中小企業診断士とITストラテジスト、どちらの資格を目指すべきか迷っていませんか。「難易度が高い資格はどっち?」「ダブルライセンスに価値はあるの?」など疑問のある方も多いでしょう。

本コラムでは、それぞれの資格の概要や難易度を比較し、ダブルライセンスのメリットについても詳しく解説します。中小企業診断士とITストラテジストに興味のある方はぜひ参考にしてください。

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中小企業診断士とITストラテジストの概要

ここでは、中小企業診断士とITストラテジストそれぞれの概要を詳しく解説します。

担う役割や仕事内容、活躍する場所などをまとめました。

中小企業診断士とは?

中小企業診断士は、中小企業の経営課題を診断し、支援する国家資格。

おもな役割は、経営に関する問題点を見つけて解決策を提示し、経営改善に導くことです。

仕事内容としては、経営コンサルティングがあげられます。

また、金融機関向けの経営改善計画書や産業廃棄物許可申請書用の経営診断書作成(独占業務)も行います。

専門知識を発信するセミナー開催を担う中小企業診断士も多いです。

活躍の場は、独立開業の経営コンサルタントのほか、コンサルティング業界、会計・税理士事務所、企業のコーポレート部門など多岐にわたります。

ITストラテジストとは?

ITストラテジストは、システム開発の超上流工程に参画するエンジニア系上級職であり、ITを活用して経営戦略を実現する国家資格です。

主な役割は、経営者目線でIT戦略の立案と実行を主導すること。企業のIT活用を支援し、ビジネス改善を推進します。

具体的な仕事内容は、事業戦略やIT戦略の策定、全体・個別システム化計画の作成、プロジェクトのモニタリングとコントロール、技術動向のキャッチアップと分析などです。

ITストラテジストの働く場所は、主に事業会社の情報システム部門やIT企画部門。事業会社のビジネス環境整備をサポートするITコンサルタントとしても活躍します。

中小企業診断士とITストラテジストはどっちが難しい?

総合的な難易度は中小企業診断士の方が高いです。

その理由を「合格率」と「必須となる勉強時間」の観点から解説します。

合格率で難易度を比較

合格率で難易度を比較すると、中小企業診断士の方が難しいです。

下表は中小企業診断士(1次試験・2次試験)とITストラテジストの直近5年分の合格率です。

年度中小企業診断士
(1次試験)
中小企業診断士
(2次試験)
ITストラテジスト
2024年度27.5%18.7%15.8%
2023年度29.6%18.9%15.5%
2022年度28.9%18.7%14.8%
2021年度36.4%18.3%15.3%
2020年度42.5%18.4%– (中止)

中小企業診断士は個々の試験(1次・2次)の合格率はそれなりに高いものの、ストレートでの合格率(1次試験×2次試験)は4~5%と低いです。

一方のITストラテジストの合格率は15%程で推移しており、総合的な難易度は中小企業診断士の方が高いといえます。

なお、中小企業診断士試験は、1次試験に合格すると翌年の同試験が免除される制度や科目合格制度があるため、複数年で合格を目指す方が多いのが特徴です。

勉強時間で難易度を比較

勉強時間で難易度を比較すると、中小企業診断士の方が難しいです。

中小企業診断士とITストラテジストの合格に必要な勉強時間の目安は以下のとおりです。

資格名勉強時間の目安
中小企業診断士1,000時間
ITストラテジスト150〜200時間

中小企業診断士は、実務経験者でも1000時間ほどの勉強時間が必要です。1日2時間勉強した場合、約1年半かかることになります。

一方で、ITストラテジストは実務経験者であれば、150〜200時間が勉強時間の目安です。1日2時間勉強した場合、2か月超〜3か月超で達成できるでしょう。

この勉強時間の大きな差は、難易度だけではなく、試験の仕組みの違いも影響しています。

ITストラテジスト試験は形式の異なる筆記試験で構成されていますが、中小企業診断士試験は筆記試験に加えて口述試験もあるのが特徴です。

知識だけではなく、「伝える能力」も求められるため、より長い勉強時間が必要となります。

中小企業診断士とITストラテジストのダブルライセンスがおすすめな理由

中小企業診断士とITストラテジストのダブルライセンスがおすすめな理由は次の3つです。

  • 転職の選択肢が広がる
  • 幅広い仕事を扱えるようになる
  • 試験の親和性が高く取得しやすい

転職の選択肢が広がる

中小企業診断士は経営コンサルや企業のコーポレート部門、ITストラテジストはITコンサルや企業の情報システム部門と、それぞれ重宝される場所が異なります。

両方の資格を取得することで、転職先の選択肢が大きく広がり、自分の理想とするキャリアパスを選びやすくなるでしょう。

また、中小企業診断士とITストラテジストの両方の資格保有者はまだ少ないです。ダブルライセンスは転職市場で自身の市場価値を高め、ほかの求職者との差別化に繋がります。

幅広い仕事を扱えるようになる

中小企業診断士は経営戦略全般のゼネラリストであり、ITストラテジストはIT技術を活用した情報戦略のスペシャリストです。

それぞれ得意とする領域が異なるため、各々の専門性を組み合わせることで、より多角的な視点から企業をサポートすることが可能になります。

また、ダブルライセンスは、企業内におけるキャリアアップにつながるだけではなく、独立した場合もクライアントからの評価を高めます。

コンサルタントとしての存在感・市場価値が高まることで、高単価の仕事を取りやすくなるでしょう。

試験の親和性が高く取得しやすい

中小企業診断士とITストラテジストには、試験内容で重なる部分があります。

例えば、中小企業診断士で学ぶ「経営情報システム」は、ITストラテジストで学ぶ内容と重複します。

また、ITストラテジストの資格をすでに取得している場合、中小企業診断士の1次試験の「経営情報システム」科目が免除対象に。

このように、試験内容に重複部分があれば、片方を対策するのと同時にもう片方も対策できるため、効率的に試験勉強を進めることが可能です。

少ない労力で2つの資格を取得できることは大きなメリットといえるでしょう。

まとめ

以上、中小企業診断士・ITストラテジストの難易度とダブルライセンスがおすすめな理由について解説しました。

  • 中小企業診断士は経営支援の専門職
  • ITストラテジストはIT戦略を担う専門職
  • 中小企業診断士の方が難易度は高い
  • ダブルライセンスは転職や独立に強い
  • 試験内容が一部重複するためダブルライセンスは効率的

特に中小企業診断士は経営・IT・コンサルの幅広い分野で活躍できるため、取得をおすすめします。

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