測量士を目指すうえで

「測量士補の資格はもっているけれど、どのようなルートで測量士を目指せばよいのか迷っている」

「測量の知識0の場合、最短で測量士になるにはどんな方法があるのか」

という疑問をもつ人は多いのではないでしょうか。

このコラムでは、測量士補から測量士になる方法や測量士補と測量士の違いについて詳しく解説します。

さらに測量士になることで得られるメリットも紹介。

測量士資格取得の最短ルートを知りたい方はぜひ参考にしてください。

測量士補から測量士になるには？

測量士補の資格を得るには、以下3つの方法があります。

• 測量士補の試験に合格する：毎年実施される国家試験に合格後、登録申請を行う
• 大学・短大・高専で測量科目を修める：文部科学大臣が認定した教育機関で測量に関する科目を修了後、登録申請を行う
• 登録養成施設を卒業する：国土交通大臣の登録を受けた養成施設を卒業後、登録申請を行う

ではすでに測量士補の資格を持っていて、測量士補から測量士へキャリアアップしたい場合はどんなルートがあるのでしょうか。

ここでは所要期間が短い順に、3つ紹介していきましょう。

方法	内容	所要期間
試験	測量士試験に合格する	最短数ヶ月（努力次第）
測量士養成施設	測量士養成施設を卒業する	約1年
実務経験	文部科学大臣認定の学校、および登録養成施設を卒業後、実務経験を積む	約3年～6年

測量士試験に合格する

最も短期間で測量士を目指す方法は、毎年5月に実施される「測量士試験」に合格することです。

測量士試験は難易度の高い資格試験ですが、努力次第で最短数か月の準備期間で合格を目指すことも可能。

働きながら勉強を進められる点も大きなメリットです。

ただし、測量学や数学の専門的な知識が求められるため、独学での短期合格は難しいでしょう。

なお、測量士補の資格をもっていても、試験の免除などは特にありません。

さらに、測量士補と測量士の試験日は同一日のため、同時受験は不可となります。

測量士試験は、午前・午後の2部構成。

午前試験で450点以上（満点700点）を取得できない場合、午後の試験を受けることはできません。

午前・午後合わせて、1400点満点中910点以上の得点で合格となります。

かかる費用は受験料4,250円と諸費用（交通費や教材費など）のみ。

ほかの方法と比べてリーズナブルな点も魅力です。

測量士養成施設を卒業する

次に短いルートとしては、測量士補資格を取得後に、測量士養成専門学校を卒業する方法があげられます。

これは測量士補の資格を取得後、国土交通大臣の登録を受けた測量士養成専門学校に1年間通うことで測量士資格を取得できる制度。

測量士養成専門学校は以下の2校です。

• 東海工業専門学校金山校（愛知県 ）
• 中央工学校（東京都）

この方法の大きな利点は、1年間通学することで確実に測量士になれる点です。

測量士養成専門学校では実務に即したカリキュラムが用意されているため、実践的な技術力も養えます。

試験のように合否の心配がなく、比較的短い期間で測量士資格を得ることができます。

安定的かつ計画的に資格取得を目指したい方におすすめ。

ただし、全国に2校のみのため通学が厳しい人も多いでしょう。

加えて、学費の準備と時間の確保も必要です。

実務経験を積む

測量士になるまでの期間がもっとも長い方法は、実務経験を積んだあと、測量士資格を申請するルート。

文部科学大臣認定の学校（大学、短大、高専）で測量について学び、測量士補の資格を取得した人は、以下の期間の実務経験を経ることで測量士の資格申請が可能です。

• 大学卒業者：実務経験1年以上
• 短大・高専卒業者：実務経験3年以上

また登録養成施設で測量士補を取得した場合は、2年の実務経験があれば測量士への申請が可能です。

つまり最短3年で測量士を取得できます。

時間はかかりますが、働きながら測量士資格取得を目指したい方は、実務経験を積む方法が良いでしょう。

測量士補と測量士の違いとは

測量士補と測量士は、どちらも国土交通省が所管する国家資格で、測量業務において重要な役割を担います。

ここでは、以下の3つの視点から測量士補と測量士の違いを解説します。

• 業務の違い
• 難易度の違い
• 勉強時間の違い

業務の違い

まず最も大きな違いは、業務の範囲です。

測量士補は、測量士の指示のもとで測量業務を実施する立場であり、自らの判断で測量計画を立てたり、業務全体を統括したりすることはできません。

一方、測量士は測量業務を行うだけでなく、測量に関する計画の作成や業務全体の責任を担うことができます。

測量士は測量士補よりも上位の立場で仕事が行えるため、業務の自由度や責任が大きいといえるでしょう。

難易度の違い

試験の難易度にも大きな差があります。

測量士補試験の合格率は約30％で、比較的難易度が高い資格といえます。

一方、測量士試験の合格率は10％程と、難易度は非常に高いです。

測量士の方がより専門性が求められ、難易度が高い資格であることがわかります。

まずは、測量士補の資格を取得し、実務経験を積んでから測量士を目指すという人も多いです。

勉強時間の違い

試験対策に必要とされる勉強時間にも差があります。

測量士補試験は約200時間の勉強で合格を目指すことができますが、測量士試験は約300時間の勉強が必要です。

測量の知識のない方、数学が苦手な方は、さらに時間がかかるでしょう。

数学の基礎から効率的に学び直したい方は通信講座を利用することをおすすめします。

測量士補から測量士になるメリット

測量業界でキャリアを積んでいくうえで、測量士補から測量士へのステップアップは大きなアドバンテージ。

ここでは、測量士補から測量士になることで得られる具体的なメリットを、以下の3つの観点から紹介します。

• 業務の幅が広がる
• 年収がアップする
• 独立開業が目指せる

業務の幅が広がる

測量士補の主な業務は「測量計画の指示に従って測量業務を行うこと」です。

つまり、指示された通りに実施する実務担当者としての役割が中心となります。

一方、測量士になると、立場は一段階アップ。

測量計画の立案・工程管理・成果品の作成、そして測量士補への業務指示など、業務全体を主導する役割を担うことになります。

さらに、クライアントとの打ち合わせや契約、トラブル対応など、測量業務全体にかかわる裁量が増えるため、仕事のやりがいや責任感も一層強くなるでしょう。

測量士補から測量士になることで、自分の判断で業務を進められるようになります。

専門職としての信頼も高まり、技術者としてより一層成長できるでしょう。

 年収がアップする

測量士になることで期待できる大きなメリットのひとつが「年収がアップする」ことです。

測量士補よりも対応できる業務の範囲が広がるため、企業からの需要も高くなり、給与水準も上がる傾向があります。

また、測量士は求人市場での需要も高いです。

特に、ドローン測量や3D測量といった新しい技術に対応できる人材は、引く手あまたでしょう。

測量士になることで、転職によるキャリアアップがしやすくなり、高収入を目指すことができます。

独立開業が目指せる

独占業務のある測量士の資格をもつことで、将来的に「独立開業」することも可能です。

実務経験を積んで、顧客基盤を築くことができれば、自ら事務所を開設して仕事を受注できるでしょう。

フリーランスや法人として活動することで、案件の選定や働き方の自由度が高くなります。

地域密着型の測量事務所や特定分野に強みをもつ専門業者として、安定した顧客基盤を築くことができれば、会社員時代よりも高収入を得ることもできます。

まとめ

以上、「測量士補から測量士になるには？」「測量士補と測量士の違いとは」「測量士補から測量士になるメリット」について解説しました。

本コラムの概要は以下のとおりです。

• 測量士補から測量士になるルートは「測量士試験に合格する」「測量士養成施設を卒業する」「文部科学大臣認定の学校、および登録養成施設を卒業後、実務経験を積む」の3つ
• 最短ルートは「測量士試験に合格する」こと
• 測量士養成施設に1年間通えば確実に測量士になれるが、通学や学費が必要
• 実務経験ルートは3～6年かかるが、働きながら資格取得を目指せる
• 測量士試験は午前・午後の2部構成で、毎年5月に実施される
• 測量士補試験の合格率は約30％、測量士試験の合格率は約10％
• 合格に必要な勉強時間は、測量士補が約200時間、測量士が約300時間
• 測量士補から測量士になることで業務の裁量が広がり、年収アップや独立開業が可能になる

測量士試験は国家試験の中でも、かなり難易度が高いため、独学での対策は学習期間が長くなりがちです。

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