法律のスペシャリストである弁護士ですが、経営戦略のスペシャリストである中小企業診断士を取得すると、どういったメリットがあるのでしょうか?

弁護士で今後ダブルライセンスを目指している人は気になると思います。

そこで、中小企業診断士と弁護士の関連性や相性を考えたうえで、ダブルライセンスのメリットについて解説します。

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弁護士と中小企業診断士の資格の関連性・相性

結論から言えば、弁護士と中小企業診断士の相性は良いです。

弁護士は法律のエキスパートとして訴訟代理人や契約書類の確認などを仕事とし、中小企業診断士は経営戦略のエキスパートとして経営コンサルティングの仕事を行います。

このため全く別の仕事を行っており、仕事上の関連性は希薄です。

もっとも、後述するようなダブルライセンスによるメリットも多く、資格による科目免除制度もあるので両方の資格を活用できます。

実際に、中小企業診断協会『データでみる中小企業診断士2016年版』によると、中小企業診断士の0.1%が弁護士資格を持っています。

また、ダブルライセンスを生かして、弁護士をこなしつつ中小企業の家賃支援給付金について情報発信を行い活躍する人もいます。

事例は少ないですが、弁護士と中小企業診断士のダブルライセンスを活用していることが分かります。

※関連コラム:中小企業診断士のダブルライセンスにおすすめの資格を紹介

弁護士と中小企業診断士のダブルライセンスを取得するメリット

弁護士が中小企業診断士の資格を取得するダブルライセンスのメリットには、以下のようなものがあります。

①中小企業に対する法律相談のみならず経営相談をすることができる

弁護士と中小企業診断士は別の仕事であることから、それぞれの資格を生かした仕事をすることができるようになります。

例えば、中小企業から法律相談を受けた場合、弁護士として法律相談を行い、続けて中小企業診断士として経営コンサルティングを行うことができます。

これにより「経営に強い弁護士」という専門性を持つことができ、他の弁護士と差別化を図ることができます。

専門性を持つことにより依頼量が増加し、収入のアップにつながることもあります。

②より多くのリスクを考えることができ、企業の紛争を未然に防ぐことができる

弁護士は既に生じた紛争を解決に導くという仕事だけでなく、今後生じる紛争を防止するという仕事も行います。

この仕事に中小企業診断士の資格を役立てることができます。

例えば、中小企業診断士として診断を行い、経営陣への監視体制が十分でないと判断した場合には弁護士としてガバナンスを整備し、紛争を未然に防止します。

これにより利益相反取引や会社資金の横領などを未然に防止できます。中小企業診断士の視点から経営課題を見つけることで、より多くの紛争を防止することが期待できます。

③人脈を広げることができる

弁護士と中小企業診断士の仕事を並行して行う場合、中小企業診断士の仕事の性質から人脈を広げることができます。

中小企業診断士の仕事である経営コンサルティングでは、多数の診断士や他の資格の人が関与してチームにより経営戦略を実行することがあります。

例えば経営コンサルティングによりISOの取得の必要が出てきた場合、ISO取得に詳しい中小企業診断士とともに仕事を行うことがあります。

このように中小企業診断士の仕事では様々な人と関わって仕事を行うという性質があり、弁護士業界のみならず中小企業診断士業界での人脈を広げることができます。

④自らの事務所経営に役立つ

中小企業診断士の資格は他人の役に立つだけでなく、自分の役にも立ちます。

独立して自ら弁護士事務所を設立した場合、弁護士として活動していくとともに、経営者として活動することも必要になります。

そのため弁護士とは異なった視点から事務所を運営していく必要があり、法律の知識だけで経営を続けることは難しいです。

中小企業診断士は会計や経営について学ぶので経営者として必要な知識を身に着けることができます。

弁護士資格保持者にとって中小企業診断士試験の難易度は

弁護士資格保持者にとって、中小企業診断士試験は「司法試験と比較すれば簡単ではあるが、きちんと勉強する必要がある試験」といえます。

※関連コラム:中小企業診断士の難易度や偏差値を解説!どれくらい難しい?

試験における科目の重複

司法試験では、必須科目で民法と会社法が、選択科目で知的財産法が出題されています。

これらの科目について、中小企業診断士試験1次試験の①経営法務科目で重複があります。

問題の難易度では、司法試験の問題の方がはるかに難しいので、経営法務科目の勉強は必要最小限で良いでしょう。

試験に出てこない科目の割合

中小企業診断士試験1次試験では、司法試験で学習した分野と重複していない科目として②経済学・経済政策、③財務・会計、④企業経営理論、⑤運営管理、⑥経営情報システム、⑦小企業経営・中小企業政策があり、①~⑦の合計7科目が出題されます。

また、中小企業診断士試験には2次試験もあります。

ここでは、司法試験で出題されない範囲から「中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 Ⅰ~Ⅳ」が出題されます。

そのため、司法試験に出てこない科目の割合は80%以上と考えられ、多くの科目で新たに勉強する必要があります。

※関連コラム:中小企業診断士1次試験で最も難しい科目は?科目別の難易度を解説

試験自体の難易度の違い

中小企業診断士試験は司法試験より簡単といえます。

一般に、中小企業診断士試験の合格に必要な勉強時間は1,000時間とされています。

司法試験合格に必要な勉強時間は6,000時間といわれているため、必要な勉強時間は司法試験の20%以下となっています。

また、1次試験で出題される①経営法務科目の勉強は必要最小限で良いので、中小企業診断士試験に必要な勉強時間はさらに少ないでしょう。

もっとも、経済学や会計学などこれまで勉強したことの無い分野を新しく勉強する必要があります。

そのため、試験合格に向けしっかりと勉強しなければなりません。

※関連コラム:中小企業診断士の独学合格は可能?必要な勉強時間や勉強法など解説

弁護士資格保持者は科目免除も利用できる

中小企業診断士試験には、有資格者の科目免除制度があります。

有資格者の科目免除制度とは、一定の資格を持つ人に対し特定科目の受験を免除する制度です。

これにより免除された科目の勉強をする必要がなくなり、合格しやすくなるというメリットがあります。

弁護士の資格による科目免除制度では、「経営法務」科目について受験が免除になります。

司法試験で既に勉強した範囲なので、あえて中小企業診断士試験で知識を問わなくても良いということなのでしょう。

※関連コラム:中小企業診断士1次試験の科目免除とは?対象になる資格や期限を解説

まとめ

以上から、弁護士が中小企業診断士の資格を取得する相性は良いことが分かりました。

このコラムの重要なポイントは以下の点です。

・弁護士と中小企業診断士のダブルライセンスは、メリットも多く科目免除制度があるため相性の良い資格である

・中小企業診断士を取得するメリットは、法律相談のみならず経営相談もできる、より多くの企業の紛争を未然に防ぐことができる、人脈を広げることができる、自らの事務所経営に役立つの4点

・弁護士資格を持つ人にとって、中小企業診断士試験は「司法試験より難しくはないが、しっかりと勉強する必要のある試験」といえる

・弁護士資格を持つ人は科目免除を利用することができ、経営法務科目の受験が免除される

弁護士のみならず中小企業診断士を取得することは大きな武器になりそうです。

ぜひ中小企業診断士の資格取得に向けて勉強しましょう。

関連コラム:中小企業診断士とは?仕事内容や取得のメリット・なるまでの流れを詳しく解説

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この記事の監修者:三戸部裕司 講師

三戸部講師の紹介はこちら

2015年 国家総合職試験合格 2016年 東京大学 教育学部卒業 2022年 中小企業診断士試験合格   自身も働きながら中小企業診断士試験に合格。 その経験を元に社会人でも合格可能な、効率的で無駄のない講座を実施している。  

 

この記事の「校正」マーケティング室コンテンツチーム


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