中小企業診断士の実務従事とは?要件や知り合いの会社でもできるかも解説!
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中小企業診断士の資格の登録や更新の際に求められる「実務従事」。
「実務従事って何をすればいいの?」
「知り合いの会社でも可能なの?」
など、実務従事の内容・条件についてお悩みの方は多いのではないでしょうか。
本コラムでは、中小企業診断士の実務従事の概要・実務従事に該当する業務について詳しく解説します。
また、実務従事の対象となる企業、ならない企業・実務従事先のおすすめの探し方についても紹介。実務従事の証明書の書き方と実務従事に関するよくある質問もまとめました。
実務従事の全体像をつかめる内容なため、これから中小企業診断士を目指す方はぜひ参考にしてください。
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中小企業診断士の実務従事とは?
「実務従事」とは、中小企業診断士の資格を登録・更新する際に必須となる要件のひとつ。
中小企業診断士としての実務的なスキルや経験を積む機会でもあります。
ここでは、「登録」と「更新」の実務従事の要件についてそれぞれ見ていきましょう。
登録要件としての実務従事
中小企業診断士として登録するには、第2次試験の合格後3年以内に実務従事に関する要件を満たさなくてはなりません。
具体的には「実務補習を受講した日数」または「実務に従事した日数」の合計が15日以上であることが求められます。
合格者の多くは、中小企業診断協会などが実施する「実務補習」で要件を満たしますが、「実務従事」で要件を満たすことも可能です。
実務従事先を自分で探さなくてはならないため手間はかかるものの、日程の融通が効いたり、実務補習と比べて費用を抑えられたりとメリットが多いです。
更新要件としての実務従事
中小企業診断士の登録には5年の有効期限があり、更新登録を行うためには「専門知識補充要件」と「実務要件」を満たす必要があります。
このうち「実務要件」は、下記のいずれかを合計30日以上行ったことで満たすことができます。
- 診断助言業務等に従事したこと。
- 実務補習を受講したこと。
- 実習、実務補習を指導したこと。
「診断助言業務等に従事したこと。」がいわゆる実務従事にあたる要件で、一般的に満たされることが多いです。
実務従事に該当する業務
実務従事に該当する業務は以下の2つに分類されます。
- 経営の診断助言業務
- 経営に関する窓口相談業務
経営の診断助言業務
「経営の診断助言業務」とは、中小企業に対する経営診断や分析、課題解決の相談などを行うことです。
具体的には下記業務が該当します。
- 中小企業診断士が事業として行うもの
- 国の委嘱を受けて行うもの(ミラサポ専門家派遣など)
- 都道府県・政令指定市(中小企業支援センターなど)の委嘱を受けて行うもの
- 中小企業基盤整備機構、中小企業関係団体などの委嘱を受けて行うもの
- 医療法人や社会福祉法人、NPO法人に対すして行うもの
- 国際協力機構(JICA)などの委託等で行うもの
- 中小企業に勤務し、経営者からの指示で自社に対して行うもの
- 金融機関や大企業等に所属し、取引先などの中小企業者に対して行うもの
これらはいずれも「中小企業等の経営改善に資する業務」であり、有償・無償化を問わず実務従事として認められます。
注意したい点は、経営の診断助言業務を行った「日数」が要件となることです。
例えば1日に2社の診断助言業務を行ったとしても、1日分の実務従事としてカウントされるため、どちらか1社の証明書のみが有効となります。
経営に関する窓口相談業務
「経営に関する窓口相談業務」とは、公的機関などに設けられている窓口にて経営相談員として相談に乗る業務のことです。
具体的には下記の業務が該当します。
- 国の委嘱を受けて行うもの(よろず支援拠点事業など)
- 都道府県・政令指定市(中小企業支援センターなど)の委嘱を受けて行うもの
- 中小企業基盤整備機構、中小企業関係団体などの委嘱を受けて行うもの
- 医療法人や社会福祉法人、NPO法人に対すして行うもの
- 国際協力機構(JICA)などの委託等で行うもの
上記に該当する業務を1日5時間以上行ったことを証明できれば、1日分の実務従事としてカウントされます。
ただし、5時間未満の短時間の業務では日数としてカウントされないため注意が必要です。あらかじめ担当機関と稼働時間を確認しておきましょう。
なお経営に関する窓口相談業務の多くは、中小企業診断士の登録後に携わる仕事なため、未登録者が携わっている可能性は低いと考えられます。
実務従事の対象となる中小企業
実務従事の対象となる中小企業等は明確に定められています。
この章では、その対象範囲を分類してわかりやすく解説するとともに、対象とならない法人等についても併せて紹介します。
実務従事の対象となる中小企業等
実務従事の対象となる中小企業等は以下の2つに分類されます。
- 会社・個人・中小企業関連法令で定められた団体
- 医療法人・社会福祉法人・特定非営利活動法人(NPO法人)
会社・個人・中小企業関連法令で定められた団体
中小企業庁が公開している中小企業診断士の 各種申請・届出の手引き 及びQ&Aによると、対象となる中小企業は以下のとおりです。
| 業種 | 資本金の額または、出資の総額(以下「資本金」という。)及び、常時使用する従業員の数(以下「従業員数」という。) |
| ① 製造業、建設業、運輸業その他の業種(②から⑦までの業種を除く。) | 資本金3億円以下または、従業員数300人以下 |
| ② 卸売業 | 資本金1億円以下または、従業員数100人以下 |
| ③ サービス業(注) | 資本金5千万円以下または、従業員数100人以下 |
| ④ 小売業 | 資本金5千万円以下または、従業員数50人以下 |
| ⑤ ゴム製品製造業 | 資本金3億円以下または、従業員数900人以下 |
| ⑥ ソフトウエア業 情報処理サービス業 | 資本金3億円以下または、従業員数300人以下 |
| ⑦ 旅館業 | 資本金5千万円以下または、従業員数200人以下 |
| ⑧ 中小企業団体の組織に関する法律第3条第1項に規定する中小企業団体(事業協同組 合、事業協同小組合、信用協同組合、協同組合連合会、企業組合、協業組合、商工組合、商工組合連合会) | |
| ⑨ 特別の法律によって設立された組合または、その連合会であって、その直接または、間接の構成員たる事業者の3分の2以上が①から⑦までのいずれかに該当する者であるもの | |
(注): 会社法の合名会社の規定を準用して実質的に会社形態をとっている以下の士業法人であって、資本金5千万円以下または、従業員数100人以下のものを含みます。
- 弁護士法に基づく弁護士法人
- 公認会計士法に基づく監査法人
- 税理士法に基づく税理士法人行政書士法に基づく行政書士法人
- 司法書士法に基づく司法書士法 人
- 弁理士法に基づく特許業務法人
- 社会保険労務士法に基づく社会保険労務士法人
- 土地家屋調査法に基づく土地家屋調査法人
医療法人・社会福祉法人・特定非営利活動法人(NPO法人)
以下の法人についても「継続的に収益事業を行っていること」が確認できれば、実務従事の対処となります。
| 法人名 | 常時使用する従業員の数(以下「従業員数」という。) |
| ①医業又は歯科医業を主たる事業とする法人 | 従業員数300人以下 |
| ②社会福祉法人(①を除く) | 従業員数100人以下 |
| ③特定非営利活動法人(①を除く)ただし ・小売業を主たる事業とするもの ・卸売業又はサービス業を主たる事業とするもの | 従業員数300人以下 従業員数50人以下 従業員数100人以下 |
なお社会福祉法人とは、社会福祉法第22条に規定する社会福祉法人、特定非営利活動法人は、特定非営利活動促進法第2条第2項に規定する特定非営利活動法人を指します。
また、収益事業は物やサービスの提供に対して対価を得るもののことです。
実務従事の対象とならない中小企業等
以下の法人等は、たとえ中小規模であっても、実務従事の対象にはなりません。
- 学校法人
- 職業訓練法人
- 宗教法人
- 商店会
- 商工会
- 商工会議所
- 各種基金
- 日本赤十字社
- 独立行政法人
- 農事組合法人
- 一般社団法人
- 一般財団法人
- 公益社団法人
- 公益財団法人
- 中小企業投資育成株式会社
- 生活協同組合
- 有限責任事業組合(LLP)
- その他協会・任意団体、機構等特別な法律によって設立された組織
実務従事先のおすすめの探し方
実務従事先のおすすめの探し方は以下の3つです。
- 日本中小企業診断士協会連合会を活用する
- 知り合いや家族に協力してもらう
- 民間の実務従事サービスを活用する
日本中小企業診断士協会連合会を活用する
日本中小企業診断士協会連合会(旧:中小企業診断協会)は、中小企業診断士相互の連携の強化や質の向上、制度の普及を目的とした組織です。
各都道府県協会では、会員に実務従事の機会を提供するための取り組みをしていることがあります。
なお、各都道府県協会における実施状況については、日本中小企業診断士協会連合会の実務従事状況照会-募集計画一覧で検索可能です。
知り合いや家族に協力してもらう
知り合いや家族の経営している会社が実務従事の対象となる場合、診断助言業務を行うことで、実務従事の要件を満たすことが可能です。
法人だけでなく、個人事業主も対象となるため、意外と身近に実務従事をさせてくれる人がいるかもしれません。
日程の調整がしやすく、費用も抑えられる点が魅力の方法です。
民間の実務従事サービスを活用する
民間企業の中には、実務従事の機会を提供するサービスを運営している企業があります。
実務補習のように費用はかかるものの、各社に特徴があり、オンラインで参加できたり、希望する日程で参加できたりします。
ただし、実績の少ないサービスは品質面で不安があるため、事前調査を怠らないようにしましょう。
実務従事の証明書の書き方
実務従事を終えたら、登録・更新手続きのために「診断助言業務実績証明書」や「窓口相談業務従事証明書」を用意する必要があります。
証明書には診断助言窓口相談業務の開始日や終了日、合計日数を記載し、代表者の証明(朱印)を受けます。
なお、原則として受信企業名を匿名にすることはできないためご注意ください。
詳しい記載方法は、中小企業庁のQ&A 申請書、証明書等の作成要領を確認してください。
実務従事に関するよくある質問
次に実務従事に関するよくある質問を3つ紹介します。
- 実務従事せず中小企業診断士になれる?
- 実務補修とは?実務従事との違いは?
- 実務従事はオンラインでできる?
実務従事せず中小企業診断士になれる?
実務従事をせず中小企業診断士になることは可能です。
第1次試験の合格後、第2次試験に進まずに「養成課程」を受講・修了するルートがあります。
この養成課程は、経済産業大臣が認定した教育機関が実施しており、第2次試験や実務補習・実習従事を経ずに登録可能。
ただし、養成課程の修了には時間も労力もかかるため注意が必要です。
実務補修とは?実務従事との違いは?
中小企業診断士として登録するためには、第2次試験の合格後に「実務補習を修了する」か「実務従事を行う」必要があります。
それぞれのメリット・デメリットは下記のとおりです。
| 項目 | 実務補習 | 実務従事 |
| メリット | ・実務能力を養える ・人脈を形成できる | ・現場で実務能力を養える ・人脈を形成できる ・費用が安い ・日程の融通が効きやすい |
| デメリット | ・費用が高い ・日程の融通が効かない | ・民間サービスの品質面に不安がある |
自分のスケジュールや予算、学び方に合った方法を選びましょう。
実務従事はオンラインでできる?
実務従事はオンラインでも実施可能です。
対面と比べて実習先企業との交流を深めにくい側面はあるものの、実務従事の経験の質が極端に下がるわけではありません。
オンライン形式であっても、適切な指導や活動が行われていれば、登録要件として認められます。
まとめ
以上、中小企業診断士の実務従事について、登録・更新に必要な要件や該当業務、実務従事先の探し方、証明書の書き方などを解説しました。
本コラムの要点は次のとおりです。
- 登録には15日以上の実務補習か実務従事が必要
- 更新には30日以上の実務経験が必要
- 対象業務は経営診断・窓口相談
- 証明書には業務日数・企業名・代表者の押印が必須(匿名不可)
- 従事先は「診断士協会」「家族・知人の会社」「民間サービス」から選べる
- オンライン形式でも要件を満たせる
実務従事は実践力を養う貴重な機会です。
将来的な独立や企業内での活躍にも役立ちます。
自分に合った方法で実務従事に取り組み、診断士としての実務能力を磨きましょう。
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- 中小企業診断士試験に合格できるか不安
- 勉強をどう進めて良いかわからない
- 勉強時間も費用も抑えたい
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