総合型選抜(旧AO入試)のポートフォリオとは、高校時代の活動実績や作品をまとめて大学に示す資料です。

提出を求めるのは美術・デザイン系が中心で、志望理由書と違って決まった様式はありません。

様式がない分、何をどう載せるかはすべて受験生に委ねられます。

だからこそ、手順を知っているかどうかで完成度に差が出るでしょう。

本記事では、載せる内容と作り方の5ステップ、高評価のコツから提出を求める大学の例まで解説します。

総合型選抜について、
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総合型選抜(旧AO入試)のポートフォリオとは?

総合型選抜(旧AO入試)のポートフォリオとは?

総合型選抜(旧AO入試)におけるポートフォリオとは、高校時代の活動実績や作品を1冊にまとめた資料です。

志望理由書が「これから何を学びたいか」を文章で伝える書類であるのに対し、ポートフォリオは「これまで何をしてきたか」を作品や記録そのもので示します。

大学側の狙いは、書類や面接だけでは測りにくい力の確認にあります。

主体性や継続力、考えを深める過程は、実物の記録を見るほうが正確に判断できるためです。

ただし、提出を課す大学には偏りがあり、主に制作物を扱う次のような学部・学科です。

  • 美術やデザイン系の学部
  • 写真や映像やアニメーションを扱う学科
  • メディア制作を扱う社会科学系の一部の入試方式

一般的な文系・理系の学部では、代わりに「活動報告書」「活動実績書」といった書類が使われます。

提出形式には紙のファイルにまとめる形とオンライン形式があり、どちらを求めるかは大学によって分かれます。

出願前に、募集要項で形式まで確認しておきましょう。

総合型選抜のポートフォリオに載せる内容

ポートフォリオに載せるべきは、華やかな実績よりも、自分の関心と取り組みが伝わる素材です。

載せる内容の中心は志望分野によって変わり、制作系なら作品、それ以外なら探究学習の記録が中心になります。

ここでは、載せる内容を5つに分けて紹介します。

作品や制作物

制作系の学部を志望するなら、ポートフォリオの中心に据えるのは作品です。

基礎的な力を示す作品と、自分でテーマを決めた自主制作の両方を入れてください。

基礎力を示す作品には、次のようなものが当てはまります。

  • デッサンやクロッキー
  • 平面構成や立体構成
  • 油彩画や水彩画、版画

自主制作は、志望する専攻に近いものから前に並べると、関心の方向が一目で伝わります。

制作系以外の志望でも、作品を諦める必要はありません。

自主制作した映像や文章、部活動で作った資料も立派な作品です。

文化祭の広報物を1人で作った経験があれば、完成物に担当範囲を添えて載せましょう。

探究学習や研究の記録

高校の探究学習や自主研究の記録は、総合型選抜のポートフォリオに載せやすい素材です。

強みは、思考の過程をそのまま見せられる点にあります。

テーマ設定の理由から調査方法、得られた結果までを一連の流れで載せてください。

完成した論文やスライドだけでは、考えを深めた道筋まで読み取れません。

途中で立てた仮説や方針転換の経緯こそ、考えの動きを伝える具体的な記録になります。

大学が見たいのは、結論の正しさより自分で問いを立てて考えたプロセスです。

一見失敗に見える記録も、判断力を示す立派な題材になるため、捨てずに残しておきましょう。

部活動や課外活動の実績

部活動や生徒会、地域活動もポートフォリオに載せられます。

ただし中心に据える内容ではないため、プロフィールや活動歴のページに数行でまとめるのが一般的です。

気をつけたいのは書き方です。

「バスケットボール部に所属」の一行で終わらせず、活動期間や自分の役割、向き合った課題と工夫まで添えてください。

成績や表彰の有無は問いません。

練習メニューの偏りに気づいて部員に聞き取りをし、内容を見直した経験なら、役職がなくても十分な評価対象になります。

資格・検定やコンクールの成果

実用英語技能検定(英検)をはじめとする各種検定は、客観的に力を示せる要素です。

作文や美術のコンクール、作品公募での受賞歴も同様に載せられます。

記載するときは、取得した年月と級・スコア・受賞名を正確に書いてください。

合格証や賞状のコピーを添えれば、信頼性はさらに高まるでしょう。

志望分野と関連の深い成果を前に置き、関連の薄いものを数で並べるのは避けてください。

写真学科の志望者なら、写真コンクールの入選歴を先頭に置きましょう。

写真や発表資料

活動中の写真や発表資料、新聞への掲載記事は、文章の内容を裏づける証拠になります。

ただ貼るだけでは意図が伝わらないため、いつ・どこで・何をしている場面かが一目でわかるキャプションを添えてください。

長さは1行から2行が目安です。

書きすぎると、写真より説明文のほうが目立ってしまいます。

選ぶ基準は、きれいさよりも活動の場の様子が伝わるかどうかです。

総合型選抜のポートフォリオの作り方5ステップ

いきなり作り始めたポートフォリオは、まとまりのない資料になりがちです。

作品の撮影や印刷には時間がかかるため、着手は出願の2〜3か月前が目安になります。

ここでは、洗い出しから添削までの作り方を5つのステップで解説します。

アピールできる経験と作品を洗い出す

最初のステップは、高校1年から現在までの活動と制作物の書き出しです。

ポイントは、書き出しの段階で価値を判断しないことです。

授業の課題や読んだ本など幅広く出しましょう。

まず量を出して後から絞るのが、総合型選抜のポートフォリオづくりの基本です。

書き出す際は「いつ」「何をした」「何を感じた」の3点をセットにしてください。

制作物は、現物の保管場所もあわせてメモしておきましょう。

志望分野を軸にテーマごとに整理する

次のステップでは、書き出した素材を共通する関心や力ごとにグループ分けします。

「人に教えることに関わる経験」のようにまとめると、自分の関心の方向が見えてきます。

制作系志望なら、基礎力を示す作品群と自主制作の作品群に分けましょう。

グループができたら、志望学部で学びたいことと結びつくものを中心に据えてください。

削った素材も面接で話す題材になるため、メモは捨てずに残しておきましょう。

全体の構成を組み立てる

次に、整理したグループを見せる順番を決めていきます。

まず、表紙・プロフィール・作品や活動・まとめの大枠から固めましょう。

大枠が先に決まっていれば、中身の配置で迷いません。

最も伝えたい内容は前半に置いてください。

審査側は多数の資料に目を通すため、最初の数ページで印象が決まりやすくなります。

ページ数や用紙サイズの指定があれば、募集要項に従ってください。

指定を超えた資料は、内容以前の問題として評価を落とすおそれがあります。

紙に簡単なラフを描いて全体を見渡すと、流れの不自然さに気づきやすくなるでしょう。

作品を撮影して誌面に配置する

4つ目のステップは、撮影と誌面への配置でポートフォリオを形にしていきます。

立体作品や大きな平面作品は、撮影の仕上がりがそのまま評価に影響します。

押さえるポイントは次の3点です。

  • 明るさが均一な場所で撮る
  • 背景に余計なものを写し込まない
  • 立体作品は複数の角度から撮る

平面作品なら、スキャナーを使うほうが色を正確に再現できます。

配置で大切なのは余白です。

1ページに情報を詰め込まず、見出しと短い説明文で見せると内容が頭に入ってきます。

フォントや文字サイズのルールは最初に決め、全ページで統一しましょう。

第三者に見てもらい修正する

最後のステップは、高校の先生や家族による確認です。

自分では説明したつもりでも、前提知識のない人には伝わらない箇所が残っています。

校内でしか通じない略称や説明不足の写真は、自分では気づきにくい典型です。

頼むときは「わかりにくい部分はどこか」と具体的に聞きましょう。

複数の人に読んでもらい、指摘が重なった箇所から直していきます。

修正の時間を確保するため、初稿は出願締切の2週間前までに仕上げてください。

添削は1回で終わらせず、直した後の再確認まで頼めると仕上がりが安定します。

総合型選抜で高評価につながるポートフォリオのコツ

手順どおりに作っただけでは、他の受験生と差がつきません。

審査で問われるのは、活動の量ではなく、経験から何を得て大学でどう活かすつもりかです。

ここでは、評価につながる5つのコツを紹介します。

アドミッションポリシーに沿った内容にする

最初に読み込みたいのが、志望学部のアドミッションポリシーです。

大学が求める人物像が書かれており、公式サイトの入試ページや募集要項で確認できます。

求められる力に対応する素材を選び、ポートフォリオの前半に配置しましょう。

「主体的に課題を発見し解決する力」を掲げる学部なら、自分で問題に気づいて動いた経験が評価されやすくなります。

同じ活動でも、志望先に合わせて強調する側面を変えると相性の良さが伝わるでしょう。

注意したいのは、ポリシーの言葉をそのまま書き写さないことです。

自分の経験と対応づけて、具体的に示してください。

制作意図を言葉で説明できるようにする

作品ごとに制作意図を言葉にしておくことが、ポートフォリオ準備では欠かせません。

総合型選抜のポートフォリオは、提出して終わりの書類ではないからです。

面接やプレゼンテーションで内容を問われる前提で準備を進めてください。

具体的には、次の3点を作品ごとに整理しておきます。

  • なぜそのテーマを選んだのか
  • どこを工夫したのか
  • 自分ではどこが課題だと思うか

参考にした作品や影響を受けた表現も、聞かれれば答えられるように準備しておくと安心です。

実際に、説明する力そのものを評価の観点に掲げる大学もあります。

「なぜその瞬間を選んだのか」と問われて答えられるかどうかで、面接の印象は大きく変わります。

結果よりも成長の過程を伝える

評価の対象は受賞歴や順位そのものより、そこへ至るまでの過程です。

何につまずき、どう考えて乗り越えたかを書くと人物の中身が伝わります。

実績に自信がない方こそ、過程に目を向けてみてください。

書ける内容が意外なほど増えるはずです。

コンクールで入賞を逃した経験も、講評をもとに作り直した流れまで書けば評価される内容に変わります。

うまくいかなかった過去を隠す必要はありません。

何を学び、次にどう活かしたかまで書ければ十分なアピールになります。

具体的な数字や成果物で裏づける

ポートフォリオの説得力を高めるためには、数字への置き換えが効果的です。

「多くの人が参加した」より「参加者を30人から80人に増やした」のほうが、規模が正確に伝わります。

数字が見当たらない活動でも、期間や回数など測れる要素は探せば見つかります。

3年間続けた活動なら継続期間が、週1回の朝清掃なら回数がそのまま数字です。

作成した資料や制作物の実物を添えれば、記載内容の裏づけにもなるでしょう。

ただし、実際より大きく見せる誇張はせず、数字は正確な値を記載してください。

読み手を意識したレイアウトに整える

総合型選抜のポートフォリオの評価には、読み手である審査担当者への配慮まで含まれます。

審査側が1冊にかけられる時間は限られています。

見出しだけで内容がわかる構成にし、重要な部分は視線が流れる位置に置いてください。

文字を詰め込まず、作品と文章のバランスを取ると読みやすさが生まれます。

紙ならページをめくる順序を、オンラインなら最初に表示される画面を意識しましょう。

装飾に凝りすぎて内容が読みにくくなるのは避けてください。

ポートフォリオの提出が必要な大学の例

ポートフォリオの提出を求める大学の例として、情報を公開している4校を紹介します。

提出の要否や形式は、大学・学部・入試方式ごとに大きく異なります。

同じ学部でもコースによって必要書類が変わる例があるため、最新の募集要項で確認してください。

東京造形大学

東京造形大学の総合型選抜(自己アピール)入試では、作品と活動の資料をまとめたポートフォリオを1冊提出します

対象はデザイン学科と美術学科で、募集人員は2学科合計110名です。

選考は書類審査とプレゼンテーション選考の2段階で進みます。

プレゼンテーション選考で課されるのは、5分程度の自己アピールと質疑応答です。

作成要領は大学公式サイトのPDFで確認でき、専攻領域説明会では教員から作り方のアドバイスも受けられます。

なお、出願条件に合格時の入学確約が定められた専願制で、複数の専攻領域を併願することもできません。

参考:東京造形大学|総合型選抜(自己アピール)入試

東京工芸大学芸術学部写真学科

東京工芸大学芸術学部写真学科の総合型選抜では、写真を使ったポートフォリオで自己アピールします。

特徴的なのは、大学自身が公式サイトで「ポートフォリオの作り方」を公開している点です。

テーマは自由で、学校でのできごとから旅先の風景まで幅広く選べます。

写真にタイトルや説明文を添えることや、表紙で自分らしさを出すことも勧められています。

評価されるのは、創造力や発想力、写真と言葉で人と関わる力、そして写真への意欲などです。

同じ総合型選抜Ⅰでも、教育学部の出願書類は志願理由書と活動実績報告書です。

作り方をここまで具体的に示す大学は貴重なため、写真系の志望者は出願前に目を通しておきましょう。

参考:東京工芸大学|総合型選抜「ポートフォリオ」の作り方(写真学科)

佐賀大学芸術地域デザイン学部

佐賀大学の総合型選抜Ⅰでポートフォリオを求められるのは、芸術地域デザイン学部の芸術表現コースです。

同じ学部でも、地域デザインコースの出願書類は志願理由書と活動実績報告書に変わります。

活動実績報告書は任意提出の加点式で、ポートフォリオは求められません。

教育学部や経済学部、理工学部、農学部でもポートフォリオの提出はありません。

国立大学でも、ポートフォリオは制作系の学部に限られる実態が読み取れます。

公式の入試案内ページでは、様式ファイルと作成参考例が公開されています。

様式は年度で更新されるため、受験する年度の募集要項で最新情報を確認してください。

参考:佐賀大学|総合型選抜

武蔵大学社会学部

武蔵大学社会学部メディア社会学科の「メディア・クリエーション方式」は、オンラインポートフォリオで挑む総合型選抜です。

紙のファイルではなく、文章や映像を組み合わせてWeb上でまとめる形式に特徴があります。

大学公開の資料によると、一次選考ではオンラインポートフォリオが評価の60%を占めます。

二次選考は小論文と、ポートフォリオのプレゼンテーションを含む面接です。

評価の観点として、次の3点が公開されています。

  • 作品と創作活動の質
  • 制作意図や自己評価を説明できる力
  • ポートフォリオ自体の工夫と完成度

美術やデザイン系以外でポートフォリオが課される代表例であり、評価基準の明示ぶりも参考になるでしょう。

参考:武蔵大学|「メディア・クリエーション方式」のポイント

まとめ

総合型選抜のポートフォリオは、高校時代の活動や作品で人物像を伝える資料です。

提出を求めるのは制作系の学部が大半のため、志望校の募集要項の確認から始めましょう。

材料をそろえたら、洗い出しから添削までの5ステップで形にしていきます。

問われるのは実績の大きさより、経験から何を学び大学でどう活かすかです。

アドミッションポリシーと照らし合わせながら、自分だけの1冊に仕上げてください。

総合型選抜について、
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