「難しい」「なかなか高得点が取れない」と言われることがあるIELTS。

リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの総合力が試されるので、苦手分野でつまづく受験者も少なくありません。

この記事では、IELTSのスコアの難易度や目標スコア達成のための戦略について紹介します。

IELTSのスコアの仕組み、採点方法

IELTS(アイエルツ)は「International English Language Testing System」の略で、英語力の証明となる試験です。

特にイギリスやカナダ、オーストラリアの多くの教育機関がIELTSを公式資格として認めています。

留学や移住の際には提出を求められるため、日本国内でも多くの受験者が試験を受けています。0

試験は海外大学や語学学校進学に使われる「アカデミックモジュール(以下アカデミック)」と、就職や移住目的で使われる「ジェネラルモジュール(以下ジェネラル)」に分かれます。

どちらもリスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能全ての英語力をはかるテストで、高得点を狙うには英語の総合力が求められます。

IELTSアカデミックとジェネラルの難易度の違い

ジェネラルとアカデミックを比較すると、一般的にはアカデミックの方が難しいと言われます

ジェネラルとアカデミックの違いはリーディングとライティングにあります。

アカデミックの試験ではより学術的な内容が問われ、ジェネラルでは広告や商品説明などより日常生活に関連した試験内容が出てきます。

リスニングとスピーキングについては全く同じ難易度の問題が出題されます。

ジェネラルは凡ミスに注意

ジェネラルの方が難易度が低いと言われる一方で、リーディングに関しては評価基準がやや厳しくなっているので注意が必要です。

下のように、ジェネラルでは一定のバンドスコアを取得するためにより多くの問題に正解する必要があります。

正解数(アカデミック)正解数(ジェネラル)リーディングバンドスコア
39−40409.0
37−38398.5
35−3637−388.0
33−34367.5
30−3234−357.0
27−2932−336.5
23−2630−316.0

つまり、難易度が低いと言われる一方で、ジェネラルリーディングでは点数を取りづらいと感じる受験者も少なくありません。

少しでも凡ミスをすればバンドスコアが下がってしまうため、より慎重に回答を選択することが重要です。

TOEFL®TOEIC®・英検と比較した難易度の違い

IELTSのスコアは0.5点刻みでスコアが上がり、最低点0から最高スコア9.0で評価されます。

4つの各技能それぞれ評価が付けられ、その平均値がオーバーオールスコアと呼ばれる試験結果となります。

上の表は文部科学省が出している各試験の評価基準対照表で、IELTSと英検、TOEFL iBT®、TOEIC®の難易度を比較することができます。

IELTSのオーバーオールスコア8.5-9.0は英検、TOEFL iBTやTOEICと比較よりも高い英語力に該当するため、IELTSで満点を取る難易度はTOEFLやTOEICと比較して難しいと言えるでしょう。

IELTSは試験科目が多く、英語の総合力が試される

そもそもIELTSと他の試験では、試験項目が異なる場合があります。

例えばIELTSが4技能全ての能力を試験対象としている一方で、TOEIC®ではリスニングとリーディングのみはかる試験とライティングとスピーキング力をはかるものに分かれています。

英検(1級)はIELTSと同じリスニング、ライティング、スピーキング、リーディングの4科目です。

TOEFL IBT®とIELTSはどちらも留学のための試験で、試験科目はリスニング、ライティング、スピーキング、リーディングの4科目で同じ試験科目です。

IELTSとTOEFL®どっちが難しい?

一般的に、TOEFL®よりIELTSの方が難易度が高いと言われています。

実際に文部科学省が図にまとめているように、IELTSの8.5以上は、TOEFL®には換算できないレベルとされています。

また、IELTSのライティングの評価基準は厳しくなかなか高得点を狙うのが難しい一方で、TOEFL®は比較的スペルミスなどに寛容で点数が取りやすいと言われています。

一方でIELTSはスピーキングが面接官と1対1で行われますが、TOEFL®ではコンピューターに向かって行うのでやりづらいという意見もあります。

IELTSは面接官との会話の中で英語力を試す試験ですが、TOEFL®では話す能力以外に読んで聞いた内容を要約する力が求められます。

そのため、スピーキングに関してはTOEFL®の方が難しいと感じる人も少なくありません。

日本人にとってのIELTSの難易度は?

それではここから実際に、日本人のIELTSのスコア平均やスコア分布について見ていきましょう。

4以下44.555.566.577.588.59
0%2%6%17%25%23%15%8%3%1%0%0%
アカデミックのスコア分布
4以下44.555.566.577.588.59
2%3%8%15%23%23%13%7%5%2%0%0%
ジェネラルのスコア分布

2019年度の日本人のIELTSスコア分布は上の通りです。

スコア平均を割り出すと、アカデミックとジェネラル両者とも5.8が平均値となります。

分布を見ると、全体的に5.0〜6.5を取得している日本人受験者が多く、7.0以上を取得している受験者の割合は非常に低くなっています。

この結果から、7.0が日本人にとって難易度が高くなる境界線とも言えるでしょう。

IELTSのスコア6.0の難易度

公式IELTSによると、IELTSスコア6.0の英語力は「有能なユーザー」と位置付けられています。

具体的には下のように定義されています。

不正確さ、不適切さ、誤解もみられるが、概ね効果的に英語を使いこなす能力を有する。特に、慣れた状況下では、かなり複雑な言葉遣いの使用と理解ができる。

つまり、慣れた環境や自分の得意な分野で難易度の高い単語や文法を使いこなすことができるレベルを指します。

英検に換算すると準1級から1級程度の英語力に換算されます。

そのため、既に英検準1級レベルの英語力があればある程度のIELTS対策でスコア6.0を目指せますが、そうでなければ英語の総合力を上げる必要があると考えましょう。

また、アカデミック6.0は、海外の大学進学や語学学校への出願ができるレベルです。

ある程度海外で授業が受けられる英語力と考えて良いでしょう。

一方でより専門的な大学院になると、6.0よりも高いスコアが求められることがほとんどです。

つまり、6.0はある程度難易度が高い単語や文法を使えるものの、まだ伸び代があるレベルと言えるでしょう。

高校英語ができれば5.0〜6.0は目指せるのか

高校英語がしっかりと身についていれば、5.0〜6.0を目指すことは可能です。

実際に日本人のIELTSの平均値が5.8と証明されているように、決して取得が困難なスコアではありません。

実際に筆者も、日本で生まれ育ち、公立高校在学中にIELTS6.5を取得しました。

ただしIELTSには、

  • リスニングではアメリカ英語だけでなくイギリス英語が出てくる
  • リーディングでは「NOT GIVEN」といった選択肢がある
  • ライティングとスピーキングでは細かい評価基準がある

といったIELTS独自の特徴があります。

そのため、ただ高校英語を勉強するだけでなく、IELTSの試験に合わせた対策を行うことで初めて5.0〜6.0を狙うことが可能になります。

IELTSで日本人が難しいと感じるセクションは?

日本人が難しいと感じるセクションは、やはりライティングとスピーキングと言えます。

実際にセクション別の日本人の平均点を見ると、ライティングとスピーキングで点数が落ちる傾向にあります。

リスニングリーディングライティングスピーキングオーバーオール
5.96.15.55.55.8
日本人のアカデミックの日本人の平均スコア
リスニングリーディングライティングスピーキングオーバーオール
6.05.65.65.85.8
日本人のジェネラルの平均スコア

ライティングとスピーキングが難しい理由

日本の教育機関ではリスニングとリーディングに特化した授業が多いため、ライティングやスピーキングに慣れていない受験者が多いことが挙げられます。

中学や高校在学中に、英語で論文を書いたりネイティブスピーカーと議論をするといった機会があった人は少ないのではないでしょうか。

実際に国公立大学の受験でも、リスニングとリーディング試験のみ実施する教育機関は多く、わざわざライティングやスピーキングを練習してこなかった人も少なくないはずです。

また、IELTSのために独学を進めようとしても、ライティングとスピーキングは自分で答え合わせができず苦戦する人も少なくありません。

ライティングとスピーキングはIELTS独自の評価基準を定めているため、闇雲に勉強をしても高得点を取得するのは難しく、専門家やIELTSに詳しい人に添削をしてもらうのがベストでしょう。

目的別、IELTSの必要スコアと難易度

IELTSで目指すべきスコアは、受験目的によって異なります。

例えば海外の大学への出願の場合、出願先が定めている基準のスコアを目標にします。

ここでは、目的別に必要になるスコアを解説します。

事例を参考に紹介しますが、定められるスコアは提出先によって異なるので、必ず提出先に事前に確認するようにしましょう。

関連コラム:IELTSの目標別スコアの目安と必要な勉強時間

海外の大学・大学院への進学に必要なスコア

海外の大学や大学院への進学を目指す場合、IELTS6.0〜7.0が必要になります。

大学院の方が大学よりもIELTSスコアの基準が高く定められていることが多いです。

もし出願までに目標スコアに届かなかった場合、語学学校や入学前コースを経由して入学することが可能な学校もあります。

海外の大学・大学院への進学に必要スコアの具体例と難易度

大学・大学院への進学に必要なスコアの具体例は以下の通りです。全体的にイギリスの教育機関の方が、オーストラリアやカナダよりもやや入学基準が厳しめになっています。

イギリスの大学・大学院

オーストラリアの大学

日本人受験者の平均スコアで紹介したように、6.0は決して目指せないレベルではありませんが、7.0になると急激に難易度が上がります

そのため、海外大学進学の難易度に関しては、6.0と定めている教育機関への入学は現実的、それ以上になると時間を持ってしっかりと受験準備をする必要があると言えるでしょう。

英語圏の国への移民(永住権取得)や市民権申請

イギリスやオーストラリア、カナダへ移民申請をする際に、IELTSジェネラルの提出が求められることがあります。

移民や市民権申請に必要なスコアは、ジェネラルの6.0前後と言われています。

国名必要なIELTSの種類とスコア
イギリスIELTS Life Skill B1に合格
カナダIELTS ジェネラル 6.0以上
オーストラリアIELTS ジェネラル 6.0以上

ジェネラルが必要となる理由には、永住権や市民権を申請する際に「英語で生活ができる」と証明する必要があるからです。

もしアカデミックで良いスコアを取得していても使えないので気をつけましょう。

英語圏の国への移民(永住権取得)や市民権申請に必要スコアの具体例と難易度

6.0は日本人受験者でも達成している人が多いので、達成不可能なレベルではありません

注意したい点は、国や州によって必要なIELTSの種類やスコアが異なる点です。

イギリスではIELTS Life Skillが必要になる一方、カナダやオーストラリアでは多くの場合で一般のIELTSジェネラルが求められます。

必ず申請先と確認をしてからIELTS対策を始めるようにしましょう。

日本の大学、大学院への進学で英語試験への換算、免除等に必要な点数

日本の大学や大学院への進学で、IELTSの資格を持っていれば英語試験へ換算してくれる場合があります。

大学によっては英語試験が免除になる場合もあるので、他の科目の勉強に集中できるといった大きなメリットがあります。

必要なIELTSのスコアは学校やその年によって異なります。

過去には筑波大学大学院がIELTS7.0以上で推薦入学試験の英語試験に換算するといった事例もあります。

高校在学中にIELTSを取得しておけば、国内でも進路の選択肢が広げることができます。

大学、大学院への進学を考えている際には必ず志望校の英語試験を確認をしておきましょう。

目標のオーバーオールスコアを伸ばすためにはどうやって勉強したら良いのか?

最後に、目標スコアを達成するためのスコア戦略と勉強方法を紹介します。

IELTSのオーバーオールスコア(OA)は、4技能の平均値で算出されます。平均値は0.25刻みで「切り下げ」「切り上げ」を行います。

例えば4つのセクションの平均で6.75だった場合、7.0に繰り上げられます。

そのため、ライティングやスピーキングが苦手な場合、リスニングとリーディングの高得点でスコアの繰り上げを狙うのもIELTS戦略のひとつです

得意分野は徹底的に・苦手分野はある程度を狙う

英語の総合力を伸ばすために勉強をするのが一番ですが、出願までに時間がない場合は得意分野に集中し、苦手分野はある程度達成できるようにしましょう。

例えば筆者はリスニングとスピーキングが得意だったので、スピーキングで高スコアを取れるように練習を集中的に行いました。

結果はリスニング8.5・リーディング8.0・ライティング6.5・スピーキング8.0を取得しました。

ライティングでスコアを大きく落とした一方で、得意分野が点数を押し上げ、OAは8.0という結果に。

あくまで一例ではありますが、苦手分野に時間を費やしすぎて得意分野で点数が取れなくなってしまうよりは、すでに得意な分野を伸ばす方が効率が良いです

ただ、出願先によってはOAスコアだけでなく各技能のバンドスコアにも最低ラインを定めている場合があります。

その場合は全てのバンドスコアを上げるために準備する必要があります。

英語が苦手な人がスコア5.5~6を目指すために必要な勉強や取り組み

英語が苦手な人が語学学校や大学進学のために5.5〜6.0を目指す場合、英語4技能の基礎をきちんと身につけることが大切です。5.5〜6.0取得のために意識したい点を技能ごとに紹介します。

リスニング

リスニングで5.5〜6.0取得のためには、設問の約半分を正解する必要があります。

そのため、確実に正解できる部分で正解をすることが重要です。

IELTSのリスニング試験では、設問の難易度に関わらず全ての問題で1正解に対して1点取ることができます。

そのため、あえてパート1とパート2を集中的に練習し、確実に点数を取れるようにするだけで、5.5以上を目指すことができます。

また、答えが分からなくても、絶対に空欄を残さないようにしましょう。

運が良ければ正解できるかもしれません。

リーディング

リーディングの対策では、必ず時間を測って行うようにしましょう。

リーディング試験で時間が足りなくなるといった事例は多く、スピード感に慣れていく必要があります。

そして練習の中で出てきた知らない単語は調べるようにして、全体の単語力を上げていきましょう

おすすめは、普段の英語の勉強にプラスしてケンブリッジのIELTSの公式模試を活用して、試験当日と同じように時間を測って練習をすることです。

どこで間違えたのかを確認することで、IELTS独特の問題にも慣れていくことができます。

ライティング

ライティングは勉強方法が分からずに苦戦する人も多い部分です。

5.5を目指す時点では「どうやって書いたら良いか分からない」と言う人がほとんどだと思うので、まずは良い文章を読むことから始めましょう。

”IELTS Writing Part 1 Example(IELTSライティングパート1の例)”と英語で検索をかけると、良い例がたくさん出てきます。

おすすめは、必ず英語で検索をすることです。

英語のサイトになるので扱いづらいかもしれませんが、より多くの例が出てくるので非常に勉強になります。

あとは見た文章を真似しながらさまざまな例に対応できるように備えていきましょう。

スピーキング

スピーキングテストでは、面接官の質問に対して正しい文章と単語で答えることを意識しましょう。

YoutubeなどでIELTS5.5や6.0のスピーキングの例を見ると分かりますが、シンプルに正しく話すだけで6.0は達成可能です。

もちろんスピーキングも自分ひとりで練習するのが難しいので、Skypeレッスンやボイスレコーダーを活用すると効率よく練習できます。

既に5.0〜6.0レベルの人が7.0に伸ばす方法

ケンブリッジが出している勉強時間の目安によると、7.0を達成するには500〜600時間の勉強量が必要だと言われています。

1日3時間の勉強を200日と言うと1年以内で達成できるように見えますが、7.0の境界線は厳しく、ただがむしゃらに勉強をしても達成することは難しいです。

リスニングやリーディングは模擬試験を繰り返し練習し正確さを上げていき、ライティングやスピーキングは添削サービスなどを利用するのがおすすめです。

7.0取得のためには、英語力を上げるだけでなくIELTSの評価基準などを細かく把握した「IELTSのプロ」になることが求められます。

実際に7.0を達成している人からアドバイスをもらったりすることで、7.0達成に近づくことができるでしょう。

関連コラム:【徹底解説】IELTSの勉強法と本番対策まとめ

この記事の著者



 

橋本志保

高校卒業後、オーストラリアのGriffith大学に進学。国際観光学とホスピタリティを学び学位を取得し、卒業。
大学卒業後は外資系旅行会社に勤め、海外からのクライアントとの会話など、ビジネス英語を使う経験をする。
2021年にIELTS8.0を達成。
現在はカナダに移住し、英語学習のコーチング、翻訳や執筆業にも従事。

 

 


この記事の「校正」マーケティング室コンテンツチーム







アガルートでは資格試験に関するコラムを日々投稿しています。

コンテンツチームは主に
①コラム題材の選定
②コラム構成案の作成
③専門家への執筆依頼
④文章の校正・公開

などの作業を担当。
10名程度のメンバーにより、専門家の文章をより分かりやすく適切に皆さんに送り届けています!

アガルートのコンテンツチームについて