年度(第75回)税理士試験結果表

2025(令和7)年税理士試験において、最も合格率が高かった年代は20歳以下・最も低かった年代は41歳以上でした。

対して、5科目到達者の人数が最も多い年代は41歳以上・次いで多い年代は21~25歳です。

上記の結果から、学生のうちに一部科目に合格し、長い年月をかけて5科目合格を目指す受験者が多いことが読み取れます。

勉強を開始するタイミングにもよりますが、5科目に合格するまでには、10年以上かかる場合もあるでしょう。

税理士試験 科目別難易度ランキング

税理士試験は、科目によって難易度が異なります。

過去5年間の合格率の平均値をもとに、科目別の難易度ランキングを作成しました。

分野科目過去5年間の
平均合格率(%)
年度別合格率(%)
20252024202320222021
会計学簿記論17.0811.117.417.423.016.5
財務諸表論21.3431.98.028.114.823.9
税法所得税法13.2213.012.613.814.112.6
法人税法13.8013.516.414.012.312.8
相続税法14.2213.818.711.614.212.8
消費税法11.1210.110.311.911.411.9
酒税法12.5612.212.112.713.212.6
国税徴収法13.6413.813.013.913.813.7
住民税16.1217.818.214.717.212.7
事業税13.8212.313.716.414.112.6
固定資産税16.6015.518.017.318.413.8
引用:税理士試験

過去5年間の税理士試験において、最も平均合格率が低い科目は消費税法でした。

平均合格率は12%を下回っており、11科目の中でも特に低いことがわかります。

対して、財務諸表論の平均合格率は20%弱。

必須科目は、それ以外の科目に比べて合格率が高めとなっていることが伺えます。

税理士試験の難易度を他資格と比較 

税理士試験の難易度をイメージしやすくするために、ほかの士業の資格試験と比較してみました。

是非参考にしてみてください。

資格試験合格率の目安勉強時間(目安)
税理士16〜20%2,000~4,000時間
司法試験30%~45%3,000~8,000時間
司法書士4~5%3,000時間
公認会計士7〜10%2,500~3,500時間
社労士6~7%800~1,000時間
行政書士10%前後600~1,000時間
宅建士15~18%300~400時間

税理士試験は、司法書士試験や公認会計士試験と同等の勉強時間が必要であるといえます。

ただし、必要な勉強時間は、受験者の学習レベルによって異なります。あくまで目安として考えましょう。

税理士試験の合格率は比較的高めに見えますが、5科目の試験に合格しなければなりません。

合格率が近い資格試験で例えると、宅建士試験に5回合格するイメージです。

税理士試験は、数ある国家試験の中でも難易度が高い部類に入るといえるでしょう。

税理士試験は難しすぎる?難しいとされる理由3つ

税理士試験が難しすぎる・難しいとされている主な理由は、以下の3つです。

  • 合格するまでに長い時間がかかる
  • 税法に関する最新の知識が求められる
  • 実質相対評価の試験である

合格するまでに長い時間がかかる

税理士試験に合格するまでには、長い時間が必要です。

税理士試験では科目ごとに異なる内容が出題されるため、学習範囲が膨大です。

また、1回の試験で5科目に合格できるケースは非常に稀であり、ほとんどの受験者は、複数年をかけて1〜3科目ずつ受験します。

1年に1科目ずつ合格できたとしても最低5年かかるため、努力を継続するための精神力が求められるでしょう。

一般的に、勉強期間が長ければ長いほど、資格試験に対するモチベーションの維持が難しくなります。

また、少しでも勉強時間を短縮するためには、計画的な学習が必要です。

独学の場合は、学習内容の優先順位の判断や、教材選びなどを行わなければならないため、さらに学習期間が長くなる可能性もあります。

ただし、税理士試験は科目合格制度を実施しているため、一度合格した科目は生涯有効です。

科目合格制度を活用し、長期的に取り組めば、合格を目指せるでしょう。

税法に関する最新の知識が求められる

税理士試験が難しいと言われている理由のひとつとして、常に税法に関する最新の知識が求められるという点が挙げられます。

日本の税制は、たびたび改正が行われます。

特に、法人税法や所得税法の出題範囲においては、大幅な改正が行われることも少なくありません。

数年にわたって税理士試験に取り組んでいる場合、税制の改正によって学習範囲が増加したり、変更点を覚え直さなければならなくなったりするリスクがあります。

また、税制に対する解釈は税理士によって異なるため、改正後すぐに正しい内容を理解することは困難です。

最新の情報を取得するだけでなく、内容を理解し、得点に繋げるためには、一定の努力が必要になるでしょう。

実質相対評価の試験である

実質相対評価の試験といわれていることも、税理士試験が難しいとされる理由のひとつです。

資格試験の評価方法は、絶対評価と相対評価に分類されます。

絶対評価の試験では、一定の基準に達した受験者は全員合格できます。対して相対評価では、試験の結果が一定の基準に達していても、順位が低ければ合格できない場合があるのです。

税理士試験の科目合格基準は、公式では満点の60%以上とされています。ただし、例年の合格率の推移から、実質的には相対評価の試験といわれています。

自分の得点が高くても、ほかの受験者のレベルが高ければ不合格となってしまうため、合格のハードルが高いといえるでしょう。

税理士試験の難易度や合格率は?まとめ

本コラムでは、税理士試験の難易度や合格率について解説しました。

  • 税理士試験は難易度の高い試験
  • 直近5年間の合格率は16.6~21.7%
  • 合格に必要な勉強時間の目安は約2,000〜4,000時間

税理士試験は難易度が高く、合格するためには多くの勉強時間が必要です。

長期間モチベーションを維持することは難しいため、効率的に学習を進めることが重要。自分に合った選択科目を選び、計画的に勉強に取り組みましょう。

最短距離で税理士試験の合格を目指すなら、通信講座や予備校の活用がおすすめです。

通信講座や予備校では、合格に必要なポイントを効率良く学べます。また、使用する教材には最新の出題傾向や法改正の内容が反映されているため、安心して学習できるでしょう。

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