不動産鑑定士が中小企業診断士の資格を取ると、どのようなメリットがあるのでしょうか?

中小企業診断士は中小企業に対する経営支援を行いますが、不動産鑑定士と組み合わせることによる相乗効果が期待できる資格です。

そこで、不動産鑑定士と中小企業診断士の資格の関連性、ダブルライセンス取得のメリット、難易度比較などを説明します。

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不動産鑑定士と中小企業診断士の資格の関連性・相性

結論から申し上げますと、不動産鑑定士と中小企業診断士は相性が良いといえます。

中小企業診断士の仕事は経営に関するコンサルティングを行うというものですが、不動産鑑定士の仕事にも不動産活用などのコンサルティング業務があり、2つの資格には仕事内容で関連性があります

また、後述しますが不動産鑑定士の資格を持っている場合、中小企業診断士試験の一部科目の受験を免除することができます。そのため不動産鑑定士が中小企業診断士の資格を持つことも有用といえるでしょう。

実際に、中小企業診断協会『データでみる中小企業診断士2016年版』によると、他資格を保有する中小企業診断士のうち0.3%が中小企業診断士と不動産鑑定士のダブルライセンスを所持しています。

※関連コラム:中小企業診断士のダブルライセンスにおすすめの資格を紹介

不動産鑑定士と中小企業診断士のダブルライセンスを取得するメリット

不動産鑑定士資格を持つ人が中小企業診断士の資格を取得すると以下のようなメリットがあります。

①仕事量の増加を期待することができる

不動産鑑定士は不動産の価値を測る仕事であり、中小企業診断士は企業の経営の診断と助言を仕事にします。

そのため、一見すると両方の仕事には関連性がないため、ダブルライセンスによる仕事のメリットが無いように感じるでしょう。

しかしダブルライセンスを持っていると、例えば中小企業診断士として診断した企業から売却予定の不動産の鑑定を依頼されることも考えられ、1件の依頼から2つの仕事を得ることができます。

また中小企業診断士の立場から不動産の売却や取得を助言する場合があります。

この場合には助言に際して不動産鑑定士として鑑定を行い、不動産の売却や取得について、適切な物件選択や売却・購入時期をアドバイスできます。

同じ人が診断と鑑定の仕事を行うため、企業は安心して仕事を任せることができダブルライセンスを持つ人に信頼が生じやすく、以後の診断や鑑定についても仕事を依頼されることが期待できます。

中小企業診断士と不動産鑑定士にも関連性がある場合もあり仕事量の増加が考えられます。

②他の不動産鑑定士に無い専門性を身につけることができる

不動産鑑定士の仕事の1つに土地の有効活用に関するコンサルティング業務があります。

中小企業診断士の資格を取得することで経営戦略について詳しくなり、専門的なアドバイスをすることが可能に。

そのため専門分野を持つことにつながり、他の不動産鑑定士と差別化を図ることができます。

③多角的・俯瞰的に不動産の鑑定をすることができるようになる

中小企業診断士は、計算書類などのほか景気の見通しや法律改正など様々な要因を考えて診断・助言を行います。

そのため物事について多角的・俯瞰的視点から判断することが得意な人が多いです。

不動産鑑定士を持っている人が中小企業診断士を取得すると、不動産の鑑定においても中小企業診断士に必要な多角的・俯瞰的視点を考慮に入れることができるようになり、より精密な鑑定を行うことができるようになります。

例えばホテル用の建物を売却する際では、誰を購入者として想定するのか、今後の地域経済の見通しなどから売却額の評価が可能になります。

④転職に有利になる

不動産鑑定士という難しい資格を取得した人が更に中小企業診断士の資格を持っていることで、難しい資格を2つも持っている向上心の高い人と評価されます。

また中小企業診断士は経営に関する唯一の国家資格であり、採用側としては自社の経営状態の評価もできる人材として期待するため、積極的に採用したいと考えるので転職に有利となるでしょう。

不動産鑑定士資格保持者にとって中小企業診断士試験の難易度は?

不動産鑑定士資格保持者にとって、中小企業診断士試験は「不動産鑑定士試験よりは難しくないものの、科目間の重複は多くないため新たに学習する範囲も広く、しっかり勉強する必要がある」試験であるといえます。

※関連コラム:中小企業診断士の難易度や偏差値を解説!どれくらい難しい?

不動産鑑定士試験との科目の重複

不動産鑑定士試験の論文式試験で出題された「経済学」分野について、中小企業診断士1次試験(択一式)では①「経済学・経済政策」として出題されます。

この科目では不動産鑑定士で学習した範囲が広く含まれており、科目全体で重複しているといえます。

また、不動産鑑定士試験の論文式試験で取り扱った「民法」は中小企業診断士1次試験②「経営法務」で、同じく論文式試験で出題された「会計学」については1次試験③「財務・会計」科目と2次試験(筆記試験)「中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅳ(財務・会計)」で一部が重複しています。

不動産鑑定士試験には出てこない科目の割合

中小企業診断士試験では、上述した①経済学・経済政策、②経営法務、③財務会計のほか、

④企業経営理論、⑤運営管理(オペレーション・マネジメント)、⑥経営情報システム、⑦中小企業経営・中小企業政策といった各科目から出題されます。

そのため不動産鑑定士試験には出てこない科目の割合は50%以上あります。

また、②、③については重複しない範囲も広く、この部分についても学習する必要があります。

※関連コラム:中小企業診断士1次試験で最も難しい科目は?科目別の難易度を解説

試験自体の難易度の違い

一般に、不動産鑑定士試験に合格するために必要な勉強時間は、最低でも2,000時間が必要とされています(不動産鑑定士試験合格に必要な勉強時間は?)。

一方、中小企業診断士試験の合格に必要な勉強時間は1,000時間となっているため勉強時間は半分以下でよく、不動産鑑定士試験より難しいとは言えないでしょう。

またこの勉強時間は全くの初心者が1から勉強を開始する場合です。

そのため不動産鑑定士試験で学習した科目については必要最小限の勉強で済むため、勉強時間を圧縮することが可能です。

もっとも、不動産鑑定士試験で出てこない科目の割合も多いためしっかりと勉強する必要があります。

※関連コラム:中小企業診断士の独学合格は可能?必要な勉強時間や勉強法など解説

不動産鑑定士資格保持者は科目免除も利用できる

重複しない科目については勉強する必要がありますが、不動産鑑定士が中小企業診断士を受験するメリットもあります。

それは、不動産鑑定士には科目免除制度を適用できるという点です。

中小企業診断士試験1次試験には、特定の資格を保有する人に対し科目免除の制度があります。

科目免除制度は申請により指定された試験科目の受験を免除することができるというものです。

不動産鑑定士の資格を持っている人は、1次試験「経済学・経済政策」科目の受験を免除されることから、そもそもこの科目の勉強をしなくて良いので、免除されていない他の科目に集中できます。

その結果、試験に合格しやすくなるという効果があります。

※関連コラム:中小企業診断士1次試験の科目免除とは?対象になる資格や期限を解説

まとめ

以上から、不動産鑑定士を持っている人は中小企業診断士の資格を取得し、ダブルライセンスを目指すことが良いでしょう。

このコラムをまとめると、以下の点が重要です。

・不動産鑑定士が中小企業診断士の資格を取得すると、
①仕事量の増加を期待することができる
②他の不動産鑑定士に無い専門性を身につけることができる
③多角的・俯瞰的に不動産の鑑定をすることができるようになる
④転職に有利になるというメリットがあり相性の良い資格である

・中小企業診断士試験の難易度は不動産鑑定士試験よりは難しくないものの、重複する科目が多いとはいえないのでしっかりと勉強する必要がある

・不動産鑑定士資格を保有していると、経済学・経済政策科目について受験を免除することができるので、合格に近づくことができる

不動産鑑定士という難しい試験を突破した人ならば、中小企業診断士に合格することも決して難しくはありません。

様々なメリットもあるので、是非ダブルライセンスを目指してみましょう。

関連コラム:中小企業診断士とは?仕事内容や取得のメリット・なるまでの流れを詳しく解説

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