経営コンサルタント関連唯一の国家資格である中小企業診断士と、米国の公認会計士USCPA。

経営や財務に関心があり、「どちらを取得すべき？」「それぞれの難易度は？」など気になっている方もいるでしょう。

当コラムでは中小企業診断士とUSCPAについて、概要や取得難易度、年収の目安など詳しく比較します。

中小企業診断士とUSCPA（米国公認会計士）を比較

それでは早速、中小企業診断士とUSCPA（米国公認会計士）を比較していきましょう。

資格名	中小企業診断士	USCPA
仕事内容	中小企業を対象に経営アドバイスを行う	国際的な会計基準をもとに会計業務を行う
就職・転職先	・コンサルティングファーム ・中小企業診断士事務所 ・会計事務所 ・金融機関 ・公的機関　など	・会計事務所 ・税理士法人 ・外資系企業 ・コンサルティングファーム ・監査法人　など
年収（目安）	900万円ほど	500〜1,000万円ほど
試験内容	経済・財務・マーケティングなど、幅広い経営知識を問われる	財務会計・税法・ビジネス分析など会計分野に特化 ※すべて英語
受験費用	1次試験：14,500円 2次試験：17,800円	35〜45万円ほど ※出願州・為替レートによる
合格率	1次試験：23〜42％ 2次試験：18〜19％ 最終合格率：5%ほど	科目別：各30〜40%
勉強時間	1,000時間	1,000〜1,500時間

仕事内容を比較

中小企業診断士は中小企業を対象に幅広い経営アドバイスを行う国家資格で、USCPAは国際基準に基づいてグローバルな会計企業を行う資格です。

中小企業診断士は日本国内唯一の経営コンサルティング関連の国家資格。

財務やマーケティングなど多様な領域の専門知識を駆使してクライアントの経営課題を明確化し、解決に向けた提案などを行います。

一方、USCPA（米国公認会計士）は米国内の各州が認定する公認会計士の資格で、国際基準・米国基準の会計業務を担当。

海外企業や外資系企業とのやり取りなどで非常に重宝されるため、グローバルな財務人材として活躍できる資格です。

就職・転職先を比較

中小企業診断士・USCPAの主な就転職先は、共通している部分も多いです。

中小企業診断士はコンサルティングを担当する資格のため、最初に考えられる就業先としてはコンサルティングファームが挙げられます。

また、「中小企業診断士事務所」のように専門の事業所も有力な候補といえるでしょう。

経営関連の知識を広くカバーするため、会計事務所や金融機関などに在籍して経済面からクライアントを支援する場合もあります。

USCPAは会計業務を専門的に行う資格のため、会計事務所や税理士法人などが就業先として開かれています。特に、海外企業と取引があるクライアントを抱える事業所に需要があるでしょう。

さらに、外資系企業や監査法人、コンサルティングファームなどに就業する例もあります。

「お金」と「グローバル」に関する業務のある事業所から広く求められる資格といえるでしょう。

年収（目安）を比較

年収額は就業先の企業やポジションによって異なりますが、中小企業診断士であれば900万円ほど、USCPAであれば500〜1,000万円ほどが目安となります。

中小企業診断士は日本国内ではかなりの高年収を狙える資格で、業務状態によっては年収1,000万円を超える方も少なくありません。

一方、USCPAは中小企業診断士より「どこで仕事をするか」が年収に影響しやすい資格です。

日本国内で就業する場合は、500〜700万円ほどが目安。米国で就業する場合は初年度が500万円ほどで、4〜6年あたりで1,000万円を超えるケースも多いです。

もともと米国の資格のため米国内の需要の方が高く、より高額な年収を狙いやすいでしょう。

試験内容・費用を比較

試験内容を比較すると、中小企業診断士は「カバー範囲広め」でUSCPAは「専門性高め」です。

中小企業診断士はクライアントの経営状況を健全化するため、現状の経営課題を多角的に診断する資格。試験範囲も経済や法務、生産技術など多岐にわたります。

受験費用は1次・2次試験のそれぞれで支払う必要があり、1次試験で14,500円・2次試験で17,800円が必要です。

USCPAは「会計士」のため、試験範囲はより限定的で専門性が高いです。財務会計をはじめ、税法やビジネス分析など会計関連分野が出題されます。

試験がすべて英語で行われる点も特徴です。

費用は出願する州や受験時の為替レートにもよりますが、35〜45万円ほどかかります。

難易度（合格率・勉強時間）を比較

難易度を比較すると、中小企業診断士は最終合格率5%ほど・USCPAは各科目の合格率で30〜40%ほどとされます。

中小企業診断士の例年の合格率は、1次試験で20〜40%・2次試験は20%ほど。

両試験を通した最終合格率は5%ほどと考えられます。必要な勉強時間の目安は1,000時間ほどです。

USCPAは科目別に合否判定が行われ、一定期間内にすべての科目に合格する必要があります。

2回目以降の試験では不合格だった科目にのみ挑戦することは可能ですが、4科目を総合した最終的な合格率はかなり低いと推測できるでしょう。

必要な勉強時間は1,000〜1,500時間とされます。

中小企業診断士とUSCPAはどっちがおすすめ？　

中小企業診断士とUSCPAは管轄する業務内容が大きく異なるため、志望するキャリアパスに合う方を選ぶとよいでしょう。

中小企業診断士は企業の経営状況を分析し、多角的なサポートによって健全な運営を支援する仕事。

多くの専門領域に精通し、総合的にクライアントを支援するような業務に関心がある方におすすめです。

柔軟で広い視野を備えた優秀な診断士と認められれば、企業内での昇進や独立開業も目指せるでしょう。

対してUSCPAは国際基準に基づく会計業務の専門職のため、会計・財務分野に関心のある方やグローバルに活躍したい方向けです。

外資系企業や海外クライアントを抱える国内企業に就業するほか、米国で会計士として働くルートも開けるでしょう。

中小企業診断士とUSCPAのダブルライセンスはどう？

中小企業診断士とUSCPAのダブルライセンスを保有する場合、高度な英語力と会計知識を備えたコンサルタントとしての活躍が期待できます。

USCPAは日本国内の資格ではないため、資格自体の希少価値も高め。

他コンサルタントと差別化したブランディングがしやすく、転職市場で評価される・独立開業時に仕事を取りやすくなるなど多くのメリットがあるでしょう。

さらに、日米両方のビジネスについて知見が広がることで、コンサルタントとしての視野や提案力も飛躍的に高められます。

ダブルライセンスを目指すのであれば、中小企業診断士を最初に取得するとよいでしょう。

中小企業診断士の方が試験範囲が広く、一部はUSCPAとも重複しています。中小企業診断士を先に取得すれば、続くUSCPAの学習もスムーズに取り組めるでしょう。

まとめ

当コラムでは、中小企業診断士とUSCPAについて以下の内容で解説しました。

• 中小企業診断士は幅広い知識を活かして中小企業にアドバイスする仕事
  総合的にクライアントを支援することに関心がある人におすすめ
• USCPAは国際・米国基準に基づく会計業務を行う仕事で
  会計業務に関心がある人・グローバルに仕事をしたい人におすすめ

中小企業診断士とUSCPAは業務領域は異なりますが、どちらも高年収を狙える需要の高い資格です。

特にUSCPAは日本国内での希少性が高いため、ダブルライセンスを取得すれば広い知見と語学力を備えたコンサルタントとして活躍できるでしょう。

ダブルライセンスを目指すなら、中小企業診断士を先に取得するとよいでしょう。中小企業診断士の方が試験範囲が広いため、続くUSCPAの学習にもスムーズに取り組めます。