保育士試験は、子どもの保育に携わる仕事を希望する人から人気の高い国家資格。

「保育士資格」というと、大学・短大・専門学校等で専門課程を学んだ若い人が取得するイメージをお持ちの方も多いでしょう。

実際の保育士試験の受験資格を明確に理解している方は、意外に少ないかもしれません。

このコラムでは、保育士試験の受験資格について詳しく解説します。これから保育士試験を受けようとしている方は、ぜひ参考にしてください。

保育士の資格は誰でも取れる?

義務教育課程を終了した人であれば、誰でも保育士試験を受けることができます。

最終学歴が以下のいずれかで、学歴に応じた受験資格さえ満たしていれば、保育士試験を受験することが可能です。

  • 中学卒業
  • 高等学校卒業
  • 専門学校在学中または卒業
  • 短期大学在学中または卒業
  • 大学在学中、中退または卒業

また、保育士試験の受験に年齢制限はありません。

児童福祉法が定めた保育士の定義は

この法律で、保育士とは、第十八条の十八第一項の登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者をいう。

児童福祉法・第七節 保育士 第十八条の四

となっており、年齢についての定めはありません。

ただし公立保育士として勤務を希望する場合は、公務員試験を受けなくてはならないため、各自治体の年齢制限があります。

保育士資格は更新制ではないので、一度取得すれば一生涯有効です。結婚・出産・介護等のライフイベント後に再就職する際に、資格を利用できるのが嬉しいですね。

多くの保育園が60歳定年、再雇用は65歳までとしていますが、正社員以外の働き方(非正規・パート)で雇用を継続することも可能です。

保育士試験の受験資格とは?学歴ごとに解説

保育士試験の受験資格は概ね「短期大学卒業程度」と定められています。

しかし最終学歴が高等学校卒業であっても、実務経験などの条件を満たせば受験資格を得ることができます。

ここでは、保育士試験の受験資格を最終学歴ごとに解説します。

大学を卒業・中退・在学中の場合

卒業・中退・在学中いずれの状態でも、学校教育法に基づいた大学であることが前提となります。卒業校が「学校教育法に基づいた学校」であるかどうかは、学校に確認してください。

また、保育士と関係のない学部・学科であっても受験資格を満たします。

大学卒業 受験資格があります。
大学中退 2年以上在学して62単位以上修得済みであれば受験資格があります。
大学在学中 既に2年以上在学していて、修得単位数が62単位以上であれば受験ができます。
在学中であれば受験できます。
 ただし年度中に在学期間が2年に満たなかった場合と62単位以上修得できなかった場合は、合格が認められません。

短期大学を卒業・在学中の場合

学校教育法に基づいた短大であることが受験資格の前提となります。

大学と同様、学部学科不問で受験が可能です。

短期大学卒業 受験資格があります。
短期大学在学中 受験資格があります。
ただし年度内に卒業できなかった場合は合格が認められません。

専門学校を卒業・在学中の場合

まず以下の2点を確認します。

  1. 学校教育法に基づいた専修学校である
  2. 修業年限2年以上の専門課程である
専門学校卒業 1.2を満たしている場合
学部学科不問で受験資格があります。

1つでも満たされていない場合
高等学校の卒業年月日が平成3年3月31日以前、または保育科で平成8年3月31日以前であれば受験資格があります。

それ以降の卒業年月日の場合
児童福祉施設に2年以上勤務し、総勤務時間が2,880時間以上、児童の保護に従事したなどの条件を満たせば受験資格があります。
専門学校在学中 1.2を満たしている場合
在学中であれば、学部学科不問で受験資格があります。
ただし年度内に卒業できなかった場合は合格が認められません。

1つでも満たされていない場合
高等学校の卒業年月日が平成3年3月31日以前、または保育科で平成8年3月31日以前であれば受験資格があります。

それ以降の卒業年月日の場合
児童福祉施設に2年以上勤務し、総勤務時間が2,880時間以上、児童の保護に従事したなどの条件を満たせば受験資格があります。

高等学校を卒業の場合

卒業年月日が平成3年3月31日以前、卒業学科が保育科の場合は卒業年月日が平成8年3月31日以前であれば、受験資格があります。

上記以外の場合は、児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設(保育所・児童養護施設など)で、2年以上かつ2,880時間以上、児童等の保護または援護に従事した勤務経験が必要です。

高卒の場合の受験資格などについては以下のコラムでも詳しく解説していますので、参考にしてください。

関連コラム:高卒から保育士になるには?受験資格や中卒の場合の条件も解説

中学校を卒業の場合

児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設で、児童の保護または援護に従事した勤務経験が5年以上、かつ7,200時間以上あれば受験資格があります。

海外の学校を卒業の場合

以下のいずれかに当てはまる場合は受験資格があります。

  • 日本の高等学校を平成3年3月以前に卒業している
  • 日本の大学・短期大学・専門学校を卒業している
    ※専門学校は学校教育法に基づいた学校で、修業年限2年以上の専門課程を卒業したことが前提
  • 日本の高等学校を卒業+児童福祉施設で2年以上、かつ児童または幼児の保護全般に2,880時間以上従事している
  • 児童福祉施設で児童または幼児の保護全般に5年以上かつ7,200時間以上従事している

上記に該当しない方は、保育士試験事務センター(海外受験資格係)にお問い合わせください。

参考:海外の学校を卒業した方の受験資格について

受験資格がない人が保育士試験を受けるには?

学歴で受験資格を満たさない人が保育士試験を受けるには、児童福祉施設での実務経験が必要です。

児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設(保育所型認定こども園・幼保連携型認定こども園など)において、児童・幼児の保護または援護に従事したことが条件となります。

必要な勤務期間は、最終学歴によって以下の通り異なります。

  • 高卒・専門卒の場合:2年以上かつ2,880時間以上
  • 中卒の場合:5年以上かつ7,200時間以上

勤務先が受験資格に該当する施設かどうかは、施設長または都道府県の保育主管課に確認します。

また勤務先が受験資格に該当する施設ではなく、「受験資格認定基準に該当する施設・事業(認可外保育施設・小規模保育事業など)」で、要件を満たす方は、別途受験資格認定(知事認定)が必要です。

概要する施設については、次の章で詳しく解説します。

保育士試験に必要な実務経験に該当する施設とは

受験資格に該当する施設

受験資格の実務経験に該当する児童福祉施設は、以下のような児童福祉法第7条に基づく福祉施設を指します。

児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設

  • 保育所(利用定員20名以上)
  • 保育所型認定こども園
  • 幼保連携型認定こども園
  • 児童厚生施設(児童館)
  • 児童養護施設
  • 助産施設
  • 乳児院
  • 母子生活支援施設
  • 障害児入所施設
  • 児童発達支援センター
  • 児童心理治療施設
  • 児童自立支援施設
  • 児童家庭支援センター

出典:勤務経験|一般社団法人全国保育士養成協議会

受験資格認定基準に該当する施設・事業

「受験資格に該当する施設」にあたらない「受験資格認定基準に該当する施設・事業」でも、児童・幼児の保護または援護に従事していれば、受給資格認定(知事認定)を受けることで受験資格が得られます。

  • 認可外保育施設(認証保育園、認定保育園 等を含む)
  • 小規模保育事業(小規模認可保育所 等)
  • 幼稚園型認定こども園
  • 地域裁量型認定こども園
  • 幼稚園(特別支援学校幼稚部を含む)
  • 家庭的保育事業(保育ママ 等)
  • 居宅訪問型保育事業
  • 事業所内保育事業
  • 放課後児童健全育成事業(学童クラブ・放課後児童クラブ・学童保育 等)
  • 一時預かり事業
  • へき地保育(特例保育)
  • 小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)
  • 障害児通所支援事業(保育所訪問支援事業を除く)
  • 一時保護施設
  • 放課後等デイサービス(児童デイサービス)
  • 院内保育
  • 企業主導型保育事業 等

出典:勤務経験|一般社団法人全国保育士養成協議会

勤務先が受験資格認定基準に該当するかどうかは、施設が所在している都道府県へ問い合わせましょう。

受験資格認定(知事認定)の方法

受験資格認定の申請を行う前に、既定の勤務期間・総勤務時間数の実務経験があることを確認しておきましょう。

申請手続きは、以下のような流れで行います。

  1. 施設が受験資格認定基準に該当していることを、施設が所在する都道府県に確認する
  2. 受験を希望する都道府県へ受験資格認定手続きの希望を申し出て、必要様式等の申請手順を確認する
  3. 施設に必要書類の作成を依頼し、受領する
  4. 受験を希望する都道府県に、受験資格認定申請書と必要書類等を提出する。
  5. 都道府県が受験資格認定の審査を行い、認められれば「受験資格認定証」が交付される

出典:受験資格認定(知事認定)の申請方法

保育士試験の受験資格は?誰でも取れる?まとめ

受験資格に年齢制限がなく、学歴に応じた条件を満たせば、誰でも受験可能な保育士試験。受験資格を下表にまとめました。

最終学歴 必須条件
大学卒業 特になし
大学在学中・中退学 2年以上在学・64単位以上修得
短大卒業・在学中 ※在学中であれば年度内の卒業が必須
専門学校卒業・在学中 修業年限2年以上の専門課程
※在学中の場合は年度内の卒業が必須
高等学校卒業 ・卒業年月日が平成3年3月31日以前
・保育科なら卒業年月日が平成8年3月31日以前
・上記に当てはまらない場合は、児童福祉施設で2年以上かつ2,880時間以上の実務経験
中学校卒業 児童福祉施設で5年以上かつ7,200時間以上の実務経験

※大学・短大・専門学校は学校教育法に基づいた施設であることが前提

学歴によって幼児・児童の保護または援護の勤務経験が必須となります。勤務経験として認められるのは受験資格に該当する施設、あるいは受験資格認定基準に該当する施設です。

「子どもと関わる仕事がしたい!」すべての人に間口を広げている保育士資格。保育士試験の難易度は高めですが、一度取得すると生涯有効な資格です。

保育士試験の概要については以下コラムで解説しています。ぜひ参考にしてください。

関連コラム:保育士試験の概要|日程・時間割・申し込み方法も解説