神奈川大学の総合型選抜(旧AO入試)には「総合評価型」と「適性検査型」の2方式があり、評定平均の基準や試験内容が大きく異なります。

「どの方式を選べばいいか分からない」「出願条件を詳しく知りたい」と感じている方も多いのではないでしょうか。

本コラムでは、神奈川大学の総合型選抜における入試方式の違いや、学部別の倍率について解説します。

受験を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

神奈川大学の総合型選抜(旧AO入試)の基本情報

神奈川大学の総合型選抜(旧AO入試)の基本情報

神奈川大学の総合型選抜(旧AO入試)の基本情報は、以下の通りです。

  • 総合評価型と適性検査型の2方式
  • 実施している学部
  • 学部ごとの倍率

総合評価型と適性検査型の2方式

神奈川大学の総合型選抜には「総合評価型」と「適性検査型」の2方式があり、趣旨や試験内容が大きく異なります。

総合評価型は、高校3年間の学習への姿勢や意欲を評価する従来型の方式です。

対して、適性検査型は、2026年度から新設された選考方式です。

学力重視型の選考であり、高校時代に培った学習習慣や基礎学力などが問われます。

各方式の詳細は、以下の通りです。

項目総合評価型適性検査型
趣旨学ぶ意志と努力を評価高校時代の学習習慣と基礎学力を評価
評定平均値の基準あり(3.5〜3.8)なし
試験内容書類審査+筆記試験(90分)+面接適性検査(数学/国語+英語)+調査書+書類審査
他大学との併願学科による(一部本学専願)全学科で可能
学科併願不可(1学科のみ)全学科で可能
試験会場横浜・みなとみらい横浜のみ

参考:神奈川大学入試情報サイト

実施している学部

神奈川大学の総合型選抜は11学部で実施されており、横浜キャンパスとみなとみらいキャンパスに分かれています。

詳細な学部・学科・キャンパスの一覧は、以下の通りです。

学部学科・コースキャンパス
法学部法律学科/自治行政学科横浜
経済学部経済学科/経済データ分析学科/現代ビジネス学科横浜
経営学部国際経営学科みなとみらい
外国語学部英語英文学科(IESプログラム)/スペイン語学科/中国語学科みなとみらい
国際日本学部国際文化交流学科/日本文化学科/歴史民俗学科みなとみらい
人間科学部人間科学科横浜
理学部理学科(数学・物理・化学・生物・地球環境科学・総合理学コース)横浜
工学部機械工学科/電気電子情報工学科/経営工学科/応用物理学科横浜
建築学部建築学科(建築学系・都市生活学系)横浜
化学生命学部応用化学科/生命機能学科横浜
情報学部計算機科学科/システム数理学科/先端情報領域プログラム横浜

学部ごとの倍率

総合型選抜の倍率は、学部・学科によって大きく異なります。

神奈川大学における2026年度入試(適性検査型)の学部・学科ごとの倍率は、以下の通りです。

学部・学科募集人員志願者数倍率(参考値)
法学部・法律学科282278.1倍
法学部・自治行政学科141269.0倍
経済学部・経済学科3539111.2倍
経済学部・経済データ分析学科5459.0倍
経済学部・現代ビジネス学科2027713.9倍
経営学部・国際経営学科3762416.9倍
外国語学部・英語英文学科(IES)1121819.8倍
外国語学部・スペイン語学科6488.0倍
外国語学部・中国語学科4399.8倍
国際日本学部・国際文化交流学科1230225.2倍
国際日本学部・日本文化学科49624.0倍
国際日本学部・歴史民俗学科55811.6倍
人間科学部・人間科学科2527511.0倍
理学部(6コース合計)201648.2倍
工学部(4学科合計)301796.0倍
建築学部(2系合計)1417212.3倍
化学生命学部(2学科合計)14916.5倍
情報学部(3学科・プログラム合計)1515910.6倍
合計2993,49111.7倍

参考:2026年度 総合型選抜(適性検査型) 志願者速報(最終)|神奈川大学

2026年度入試(適性検査型)の志願者速報データによると、最も志願倍率が高かったのは、国際日本学部・国際文化交流学科で25.2倍でした。

次いで、国際日本学部・日本文化学科が24.0倍、外国語学部・英語英文学科IESプログラムが19.8倍、経営学部・国際経営学科が16.9倍と、文系の人気学科が高倍率となっています。

一方、理系学部は概ね6〜8倍台に収まるケースが多く、志望学科によって難易度に大きな幅があります。

神奈川大学の総合型選抜(旧AO入試)の出願条件

神奈川大学の総合型選抜(旧AO入試)の出願条件は、以下の通りです。

  • 総合評価型の出願条件
  • 適性検査型の出願条件
  • 試験内容

総合評価型の出願条件

2027年度入試における総合評価型では、出願条件として、学科ごとの評定平均値の出願基準が設けられています。

基準は学科によって異なりますが、3.5〜3.8の範囲です。

各学科における評定平均値の基準は、以下の通りです。

学部学科評定平均値の基準他大学との併願
法学部法律学科/自治行政学科3.7
経済学部経済学科/経済データ分析学科/現代ビジネス学科3.5
経営学部国際経営学科3.7
外国語学部英語英文学科(IES)/スペイン語学科3.7
外国語学部中国語学科3.5
国際日本学部国際文化交流学科/日本文化学科/歴史民俗学科3.7不可(本学専願)
人間科学部人間科学科3.8不可(本学専願)
理学部理学科(全コース)3.7
工学部機械工学科/電気電子情報工学科/経営工学科3.7
工学部応用物理学科3.5
建築学部建築学科(建築学系・都市生活学系)3.7
化学生命学部応用化学科/生命機能学科3.7不可(本学専願)
情報学部計算機科学科/システム数理学科/先端情報領域プログラム3.7

参考:神奈川大学入試情報サイト

人間科学部・人間科学科の評定基準は3.8と、全学科の中で最も高い基準となっています。

また、総合評価型の重要な特徴として、学科によって他大学との併願可否が異なる点があげられます。

国際日本学部・人間科学部・化学生命学部の3学部は本学専願であり、合格したら必ず入学しなければなりません。

一方で、それ以外の学部は他大学との併願が認められています。

適性検査型の出願条件

適性検査型では、評定平均値の出願基準が一切設けられていません。

さらに、すべての学部・学科において、他大学との併願や学科併願(複数学科への同時出願)が認められています。

総合評価型よりも出願のハードルが低く、より多くの受験生にチャンスがある制度といえるでしょう。

なお、適性検査型の出願対象は、2027年3月卒業見込み者、および高校卒業後1年以内の者となっています。

試験内容

総合評価型と適性検査型は、試験内容が大きく異なります。

総合評価型の試験は、「書類審査+筆記試験(90分)+面接試験」の3要素で構成されています。

筆記試験の内容は学部・学科によって異なり、小論文・各教科の基本的問題・スケッチなどさまざまです。

例えば、外国語学部・英語英文学科(IESプログラム)では、面接が英語で実施されます。

学部別の筆記試験内容は、以下の通りです。

学部学科筆記試験(90分)
法学部法律学科/自治行政学科小論文
経済学部経済学科/現代ビジネス学科小論文
経済学部経済データ分析学科「数学」に関する基本的問題
経営学部国際経営学科小論文
外国語学部英語英文学科(IES)小論文(英語と日本語)
外国語学部スペイン語学科/中国語学科小論文
国際日本学部全学科小論文
人間科学部人間科学科小論文
理学部理学科数学・物理・化学・生物のいずれか(コースにより指定または選択)
工学部機械工学科/応用物理学科「物理」に関する基本的問題
工学部電気電子情報工学科/経営工学科「数学」に関する基本的問題
建築学部建築学科(両系)総合問題(小論文またはスケッチ)
化学生命学部応用化学科「化学」に関する基本的問題
化学生命学部生命機能学科「生物または化学」(試験当日選択)
情報学部全学科・プログラム「数学」に関する基本的問題

加えて、書類審査(志望理由書・活動報告書・調査書)と面接試験を実施。

外国語学部英語英文学科(IES)は英語による面接、国際日本学部国際文化交流学科は活動報告書の内容により英語を含む場合あり。

適性検査型の試験は、全学部・全学科共通の試験内容で実施されます。

適性検査(数学または国語から1科目選択+英語必須)+調査書の評定平均値×10+書類審査」で総合評価される仕組みです。

ただし、1限の選択科目は学科によって制限があり、経済学部経済データ分析学科・理学部数学/物理コース・工学部の全学科は「数学」のみが選択可能です。

配点は、数学/国語100点・英語100点・調査書50点の合計250点満点となっています。

英語外部試験(英検・GTEC・TEAP・IELTS)のスコア利用も可能で、試験当日の英語得点と比較して高い方が採用されます。

科目ごとの配点の詳細は、以下の通りです。

時限試験教科試験科目配点
1限数学または国語「数学」または「国語」(漢文を除く)の基本的問題から1科目選択(70分)100点
2限外国語「英語」に関する基本的問題(70分)100点
調査書全体の評定平均値×1050点
合計250点

英語外部試験(英検・GTEC・TEAP・IELTS)のスコア利用可。

試験当日に英語を受験した場合は高得点の方が採用されます。

神奈川大学の総合型選抜の過去問

神奈川大学の総合型選抜(適性検査型)は、2026年度から新設された入試であるため、過去問は公開されていません。

大学の公式サイトでは、サンプル問題のみが公開されています。

サンプル問題に付随して公開されている「問題構成」と「出題意図」を確認することで、対策の方向性を把握できるでしょう。

以下に、各教科の問題構成と出題意図を紹介します。

  • 国語
  • 英語
  • 数学

国語

問題構成

  1. 古文
  2. 現代文

出題意図

  1. 高等学校での古文を履修し、基礎・基本となる知識を習得しているか、その知識を生かして文章の内容をどのくらい理解することができるかを確認するため、標準的な長さの文章(2026年度は『室町時代物語・下 しぐれ』、1,250字程度)を出題しました。正確に読むために必要な語彙力や文法力(助動詞、敬語)、本文の論旨を理解する読解力(部分把握、全体把握)があるかを測りました。
  2. 大学入学後に様々な教科書・参考文献を学ぶ上で必要となる力があるかを確認するため、比較的長めの文章(2026年度は渡邊雅子『論理的思考とは何か』4,200字程度)を出題しました。正確に読むために必要な語彙力(漢字、接続詞、語の意味、ことわざ、など)、本文の論旨を理解する読解力(部分把握、全体把握)があるかを測りました。

引用:01.総合型選抜(適性検査型)

国語の問題は、古文と現代文の両分野から出題されます。

古文は助動詞・敬語などの文法力と読解力、現代文は語彙力と長文読解力が問われる構成です。

教科書の基本事項を丁寧に復習したうえで、長文を素早く正確に読み取る練習を積むことが対策の中心となります。

英語

問題構成

  1. 語彙
  2. 文法
  3. 構文
  4. 会話文
  5. 読解総合

出題意図

  1. 基本的な単語や熟語を習得しているかを確認するため、空欄に適切な語彙を入れて意味の通る英文を完成することができるかどうかを試しています。英文を理解する上で特に重要な品詞である動詞を多めに出題しました。
  2. 基本的な文法を理解しているかを確認するため、空欄に適切な語句を入れて正確な英文を完成することができるかどうかを試しています。英文を理解する上で重要な項目である時制、関係代名詞、仮定法などを出題しました。
  3. 基本的な構文を理解しているかを確認するため、単語を並べ替えて和訳にあった英文を完成することができるかどうかを試しています。英文を理解する上で押さえておいて欲しいso that構文、比較構文などを出題しました。
  4. 大学入学後に求められるコミュニケーション能力があるかを確認するため、空欄に適切な一文を入れて会話文(2026年度は135 words程度)を完成することができるかどうかを試しています。前後の文脈が理解できているかがわかる設問を出題しました。
  5. 大学入学後も学ぶことになる社会的な話題(2026年度はSDGs関連)の理解力があるかを確認するため、比較的長めの英文(2026年度は620 words程度)を正確に読めるかどうかを試しています。本文が理解できているかがわかる設問を中心に出題しました。

引用:01.総合型選抜(適性検査型)

英語の問題は、語彙・文法・構文・会話文・読解総合の5分野から出題されます。

基本的な語彙や文法の習得を前提に、620wordsの長文読解や英文完成などの実践的な運用力が求められます。

英語外部試験のスコア利用も可能なため、英検などの取得を検討することも有効な対策です。

数学

問題構成

  1. 小問集合
    1. 数と式
    2. 確率
    3. 指数・対数
    4. 数列
  2. 図形と方程式
  3. 三角関数・微分法・積分法の総合問題

出題意図

  1. 基礎的な知識や計算能力の習熟状況を確認するため、教科書の節末問題程度の問題を独立した4つの小問集合の形式で出題しました。数と式、確率、指数・対数、数列から出題しています。
  2. やや発展的な知識や計算能力の習熟状況を確認するため、共通テスト程度の問題を出題しました。(1)から(3)までの誘導に従いながら、論理的に考える力があるかどうかを測りました。図形と方程式から出題しています。
  3. やや発展的な知識や計算能力の習熟状況を確認するため、共通テスト程度の問題を出題しました。与えられた関数に基本的な知識を適切に組み合わせることで、論理的に考える力があるかどうかを測りました。(1)では三角関数の方程式、(2)では三角関数を置換した微分・積分を出題しています。

引用:01.総合型選抜(適性検査型)

数学の問題は、小問集合と発展的な大問の2段構成です。

小問集合は教科書の節末問題レベル、大問は共通テスト程度の難易度であり、数学Ⅱ・Bの範囲が中心となります。

基礎の定着を優先しつつ、誘導形式の問題を論理的に解き進める練習を重ねることが対策の柱となります。

まとめ

神奈川大学の総合型選抜(旧AO入試)は「総合評価型」と「適性検査型」の2方式があり、評定平均値の基準や試験内容・併願可否がそれぞれ異なります。

評定に自信がある方は総合評価型、基礎学力で勝負したい方や併願を検討している方には適性検査型が適しています。

倍率は学科によって幅広く、志望学科の傾向を把握したうえで早めに対策を始めることが合格への近道です。