中小企業診断士の1次試験の科目うち、「経営情報システム」は、経営法務科目と同じように、関連する仕事に就いている人以外は、なかなか取り組みづらい科目と思われています。

しかし近年、経営と情報システムは切っても切れない関係になっています。

経営目的や戦略を実行する上で、情報システムは欠かせないツールになっているからです。

この記事では、情報システムに知識が乏しい人でも無理なく学習できる方法や、出題傾向を元に最短で合格できるコツをご紹介していきます。

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中小企業診断士試験における経営情報システムの概要

経営情報システムは、中小企業診断士の1次試験の科目のひとつで、大きく、「情報通信技術に関する基礎的知識」「経営情報管理」2つにテーマ分類されます。

【情報通信技術に関する基礎的知識】

⑴ 情報処理の基礎技術

⑵ 情報処理の形態と関連技術

⑶ データベースとファイル

⑷ 通信ネットワーク

⑸ システム性能

【経営情報管理】

⑴ 経営戦略と情報システム

⑵ 情報システムの開発

⑶ 情報システムの運用管理

⑷ 情報システムの評価

⑸ 外部情報システム資源の活用

⑹ 情報システムと意思決定

中小企業診断協会では、経営情報システムの科目設置の目的として、以下のような内容を掲げています。

「(科目設置の目的)

 情報通信技術の発展、普及により、経営のあらゆる場面において情報システムの活用が重要となっており、情報通信技術に関する知識を身につける必要がある。

また、情報システムを経営戦略・企業革新と結びつけ、経営資源として効果的に活用できるよう適切な助言を行うとともに、必要に応じて、情報システムに関する専門家に橋渡しを行うことが想定される。

このため、経営情報システム全般について、以下の内容を中心に基礎的な知識を判定する。」

つまり、中小企業診断士に求められているのは、情報システムを経営に役立てるためのアドバイスができることであり、情報システムの専門家に経営者の意図を伝えることであると言えます。

また、中小企業の経営者は、本業以外の情報システムには詳しくない場合が多いため、企業経営のホームドクターである中小企業診断士がシステムの導入についてもアドバイスを求められることが想定されています。

最近の合格率

過去5年間の合格率を見ると、22.9%(平成30年)、26.6% (令和元年) 、28.7%(令和2年)、10.6%(令和3年)、18.5%(令和4年)となっています。

経営情報システム科目は、専門家には簡単で、そうでない人には難しい科目と認識されていますが、最近の合格率を見る限り、専門家でない人にもチャンスがある科目であることが言えます。

【参考】中小企業診断協会 中小企業診断士試験 過去の試験結果・統計資料

二次試験では、企業の課題に対して、ITを活用した解決策を論述する設問が散発的に出題されています。

しかし、二次試験の場合、高度なIT知識を駆使して解答するというより、その企業の経営戦略や与件に従った解決策を提案すれば十分ですので、経営情報システムと二次試験の関連性は比較的低いと言えます。

出題形式と配点

経営情報システムは、以下の仕様で出題されます。

・二日目の2科目目

・時間数は60分

・択一マークシート形式(四肢または五肢択一式、最近はほとんど四肢択一式)

・問題数は25問

出題の傾向

出題のパターンとしては、設問に対して説明文の選択肢から最も正しいもの、間違っているものを選ぶ形式や、論述形式の問題文に複数の空欄を設け、回答の組み合わせを答えさせるパターンがあります。

事例を利用した問題も殆どなく、選択肢の文も短めなため、解答しやすい問題形式です。

定番頻出テーマ

「情報通信技術に関する基礎的知識」の分野では、ハードウェア、ソフトウェアの基礎知識、SQL、データベースの知識などが良く出題されます。

また、「経営情報管理」の分野では、インターネットの仕組み、セキュリティ対策、システム開発手法、クラウドサービスの活用、統計、各種ガイドラインが主に出題されています。

経営情報システムの勉強法

経営情報システム科目の勉強法には、定番の方法があります。

①ITパスポートのテキストが最適

一般企業内でIT機器全般を管理・運営する能力を問われる「ITパスポート」といわれる国家資格のテキストが、経営情報システムの学習には最も適しています。

ITパスポートの試験範囲は、以下のように中小企業診断士の学習にマッチしています。

ITパスポート試験範囲中小企業診断士1次試験科目
ストラテジ分野企業経営理論科目の基礎的内容
テクノロジー分野経営情報システム科目の情報通信技術に関する基礎的知識
マネジメント分野経営情報システム科目の経営情報管理
参考:ITパスポート試験シラバス

さらに、ITパスポート試験の「ストラテジ」分野には、企業経営理論科目の基礎的内容が入っているため、企業経営理論のテキストを読む前にITパスポートのテキストを読むと、企業経営理論の理解もスムーズになり、一石二鳥です。

②高速でPDCAを回す

先ずは単元ごとにテキストをざっと読み、すぐに練習問題に取り組みます。

その後、全く理解できなかったテーマのテキストを振り返り、付箋などで不明点を明確にしていきます。

ある程度理解が出来たら、過去問にチャレンジし、80%以上理解出来たら付箋を外していき、次のテーマに移ります。

これらの、いわばPDCAサイクルを高速で回していくことによって、短期間に経営情報システム科目を制圧していきます。

③ガイドラインは勉強しないのが勉強法

IPA独立行政法人情報処理推進機構や経済産業省が、毎回1問、情報システムを運用するガイドラインを問題にしていますが、毎年のように出され、改定されるガイドラインを追いかけるのは時間の無駄です。

これらの問題はぜひ、常識的な判断で解答していきましょう。

例えば、令和元年度には以下のような問題が出題されています。

第20問

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン(第 3 版)」を公表している。この中で経営者が実行すべき「重要 7 項目の取組」を挙げている。

「重要 7 項目の取組」に該当しないものはどれか。

ア 情報セキュリティ対策のための予算や人材などを確保する。

イ 情報セキュリティに関する組織全体の対応方針を定める。

ウ 情報セキュリティは専門的な問題なので、専門家に一任する。

エ 必要と考えられる対策を検討させて実行を指示する。

この問題の正解は「ウ」ですが、常識的に読むと、「情報セキュリティは全社的な問題で、全社員が取り組まないといけないことなので、専門家に一任して良いわけない」ということが頭に浮かぶことでしょう。

そうすると、一から調べて暗記する学習方法は無駄なわけです。

まとめ

中小企業診断士1次試験科目であるの経営情報システムは、仕事上関りが無い人でも攻略法が存在していることがお分かりいただけたと思います。

さらにITパスポートのテキストを活用することで、企業経営理論科目まで波及効果が及ぶということが分かれば、かなり効率的な学習が出来ますね。

この記事を活用して、さらに合格に近づいていきましょう。

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