「FP1級の難易度や合格率がどの程度なのだろうか」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
FP1級は2級よりも遥かに難易度が上がるので、しっかりと対策しなければ合格できません。
しかし、難易度が高い分、FP1級に合格できれば自分の価値を大きく高めることができるでしょう。
こちらのコラムでは、FP1級(1級FP技能検定)の難易度や合格率について解説していくので、レベル感を把握するのに役立ててください。
目次
FP1級の合格率とその推移
試験結果:2022年1月試験によると、2022年1月のきんざい学科試験(最新)の合格率は6.67%。受験者数が7,958人、合格者数が531人です。
試験結果:2022年2月 1級実技試験によると、2022年2月実施のきんざいの実技試験(最新)の合格率は85.88%。受験者数が1,119人、合格者数が961人です。
また、実施試験結果データによると、2021年9月実施の日本FP協会の実技試験(最新)の合格率は93.8%。受験者数が1,201人、合格者数が1,126人です。
次に、近年のFP1級試験の合格率について見ていきましょう。
※学科試験は「きんざい(金融財政情報研究会)」のみ、実技試験は「きんざい」と「FP協会(日本FP協会)」で実施されています。
学科試験(きんざい) | 合格率 |
2022年5月 | 9.39% |
2022年1月 | 6.67% |
2021年9月 | 13.03% |
2021年5月 | 20.05% |
2021年1月 | 9.95% |
2020年9月 | 15.01% |
※2020年5月は中止
実技試験(きんざい) | 合格率 |
2022年6月 | 85.98% |
2022年2月 | 85.88% |
2021年9・10月 | 85.16% |
2021年6月 | 85.27% |
2021年2月 | 88.49% |
※参考:一般社団法人 金融財政事情研修会 ニュースより
実技試験(FP協会) | 合格率 |
2021年9月 | 93.8% |
2020年9月 | 97.7% |
2019年9月 | 93.0% |
2018年9月 | 71.3% |
※参考:日本FP協会 FP技能士の取得者数 及び 試験結果データより
FP1級に合格するには、学科と実技両方に合格しなければならないため、両試験の合格率を掛け合わせた数字が実際の合格率となります。
そのため、実質的なFP1級の合格率は7%~18%といったところでしょうか。
きんざい・FP協会共に実技試験の合格率は非常に高いですが、これは学科試験の合格者だけが実技試験を受けているため。
学科試験の合格率はかなり低いことから、「FP1級は実技試験に到るまでが難しい」ことも見て取れます。
まずは学科試験との対策を入念に行いましょう。
きんざいのFP1級実技試験
きんざいとFP協会の実技試験は形式が異なっているので、自分が対応しやすい方を選ぶと良いでしょう。
きんざいにおけるFP1級の実技試験は面接形式。
面接前にあらかじめ渡された問題に則り、面接官を顧客に見立てて適切なファイナンシャルプランニングを行います。
なお、きんざいの実技試験は、不動産分野と相続・事業承継分野からの出題が圧倒的に多い点が特徴です。
他の分野からの出題が全く無いわけではありませんが、出題パターンが似ているため、比較的対策しやすいと言えるでしょう。
「面接はどうしても苦手で…」という方で無ければ、問題なく合格できるはずです。
FP協会のFP1級実技試験
一方、FP協会におけるFP1級の実技試験は筆記形式です。
出題範囲はFP1級学科試験で学んだ範囲全てなので、対策するべき点は多いと言えます。
とはいえ、合格率を見ても分かるように、しっかりと勉強していれば十分に合格できる試験なので、過度に気張る必要はありません。
問題は簡単な計算問題や語句の穴埋め問題がほとんどで、問題そのものの難易度も高くないので、きんざいの学科試験に合格できた方であれば問題ないでしょう。
合格率の比較から見るFP1級の難易度
中小企業診断士 (1次試験合格率×2次試験合格率) | 3~8% |
社労士 | 6~7% |
FP1級 (学科試験合格率×実技試験合格率) | 7~18% |
行政書士 | 11~15% |
宅建士 | 15~17% |
管理業務主任者 | 20~23% |
以上のように、FP1級のトータルの合格率は7~18%程度なので、合格するのは非常に難しいことが分かります。
「6~14人に1人程度しか合格できない」というレベル感を押さえておき、丁寧にコツコツと勉強を継続していきましょう。
FP1級と合格率が近いのは行政書士です。
しかし、FP1級はFP2級に合格した人しか受験できません。
一方、行政書士には受験資格がありません。
そのため、実際にはFP1級は合格率以上に難しいと考えておいた方が良いでしょう。
合格まで険しい道であることは確かですが、長期に渡って努力を継続すれば合格を掴み取れる難易度なので、諦めずに粘り強く勉強することが重要です。
勉強時間の比較から見るFP1級の難易度
管理業務主任者 | 300時間 |
宅建士 | 300~400時間 |
FP1級 | 450~600時間 |
行政書士 | 600~1000時間 |
社労士 | 1000時間 |
中小企業診断士 | 1000時間 |
FP1級に合格するために必要な勉強時間の目安は、450~600時間程度とされています。
※あくまで目安です
仮に1日に2時間勉強した場合、勉強期間に換算すると6ヶ月~10ヶ月程度となります。
勿論、まとまった勉強時間が確保できる状況にあれば、目安よりも短い期間で合格を狙うこともできるでしょう。
しかし、金融や保険業界などで働く社会人が仕事と並行しながら勉強を進める場合、当初の予定よりも勉強期間が長引いてしまうことは十分にあり得ます。
そのため、ギリギリの勉強計画を立てるのではなく、アクシデントが起きてもリカバリーできるような、ゆとりのある計画の作成を心掛けてください。
FP1級の合格点
試験 | 合格点 |
学科(きんざい) | 120点以上(200点満点) |
実技(きんざい) | 120点以上(200点満点) ※2回の面接が行われ、各100点満点 |
実技(FP協会) | 60点満点(100点満点) |
※参考:ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級、1級FP技能検定(実技試験:資産設計提案業務)
以上のように、いずれの試験も全体の6割の得点で合格できます。
学科試験はマークシート方式。
四答択一式で50問が出題されます。
FP1級とFP2級の違いとは?
FP1級では全分野で専門的な知識が要求されるため、FP2級と比べると問題の難易度が格段に上がります。
3級から2級に挑む場合はスムーズに対策できますが、2級から1級に挑む際に挫折してしまう方は少なくありません。
しかし、難易度が高い分、FP1級を取得している人材は貴重です。
当然、FP2級よりもFP1級保有者の方が顧客から信頼を得やすく、社会的にも高く評価されるでしょう。
簡単には合格できませんが、取得するメリットは大きく価値の高い資格なので、既にFP2級に合格している方はFP1級の取得を目指してみてはいかがでしょうか。