臨床工学技士・臨床検査技師はどちらも国家資格であり、各医療機関に欠かせない重要な職業です。

今後医療系資格の取得を検討しており、「どちらが難しい?」「どんな違いがある?」と気になっている方もいるでしょう。

当コラムでは、臨床工学技士と臨床検査技師の二資格について、業務内容や難易度の違いといった観点から解説します。

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臨床工学技士と臨床検査技師の違い 

ここでは、臨床工学技士と臨床検査技師の違いについて、以下の内容で解説します。

  • 仕事内容の違い
  • 国家試験の難易度の違い
  • 年収の違い

仕事内容の違い

まず、臨床工学技士は生命維持管理装置をはじめとする医療機器の点検や保守管理を行う仕事です。

人工呼吸器や人工透析装置、手術機器の操作や管理など、患者の生命維持やスムーズな医療行為を機器管理の面からサポートします。

一方、臨床検査技師は医療機関で臨床検査を担う仕事。

患者の体から採取した組織の一部から病原体の有無などを調査する「検体検査」・体の内外を調査する「生体検査」などを行います。

  • 臨床工学技士:患者の生命維持を直接左右する機器を扱う
  • 臨床検査技師:検査を通じて患者の体の状態を分析し、適切な医療行為が行われるようサポートする

どちらも医療機関には欠かせない重要な職業といえるでしょう。

国家試験の難易度の違い

以下は、臨床工学技士・臨床検査技師それぞれの直近5年間の受験合格率を表にまとめたものです。

実施年度臨床工学技士臨床検査技師
受験者数合格者数合格率受験者数合格者数合格率
2024年度2,5982,04978.9%5,1314,34084.6%
2023年度2,6302,06878.6%4,9463,80076.8%
2022年度2,7062,31185.4%5,0023,88077.6%
2021年度2,6032,09680.5%4,9483,72975.4%
2020年度2,6522,23284.2%5,1154,10180.2%
参考:国家試験合格発表|厚生労働省

臨床工学技士の例年の合格率は80〜85%ほど。

臨床検査技師の合格率は75〜85%ほどで、合格率はそれぞれ同程度で推移しています。

合格率だけであればどちらも合格しやすい試験に見えますが、両資格とも受験するために学歴による条件が設定されています。

高校卒業後は、それぞれの養成校で専門教育を3年以上受ける・大学や看護学校で必要な科目を履修するなど、いずれも数年単位の学習を修める必要あり。

責任の重い業務を担当する分、しっかりと学習を積んだ人だけが受験できる資格といえるでしょう。

年収の違い

令和6年統計のデータによる、二資格の平均年収・平均年齢は次のとおりです。

臨床工学技士臨床検査技師
平均年収430.2万円504.3万円
平均年齢39.9歳40.4歳
参考:厚生労働省 職業情報提供サイトjob tag|臨床工学技士厚生労働省 職業情報提供サイトjob tag|臨床検査技師

平均年齢面はわずかな差ですが、年収面では臨床検査技師の方が70万円ほど高額となります。

臨床検査技師の年収がより高い理由のひとつとして、臨床検査技師が担う「検査」が資格の独占業務であることが考えられます。

臨床工学技士の業務も専門性は高いですが、独占業務ではありません。

「他資格では代替できない仕事」という文脈において、臨床検査技師の重要度は非常に高いといえます。

また、臨床検査技師は多様な就業先が検討できる資格です。

医療機関をはじめ、臨床検査センターや研究機関、製薬会社などに高い需要があります。

多くの機関から優先的に求められやすいことで、得られる年収も高い傾向があると考えられるでしょう。

臨床工学技士・臨床検査技師 ダブルライセンスのメリットとは

臨床工学技士と臨床検査技師は単体でも非常に有力な医療系資格ですが、ダブルライセンスを取得することで就転職や年収面がさらに有利になります。

特に、臨床検査技師は独占業務をもつ資格で就業ルートが広いため、本業が臨床工学技士であっても取得して損はありません。

両資格を同時に活かせるケースも存在します。

医療機器の操作と検査結果の分析を両立するような現場であれば、両方にひとりで対応できるダブルライセンスホルダーは歓迎される可能性大。

代表的な業務としては、透析治療の現場が挙げられます。

医療機器の操作と検査結果の解析にひとりで対応でき、適切な治療を素早く提供することができるでしょう。

ダブルライセンスを取得する方法

臨床工学技士と臨床検査技師のダブルライセンスを取得する方法としてもっとも簡単なルートは、ダブルライセンスの取得が可能な学校へ進学するルートです。

対応している教育機関では4年間で工学分野と検査分野を学習し、1度の受験で両資格を取得できるようカリキュラムが組まれています。

入学準備まで考慮すると数年単位での学習期間の確保は必要ですが、最初からダブルライセンスを想定している場合は効率的に取得を目指せるでしょう。

該当の大学が最寄りにないといった場合は、順番に別々の大学に入学してそれぞれの受験資格を得る方法もあります。

例えば、先に臨床検査技師の養成学校で3〜4年学習して卒業したあと、臨床工学技士の知識を1年制の学部などで勉強するといったルートです。

成績次第ですが、最短4年ほどで資格取得を目指せるでしょう。

別の教育機関に改めて入学する手間や費用面を考えるとやや非効率的な方法ではあるものの、ひとつずつ確実に取得を目指せます。

ひとつの学部で知識を一気に詰め込まれることを避けたい場合や、先に医療系資格への適性を確かめたい場合におすすめです。

まとめ

当コラムでは、臨床工学技士と臨床検査技師について、以下の内容で解説しました。

  • 臨床工学技士は、生命維持管理装置などをはじめとする医療機器の操作を行う仕事。独占業務ではない。
  • 臨床検査技師は、患者から採取した検体などを検査して患者の健康状態を分析し、適切な治療が施されるようサポートする仕事。臨床検査技師が実施する検査は独占業務である。
  • 国家資格の難易度を比較すると、臨床検査技師の方がやや難しめ。年収面の比較においても、臨床検査技師の方が総合的な収入は高い傾向がある。
  • 臨床工学技士と臨床検査技師は、ダブルライセンスとして取得することでさらに医療人材としての価値を上げられる。ダブルライセンス取得が可能な大学に進学するか、別々の教育機関でひとつずつ取得を目指す。

臨床工学技士と臨床検査技師は同じ医療系資格ですが、業務内容はまったく異なります。

特に、独占業務を有する臨床検査技師は就業先の幅が広く、総合的な年収も高くなる傾向あり。

ダブルライセンスを取得すればさらに活躍の幅が広がるでしょう。

4年間の学習で両資格を取得できるカリキュラムを提供している大学もあります。

自分の状況や将来の希望などを踏まえつつ、無理なく取得を目指せるルートを選ぶとよいでしょう。

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