芸術学部の総合型選抜とは、書類や実技、作品を通して、表現への意欲と学ぶ適性を評価する入試です。

作品と書類の両方を仕上げる必要があるぶん、準備には他学部より時間がかかります。

本記事では、芸術学部の選考で問われる内容と志望理由書のコツを、例文つきで解説します。

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芸術学部の総合型選抜で問われる内容

芸術学部の総合型選抜で問われる内容

芸術学部の総合型選抜は、志望理由書・実技やポートフォリオ・面接を通して、「作る力」と「表現の意図を語る力」の両方を確かめる選考です。

それぞれの選考で見られているポイントを解説します。

志望理由書

芸術学部の志望理由書で重要なのが、「作品を作るのが好き」で止まらず、「何を、誰に、なぜ届けたいのか」まで踏み込むことです。

作品を鑑賞し分析する文学部や美学系の学科と違い、芸術学部は、自ら手を動かして表現を生み出し、他者に届ける方法まで学ぶ場だからです。

書くべきなのは、心を動かされた瞬間と、そこから自分の創作がどう変わったかという具体的な過程です。

祖母の手仕事に美しさを見出した経験があるなら、「消えていく日常の風景を作品として残したい」という表現の目的にまで話を展開させます。

原体験・関心・大学で磨きたいこと・将来像を一本のストーリーとしてつなげる構成が一般的です。

小論文・実技・ポートフォリオ

芸術学部の実技やポートフォリオで試されるのは、技術の完成度そのものより、対象をどう見て、どう表現に置き換えたかという独自の視点です。

実技試験ではデッサンや課題制作を通して基礎力と発想が、ポートフォリオではこれまでの作品から関心の変遷と成長の跡が見られます。

例えばポートフォリオなら、完成作だけを並べるより、下絵や試作も添えて「なぜこの表現に行き着いたか」を見せるほうが、考えながら作る姿勢が伝わります。

小論文が課される場合は、芸術と社会の関わりをめぐる題材への考察が問われます。

作品を作るたびに「何を狙い、何がうまくいかなかったか」を一言でも制作ノートに残すなど言語化する習慣がおすすめです。

面接・プレゼンテーション

芸術学部の面接は、志望理由書や提出作品をもとに、表現の意図を面接官が具体的に掘り下げる場だと考えてください。

例えば作品について、「なぜこのモチーフを選んだのですか」「この色にした理由を教えてください」と、一つひとつの選択の理由を問われます。

自分の作品や質問を「狙い・工夫・次の課題」の順で語り直す練習を重ねておきましょう。

大学が評価する芸術学部の志望理由書を作るコツ

評価される芸術学部の志望理由書に共通するのは、他の受験生の言葉と置き換えがきかない、自分だけの表現への動機です。

「昔から絵が好きでした」だけでは、同じ書き出しの書類のなかに埋もれてしまいます。

自分だけの動機を言葉にするコツを紹介します。

表現したいと思った原体験を掘り下げる

自分ならではの志望理由を作るために欠かせないのが、受賞歴のような成果ではなく、心が動いた瞬間の記憶です。

原体験を掘り下げるときは、「いつ・どこで・何を見て・どう感じ・それから何をしたか」を順に書き出してみてください。

例えば美術館で一枚の絵の前から動けなくなった経験なら、なぜ足が止まったのかを言葉にし、家に帰って同じ構図を真似て描いてみたところまで書けると、原体験が活きてきます。

派手な体験を探すより、「気づけば何時間も没頭していたこと」を思い出すところから始めてみてください。

制作物とポートフォリオを志望理由書とつなげる

芸術学部の選考では、ポートフォリオと志望理由書が同じ方向を向いているかどうかが見られます。

志望理由書で語った関心と、実際に提出する作品の傾向が食い違っていると、書かれた言葉が後づけに見えてしまうからです。

例えば日常の風景を残したいと書いたなら、風景や身近な人を扱った作品を中心に構成し、その並べ方にも意図を持たせます。

作品を選ぶときは、上手に描けたものではなく、志望理由書に書いた関心が表れているものを優先しましょう。

ポートフォリオに添える短い説明文と志望理由書の言葉づかいをそろえておくと、一貫性が生まれ、説得力が増します。

芸術学部の学びと将来の表現活動をつなげる

将来から逆算して学びを語ることで、志望理由に一貫性を持たせることができます。

芸術学部の卒業生は、作家やデザイナー、イラストレーター、美術の指導者など幅広い進路に進みます。

ただし職業名を挙げるだけでは足りません。

例えば「絵本作家になりたい」ではなく、「子どもの記憶に残る絵本を作りたいから、版画の技法と色彩の理論を学びたい」のように、必要な学びを引き出しながら書きましょう。

進路が固まっていなくても、追い求めたい表現とその理由を語れれば十分に伝わります。

芸術学部の志望理由書の例文

ここまで紹介したコツを、実際に例文で紹介します。

私は中学の美術の授業で、身近な風景を版画で表現する課題に取り組んだとき、削り方一つで光や影の印象が大きく変わることに強い驚きを覚えました。以来、自分の目に映った景色をどう作品に写し取るかを考え続け、休日には街を歩いてスケッチを重ねるようになりました。この経験から、見た人の心に残る作品を生み出す力を、芸術学部で本格的に磨きたいと考えるようになりました。貴学の芸術学部を志望する理由は、版画や絵画を専門的に学べる専攻があり、制作に打ち込める設備が整っている点に魅力を感じたからです。入学後は表現の技術と理論を基礎から学び、将来は日常のなかにある美しさを伝える作家として、多くの人の心を動かす作品を届けたいと考えています。

まとめ

芸術学部の総合型選抜でまず取り組みたいのは、心が動いた原体験を「何を、誰に、なぜ届けたいのか」という言葉にすることです。

作品を鑑賞し分析する学科との違いは、自ら作り、その意図を語れるところにあります。

そのうえで、感動から手が動いた過程を素材に選び、その大学ならではの専攻と自分の表現したいことを結びつけ、目指す表現から学びを逆算しましょう。

本記事の例文も参考に、あなたにしか書けない志望理由書を仕上げてください。

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