保育士の給料は手取りいくら?平均年収が安いと言われる2つの理由
本ページにはプロモーションが
含まれていることがあります
保育士として働く上で気になるのが給料や年収ではないでしょうか。
ここでは、なぜ保育士は平均年収が低いと言われているのかについて説明をします。
実際のところは一体どのくらいの年収なのか、将来的にはどのように年収が変わっていくのかなどについて詳しく解説していきます。
目次
保育士の給料は手取りいくら?
ここでは保育士の年収について詳しく見ていきましょう。
賃金構造基本統計調査によると、保育士の給料(月給)と年間賞与は、給料(月給)250,100円、年間賞与は711,700円となっています。
決まって支給する現金給与額(手取り金額ではなく、所得税や社会保険料などが控除される前の金額) | 250,100円 |
年間賞与その他特別給与額 | 711,700円 |
「決まって支給する現金給与額×12(1年間)+年間賞与その他特別給与額」で計算すると、平均年収は約3,712,900円となります。
一方、同調査の全産業の平均年収は約4,896,000円です。(平均月収335,000円×12か月+平均年間賞与876,000円)なので、保育士の平均年収は他の職種に比べると高いとは言えません。
もちろん、比較する職業によって異なりますが、全体的な平均年収のなかで保育士は高収入ではないことは確かです。
では、次に都道府県別、年齢別、勤続年数別の平均年収についても令和3年の賃金構造基本統計調査の中から詳しくみていきましょう。
都道府県別平均年収
都道府県 | 決まって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 年収 |
北海道 | 236,800円 | 768,700円 | 3,610,300円 |
青森 | 236,300円 | 936,400円 | 3,772,000円 |
岩手 | 258,300円 | 804,600円 | 3,904,200円 |
宮城 | 233,400円 | 493,000円 | 3,293,800円 |
秋田 | 229,200円 | 726,700円 | 3,477,100円 |
山形 | 239,600円 | 780,500円 | 3,655,700円 |
福島 | 211,100円 | 624,800円 | 3,158,000円 |
茨城 | 232,400円 | 723,600円 | 3,512,400円 |
栃木 | 234,300円 | 642,300円 | 3,453,900円 |
群馬 | 247,000円 | 928,800円 | 3,892,800円 |
埼玉 | 252,200円 | 658,100円 | 3,684,500円 |
千葉 | 292,400円 | 642,800円 | 4,151,600円 |
東京 | 298,600円 | 897,400円 | 4,480,600円 |
神奈川 | 269,300円 | 681,000円 | 3,299,700円 |
新潟 | 293,100円 | 858,400円 | 4,375,600円 |
富山 | 233,800円 | 747,100円 | 3,552,700円 |
石川 | 252,400円 | 722,000円 | 3,750,800円 |
福井 | 218,000円 | 750,400円 | 3,366,400円 |
山梨 | 231,400円 | 661,300円 | 3,438,100円 |
長野 | 259,800円 | 819,200円 | 3,936,800円 |
岐阜 | 241,400円 | 634,500円 | 3,531,300円 |
静岡 | 243,300円 | 540,300円 | 3,459,900円 |
愛知 | 287,800円 | 928,400円 | 4,382,000円 |
三重 | 223,300円 | 534,800円 | 32,144,000円 |
滋賀 | 247,900円 | 742,400円 | 3,717,200円 |
京都 | 269,500円 | 847,100円 | 4,081,100円 |
大阪 | 265,400円 | 693,500円 | 3,878,300円 |
兵庫 | 241,200円 | 812,900円 | 3,707,300円 |
奈良 | 281,100円 | 961,700円 | 4,334,900円 |
和歌山 | 230,800円 | 696,500円 | 3,466,100円 |
鳥取 | 220,400円 | 565,800円 | 3,210,600円 |
島根 | 213,000円 | 518,700円 | 3,074,700円 |
岡山 | 226,100円 | 804,300円 | 3,517,500円 |
広島 | 276,200円 | 844,100円 | 4,158,500円 |
山口 | 243,400円 | 746,000円 | 3,666,800円 |
徳島 | 226,900円 | 731,600円 | 3,454,400円 |
香川 | 226,000円 | 652,800円 | 3,364,800円 |
愛媛 | 214,500円 | 715,200円 | 3,289,200円 |
高知 | 236,000円 | 766,900円 | 3,598,900円 |
福岡 | 241,000円 | 645,100円 | 3,537,100円 |
佐賀 | 235,700円 | 871,600円 | 3,700,000円 |
長崎 | 223,100円 | 956,300円 | 3,633,500円 |
熊本 | 232,100円 | 711,900円 | 3,497,100円 |
大分 | 239,000円 | 1,115,300円 | 3,983,300円 |
宮崎 | 231,600円 | 712,500円 | 3,491,700円 |
鹿児島 | 232,900円 | 699,600円 | 3,494,400円 |
沖縄 | 220,400円 | 624,300円 | 3,269,100円 |
出典:賃金構造基本統計調査
表を見て分かるように、都道府県の中で最も平均年収が高いのは東京都です。
一方、最も平均年収が低いのは、島根県です。
これは、その都道府県の平均賃金にも影響します。全産業の給料において、地域格差があるのが現状です。
都市部の方が地方部よりも給料が良い傾向があります。これは、人口の問題や教育水準やインフラの整備状況など様々な要因があります。
次に、年齢別の平均年収について男女共に詳しくみていきましょう。
年齢別平均年収
<男性>
年齢 | 決まって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 平均年収 |
20~24歳 | 219,900円 | 322,000円 | 2,960,800円 |
25~29歳 | 258,800円 | 652,400円 | 3,758,000円 |
30~34歳 | 286,600円 | 906,700円 | 4,345,900円 |
35~39歳 | 334,700円 | 1092,600円 | 5,109,000円 |
40歳~44歳 | 323,600円 | 902,900円 | 4,786,100円 |
45歳~49歳 | 339,400円 | 814,000円 | 4,886,800円 |
50歳~54歳 | 249,800円 | 356,000円 | 3,353,600円 |
55歳~59歳 | 331,400円 | 1635,600円 | 5,612,400円 |
<女性>
年齢 | 決まって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 平均年収 |
20~24歳 | 221,400円 | 474,100円 | 3,130,900円 |
25~29歳 | 241,600円 | 715,400円 | 3,614,600 円 |
30~34歳 | 252,000円 | 730,400円 | 3,754,400円 |
35~39歳 | 262,200円 | 813,200円 | 3,959,600円 |
40歳~44歳 | 262,700円 | 804,100円 | 3,956,500円 |
45歳~49歳 | 278,500円 | 856,100円 | 4,198,100円 |
50歳~54歳 | 283,900円 | 948,100円 | 4,354,900円 |
55歳~59歳 | 275,400円 | 875,600円 | 4,180,400円 |
出典: 賃金構造基本統計調査
表から見て分かるように、男性と女性の年齢別で平均年収を見てみるとそれぞれ大きく異なっています。
まず、男性の場合は、保育士として現役である場合最も体力がある35~39歳の頃が年収が高く、55~59歳のときには最も高年収になります。
これは多くの保育士がこのときに園長や副園長などの管理職についているからです。
続いて女性の場合は、20~24歳の間が男性よりも少し高くなっています。これは、20~24歳の保育士の多くが女性だからです。
最後に、勤続年数別の平均年収をみていきましょう。
<勤続年数別>
経験年数 | 所定内給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 年収 |
0年 | 213,400円 | 87,800円 | 2,648,600円 |
1~4年 | 226,300円 | 614,500円 | 3,330,100円 |
5~9年 | 237,600円 | 723,600円 | 3,574,800円 |
10~14年 | 251,700円 | 795,400円 | 3,815,800円 |
15年以上 | 284,400円 | 970,300円 | 4,383,100円 |
出典:賃金構造基本統計調査
最新の令和2年のデータによると、経験年数が上がると共に平均年収は少しずつ増えていきます。
勤続年数が上がることで、役職に就いて役職手当が追加される場合もあるため、比較的多くの保育園で経験年数が上がると同時に年収が上がります。
保育士の給料は公立と私立で異なる?
保育園には公立と私立の園があります。それぞれで給料に差があるのでしょうか。
園によって金額は異なるものの、初任給は、公立と私立であまり大差はありません。
令和2年度で比較すると、公立保育園で働く保育士の初任給は、大卒18万6456円、私立保育園で働く保育士の初任給は、20万4900円です。
出典:地方公務員給与の実態
出典:賃金構造基本統計調査
しかし、役職に就くと差が出てきます。
主任保育士や施設長の給料は公立と私立で差がある
幼稚園・保育所等の経営実態調査によると、主任保育士や施設長の給料は公立と私立で異なります。
公立保育士、私立保育士どちらも初任給などには大きな差はないものの、役職(主任保育士・施設長)に就くと差が出てきます。
職種 | 公立 | 私立 |
施設長(平均勤続年数) | 545,053円(33.6年) | 532,097円(24.1年) |
保育士(平均勤続年数) | 287,431円(11.8年) | 255,415円(8.5年) |
主任保育士(平均勤続年数) | 496,623円(28.2年) | 383,029円(21.1年) |
保育補助者(資格を有しない者)(平均勤続年数) | 157,953円(3.9年) | 183,948円(4.1年) |
現在公表されている最新データをもとにします。
この表から分かるように、全体的に私立の保育園よりも公立の保育園の方が高いです。
しかし、施設長の平均勤続年数に10年近い差があるにも関わらず、年収には大きな差はありません。
また、保育補助者に関しても私立の保育園の方が高いことがわかります。
そのため、一見すると公立保育園の方が給料が高いと思われがちですが、役職や経験年数などによって私立保育園の方が年収が高い場合もあります。
年功序列の公立保育園に比べて、実力が評価されやすい私立保育園で実力が評価され役職に就くことができれば年収アップに繋がり、年収を上げることが可能なのです。
保育士の給料はなぜ低い?安いと言われる2つの理由
保育士の給料は低いと言われていますが、なぜそのように言われているのでしょうか?
大きく分けて2つの理由があるので、1つずつ詳しく見ていきましょう。
1.収入源の問題
公立保育園で働く保育士は公務員なので、給料は安定しています。
しかし、私立保育園は保育料や補助金などが主な収入源のため、なかなか売上を増やすことが難しいです。
その結果、保育士に支払う給料が低くなってしまうのです。
2.保育士の歴史が影響
児童福祉法が1948年に制定され、「保母資格」が生まれました。
しかし、そのときは社会の中で保母資格を持って働く人の重要性も認められないだけでなく、保母としての質が低く給料が低く設定されていました。
その時の名残が残り、その後も給料が低いままという背景があります。
近年は保育園の給与アップ施策が推進されている
近年、保育園の給与アップ施策が推進されています。
令4年2月から認定こども園、保育所、幼稚園などで、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、保育士として働いている者の収入を3%程度(約9000円程度)引き上げるために必要な補助が国より実施されました。
保育士は、子どもたちの成長発達を支えるために必要不可欠な職業です。
よりたくさんの保育士が給与面に不安を感じることなく安心して働くことができるように、待遇の見直しや給与アップが期待されています。
保育士としての給料を上げる3つ方法
では保育士として働く上で、給料を上げるためにはどのような方法を取るのが良いのでしょうか。
1.公立保育園で働く
1年目から安定的に少しでも良い給料を得たいなら、公立保育園で働くのが良いでしょう。
公立保育園の方が私立保育園よりも給料が安定しているため、公務員試験を受けて公立保育園で働くことで、私立保育園よりも安定した給料を受け取ることができます。
2.研修に参加する
内閣府が保育士不足などの改善のために処遇制度を設けました。
特定の研修を受けることで「職務分野別リーダー」「副主任保育士」などの役職へのキャリアアップができます。
所定の研修を修了して役職に就くことができれば、月額5000円または月額4000円の処遇改善を行うことができます。
ただし、1つの研修につき15時間以上必ず受講する必要があり、保育士として働きながら研修を受けるのには保育園の協力や同僚の理解が必要不可欠です。
3.園内での昇進を目指す
長期間保育士として同じ保育園で働くなら、園内での昇進を目指すのが良いでしょう。
主任や副主任、副園長や園長など、役職につくと役職手当をもらうことができます。
園によって何年働けば昇進できるのかなどは異なってくるものの、若手が多くベテラン層が少ない園であれば早くて12年くらいで主任に昇給できる場合がよくあります。
給料が安いと言われても保育士として働く魅力
いくら給料が安いと言われても、魅力がたくさんある保育士という仕事。
「子どもが可愛い」「大好きな子どもたちと一緒に遊べる」など、たくさんの魅力が溢れる保育士という仕事の中で、特に大きな魅力を紹介します。
1.かわいい子どもたちと日々関わることができる
保育士になろうと思ったきっかけに「子どものことが好きだから」という方は多いのではないでしょうか。
無邪気で純粋な子どもたちと毎日一緒に過ごすことができる保育士は、子ども好きの方にとってまさに天職です。
2.行事や子どもの成長を通して達成感を感じることができる
行事や子どもたちの成長を通して、やりがいや達成感を感じることができます。
みんなで力を合わせて練習したことができるようになったり、昨日まで歩くことができなかった子どもが歩けるようになったりと、子どもたちと関わっている日々は毎日が刺激的で喜びに満ち溢れています。
3.保護者支援をすることができる
保育士の仕事は子どもの保育だけではなく保護者への支援も大事な仕事です。
保育士は、日々就労と育児に忙しい保護者の良き理解者となり一緒に子どもの成長をサポートします。
時には悩みを相談されることもありますが、保育のプロとして支援することで保護者から感謝をされたり問題が解決して親子共々気持ち良く過ごせている姿などを見たりすると、とてもやりがいを感じることができます。
その他保育士の仕事内容などについては、以下のコラムで詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。
関連コラム:保育士とは?仕事内容や勤務時間・年収・なり方まで詳しく解説
まとめ
保育士になりたい反面、給料について気になっていたという方にとって、お役に立てたのではないでしょうか。
給料が低いと言っても、研修を受けたり昇進したりすれば給料アップも夢じゃありません。
毎日可愛い子どもたちと一緒に過ごせる魅力がたくさん詰まった保育士を、あなたも目指してみてはいかがでしょうか。